アリナの妹   作:時間遡行者

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第6話

夕日が街の至るところを照らし、ビルのガラスが光を反射して夕日色に染まり幻想的な景色が広がる頃、私とももこさんは駅の構内のベンチでゲームセンターで起きたことを話した。

 

「ニ木市の魔女を神浜の魔法少女が奪った?なんだよそれ。」

 

「やっぱりそんな反応しますよね。私もよく分からないんです。そもそも魔女と魔法少女は対立の関係なのに“奪う”ことなんてできるんでしょうか?」

 

「できるはずがない。魔法少女が魔女を統率するなんてこと聞いたことも見たこともない。」

 

「ももこさん、この街は何かおかしいです。ゲームセンターで会ったあの子が何かヒントを持っているのは間違いないです。今から会いに行きます。」

 

「待てよ!一人で行くのはあまりに危険すぎる。アタシも付いていく。」

 

「一人で来て、と言われたんですよ。ももこさんは来ちゃいけません。」

 

「アンタのことが心配なんだよ。」

 

「でも…。」

 

ももこさんが心配するのは当然だとここで話す前に分かっていた。でも、ついていく、と言ってもどうすれば。もう迷ってる暇はないのに…。その時、改札の向こう側から見知らぬ人が2人、ももこさんを呼ぶ声がした。

 

「ももこー。探したわよー。」

 

「ふえぇ〜。良かった、二人ともいるね!」

 

一人はももこさんを、もう一人は私も心配していたようだ。

 

「レナ、かえで!なんでここにいるんだよ。」

 

どうやらももこさんはの知り合いのようだ。

 

「あの、この人たちは?」

 

「あぁ、神浜市で一緒に魔女狩りをしてる信頼してる仲間だよ。」

 

この二人も魔法少女なのか。

 

「アンタがゆき?」

 

突然話しかけてきたのは水色のツインテールをした女の子だ。

 

「はい、《梓ゆき》です。」

 

「ももこを巻き込んでなにしてくれてんの?」

 

「え?」

 

初対面なのに何か知らないけどすごく怒ってる。というか不審者扱いされてないか?

 

「アンタのせいでアタシたちはこんな遠いところまで来ることになったじゃない。それに、ももこまで連れて何をしたいの?」

 

とんでもない言われようだ。信じくれるかわからないがとにかく事情を話そう。

 

「落ち着いてください。私はももこさんと一緒にこの街の異変を調べに来たんです。」

 

私は二人にこれまで何があったのか事細かに話した。すると、ももこさんと同じセリフを言った。

 

「…信じられませんよね。」

 

「そんなこともできるんだね。」

 

茶髪の女の子が目を丸くした。

 

「まぁ、事情はわかったわ。レナも手伝うわ。」

 

レナ、という水色の髪の女の子は納得してくれた。その上、手助けしてくれるようだ。

 

「かえでさん、異変解決のため力を貸してください。」

 

「わ…私も全力でサポートするよ!」

 

「ありがとうございます。」

 

これで作戦が立てやすくなった。でも、ももこさんは浮かない顔をしていた。

 

「レナ、かえで、この先何があるか分からない。帰るんだったら今のうちだぞ。」

 

ももこさんは二人のことを心配した。確かにあの魔法少女はどんな能力を持っているのか分からない。ももこさんが案ずることも不思議ではない。しかし、かえってお節介なのでは?聞くのも野暮な気がした。

 

「それでも、二人をほっといて帰れないよ。」

 

「レナも同じよ。それに、魔女を奪った、ってのも気になるわ。」

 

二人の決意は固まった。

 

「そうか、じゃあ見つからないようにして作戦を立てよう。」

 

 

 

日が落ちて街が暗闇に包まれた頃、私はゲームセンターに行った。計画どうりにいけばいいと思いゲームセンターのドアを開けた。すると、向こうにはあの魔法少女がいた。

 

「おぉ!来てくれたんだね〜。」

 

「ニ木市で起こっていること、教えて下さい。」

 

「え〜、もっとしゃべろうよ〜。」

 

「神浜市は私の住んでいる街なんです。ニ木市と神浜市が関係してるなら黙ってはいられません。」

 

