萌えっ娘もんすたぁ 実体験版 作:りんご太郎
主におれが喜ぶので、良かったらお気に入りよろしく!
第1.0話 それぞれのはじめて
現在は午前6時29分。マサラタウンの一室で、リンは目覚まし時計を見つめていた。
数秒後、デジタルの分表示が30に変わると……
ピピピッ!ピピ バチッ!
「……やべぇ、全っ然寝れなかった……」
興奮で冴えた目のまま半袖短パンに着替え、3年前から日課になっている朝のトレーニングに向かう。
「あら、おはようリン。……ふふっ」
「おはよ、かあさん。行ってきます」
「……なんだか懐かしいわね、母さんも旅立ちの日の前日は全然眠れなかったわ。行ってらっしゃい」
「……(なんで分かったんだ?)」
3年前、8歳になったおれは、旅のための体力づくりとして毎朝マサラタウンを走ることにした。さすがに時間がかかるのでやらないが、たぶん今では10kmくらいなら止まらずに走り続けられる。ゲームよりも広大なマサラタウンを5周走り、ダッシュ5本と整理体操も終えてから家に帰ってきた。
「ただいま」
「おかえり〜。あ、オーキド博士から連絡があってね、9時に研究所に来てくれって」
「! ……分かった!!」
「ふふっ、先にご飯食べちゃいなさい」
「うん、いただきます!」
今は8時。あと1時間でおれのもえもんがもらえる……!!
はやる気持ちを抑えつつ大好物のスクランブルエッグをかき込むその姿は、自分のもえもんを心待ちにする11歳の男の子そのものだった。
……さて、おれの名前はリン。“萌えっ娘もんすたぁ”の世界に転生した、元19歳の男子大学生。6歳で覚醒してから11歳になって旅立つ今日まで、この世界のことを学びながら身体を鍛えてきた。……で、あと51分後にはおれの最初のもえもんがもらえる訳だが……
……
……
……うぉぉおおおおおお!!!
ついに! この時がきた!!
5年越しのゲームスタート!!
服よし! 帽子よし! ボールポーチよし! 財布(32円)よし! 寝袋よし! 着替えよし! 非常食よし! タウンマップよーし! 薬よーし! モンスターボールよーし! ランニングシューズよーし!
よーっしゃあ! もえもんマスターに、おれはなる!!
自室でサイレント狂喜乱舞していたおれは、9時の20分前に母さんと一緒に家を出た。
ーーー
オーキド研究所のエントランスに入ると、すでにグリーン、リーフ、ナナミ姉さんは来ていた。ソワソワしているグリーンをナナミ姉さんがからかい、それを見たリーフが笑っている。
「うるさいな……あっ! やっと来たなリン。おせーんだよ」
「ごめんなさいね、グリーン君。リンったら部屋で興奮して暴れてたから、家を出るのが遅れちゃったのよ」
「ちょっ!? 母さん!? (バレてる?!)」
「あーらあらあら今日もかわゆいわねリン君は!」
精神年齢24歳にして黒歴史を明かされ赤くなったおれの頭を、ナナミ姉さんが豪快に撫でてくる。やめろぉ! リーフにも笑われてる!……グリーンてめーは笑ってんじゃねぇ!
「はっはっはっ! やはり2人とも眠れなかったようじゃな!」
おれの黒歴史を大声で笑うこのじいさんが、グリーンたちの祖父にしてもえもん研究者のオーキド博士だ。今は殺意すら湧きそうだが基本的にとてもいい人で、今回おれたちに最初のもえもんをくれることになっている。
「……さて、リンたちも来たことじゃし、少し早いが始めるかの。2人は少し前に出なさい。
……リンにグリーンよ!
お主たちはこれから広い世界に旅立つ訳じゃが、この世界には楽しいことだけでなく、危険なことや苦しいこと、つらいことも待ち構えておる。とても超えられそうにない壁に出会い、立ち止まることもあるじゃろう。
……じゃが! お前たちの隣にはにはもえもんがおる!
……そして、わしらはここで、いつでもお主たちの帰りを待っておる。どうしても辛くなったら帰ってきなさい。……お主たちの味方はすぐそばにいることを、わすれるでないぞ。」
「……じいちゃん……」
「……博士……」
ぉぉおおお、めっちゃいいこと言ってくれるやん……ちょっと泣きそうになったわ。
「……よし! 旅立つお主たちには、わしの宝物を2つずつやる。1つはこれ、わしが作った“もえもん図鑑”じゃ! もえもんに向けるだけでそのもえもんの情報が表示される優れものじゃ!
