万々歳にいろはさんとやちよさん、鶴乃さん、フェリシアさん、そしてももこさんが集まった。ももこさんの情報を元にこれからどうするか会議することにした。
「まずはアタシが知ってることを話すよ。」
ももこさんの情報とは領域から逃げた魔法少女を見つけた、ということだ。私は事前に聞いたが、ここで詳細に話してくれた。
「このことで問題になっているのは“二木市”だな。そこでは魔法少女同士でグリーフシードを取り合っているらしい。」
「魔法少女同士で争うなんて…。」
「いろは、心配してる暇なんかないわ。きっとこれもマギウスがやったことに違いないわ。」
「ししょーの言う通りだよ。マギウスの動きを止めればそんな争いはなくなると思う。」
「あぁ、オレたちでマギウスをブッ潰そうぜ!」
皆がマギウスを追うのに必死になっている。本当だったら無理矢理にでも止めるだろうけど、もともと私が行きたい、って言った訳ではない。姉さんが勝手に連れてきただけなんだから潰れて当然だ。
「いろはさん、私が二木市に行って真相を突き止めてみせます。安心してマギウスの居所を探って下さい。」
マギウスはいろはさんたちが何とかするだろう。ならば、もう一つの異変を解決していろはさんたちに貢献しよう。
「ゆきちゃん、黒羽根とちがって魔法少女と戦うことになるんだよ。あまりけがをさせない、って約束できる?」
「わかってますよ、いろはさん。同じ魔法少女ですからもし戦うことになっても極力傷つけないようにします。」
手加減はするつもりだけど実際にできるかどうか不安だ。光る蝶を追い払ったときはそんなことなかったけど、魔法少女同士となると姉さんといた時のことを思い出してしまう。
「それならアタシもついていくよ。ゆきだけじゃ危ないからな。」
ももこさんが行ってくれるなら大丈夫かも。私も暴走しないようにきをつけないと。
「ももこさん、ありがとうございます。」
こうして、私とももこさんで更なる情報を得るため二木市にいくことが決まった。いろはさんたちは神浜市西部で“西のボス”に会って情報を得ることにした。
「それじゃあ、二チームに別れてマギウスの尻尾をつかむわよ。」
「はい!」
やちよさんの号令で会議は終了した。
そのあと、ももこさんは二木市に行く準備をした。私の分の運賃はももこさんが払ってくれるらしい。電車を乗り継ぎして結構な時間をかけて二木市についた。
「何か神浜市とそんなに変わらないな。」
「ファストフード店もゲームセンターも神浜市にあるものと同じですね。」
「まずはファストフード店で何か食べるか。」
私たちは目の前にあったファストフード店に入った。空いている席にコートを置いてバーガーセットを頼んで席で食べながら話した。
「さて、どこから調べるか。」
「この道の反対側にあるゲームセンターに寄ってみませんか?」
「何でゲームセンターなんだよ。」
「子供が楽しめるところといえばゲームセンターではないでしょうか。現地の魔法少女が一番いると思います。」
「なるほど、一理あるかもしれない。いってみよう。」
ももこさんは突然立ち上がった。
「待って下さい。ハンバーガー食べ残してるじゃないですか。」
「そんなこと言ってる場合か!」
「ゲームセンターに魔法少女がいるかどうか分からないじゃないですか。焦ると大事なことを見逃しますよ。」
「お、おう。」
私はももこさんを落ち着かせて一緒にハンバーガーを食べた。
それから私たちは近くにあったゲームセンターに向かった。入り口から右にUFOキャッチャーがまるで富士山の樹海のようにどこまでも続いている。左にはリズムゲームの筐体がいくつも設置されていた。
「ここは手分けして魔法少女を探そう。」
