そうだ、あとがきのTIPSをまとめてプチ設定集にしよう、そんなノリで仕上がりました。
申し訳ない……明日はちゃんとしたお話をお出しします。
【地域情報】
『獣人種の体格と地域の関連性』
一般的に、寒冷気候の出身の獣人種は男女問わず大柄に育ち耳は小さくなる傾向にある。
一方、温暖な気候の出身である獣人種は体格は小柄になり、耳は大きくなる。
その影響による感知能力の差は若干あるが、それでもヒューム(人間)よりかは段違いで優れている為、それほど彼らは気にしていないのが実情である。
また、全身の被毛についても出身地域の影響が色濃く出る事が特徴で、寒冷地帯の獣人達は全体的に毛深く、中には両親祖先の影響か全身毛むくじゃらとなるモノもいる。
だがそもそも獣人種は色々な区分をひっくるめて獣人と総称されているため、明確な区切りを行うことが不毛ではないかとの議論も根強い、被毛の話題だけに。
『ハビット牧場』
セントへレアの街を含め、寒冷地帯ではそこそこ多くみられる牧場である。
主な生産物は、長毛種のハビットから刈り取られる毛に、乳製品。そして荷駄動物としてのハビットの出荷となる。
また、食肉用動物として生産され、出荷されるハビットももちろん存在する。
生きる事、糧を得るという事は過酷なのだ。
【種族】
『ドワーフ』
エルフが森の民ならば、ドワーフは鉄の民である。
彼らは山間部に洞穴を掘って集落を築き、山の恵みと地熱で生育される作物で日々の糧を得ている。
また、種族的な特徴としては熱や温度を視覚として捉える事が出来、その性質によって光源が不十分とされる洞穴や鉱山の中でも不自由なく活動する事が出来る。
その背丈は大柄とされるものでも150cmに届かないが、膂力と頑健さは特筆するに値するものを誇っている。
種族が総職人と言える気質を持つ彼らは優れた武具を作る事、持つことを最大の名誉と考えている。
その性質が仇となり、名剣や宝剣に魅入られてその身を滅ぼしたドワーフの逸話にもまた事欠かないのは内緒である。
ちなみにその辺りの種族的失敗談を、酒場でドワーフに持ちかけた際は大喧嘩の元となる為注意が必要である。
彼らは頑固者で義理堅く、忠誠心と友情に溢れているが同時に喧嘩っ早いのだ。
余談であるが、男性は少年と呼ばれる時期から髭が生え始め、青年となる頃には髭まみれとなる。
一方女性は、体形こそ男性と同じずんぐりむっく……小柄で頑健な体型だが、髭は生えていない。
種族的寿命はおおよそ200前後、30歳で成人扱いとなる。
【人物】
『悪魔さん』
人間のサブカルチャーかぶれであり、己の権能を濫用して適当に目についた人間を異世界へ放り込んでは……。
コーラとポップコーンを手に、被害者が奮闘する姿を見てゲラゲラ笑う事が趣味というぐう畜。
この悪魔のタチの悪いところは、送り込む先の世界の神様への心付けを欠かさないという所にある為。
悪魔さんは趣味でにっこり、送られた先の神様も世界に新たな風が吹いてにっこり。
送られた転生者だけゲッソリという構図を作り出しているところである。
見た目は紳士風なカール髭ダンディ、なおこの姿は擬態であり真名も真の姿も不明。
『ヴァーヴルグ』
セントへレア神殿の大地母神派まとめ役の大柄な壮年男性。種族はヒューム(人間)
立場としては神の奇跡を行使する神官達の上役であり、大神官と呼ばれる事もある。
幼き頃はこの地方とは異なる村に貧農の子として産まれ、食料が足りず飢え死にする知り合いや弟妹を何度も見送ってきた。
その原風景から餓えて苦しむ者を一人でも減らしたいという強い使命感を持っており、その一心で己の心身を鍛え上げた男。
農地を荒らす者には悪鬼羅刹のごとき態度を見せるが、改心し大地を耕すようになったものには聖人のごとき態度を見せる人物でもある。
闘いのスタイルは、己の肉体に神の奇跡による強化を施した拳闘がメインで、時には己よりも遥かに大きい魔物の顔面を、飛び膝蹴りで爆砕した逸話を持っている。
なお伴侶は居らず、その身は清らかである。
『アクセリア』
セントへレア神殿の河川の守護女神派まとめ役の、見た目は妙齢の美女。
種族については本人はマーフォーク(人魚種)と申告しているが……。
記録と照合した際に種族的な寿命と食い違いがある為一部では疑問視されている、なお調査した人間は数日間うわごとのように彼女の美しさを称えるだけの存在になってしまうらしい。
本人は荒事を避ける傾向が強い為その戦闘能力は不明だが、浄化を含め治癒等の奇跡を行使する技術は一級品とされている。
また、汚水の処理を行う際に若い神官達が悪臭に悩まされ忌避されない為に、今や神殿のみならず街でも広く使われている石鹸等の衛生用品を作り上げた才女でもある。
彼女がヴァーヴルグを見る目線は、聞き分けのない弟分を見るようなモノであり。