「はぁ、つれないね〜。じゃあ、話すよ。」

 

やっと聞ける。私はつばを飲んで覚悟を決めた。

 

「まず、わたしは“プロミスド・ブラット”の一人、《笠音アオ》よ。わたしたちはニ木市の魔女を奪った神浜に復讐して浄化システムを奪うのが目的。今まで傷ついた仲間たちのためにも必ず成し遂げたい。そう思ってるの。」

 

“プロミスド・ブラット”、聞いたことない名前だ。

 

「もともと3つのチームに分かれていたんだけど、いろいろあって3人のリーダーが集まった。そこでわかったの、黒いフードをかぶった魔法少女が魔女を誘導していたこと、そしてその魔法少女は神浜のひとだったってことをね。」

 

黒いフード、マギウスの手下たちの仕業だったのか。多分、アオさんはマギウスと神浜の魔法少女が対立してることを知らないはず。

 

「その黒いフードをかぶった魔法少女、私知ってます。」

 

「あの人たちを知ってるの?」

 

「はい、マギウスは神浜で魔女を育てている悪い組織なんです。」

 

「マギウス、ねぇ。」

 

アオさんは不思議そうな顔をした。腑に落ちないところがあったのだろうか。

 

「アオさん、信じてください。マギウスに狙われてケガした魔法少女もいるんです。良ければ協力してください。目的は一致してます。」

 

とにかく神浜の魔法少女全員がやったことじゃないことをわかってほしい。揉め事を増やしたくない。

 

「信じるか信じないかというと…。」

 

アオさんは私に近づいた。

 

「わたしは信じない。」

 

どうして。マギウスが糸を引いているのは分かってくれたと思ったのに。

 

「そもそも、マギウス、って本当に存在する組織なの?聞いたことないよ。」

 

「だから、悪いそ…」

 

「悪い組織、って何?わたしたちはそんなの知らない。でたらめに言ってるとしか思えない。」

 

「でたらめじゃないんです。魔女なんか奪ったって私達の得にはなりません。」

 

「もういいよ。とにかく、神浜を脅す材料としてあなたをここで捕まえるね。」

 

そう言うと、辺りに魔法少女が大勢来て私を囲んだ。これ以上何言っても耳をかさないだろう。

 

「私はこんなところで立ち止まってる暇なんかありません!レナさん!」

 

「仕方ないわね。」

 

筐体の影から一人出てきてアオさんを身動きできないように拘束した。

 

「どうして、あなたは誰!?」

 

「いつからレナを仲間だと思ったの?」

 

すると、姿を変えレナさんになった。

 

「レナさんの能力は他の人物に変身する能力、そして私の能力は…」

 

ドアの前にはももこさんとかえでさんがいた。

 

「レナとゆきに指一本触れさせない。」

 

「特定の人物にばれず、かつ無制限で伝達できる能力!」

 

ももこさんは大勢の魔法少女を悉くなぎ払った。そうしてできた道にかえでがつっこみアオさんとレナさんのところまで行った。

 

「ご…ごめんなさい!」

 

持っている杖から太い蔓がでてタイミングよくレナさんがアオさんを開放して地面に貼り付けた。

 

「くっ、こんなことで…。」

 

「アオさん、ごめんなさい。あなたの味方にはなりません。」

 

私達は真っ直ぐにドアに向かって走った。

 

「ももこさん、もう大丈夫です。」

 

「あぁ、わかった!」

 

そして4人揃って駅まで走った。追ってくる影はなく、脱出に成功した。

 

 

 

駅についたあと、ちょうど電車に乗ることができた。

 

「結局、あまり情報が手に入らなかったな。」

 

ももこさんは残念そうに顔を下にした。

 

「《プロミスド・ブラット》、一体何者だったのでしょう?」

 

「何はともあれ、いつも以上に警戒したほうが良さそうね。」

 

「いつかまた、会うのかな?事情も知らずに…。」

 

「そうなったとしても、私は正面から戦いますよ。」

 

「ゆき、男らしいぞ。」

 

「ももこさん、そういうのいらないです。」

 

ももこさんの会話で皆が和んだ。神浜に戻ってマギウスを追わないと。私は興奮を抑えながらそう思った。

 

 




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