「ところでリクくん話というのは?」
サラが満足そうな表情を浮かべているのを見ながらキョウヤが話を切り出した。
「あ、はいっ! えっと……ちょっとした悩みなんですけど……」
「ははは。遠慮する事はないさ。悩みなんていつでも言いに来ていいのに、僕でよければ力になるからさ」
「あ、ありがとうございます……!」
リクは戸惑いつつも嬉しく感じた。
GBNを始めたきっかけであるトッププレイヤーから“いつでも”と言ってもらえるのだ。
いつの間にかリクとキョウヤは深い絆で結ばれていて、お互いに心を許している関係になっていた。
「それで質問なんですけど」
「うん。僕でよければその悩み、解決させてくれないかな」
リクはキョウヤの目を見据えて最近の悩みを打ち明ける。
「好き、って何なんでしょうか?」
「…………ん?」
聞き間違いか、と首を傾げる今キョウヤ。
そう、リクの悩みというものはキョウヤの考えていた悩みとは全く違うものだった。
「──成程、そういう事なんだね」
一連の流れを聞き終えたキョウヤは飲み物を口にする。
「なんか俺の知ってる“好き”とみんなの言う“好き”が違うらしいんですよね。ユッキーもモモカちゃんも何か変な反応してたし……」
キョウヤは美味しそうにパフェを食べるサラをチラリと見る。
「うーん……」
キョウヤは微妙な表情を浮かべながらなんと返すか悩む。
おそらくだが、リクの知りたい“好き”というのは恋愛方面の……男女間での交際などで使う好きなのだろう。だけどリク本人はその好きにたどり着かない。だからキョウヤを頼ってきたのだろう。
「(さて、どういう風に返すか……)」
「はいリク。あーんっ」
「ってサラ、少し待っててよ」
悩むキョウヤをつゆ知らず、サラはいつものようにマイペースなままだった。
「そうだ、時にリクくん」
「? はい」
「君はこの世界を──GBNを、ガンプラをどう思ってるんだい?」
その質問はいつかリクが発した言葉に通づるものがあった。そして勿論、と言わんばかりにリクは反応する。
「大好きです。この世界も、ガンプラも、俺に色々なものを授けてくれましたから」
「──そういう“好き”と同じさ、リクくんが今探しているものは」
「同じ……?」
リクは分からないというように首を傾げる。
「何かを大切に思う気持ち。それは形あるものでも無いものでも同じさ」
「……?」
全く分からない様子のリクを見てキョウヤは少し面白くなりクスリと笑ってしまう。
「ん……。今日のキョウヤさん、何だか意地悪ですね……」
「ははっ、そうかい?」
……でもねリクくん。答えはすぐ近くにあるんだよ。
心の中でキョウヤは語りかける。名前のないその想いにリクが気付くことを信じて。