「私は左に行きます。」
ももこさんは相づちをうった。
辺りを警戒しながらゆっくり歩いた。魔法少女がいる可能性が一番高い場所だから、最悪一人いると思った。そして、僅かに気配を感じた。
「ここにいるはず。」
気配を辿ると女の子が身軽なステップで踊っていた。青い髪のツインテールで見たことのない制服を着ていた。曲が終わり、深呼吸をして平らな踏み台から降りた。彼女は私に気づいて近づいてきた。
「あなたも魔法少女?」
いきなり放った一言があまりにも衝撃過ぎて一瞬言葉を失った。初めて会った相手なのにどうしてわかったのだろうか。
「…どうしたの?」
「は!…ええと、そ、そうです。はじめまして…。」
唐突な質問に素直に答えてしまった。
「おぉ、当たった~。わたし、運にも恵まれてるかも~。」
意味不明なことを言っているがここで心を落ち着かせた。
「あなたは二木市の魔法少女ですか?」
「うん。そうだよ~。」
「あの…ここには魔女がいないって本当ですか?」
「あなた、どこから来たの?」
「神浜市です。」
そう言うと彼女は横に目を向けた。
「神浜ねぇ〜。あなたは知らないんだ〜。魔女は神浜に持ってかれたの。」
「持ってかれた?何を言って…。」
「詳しいことは夜になってから話しましょう。またここに来てくれる〜?」
彼女はなぜか曇った顔をしてこちらを見た。なぜか解らないけど、夜にここにくれば今起きている事件のことで詳しく教えてくれるかもしれない。
「わかりました。」
「じゃあ、待ってるよ〜。」
私は頷いて後ろを向いたらいつの間にか魔法少女が道の端に立っていた。
「私たちはどこにでもいる。油断はするなよ。」
私はつばを飲み込んで来た道を帰った。
「ここに来た以上逃がす訳には行かないな〜。このボーナスゲーム、絶対に成し遂げてみせる。そう、ニ木市の魔女をかっ攫ったのは神浜市の魔法少女。あの子を人質にしようかな〜。」
不敵な笑みを浮かべながらリズムゲームの台に再び乗った。
私が戻って来た時にはももこさんがいた。
「ゆき、何かあったか?」
「ももこさん、ここを離れましょう。話があります。」
私はももこさんの手を握って逃げるように走った。
「お、おい!」
ただひたすらに走ってゲームセンターを後にした。
一方、その頃。
「全く、ももこったらなにしてんの?ワタシたちを置いてきぼりにして。」
夕焼けが差し込む電車に揺られながら、水色髪の少女はブツブツ言った。
「いろはちゃんから聞いたけど、2人はニ木市にいる、って聞いたよ。」
弱々しい声で茶髪の少女が言った。
「ももこだけ勝手にどっか行くなんてサイテー。どうしようもないバカね。」
「ももこちゃんだけじゃないよ。ゆき、っていう女の子も一緒にいるんだよ。全然会ったことないけど。」
「そんなヤツ、どうでもいいわ。ももこを連れて来るだけでいいわ。」
「そんなこと言わないでよ。その子はいろはちゃんたちが知ってる魔法少女らしいから一緒に連れて来ないと怒られちゃうよ。」
「ふん、わかってるわよ。今のは冗談よ。」
茶髪の女の子は彼女を疑った。
「ねぇ、もしかして忘れてたんじゃない、ゆきちゃんのこと。」
「忘れてたワケではないわ。ももこを最優先に連れて帰ることがワタシたちの目的よ。ホントにゆき、っていう魔法少女なんかどうでもいいのよ。」
「ももこさんのことをすごく心配してたもんね。今日何度もももこさんのこと心配してたでしょ?」
「別に心配なんかしてないわ!あんなヤツ、ほっといたって自分でなんとかするわよ。」
水色髪の女の子は顔を真っ赤にして下を向いた。
「2人とも、無事でいればいいんだけど…。」
茶髪の女の子は2人を心配した。自分も争いの渦中に巻き込まれるとも知らずに…。