新しい“好き”という気持ち   作:小鴉丸

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ep 04 とある日のガンダムベース

「いらっしゃいませ……けっ」

 

「……お、お邪魔します……」

 

 ガンダムベースに入るや男の声が女性の2人組を出迎えた。

 ここで男というとコウイチになるだろう。しかし、今日は違った。

 

「いらっしゃいお姉さん達」

 

「う、うん……サラちゃんこんにちは……。えっと、そちらの方は?」

 

 そちら、というのはサラよりも先に挨拶をした人物を指している。

 その戸惑いように、サラは思い出したように2人に説明を始めた。

 

「今日はコーイチが少し遅れてくるから代わりにツカサがお店を手伝ってくれてるの」

 

「ったく、なんで俺が……」

 

 穏やかに話すサラと真逆にぶっきらぼうな態度のツカサに2人組は少し怯えながら店の奥へ入っていく。

 

「へ、へぇ〜……。と、取り敢えず失礼します……」

 

 小走りに逃げ去るかのように遠ざかる女性達を睨みつけるように見ながら、いかにも面倒くさそうにため息を吐く。

 

 そんなツカサにサラは予めコウイチに言わていたことを話す。

 

「『接客は笑顔で』だよ、ツカサ」

 

「あー?」

 

 片足を椅子に乗せるように座るツカサは、尚も面倒と言わんばかりに適当な返事をする。

 

「俺はなぁ、ここに居るだけでいいってあいつに言われたんだ。接客をしろなんて一言も聞いてないぞ」

 

「でもエプロン付けてる」

 

 サラはツカサの姿を上から下へと見る。

 ツカサはハロがプリントされてるエプロン──ガンダムベースの制服を着ていた。

 

「いやこれは……」

 

 なんで乗り気ではないツカサが制服であるエプロンを付けているのか、それは少し前の出来事が関係している。

 

 

 

 

 

 ──朝、サラとナナミはガンダムベースで開店の準備をしていた。

 

「今日はコーイチ遅いんだね」

 

「んー、そうだねー。お兄ちゃんどうしたんだろ……」

 

 いつもなら来ているはずのコウイチがなぜか来ていなかった。遅れる時は連絡を入れるはずなのだが、まだ連絡も届いていないから不思議に思っていた。

 

 遅くまでガンプラを触っていたのか、それともGBNにログインしていたのかは分からないが、どちらにせよコウイチにしては珍しいことだった。

 

「連絡の1つも入れない悪いお兄ちゃんには何か奢ってもらわないとねぇ〜」

 

 企むような笑みを浮かべつつ作業を続けるナナミ。

 

 サラは机の上を片付けを手伝っていて、一通り片付いたところで休憩をしていた。

 そんな時、自分の立っている机が振動しているのに気付く。

 

「ナミー携帯鳴ってるー」

 

 ピョンピョンと跳ね、できる限り大きな声でナナミに知らせるサラ。「はーい」と返事しながら作業を一時中断しナナミは携帯を手に取り電話に出る。

 

「はいもしもしー?」

 

『ごめんナナミ! 別の作業してて少し遅れる!』

 

 電話に出るや相手──先程の話の中心であるコウイチは、慌てた様子で謝罪をした。

 

「わっ……もうお兄ちゃん! そういうのはもう少し早く言ってよ! 人手が足りな──」

 

『あぁそれなら大丈夫だ! 僕の代わりに1人来るはずだから! それと僕は1時間くらいしたら来るから!』

 

「え、えぇ?」

 

 立て続けに話されるためナナミは混乱している。

 

『あーそれとサラちゃんに』

 

 サラの名前を出されナナミはサラの近くに携帯を置く。

 

「おはよう。どうしたのコーイチ」

 

『うん、おはようサラちゃん。僕の代わりに来るやつなんだけど、サラちゃんも知ってるようにひねくれてるから、僕が来るまで面倒見ててくれないかな』

 

「……?」

 

「ちょっとお兄ちゃん! さっきから誰が来るのか名前で言ってないけど、もったいぶってるの!?」

 

 コウイチの口調からしてサラとナナミ、両方とも知り合いなのは分かる、しかし誰なのかが分からない。それはサラも一緒だった。

 

『えぇ? 別にもったいぶってるつもりじゃ……。あーまぁ、取り敢えず頼む! じゃあ!』

 

