新しい“好き”という気持ち   作:小鴉丸

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この作品は独自解釈が多めです。



ep 08 お泊まりの夜に(アヤメ編)

『あ、アヤくんとサラちゃんは帰ってていいよ。こっちは僕が何とかしとくから』

 

『え……でも……』

 

『大丈夫大丈夫。僕も含まれるけど男は単純だからね、言いくるめるのは割と楽なもんさ』

 

『えっと、それじゃあ……』

 

 

 

 

 

 ──なんていうやり取りの後、アヤはサラと共にガンダムベースを出て家に帰宅した。

 その後ガンダムベースに居たメンバーがどうなったかというと、宣言通り上手くコウイチが収拾を付けたという。

 

「アヤメの家、久しぶりに来た」

 

「そっか。前に来たのは結構前だったもんね」

 

 アヤの家にサラが泊まるのは約1ヶ月ぶりくらい、学校や家の都合が中々合わなかったから泊まれなかったのだ。

 

「でも今日から元通りだよ。私、モモカちゃん、ナナミさんの3人だね」

 

「うん! またSDガンダムのこといっぱい聞けるから嬉しい」

 

「私も嬉しいよ。サラちゃん勉強熱心だから教えがいがあるからね」

 

 ビルドダイバーズの中で唯一のSDガンダム使いであるアヤの話をサラはいつも目を輝かせながら聞いている。

 逆にそれはアヤも同じで、そうやって楽しそうに話を聞いてくれるサラがいるからアヤ自身、とても楽しく話せれているというのもあるが。

 

 アヤは今夜は何を話そう、と考えながらガンプラを机の上に並べる。

 

 丁度サラの目の前にアヤのRXー零丸を置いたところで、サラが思い出したようにアヤにあのことを問いかけた。

 

「そういえばアヤメ」

 

「ん? 何かあったサラちゃん?」

 

「アヤメの“好き”も聞いてみたい」

 

「……わ、私に来ちゃったか〜」

 

 薄々アヤも質問されるんだろうと思っていたためそこまでの衝撃はなかった。しかし、いざ自分が答えるとなるとどういう風にすればいいのか悩んでしまう。

 

 学校内でそういった経験がないアヤにとって、この質問は中々の難問だった。

 女友達の話を聞くことがあっても自分のこととなると、そんなに話題があるわけではない。

 

「んー……」

 

 そう、あるにはあるのだ。しかしそれを話していいのかと自分の中で悩んでいるだけで……。

 

「…………」

 

 口ごもるアヤを無言で見つめるサラ。

 そんなサラは自分の前にある零丸に手を触れ目を閉じた。

 

「それじゃあ──」

 

 零丸に触れたままサラは再び質問をする。しかしそれは他の人ではなくアヤだけに向けた質問で……。

 

「アヤメ、コーイチを見てる時何か違う。あれはいつも何を考えているの?」

 

「え!?」

 

 サラとしては普通の質問だったのだが、アヤからしてみればそれは的確すぎて怖い質問であった。

 

「頼りない……優しい……嬉しい──」

 

「ま、待って! それ以上言わないで! 自分で……自分で言うから!!」

 

 サラは機体を通し心を見抜く。

 

 アヤは普段口に出さないことを見透かされてムズムズと変な気持ちになる。

 

 それはELダイバー(サラ)の力……ガンプラの声を聞くという力。アヤは実際にリクが言っていたのを思い出す。

 嘘だろう、という気持ちもあるがリクはそれが聞こえたという。そしてそのおかげで今のダブルオースカイが存在する。

 

「き……気になるから、見てる……」

 

「気になる? コーイチが?」

 

 悪意のない純粋すぎる質問に苦しめられる。

 

「う、うん。一緒に居ると自然と視線がそっちに行っちゃうの。自分でも無意識……でも、心が暖かくなるの」

 

 アヤは思い出す。零丸を改修した際にコウイチに褒められたことを。

 あの時から、少しづつ変わっていったのだと思う。

 

「……サラちゃんは」

 

 誤魔化すかのようにサラに話を流す。

 だけどこれは、アヤの抱く気持ちの名前を知らないサラへのヒントとなるだろう。またそれは──。

 

「そういうこと、ないかな? その人が来るのを待ってたり、一緒に居て楽しい人。無意識にその人を考えたり……その人を追ったりすること」

 

「私……?」

 

 サラはまだビルドダイバーズのみんなと出会う前のことを思い出す。

 

 データの海、その中で人々の想いから生まれた。色んな感情があったと思う。

 生まれたばかりのサラは何も分からなかった。自分がどうすればいいのか、何をすればいいのか。

 

 だけどそんなある日、1人の男の子に目が止まった。

 その男の子はGBNに触れたばかりで、ただただ楽しんでいた。真っ直ぐに、純粋に、ただただゲームを楽しんでいた。

 

『──リク』

 

 そんな男の子がサラは気になった。

 この世界(GBN)に生まれたばかりのサラにとって、その男の子はとても興味を惹かれていた。だからサラは接触を試みたのだ。

 

 そしてその興味は、今でも残っている。

 

「私……」

 

 むしろ昔よりも大きくなって。

 

「アヤメのコーイチに当てはまるのはリクだと思う。だって、いつもリクのこと考えてるから」

 

「ふふっ、そっか」

 

 アヤは真っ直ぐに言えるサラを凄いと感じた。

 

「(きっとサラちゃんはその気持ちに気付いても堂々と言えるんだろうな)」

 

「アヤメ」

 

「ん、どうしたの?」

 

 サラは微笑みながら、それでも少し悩みが晴れたような表情でアヤと話す。

 

「今日はそのことについて話したい。アヤメがコーイチのことどう考えてるのか」

 

「うぇっ!? う……そ、それなら私はサラちゃんがリクくんをどう思ってるか聞きたいかな〜?」

 

 2人の話は続く。夜は、まだ長いのだから。

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