時折、どこか手の届かない懐かしい思い出を噛み締めるようなモノである。
『TIPS.コクヨウ』
近未来的なサイバーパンク世界で、『僕』が動かしていた黒髪の狐耳尻尾のロリ巨乳美少女。外見は『僕』の趣味全開である。
スペックとしては経済知識や交渉能力、そして交渉を円滑に進め相手の懐に潜り込む為の魅力関係に特化している。
問題はリソースを全てそっち方面に注ぎこんでしまっている為、その世界観特有の強力なサイバーパーツは『一切』搭載しておらず、戦闘系技能やそれに関わる能力値を一切強化していない所にある。
その為、TRPGでキャラクタとして動かしていた際は、護衛できる戦闘系PCと必ず一緒に動いていたらしい。
なお狐耳尻尾が生えた理由は、その世界における遺伝子異常の『変異』によるものである。
作中世界ではランダムで変異が進む事もあるが、悪魔の優しさか悪戯か。これ以上の変異は起きる事はなく、彼女の遺伝子は安定している。
そう、今彼女がいる世界でも健康な子を産むことが出来る程度に。
なお天敵は「うるせぇ死ね!」と問答無用で襲い掛かってくるタイプの人種である。
『ギグ』
セントへレア神殿に所属している、大地母神派の神官。
諍いがあった頃も宗派に関わらず双方と交流していた為、揉め事には関与しない方針でいたがその方針もあって双方からの信頼はそこそこ厚かった。
なお今はコクヨウが立ち上げた部署のNo.2的な役割をなし崩し的に任命されており、主にコクヨウからの指示で現場仕事で奮闘している。
戦闘スタイルは奇跡による肉体強化や、重装甲に身を包んだ上で周囲への治療の奇跡を飛ばしまくる装甲系ヒーラー。
愛用武器は重量級の戦槌と、大盾を構えた鈍足重装甲系である。
最近の悩みは、祖父であるドグが事あるごとにドワーフ美女との見合いを勧めてくるところ。
当人自身は、まだまだ独身貴族を満喫したいようである。
『シナバー①』
セントへレアの街の、錬金術師の家に生まれた男。年齢は28で種族はヒューム。
10年ほど前までは、実家を継ぐべく錬金術や薬剤調合の技術を伸ばし、憎からず思っていた幼馴染の少女と日々を過ごしていた。
しかしある日、彼女へ想いを告げようとしたその日、いつもの待ち合わせの場所に彼女が現れる事は無かった。
必死に街を走り回り情報を集め、彼女が人攫いに攫われた事を知った時は既に遅く、家を継ぐことが秒読み段階となっていた男は親子喧嘩の果てに家を、そして街を飛び出し。
そして、漸く見つけたのは、汚辱された跡と傷に塗れた彼女の骸だった。
【動物】
『ハビット(巨大兎)』
寒冷地帯が原産の、温厚かつ従順で臆病な性質を持つ全長2~3mにまで成長する巨大兎。
温暖地帯で生育されている馬に比べて最高速度は劣るが、スタミナと膂力はこちらに軍配が上がり。多少の寒さにはビクともしない為セントへレア周辺ではこちらに荷車を牽かせる事が主流となっている。
食性は草食で甘い果実等を喜んで食すため、調教する際にはそれらを餌にして調教する事が多い。
ハビットに牽かせる荷車は通称荷兎車と呼ばれるが、構造上の違いはそんなにない為単純に牽いている動物の違いを指し示すモノでしかない。
被捕食者である小動物の兎と同じルーツを持つのに対し、こちらが何故このような成長を遂げ一つの種族となったのか。
これらについて学者たちが熱い論議を日夜繰り広げているが、神学者からは単純に創造神が兎が好きだったからではないか、と身も蓋もない意見が投げかけられている。
余談であるが、創造神を信奉する一派の聖印は兎を象ったモノである。
【魔法】
『魔法とは①』
この世界では、一般的な魔法は大きく三つに分けられる。
個人の意思と力のある言葉で事象を起こし、変化を与える『魔術』
信仰と祈りを捧げ、神へ力の行使を願う『奇跡』
万象に宿る精霊へ語り掛け、助力を願う『精霊術』
無論他にも、種族独自の魔法は複数存在するが……知識体系として区分されているのはこれらが代表的なものとされている。
それぞれに一長一短があり、また使用可能となる為の研鑽もある為どれが最も優れている、と言う事は甲乙つけ難いのが実情であるも。
『魔法とは② 精霊術』
魔法の大系の一つであり、奇跡とよく似た形式で発動するが発動手順としては魔術と奇跡の中間に位置している。
どこにでも居り、どこにも居ない精霊に助力を願うという関係上、物質と精霊の繋がりを把握する必要がある魔法である。
火種や焚火があれば、熱線を放つ精霊術は容易に発動できるが。火も何もない状況では熱線の精霊術は発動できない。
しかし、火を熾す原理を術者が把握しており、その動作を含めて精霊へ働きかければ火が無くても熱線の精霊術は発動できるのだ。
