アリナの妹   作:時間遡行者

15 / 17
第15話

「私はマギウスの一人、アリナ・グレイの妹なんです。」

 

「!」

 

「!」

 

「本当なら最初に拾ったくれたときに言うべきでした。だけど、マギウスと戦うことになったから言えなくなった。『マギウスの一人だからかばってほしい。』なんて、絶対に信じてくれない。そう思ってた。でも、みんなは突然やってきた私を心配してくれた。みんな優しくしてくれた。」

 

「ゆきちゃん…。」

 

「だからこそ、巻き込みたくなかった。もし本当のことを言ったら余計に心配するんじゃないか、姉さんと同じように執拗に追いかけてくるだろう、って。私があそこで倒れてたのはみふゆさんがあそこから逃がしてくれたから、必死で逃げたからなんです。」

 

「………。」

 

「ごめんなさい…ごめんなさい…本当に…ごめんなさい。」

 

私は泣き崩れた。マギウスとみかづき荘の魔法少女がこれほど激しく争うとは思っていなかった。よりにもよって一番お世話になった鶴乃さんがいなくなったことが悔しくてしょうがない。マギウスの黒羽根に追われるのも、姉さんのてのひらで踊らされたのも、何とかも、全部、私のせいだ。いままでやってきたことをやり直したいほど私自身を恨んでいる。もっと早く相談すれば…。

 

「ゆき。」

 

「はい。」

 

「やっと正直に話してくれたわね。」

 

「私を許してください、なんて言いません。やちよさんもずっと私を目の敵にしてたんでしょう?今のうちにとどめをさしたほうがいいですよ。みんなのためですからね。」

 

そう、今更命乞いなんて無意味に決まってる。だったら潔く消えてなくなればいいんだ。これで姉さんの呪縛から解き放される。

 

「…そんなことはしないわ。」

 

「え?」

 

「今の話を聞いてやっとわかったわ。あなた、やっぱりマギウスに追われているのね。」

 

「やっぱり、って前から気づいていたんですか?」

 

「あなたが『マギウス』という単語を言うたびに怯えているのがよくわかったわ。」

 

「一番わかりやすいのはみふゆと会うときに今まで以上に驚いていたときよ。みふゆはマギウスの幹部の一人なの。だから、もしかしたらマギウスになにか関係のある人でなにかの理由でマギウスに追われる存在になったんじゃないか、っておもったのよ。」

 

「………。」

 

「図星ね。」

 

「じゃあ、あのとき私に怒ったのは…。」

 

「ごめんなさい。さっきまでずっとあなたを疑っていたのよ。でももういいのよ。あなたが困っているならわたしたちに任せて。必ずあなたのことを守ってあげるわ。」

 

「…やちよさん。」

 

「ゆきちゃん、わたしにも相談して。迷ってたり困ってたりしてるなら力になりたいの。」

 

「いろはさん。」

 

「とりあえず、みかづき荘に行きましょう。鶴乃を助けましょう。」

 

「はい。」

 

やちよさんは私に手を差し伸べた。私はその手を握った。

 

「行きましょう。」

 

「行こう。」

 

私はやちよさんといろはさんと一緒にみかづき荘に向かった。

 

 

 

私たちがみかづき荘についたのは日が沈んだら頃だった。そこに入るとフェリシアさんが入り口で出迎えてくれた。そして、向こうには緑色の髪をした少女がすわっていた。

 

「よぉ、待ってたぜ!あっ、ゆき!」

 

「フェリシアさん…。フェリシアさんにも言わなくちゃいけないことがあるんです。」

 

「?」

 

フェリシアさんにも同じことを話した。すると、フェリシアさんは顔をうつむいた。

 

「オマエ、マギウスの仲間だったのか?」

 

「…はい、そうです。でも、私はマギウスの人たちや黒羽根たちとは関わっていません。みふゆさんは私を救ってくれただけです。」

 

「そうか。」

 

「信じてくれませんか?」

 

「…あぁ。」

 

「!」

 

「ゆきのこと、信じるぜ。マギウスとかいう悪いヤツだったら万々歳で働かないからな。」

 

「…ありがとうございます。」

 

よかった。みんな私のことをちゃんと知ってくれた。これでもう、窮屈におもうことはなくなったんだ。

 

「とりあえず、早く中に入りなさい。」

 

 

 

 

入り口の先にある大きいガラスのテーブルを囲むように座って作戦会議を始めた。

 

「あの、そこにいる緑色の髪をした人は誰ですか?」

 

「この子は二葉さな。 名無しAIのウワサに囚われていた透明人間の魔法少女よ。」

 

「この人が二葉さな。」

 

「………。」

 

「よろしくお願いします。」

 

「………。」

 

さなさんは口を開けてくれない。こうやって話しているのにずっと下を向いてもじもじしてばっかり。聞きたいことがあるんだけどこれじゃあ聞いてくれなさそう。

 

「さなちゃんはすごく恥ずかしがり屋なの。初対面の人としゃべるのは苦手なの。」

 

いろはさんがフォローを入れた。

 

「…さなさん。私はあなたと仲良くなりたいんです。だから、あなたからいろいろ聞きたいことがあるんです。お願いします。どうか教えて下さい。」

 

「………!」

 

さなさんは突然飛び上がって速足で階段を上がっていった。

 

「さなさん…。」

 

「大丈夫だよ。時間をかけて仲良くなろう。」

 

本当に仲良くなれるのかなぁ。

 

「さながいないけど、会議をはじめるわよ。」

 

そうだ、それよりもマギウスと戦う準備をしないと。

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。