……これは2人へのお願いなんじゃが、旅の途中で見つけた野生のもえもんをゲットして、各地のもえもんの分布を調査して欲しいのじゃ。なーに、ゲットしたもえもんのデータは自動的に図鑑が読み取るから、お主たちはゲットするだけでよい。
……ついでに、2人の好きなカラーリングにしておいたからの。完全に一品物じゃぞ!」
「「かっけー……! ありがとう博士(じいちゃん)!」」
ぉぉおおお!? まさかのオリジナルカラー!? おれの好きな黒地に濃いオレンジ……、じーちゃん実は神かな? アルセウスかな?
……グリーンは黒字に若緑色か。……ニヤつきが隠しきれてないぞ?
「はっはっはっ! 喜んでくれたようでなによりじゃ!
……それではメインディッシュといくかの。宝物2つ目は、わしのもえもんじゃ。こっちに来なさい」
「待ってましたぁ!」
「じいちゃん、どんなもえもんくれるんだ?」
「ふぉっふぉっふぉっ、見てからのお楽しみじゃよ」
おれたちは興奮しながら、博士について研究所の奥の部屋に進んでいった。後ろから母さんたちがついてくる。
奥の部屋は博士の応接室だ。……机の上に3つのモンスターボールが置いてある。
「さぁ、ここに3つのモンスターボールがあるじゃろ?このもえもんたちはまだ生まれてから間もない。1人1匹ずつ選びなさい。
……まずこの子が、たねもえもんのフシギダネじゃ」
博士が向かって左側のボールの開閉ボタンを押すと、緑色のつぼみが背中についた幼女が出てきた。ソファーにぐでーっとうつ伏せになってくつろいでいる。
……Lv.5、特性「しんりょく」、性格「のんき」
「あっこの子かわいい!」
リーフちゃんはフシギダネを気に入ったらしい。
「次にこの子が、とかげもえもんのヒトカゲじゃ」
真ん中のボールの開閉ボタンを押して出てきたのは、オレンジ色の身体とストレートヘアをした幼女だ。周りの人に驚いたのか、ソファーの影にあわてて隠れてしまった。しっぽの先の炎が揺れている。
……Lv.5、特性「もうか」、性格「おくびょう」
「最後にこの子が、かめのこもえもんのゼニガメじゃ」
右側のボールの開閉ボタンが押されると、甲羅を背負った水色のショートカットの幼女が床の上に現れた。不思議そうに周りにいる人を見上げている。くるっとしたしっぽがかわいい。
……Lv.5、特性「げきりゅう」、性格「ずぶとい」
さすが博士が選んだもえもんなだけあって、みんな(バトル的に)いい性格してるなー。まぁ、おれはどの子にするか決めてたけど。
「……よし決めた! おれはゼニガメにする!! お前の名前は“イオラ”だ! おれはグリーン、これからよろしくたのむぜ?」
「えっ!? “イオラ”!? お、おいグリーン、なんでそのニックネームなんだよ?」
「なんでって……かっこいいだろ? 最初にもらうもえもんがなんでも、名前は前から決めてたんだよ。……リンはまさか名前つけないのか?」
「い、いや、おれも前から名前は決めてたんだけど、グリーンの付けた名前がちょっと意外だったんだ(『でんき』タイプでもない、ましてや『みず』タイプのもえもんにそれ付けるか……。こっちにはドラクエないもんなぁ)」
おれに訝しの目を向けていたグリーンは、彼を横目で見ているゼニガメ改めイオラに向き直った。
「おれと一緒に最強になろうぜ! よろしくたのむ!」
差し出されたモンスターボールをしばらく見つめていたイオラだったが、グリーンがしばらく待つと自分からボールの中に入っていった。
「初ゲットだね、グリーン。おめでとう、がんばりなさいよ!」
「おにーちゃんおめでとー!」
「サンキューな姉ちゃん、リーフ。……あっ……、悪いリン。おれが先に選んじまった」
「いや、大丈夫だよ。おれももう決めてるから」
おれはフシギダネがくつろぐソファーを、回り込んでひざまずき、その影にいる子と目線を合わせた。
「ヒトカゲ、おれと来ないか?」
「!! ……っ」
自分が選ばれると思っていなかったのか彼女は驚きの表情を浮かべた後、あわててキョロキョロして、しまいには俯いてしまった。
「……嫌かな? ……困ったなぁ……もう君の名前も決めてたんだけどなぁ」
それを聞いた彼女はピクっと反応し、数秒後、ゆっくりと顔を上げてくれた。潤んだ深緑色の瞳がきれいだ。おれは最大限の笑顔で言葉を続ける。
「おれの名前はリン。よろしくな、“リゼ”!!」
「……りん……?、りぜ……!」
何分慣れていないので、文章に改善点などあれば、コメントで教えていただけると幸いです。
必ず返信します(`・ω・´)ゞ