新しい“好き”という気持ち   作:小鴉丸

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ep 09 お誘い

「おーいリク君、サラ君! こっちだ!」

 

 極東ベースのロビーにあるカフェコーナーの入口で2人を呼ぶ声が聞こえる。

 

「キョウヤさん!」

 

 名前を呼ばれたリクはそちらへ駆け出す。そこには2人を呼んだクジョウ・キョウヤが手を振り立っていた。

 

「急に誘ってしまって申し訳ない。久しぶりに2人と話したくなってね」

 

「いえ! 俺も話したいって思ってたところです!」

 

「はは、それは嬉しいね。さて、立ち話もなんだし中に入ろうか」

 

「はいっ!」

 

 3人でカフェコーナーへ足を運ぶ。

 

 今日はキョウヤに誘われたためGBNへ丁度ログインしていた2人がその場へ向かったのだ。

 

「今日は僕の奢りだ、何でも好きなのを頼んでいいよ」

 

「!」

 

 その言葉にサラは目を輝かせる。そして素早くメニューを取り出しパラパラとページをめくる。

 

 そんなサラを苦笑いでリクは見ていた。

 

「……こうやってゆっくり話せる日があるのは、とても良いものだね」

 

「そうですね……」

 

 約2ヶ月前の第二次有志連合戦、それがあったからそう思ってしまうのだろう。

 お互いに守りたいものを背負いながらの戦い。絶対に負けられない、絶対に勝たないといけないそんな戦い。

 

 その戦いはリク達ビルドダイバーズが照らした未来への可能性が示され終わりを迎えた。

 

「──見苦しいかな。今でも思うんだ、あの時、もっといいやり方があったんじゃないか……って。あんな形で戦わなくてよかったんじゃないかって」

 

「キョウヤさん……」

 

 キョウヤの言葉はいつかリクが言った言葉に重ねられる。

 

 

『いつかあなたと戦いたい! 戦えるようになれますか?』

 

『……待ってるよ』

 

 

 憧れから来る純粋な気持ち。その純粋から生まれた言葉は2人が予想もしない結果で叶ってしまった。

 

 結果として2人は全力で戦った。

 数ヶ月前にGBNを始めたプレイヤーと現チャンピオンが全力で戦ったのだ。そしてそれは、1人助っ人が入ったもののリクの勝利として幕を閉じた。

 

 その時のことをキョウヤは今でも悔やむ。自分の不甲斐なさに、自分の弱さに。

 

「でも──」

 

 リクは思い出す。

 あのレイドボス戦で全ダイバーが繋がった時を。キョウヤが背中を押してくれた時のことを。

 

「それでも、キョウヤさんは俺達を進ませてくれました。前へ……未来へ、進ませてくれました。その事を、俺は今も感謝しています」

 

「そう言って貰えて本当に嬉しいよ。気が軽くなる」

 

 微妙に重い雰囲気が漂う中、それを元気な声が振り払う。

 

「リク! 私これ食べたい!」

 

 2人が話してる間サラはずっとメニューと向かい合い注文を決めていたのだ。

 

 そんなサラの様子に2人は思わず笑ってしまう。

 

「ははっ! サラ決めるの早いよ」

 

「リクの分も決めてるんだよ? えっと──」

 

 メニューを指差しながらリクとサラは幸せそうに笑い合う。その姿をキョウヤは久々に見た気がし、この笑顔が残ってよかった。と、心から思う。

 

「おや、それだけでいいのかい? もっと頼んでもいいんだよ?」

 

「いいの?」

 

「勿論。なんせそのために呼んだようなものだからね」

 

「やった! ありがとうキョウヤ!」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

 キョウヤは思う。本当に、この笑顔が失われなくて良かったと。

 

「リク、リク! これも美味しそう!」

 

「うわっ、ほんとだ! ……でもサラ、食べれるの?」

 

「うんっ! リクと半分にして食べるから大丈夫!」

 

「勝手に決められた……」

 

「はは、リク君大変だね」

 

「うう……。キョウヤさんも見てないで助けてくださいよぉ〜」

 

 こうしてゆったり出来る時間があるのは、2人のおかげでもある。

 

 そのことを口には出さないが、心の中で感謝するキョウヤであった。

 

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