アオさんと遭遇した後、なんとか神浜に戻ってきた。その日はもう暗くなっていたので万々歳に帰って寝床についた。次の日、いろはさんとやちよさんがやって来てももこさんと話した。後で聞いたところ、全員に伝えておきたいことがあるのでやちよさんのところに集まってほしい、とのこと。
「集まってほしい、て何があったんですかね?」
「わからない。けど、やちよさんたちに何か収穫があったのかもしれない。」
「いい話であればいいんですけど…。」
マギウスが動くのもプロミスド ・ブラッドが動くのも時間の問題。どうか変な気を起こさないようにしてほしいけど、マギウスのほうが早く動くだろう。
「私もついてきてもいいですか?」
「あぁ、もちろんだ。」
「うそ、信じられない。やちよさんのお家って本当にここなんですか?」
見るからに大きな家だ。いや、これはマンションだ。この部屋の主人がやちよさん、っていうのがまたやちよさんの正体を分からなくさせる。
「やちよさん、って一体何者ですか?」
「やちよさんは親子で❬みかづき荘❭経営してたんだよ。いまはいろはたちの拠点なんだけどね。」
「だったらいままでなんで万々歳で作戦会議したんですか?」
「それは…。」
話しているうちに正面のドアから一人出てきた。
「あらももこ、もう来たのね。あら?」
出てきたのはやちよさんだった。そして、私のほうを見た。
「ゆき、あなたも来たのね。」
「こんにちは。」
「早くいらっしゃい。話したいことがいろいろあるから。」
やちよさんはドアの向こうに消えていった。それについで、ももこさんと私はなかに入った。
部屋のなかは鮮やかだった。大きなカーペットが一枚あり、ガラス張りの正方形テーブルにアンティークのようにかわいらしいソファー、さまざまな形をしたランプ、調理器具が一通り置いてあるキッチン、確かにこれはマンションではなくホテルだ。
「すごく、きれいです。」
「あら、ここにくるのは初めてだったかしら?」
「いままで来たことないですけど。」
「ゆきはずっと万々歳で働いていたからそもそもやちよさんがホテルを経営したことをさっきまで知らなかったんだよ。」
「そう、じゃあそこのソファーに座っててちょうだい。」
ももこさんと私は二人掛けのソファーに腰を下ろした。しばらくして、ドアからぞろぞろひとがやって来た。
「やちよさん、お待たせしました。」
「ししょー、来ましたよー。」
「やちよー。どこにいるんだー?」
「お邪魔します。」
いろはさんと鶴乃さん、フェリシアさんと……誰?
「みんな揃ったようね。じゃあ始めましょう。」
「まずはわたしから。十七夜から西側でマギウスの動きが活発化してるようだわ。ずっとこっちにいるのかと思ったら既にあっちでは根をはってたようね。」
「十七夜さんのところでもマギウスが動き始めたのか。いよいよ面倒くさくなるな。」
「こちらも、マギウスの対策を念入りにしないとすぐにやられるわ。」
「どうにかして止めないと…。」
いろはさんは心配した。それよれも十七夜、って誰なんだろう。私はこっそりももこさんに耳打ちした。
「ももこさん。」
「なんだよ。」
「十七夜さん、って誰ですか?」
すると、ももこさんはぎょっとした顔をして私にアイコンタクトした。
「知らなかったのかよ!」
突然大声で叫んだ。
「どうしたの?ももこ。」
「い…いや、何でもない。」
ももこさんは再び耳打ちした。
「十七夜さんは神浜市の西側を統括するボスだよ。そんで、やちよさんは東側を統括するボスだよ。」
「えぇ!」
カルチャーショックのような感覚になった。いままでにない高く大きな声を出してしまった。
「もうっ、ゆきまでどうしたの?何かあったの?」
「い…いや、何も…。」
「二人とも、しゃきっとしなさい。緊急事態なのにどうしてそんなに楽観的なの?」