「え、ちょ、おに──切られた……。もうーー! なんなのーー!!」

 

 謎を謎のまま、答えを与えられずに電話を切られてしまう。

 

 ナナミは「もー!」と声を上げていた。

 

「…………朝からうるさいやつだな」

 

 そこに女の声ではない、低い男の声が響く。

 

 その声の主を2人は知っている。2人は声のする方へ顔を向けた。

 

「つ、ツカサ……さん?」

 

「ツカサ久しぶり。メンテナンスは今日じゃないよ?」

 

 サラとナナミはそれぞれの反応を示す。

 

 それはそうだろう。

 誰があのシバ・ツカサが来ると予想しただろうか。

 

 その上、この開店前のタイミングといい、先程までしていたコウイチとの電話の内容といい、あまりにも噛み合いすぎている。

 

「なんだ、わざわざ来てやったのになんで驚いてんだよ。それとサラ。メンテの日はちゃんと覚えてるから言わなくてもいい」

 

 それぞれの発した言葉に返事をし、まるで元から自分の場所かのようにカウンターの椅子に座るツカサ。

 

 そんなツカサに再確認を取るかのようにナナミが質問をする。

 

「え、えっとー……今日のお兄ちゃんが来るまでの手伝いって、もしかしなくてもツカサさんがしてくれるんですか……?」

 

「そんな奇妙な出来事が起きない限り自分でこんな場所に足なんか運ぶわけねぇだろ」

 

 そう。先程コウイチが言っていた“代わりの人”というのは友人であるツカサのことだったのだ。

 

 

 

 

 

「なーにが『エプロン着ないとお兄ちゃんに言いつける』だ。あいつに何言われようがなんとも思わねぇって」

 

 ブツブツと言葉を漏らしながらも何だかんだ店番を引き受けているツカサにサラは笑ってしまう。

 

「というか、わざわざ手伝ってやってんだ。むしろ感謝しろって感じだぜ」

 

 椅子に背を預け天井を眺める。

 

「でもツカサは手伝ってくれてる」

 

「……何が言いたい」

 

「ううん、なんでもないよ」

 

「けっ」

 

 そんな会話を交わした後、サラはいつものように接客、ツカサは不器用ながらもコウイチが来るまでの時間を潰していた。

 

 言葉使いは荒いもののガンダムの知識はナナミよりも上のため、ナナミがツカサを頼ったりする光景が何度も見られたりした。

 

「そろそろコーイチのやつが来る時間か。っあー、やーっと帰れるぜ」

 

 首を鳴らしながら手伝いがようやく終わることに満足そうにしている。

 

 別にそんなに長くはなかったのだが、ツカサにとっては長く感じたのだろう。

 

 その間、サラはツカサの代わりに接客を続けている。

 

「いらっしゃいま──あれ?」

 

 店に入ってきた男性の2人組を見てサラは止まる。

 

「せやからGBNで聞いた話やとここに居るんやって──お?」

 

 お互いに目が合いつい見つめ合う状態になる。

 

「なになに、アークくん何かあったの?」

 

「……アーク?」

 

 その言葉にもうやる気のなさそうだったツカサが反応し、椅子から立ち上がった。

 

「よぉ。久しぶりだなお前ら」

 

「──は?」

 

「な──っ」

 

 ツカサは目の前にいる2人とどうやら知り合いといった風に声をかけている。

 サラは直接には片方としか話したことがないが。

 

 お互いに見合う硬直状態の中、先に口を開いたのは白髪の青年だった。

 

「シバ……ツカサ……」

 

「よぉ奇遇だな“アーク”に“ゼン”」

 




こんにちは小鴉です。
ここで少し最後に出てきたキャラについて説明をします。

既に読んでる方は分かるかと思いますが、説明をしますとアークとゼンというキャラはアニメ ビルドダイバーズの公式外伝コミックである“ガンダムビルドダイバーズ ブレイク”に登場するキャラになります。
アニメと連動している部分があり、この作品ではその部分を使っていこうと僕としては考えています。

外伝を読んでないと伝わらない部分が今後少し出てくるかも知れませんが、できる限り分かりやすく書いてくつもりなので、よろしくお願いします。
(分かりにくい部分がありましたら感想にてくれれば次に投稿する時に前書き等で説明しようと思います)

長くなりましたが僕からのお知らせを終わります。
今回も読んでくださりありがとうございます。
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