新しい“好き”という気持ち   作:小鴉丸

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マギーさんが登場するんですが……キャラ崩れてそうで心配だったり……


ep 11 ボーイズトーク

「──って事があってさ」

 

「キョウヤさん……」

 

 リクはこの前の出来事をユキオに話していた。GBNチャンピオンであるキョウヤとの他愛のない会話。そして、リクの最近の悩みである事について。

 

 リクとしては真面目な話なのだが、ユキオはいつものように真摯に相談に乗ってくれるわけでなく、どこか諦めたようなトーンで頷き続けていた。

 

「ちょっとユッキー。聞いてるの?」

 

「リっくん」

 

 そしてなんの前触れもなくガシッとリクの両肩に手を置いて。

 

「作戦会議をしよう!」

 

「…………はぁ?」

 

 そんな事を言ったのだった。

 

 

 

 

 

「──と、言うわけで! 第1回! ボーイズトーク〜!」

 

「いぇ〜〜い! ボーイズトークよぉ〜!」

 

「どうしてこうなった……」

 

 リクは頭を抑えため息をつく。

 

 先程の出来事、それからのユキオの行動はとても素早かった。連絡をありとあらゆる人に入れ、場所を確保し、モモカなどにはそれっぽい理由を付け見事男子限定の話し合いの場を作ったのだった。

 

「あら、こんな楽しそうなこと乗らないわけないじゃない」

 

「だな。ちょうど暇してたから俺は大歓迎だ」

 

「僕は……まぁ流れで、かな」

 

 今リク達がいる酒場であるアダムの林檎を提供したマギー。ユキオに声を掛けられ来たタイガーウルフことオオガミ・コタロー。苦笑いしつつ椅子に座るコウイチがリクの独り言に反応する。

 

 やたらテンションの高いユキオは「さて本題に入らせていただきます!」と進行役を受け持つ。

 

「今日集まってもらったのは他でもありません。我らがフォース ビルドダイバーズのリっくんについてです!」

 

 と、そこでコタローが反応する。

 

「リクがどうかしたのか?」

 

「あら? コタローちゃんは今日集まった理由知らないの?」

 

「あぁ。ただ面白い話があるから、ってしか聞いてないからな」

 

 どうやらコタローは何故このボーイズトークが開かれたかを知らないようだ。……いや、敢えて内容を言わないことによって興味を持たせるユキオの姑息な──作戦なのかもしれない。

 

「ふふふ。それについては今から話しますよ」

 

 待ってましたと言わんばかりに話す。昨日のリクの出来事を、そしてそこで何が話されたのか。

 

「あらぁ〜」

 

「へぇ、チャンプがねぇ……」

 

「……ふむ」

 

 それを聞いた3人の反応はそれぞれだった。

 両手を合わせてニヤニヤとするマギー、意外そうにするコタロー、そして何かを考え込むコウイチ。

 

「そうねぇ……。リっくんは確かにこの手の話は疎そうと思ってたけど……」

 

「まさかここまでとはな……」

 

 マギーとコタローは何か理解したようなことを言ってる。そんな2人を見て、ジュースを飲みながらリクはモヤモヤとする。

 

「2人までユッキーみたいなこと言わないでくださいよ」

 

 飲み物を口に含み飲み干したコタローが真面目な表情でリクに話しかける。

 

「“好き” か。確かにそれは人によって意味が変わるな」

 

 リクは頷く。

 

「違うのはそれぞれがその言葉を聞いて思い浮かべるのが違うからだ。ここにいる連中だってそうだ、全員好きなものが違うはずだ」

 

 付け加えるように「ガンプラは同じだかな」と言う。

 

 それはそうだ。そうでもないとこんなに悩むものでは無い、とリクは思う。

 とは言っても、リクはその言葉で仲間やライバルの顔を思い出す。みんなもそれは同じなはず……。だけど何が違うのだろうか? それがリクには分からなかった。

 

「──でもそれは向こう(・・・)も同じよ。リっくんが分からないように、きっと分からないまま。そうして貴方達はここまで来てるのだから」

 

 マギーさんが言葉を拾う。でもその言葉に更にリクは疑問が生まれてしまう。

 

 やはりリクは自分以外はそれ(・・)を知っていて、みんな何かを伝えようとしているのだ、ということが分かった。

 だけどそれ(・・)が分からない。みんな答えを言おうとしない。

 

 顔をしかめていたリクを見てコウイチがこう言う。

 

「あまり悩まないで……って言うのはおかしいけど、本当はリクくんは知っているんだよ。ただそれ以上に目の前にある壁が厚すぎるだけなんだ」

 

「壁……?」

 

「うん。でもその壁が厚いことは悪いことではないんだ。……っと、僕が言えるのはここまでかな」

 

「いいアドバイスねコーちゃん」

 

「これくらいしか出来ないのはむず痒いですけどね」

 

 マギーのウインクに苦笑い気味に応える。

 

「リクくんなら気付けるよ」

 

「そう、ですかね……?」

 

 たどたどしい返事。それにコウイチは「こればっかりは自分で気付かないとね」と付け加える。

 

「今のリクには分からないかもしれないが、これだけは覚えててくれ。──俺達はお前の味方だ。何があっても、な」

 

 GBNと同じような頼り甲斐のある顔でコタローが言う。

 

 “お前の味方” という言葉の意味をリクは知らない。だけどここにいる全員はコタローの言葉に深く頷いていた。それは全員がリクの味方、ということの表れで──。

 

「よ、よく分からないのは変わらないけど……ありがとう。みんな」

 

 リクは感謝の言葉を述べる。

 そう。いつかきっと、その日は近いのかもしれない、その好き(言葉)の意味を知る日が来る時に向けて。

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