私とももこさんは首を横にして黙った。
「もう。とにかくこれからすることは…。」
やちよさんは何もなかったように話を進めた。
「後で細かく教えてやる。」
「…はい。」
それからやちよさんは得た情報を私たちに言った。西のボスである十七夜さんが全面協力してくれるらしい。そして、見滝原の魔法少女がマギウスの仲間になってしまったそうで、その仲間がマギウスの捜索を手伝ってくれるそうだ。
「まあ、こんなかんじかしら。何か質問ある?」
「あの、見滝原の魔法少女、って誰なんですか?」
「まどかとほむら、っていう子よ。」
「二人はマミさんを探してるんだけどマギウスに捕まった、て言われたの。」
全く知らない人だけど協力してくれるなら助けなくちゃ。
「それで、誰からそれを知ったんですか?」
「…アリナよ。」
「え?」
「アリナ・グレイよ。」
「姉さんが…。」
「何だって?」
「!、いえ、なにも。何も言ってません。」
「今日のあなた、なんかおかしいわよ。」
「ゆきちゃん、どうしたの?何かあるならわたしに…。」
「結構です。気にしないで下さい。ちょっと具合が悪くなったんで先に万々歳に帰ります。」
私はいろいろな感情が溢れて自分でも何がなんだかわからなくなった。気持ちを整理するため一度帰りたい。そう思った。
鶴乃さんのお父さんに鍵を開けてもらって自分の部屋に戻った。
「姉さんが…私を…狙ってる。」
いつか来るだろうとわかってたが神浜市全体に影響がでるなんて。本気で私を探してる。
「姉さん、私は絶対にフェント・ホープに戻りはしない。」
そう決意したとき、向こうから光る何かがこっちに来る。
「あれは。」
そう、あの光る蝶だった。私はソウルジェムを構えた。だが、
「繧ケ繝医�繧ォ繝シ…繝代Φ…」
何かつたえたそうな感じだった。日本語(?)が聞こえたきがする。
「繝√く繝ウ…アリ縺ェ…いも…繧�。」
「何?なんで言葉が聞こえるの?」
そのとき、
「そこにいる…アリナ…かわいい妹…。」
「!」
あぁ、やっとわかった。懐かしくて恨めしい私の姉さんだ。
「アリナのオンリーワンの作品。ここにいたのネ。」
「姉さん。」
「もうアンタから姉さんていう筋合いはナッシングなんだケド。」
「どうしてこんなことしてるの?狙いは私を連れて帰ることだけじゃなかったの?」
「アリナ的には一番のプロブレムはそこなんだケド、マギウスが求めていることは魔法少女たちを救済することなんだヨネ。」
「私が聞きたいのはどうして魔法少女たちを救済しようとするのか、っていうことだよ。姉さん。」
「理由?そんなの知らない。」
「知らない?嘘つかないで。」
「だって興味興味ないカラ。」
「どうして?」
「そんなことより忠告しとくネ。」
「そんなこと、って…。」
「この蝶はねむが勝手に作ったウワサなんだヨネ。」
「ねむが?ねむがウワサを作ってるの?」
「そ。ねむがウワサを作って黒羽根たちがコントロールする、ってワケ。」
「そうなんだ…。」
フェント・ホープにいたときは単に本が大好きなひとだとしか認識がなかったけど、そんなことができるのか。
「んで、忠告きく?」
「うん。それで?」
「この蝶がアンタをストーキングしてるから気をつけて、っということ。」
「ずいぶんと優しいね。姉さんはいままで優しくしてくれたことなかったのに。」
「これでも優しくしてるんですケド。ねむの行動が最近怪しかったカラ、何か隠してると思ったらラこれだった。ホント何考えてるんだか…。」
「…一応その忠告は受けとるよ。でも、あなたたちのやってることはもうお見通しなんだから。」
「ホントにそう思ってるの?」
「?」
「まあ、いいか。じゃあせいぜい生きててね。」
蝶は一瞬で消えてった。姉さん、何をしようとしてるの?
遅れてしまいすみません。今日から再開します。