ねごしえーたー!   作:社畜だったきなこ餅

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色々と知り合いに相談しながら書いてたら、気付いたら12話が出来上がっていた。
俺自身何を言ってるかさっぱりわからねーが、催眠術や超スピードとも違う……凄味というモノを感じたぜ……!


12.さぁここから始めよう

 

 

 酒場の店主さんに、応援されつつも親切からくる忠告を受けたりしつつ。

 ボク達は酒場から退出したのですが、神官の人達の顔は暗いです。

 

 ちなみに店主さんからの忠告は、いきなり酒場の客である冒険者を掻っ攫うような真似をすると強い反発があるだろうな、というモノでした。ですよねー。

 

 

「まぁそりゃそうだよね、自分達の御飯の種でもあるわけだし」

 

「だろうな、それでお前さんはどう動くつもりだい?」

 

 

 若干尻尾をしんなりさせつつ溜息を吐いて空を見上げればまだ夕方には早い時刻、もう少し色々と話を聞いて回れそうです。

 そんなボクを見下ろしながら、シナバーさんは試すように問いかけてきます。

 

 

「パイを奪う形になるのが危険だと再認識できたし、他の酒場でも聞き込みをしてふわふわした状態の案を固めるつもりだよ」

 

「へぇ、随分と楽しそうな悪だくみを考えてそうな顔してるじゃないか」

 

「うん、だから暫く付き合ってもらってもいいですか?」

 

 

 耳をピコピコしながら、頭の中で練り練り出来てきた案について軽く示唆してみれば、シナバーさんは糸目のまま楽しそうに笑みを浮かべる。

 そして続けたボクの発言にその笑みを苦笑いへ変えた。うん、申し訳ないんだけどもボク達だけじゃ必要な情報集められる自信ないからね!

 

 

「困ったお嬢様だ、しょうがない。お付き合いさせて頂きますよっと」

 

「ありがとうございます!」

 

 

 にっこり笑顔で尻尾をぶんぶん振りながら、承諾してくれたシナバーさんの手をとってぶんぶんと振るのです。

 最初は胡散臭いなんて思って申し訳ないぐらいです、是非とも頼りにさせてもらわないとね!

 

 

 

 

 そんなこんなで、神官さん達とシナバーさんを伴って街にあるめぼしいところの酒場を見て回ったのですが、聞けた情報に殆ど違いはありませんでした。

 ただ、ついでに酒場の仕入れとかをそれとなーく聞き出せたので、交渉の切り札に出来そうです。

 

 

「というワケで、初日はそんなに進展なかったよ」

 

「ふーん、しかしそのシナバーとやらは。随分と変わり者だな」

 

「そんな事言ったら失礼だよギグさん、シナバーさんは今日回り切れなかった酒場で情報集めて明日教えてくれるって言ってくれたんだからさ」

 

 

 神殿にて夕食を摂りながら、ギグさんと情報交換を現在しております。

 ちなみに今日のお夕食は、ハビットのお乳から作られたらしいバターでこんがり焼きあげられた鮭のソテーと、砕かれたナッツが練り込まれた硬めのパン、それにお野菜入りのスープです。

 

 兎のお乳から作られたと聞くとなんだか不思議な感覚ですけど、ナイフで切り分けた鮭の身をフォークに突き刺して口へ運んでみれば、淡泊な味わいながら鮭の味を程よく引き立てる味となっています。

 畑を踏み荒らしちゃうから農作業には不向きらしいですけども、運搬や毛の供給等も含めてこの街にとって無くてはならない経済動物だよね、ハビット。

 

 

「あ、そうだギグさん。お酒を造って酒場とかに卸売してる業者さんと繋ぎを取る事って出来る?」

 

「酒造所かぁ? 俺にゃ伝手ねぇけど、ヴァーヴルグ殿と爺様ならあるぜ」

 

 