中には感覚と伝承だけで精霊への働きかけを十全に使いこなすエルフと言う種族もいるが、彼らはその身自体が精霊との親和性が高い為出来る芸当である。
『魔法とは③ 魔術』
魔法の大系の一つであり、かかる手間と負担は大系化されている魔法の中でも最も大きい種別である。
例えば火を放つ《発火》の魔術を発動しようとした場合……
《発火》を発動する地点に狙いを定め、集中し余分な思考を省き、そこから火を放つコマンドワードを唱える必要がある。
さらに、爆発し周囲を燃焼させる《爆裂火球》になると手間は更に跳ね上がる。
まず火球を一時的に保持しておく地点を定め、集中して余分な思考を省き、コマンドワードで発生させた火球を保持、そこから火球を大きくするコマンドワードを唱えてから爆裂し延焼するワードを付与。そこまで準備を終えてからようやく発射する。
熟練者になれば幾つかの手間をスキップしたり、一つのワードで複数のワードを混ぜる事が出来る為発動時間が短縮可能となるが、待っているのは膨大な知識の蓄積と実践の繰り返しである。
これらの複雑さや煩雑さから、自然と学者肌の人間が魔術の研鑽を積む傾向が強い。
余談であるが、誰が唱えても正しい手順を踏めば効果を発動するという特性から、魔法の道具と言われる様々なモノに付与されている魔法の大半は、魔術が付与されている。
そこまで技術を積めば富には困らない為、夢見がちな学者がよく挑んでは先が見えない研鑽に発狂するというのが最早風物詩扱いされている。
『魔法とは④ 奇跡』
魔法の大系の一つで、最も種族による習得制限のない魔法である。
発動に必要なのは雑念を排しどのような状況下でも祈る事が出来る精神力、そして信奉する神への強い信仰心、そして己が信奉する神への理解である。
しかし、信奉し祈りを捧げれば誰にでも使えるという特性上、直接的な他者を傷付けるような奇跡は一部の神を除けば、大半が不得手とされている。
また発動結果を第三者である神へ委ねるという特性上、祈りの強さや神への理解によって効力が大きく異なる為、最も使用者によって消耗や効果に差がある魔法である。
一般的に奇跡を行使できるのは神官とされているが、年配の敬虔な信者等は意識せず奇跡を行使したりすることがある。
【文化、食物】
『メリジェの実』
地上から60cmほどの高さの茎を持ち、がっしりとした茎の先端部に握り拳大の果実を実らせる。
その地下茎は長く、また頑丈である為地表が多少乾燥していても水分を吸い上げて生育する逞しさを持つ。
特徴としては……不毛とされる地でも実り周囲の栄養を過剰に奪わないところにあるが、土壌の豊かさが果実の甘さに直結する特性を持っている。
その為、市場に流通するメリジェの実を見分けるのに最も重要なのはどこで生産されたか、とされている。
富むモノも貧しきモノも等しくその恵みを受け取れる果実として、大地母神ファーメリジェのシンボルとされており……。
大地母神ファーメリジェの神話の中の一つに、荒野を旅する聖人が飢えと渇きで倒れた際。女神が慈悲で生やしたメリジェの実によって、聖人が餓死を免れたとされるエピソードが存在する。
『税金について』
地方や国によって大きく異なる為、税の収集方法はコレだというフォーマットは存在していない。
商人組合が全ての運営を牛耳っている都市国家なれば、商人組合への上納金と……売買される商品に上乗せされている税金が主な税収となる。
セントへレアの街では、神殿が中心となって住民の名簿や出入りを管理しており……。
そこから人頭税として、一定割合の農作物を商人組合へ販売、そこから得られた代価を領主へと収め……引き換えとなる形で、領主が一括で買い付けた燃料や生活必需品を供給している。
その為流入者が増えるだけ増えて農夫の割合が減ると、割と大変になってくる。
そのほかの税収は、各組合からの上納金が中心となっており、農作物の収穫がこの街の税収にダイレクトに直結しているのが現状である。
冒険者達には現在の所、明確な税金はかかっていない。
『獣人の発情期』
獣人種は種族差、及び個人差こそあるが発情期が存在する。
発情の度合いもまた人それぞれであるが、酷い症状になると恋人と籠り切りになったり、夜な夜な娼館へ通いつめたりする有様となる。
活動にも支障が出る事が多い為、錬金術師が商いをしている店では、それらの症状を緩和するポーションが常に売り出されており、そして常に一定数の売り上げを上げている。
なお、獣人種に分類されるコクヨウにも発情期は存在する。
しかし彼女の場合は、少々通常の獣人種とは発情の規則や度合いが異なるらしい。
悪魔さん「良い子の諸君、体調管理は大事にね!」
『TIPS.今日はお休みです』
(太陽系第三惑星地球の日本語と、とある異世界の言語で『きょうはお休みです』と書かれた札がぶら下がっている)