 相変わらずだらしなく振りっぱなしな尻尾の事はもう諦めつつ、鮭の切り身を飲み込んでギグさんに次の一手の為の顔つなぎをお願いし。

 食後にでもヴァーヴルグさんに相談する事を心に誓いつつ、野菜がほくほくになるまで煮込まれたスープをスプーンで掬って味わっちゃうのだ。

 

 

「今日聞いて回った酒場だけの話になるけどね、酒場の人達ってお酒や食材の仕入れわりと適当っぽいんだよね。在庫の管理とか含めてさ」

 

「むしろコクヨウ嬢から見て、きっかりやってるところの方がすくねーと思うけどな」

 

 

 ギグさんの中でボクは一体どんな存在になっているのか少し気になるけども、今は関係ないからスルーするのだ。

 あ、このパンとナッツ凄い相性いい。香ばしさがグレードアップした上に鮭のソテーとの相性抜群だ。

 

 

「ただな、少しばかり外から入って来た破落戸共が目立っている。注意しとけよ?」

 

「もー、わかってるって。ホイホイ一人で変な所行ったりはしないよー」

 

 

 ボクの抗議に対してギグさんは、どうだかな。なんて言いながらスープの器に口をつけてずぞぞと啜り始める。

 失礼しちゃうなー、食道楽になってる自覚はあるけどお菓子とかでホイホイついていったりはしないさ、いくらボクとはいえ。

 

 そうやってお話してる間に至福のご飯タイムは終了、器を返してからヴァーヴルグさんのお部屋へ向かうのです。

 

 

「おやコクヨウ殿、どうされましたかな?」

 

「大地母神様から受けた神託の件でご相談があり、こんな時間に申し訳なく思ったのですがお邪魔させて頂きました」

 

 

 扉をノックし入室の許可が下りたので入ったところ、書類をまとめていたヴァーヴルグさんに不思議そうな顔をされたので……。

 作法に則って頭を下げつつお話したら、そこまで堅苦しくしなくても結構ですよと微笑まれつつ椅子を勧められました。

 

 

「ふむ、どのような内容でしょうか?」

 

「はい、ギグさんからヴァーヴルグさんが酒造所への伝手があると聞きましたので、そちらへ面会するための紹介をお願いしたくて……」

 

 

 酒造所への伝手?と不思議そうな顔をするヴァーヴルグさんでしたが、すぐに構いませんとも。と色好い御返事が居ただけました。

 ボクが何をしようとしているか、ソレは単純に言ってしまえば酒場間の連携強化と……組合とまではいかなくても、酒場の人達の寄り合いを作って冒険者の人達を管理するための土壌を作る事です。

 

 言葉で言うには簡単で行うには難しく、色んな利権とかが絡んでるだろうから勿論簡単にはいかない話だ。

 だから、まずは色んな酒場がバラバラに手配している食材やお酒を共同仕入れの形で、ボクが今統括している部署で引き受ける。

 業務分担のおかげもあって今の所余裕があるのと、神殿が引き受けるという看板が騙したりちょろまかしたりしないという信用にもなるからね。

 

 

「冒険者の人達の無駄死にや怪我を防ぐ為には、まずは誰がどんな状態か。どのぐらいの力量があるかという情報を共有し管理する組合……とまでいかなくても、寄り合いは必要だと思うんです」

 

「でしょうな、そしてその仕事を引き受け易くさせる為の準備というワケですか。しかしコクヨウ殿、大きな問題を忘れておりませんかな?」

 

 

 ボクの案に頷いて同意を示してくれるも、渋い顔を浮かべたヴァーヴルグさんが口を開く。

 何だろう、何か見落としていたっけ……?

 

 

「……いえ、これは我々の落ち度ですかな。酒の販売仕入れや酒場の職務にまで大きく関わり、かつ大金が動くという話になると税の問題が出てきます」

 

「……あー……」

 

 

 そうか、神殿の業務改善だとボク達が動く範囲ではお金のそんなに動かない話だし、現在冒険者の人達に出してる依頼の報酬も職人組合や商人組合の人の寄付で成り立っているけど。

 明らかな経済活動にまで乗り出すとなると、さすがに税を取る側から待ったがかかっちゃうのか。

 

 

「……しまった、全く考えていなかったです。一から考え直さないとなぁ」

 

「お力になれず申し訳ありません、まずは神殿長にも一度お話を聞いてみると何か良い案がでるかもしれませんよ」

 

 

 ヴァーヴルグさんに頭を下げ、もう一度案が固まってから顔つなぎを改めてお願いする事を話して耳をペタンと倒し尻尾もだらんと垂らして椅子から立ち上がるのです。

 そして、色々考えながらお風呂場へ向かったところ、今から入ろうとしていたっぽいアクセリアさんと鉢合わせしました。

 

 

「あらぁコクヨウちゃんじゃなぁい、そんなにしょぼくれてどうしたのぉ?」

 

「アクセリアさん……うん、ちょっと良い考えだと思ってたのが一から考え直さないといけなくなっちゃって……」

 

 

 ほっそりとしたアクセリアさんの両手で、ぺたんと倒したままの狐耳を優しく掴まれふにふにされながら、大丈夫かと聞かれたので正直にお答えするのです。

 

 

「あららぁ、結構深刻な様子ねぇ」

 

 

 脱衣所に二人出入り、衣擦れの音を立てながら衣服と下着を脱いで籠へ入れ……二人で浴場へと足を踏み入れる。

 アクセリアさんは身長としてみると170cmほど、シナバーさんより少し低いぐらいで女性にしては長身で、身体のプロポーションもバランスが取れた体型をしています。

 

 昔ならいざ知らず、何度もこの体で女性神官の人やアクセリアさんとお風呂で鉢合わせた今となっては、女性の裸でドギマギする事もないだけどね。

 男性にドキドキする事もないけど、うん。これはこれで何だか凄く複雑な気持ちがあるのは内緒です。

 

 そんなアホな事考えながら体をお湯で軽く洗い、大き目の暖かなお湯が張られた湯船へと体を沈める。

 ちなみにお風呂のお湯を沸かす燃料は、奉納された炭金を使っているそうです。それも領主様資本による奉納だとか。

 

 

「ふぁぁぁぁ……」

 

「うふふぅ、コクヨウちゃんてぇ。ご飯でもそうだけどなんでもぉ、幸せそうに受け止めるわよねぇ」

 

 

 耳をピンと立てて震わせながら、体の芯から温まっていくような感覚に幸せの吐息を漏らし。

 そんなボクの様子に、アクセリアさんがクスクスと上品そうに微笑んでおりました。なんだか恥ずかしい。

 

 

「ふふふぅ、それでぇ。コクヨウちゃんはどんな事に困っていたのぉ?」

 

「あ、はい……えっと……」

 

 

 大地母神様からの神託を受けて色々と情報を集め、これならいけそうだと思っていたのだけども。

 その為の一手として、酒造所への顔つなぎをお願いした際にヴァーヴルグさんから、税の問題について指摘を受けてその辺りの解決方法を全く考慮してなかったことを話すのです。

 

 正直凄く恥ずかしいけども、今抱えてるだけじゃどうにもならないからね。しょうがないね。

 

 

「まったくもぉ、あの石頭ったらぁ。言い方ってぇのがぁ、あるのにねぇ」

 

「ヴァーヴルグさんは悪くないです、ボクがうっかり見落としてたわけですし」

 

「まぁあの石頭だからぁ、我々にも落ち度がありましたが。なんてぇ、しかめっ面しながらぁ言っていたのが目に浮かぶわぁ」

 

 

 湯船の中で体を伸ばしながら、アクセリアさんが苦笑いを浮かべて呟いたので慌ててヴァーヴルグさんに非は無い事を話したところ。

 アクセリアさんがヴァーヴルグさんのモノと思われる顔真似をしながら口にした言葉が、まさにそのままそっくりだったので思わず吹き出してしまいました。

 

 

「でもぉ、確かに厄介な話よねぇ……あぁ、そうだわぁ。私の方でぇ、徴税官に話をしておくぅ?」

 

「え?宜しいのですか?」

 

「えぇ、勿論よぉ。徴税官の方々ともぉ、色々とお話する事が多いしねぇ」

 

 

 アクセリアさんの呟きに耳をピンとたてて、思わずボクは聞き返す。

 聞き返されたアクセリアさんは、間延びしたいつもの口調で頼もしい笑みを浮かべて応えてくれました。

 

 もし徴税官の人と話が出来、税の問題について確認できれば状況によっては神殿の業務だから税の免除を……いや、違う。ボクが動くべきなのはそうじゃない。

 そも、現時点で酒場が依頼人と冒険者の間を仲介しているのも、言ってみれば酒場の人の好意によるものが大半な現状、これ以上税収が減りかねない動きを頷いてくれるとは思えない。

 

 …………ん?

 …………………んんん?

 

 

「そう言えばアクセリアさん、凄く。すごーーーく今更な質問なんですけど」

 

「なんだか百面相してたみたいだけどぉ……どうしたのぉ、コクヨウちゃん?」

 

「何で、神殿から出してる冒険者の人への報酬って税金かかってないんですか?」

 

 

 前回整えた農地に関する依頼や、今も現場でやってくれてる農地の用水路整備の依頼にしてもそうだけど。

 現状かかる費用を計算し、実際かかった費用を職人組合と商人組合が共同でプールし管理している共同費から出してるワケなんだけども。

 ここのお金も、税金が入ってない。書類を一通り目を通してるけど、税に関する話一切やってないよ。

 

 

「……神殿はぁ、基本的にぃ税金とかは免除してもらってるのよぉ」

 

 

 …………あ。

 そうか、その分無償無休に近い状態で街の職務に関わっていたのね、だからこそ大金が動く件で万が一を考えてヴァーヴルグさんは苦言をしてくれたわけで……。

 

 

「今日、聞いてきた中の話なんですけど……冒険者の酒場の報酬って、税金かかってないんですね」

 

「ええ、そうねぇ。徴税官達も何とかしたいけど困っている、そんな調子だったわぁ」

 

 

 突破口、見えたかもしれない。

 その分徴税官の人達とかが忙しくなるかもしれないけど、その時はその時だ。

 

 

「ありがとうございますアクセリアさん、何とか出来る。かもしれません」

 

「なら良かったわぁ、だけど前見たいにぃ。お洋服売るようなぁ、身を削るような真似しちゃダメよぉ?」

 

 

 湯船から手でお湯を掬い、顔を軽く洗って気合を入れ直してアクセリアさんへお礼を述べるのだ。

 

 

 

 その際帰って来たアクセリアさんからの言葉に、思わず目を逸らしたら笑顔でほっぺを引っ張られたけどね!

 

 

 




悪魔さん「惜しいなぁ、大事なところでファンブルして涙目になる彼女が見れそうだったというのに」

コーラを啜りながら観戦してた悪魔さんの一言。


『TIPS.魔法とは④奇跡』
魔法の大系の一つで、最も種族による習得制限のない魔法である。
発動に必要なのは雑念を排しどのような状況下でも祈る事が出来る精神力、そして信奉する神への強い信仰心、そして己が信奉する神への理解である。
しかし、信奉し祈りを捧げれば誰にでも使えるという特性上、直接的な他者を傷付けるような奇跡は一部の神を除けば、大半が不得手とされている。
また発動結果を第三者である神へ委ねるという特性上、祈りの強さや神への理解によって効力が大きく異なる為、最も使用者によって消耗や効果に差がある魔法である。

一般的に奇跡を行使できるのは神官とされているが、年配の敬虔な信者等は意識せず奇跡を行使したりすることがある。
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