ねごしえーたー!   作:社畜だったきなこ餅

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更新が遅くなり大変申し訳ありません。
年末の仕事も終わり、執筆に専念できるようになったため更新再開させて頂きます!

TIPSで今回物価的なネタを入れましたが、地味に若干修正される可能性が今後も微レ存です。

それと今話の注意点として、以下の二つがあります。
1.試しにフォント弄りを試してみました。
2.後半の別人物視点では、残酷な描写要注意です。

追記 今回出るごろつきは、使い捨て下っ端で前回出てきた影の人とは別の悪党です。


26.姿を現す異変

 

 どうも皆さんこんにちはなこんばんは、コクヨウです。

 何だかこう、最近頭がぼーっとするというか熱っぽいというか、しかし不調でもなければだるくもない。

 そんな不思議な気持ちを抱えながら、今日も今日とてお仕事に励んでおります。

 

 

「巫女様、巫女様ー」

 

「んぁー?」

 

 

 お昼ご飯も終え、麗らかな陽気が窓から差し込む時間帯。

 黙々と積み上げられたお仕事に没頭してたら、何時の間にやら近くに寄っていた神官の娘さんに耳元で声をかけられていた。

 どうも何度も呼びかけてたらしいけど、ボクの反応がとことんなかったらしく至近距離までやって来たらしい。

 

 

「どこか調子が思わしくないのなら、お休みになられては……?」

 

「んー、体は絶好調なんだよね。むしろ動かしてないと落ち着かないぐらい」

 

 

 ボクの言葉に、溜息を吐く神官の娘さん。うん、苦労かけてごめんなさい。

 北方山脈から戻って少し過ぎたぐらいの……昨日、門で何やらもめてた貴族の人の対応をした後あたりから何だか調子がおかしい。

 ねっとりとした視線を向けられた悪寒は確かにあったけど、さすがに変な魔法はかけられてないってのはシナバーさんも言ってくれてたし、ないと思うんだよねぇ。

 

 そう言えばシナバーさん、今何してるんだろ。あの後ボクを神殿まで送り届けた後、少し調べ物してくるって言って、そのまま別れたっきりなんだよね。

 なんか無性にあいたい。会ってお話したい。

 

 

「あのー、巫女様ー」

 

「んい、なーにー?」

 

「アクセリア殿に見てもらいましょう、今すぐ」

 

 

 耳をピコピコ尻尾をパタパタ動かしながら、ボクの肩をがっしと掴んだ神官の子にそんな事を言われた。

 別に体調悪くないしお仕事あるから大丈夫だよと返すも、問答無用とばかりに引きずられてしまう。この娘割と力強い!

 

 そんなこんなで、神官娘さんに引っ張られて優雅にお茶を啜っていたアクセリアさんの前に引き出されたボクなのであったんだけども。

 

 

「コクヨウちゃん、貴方発情してるわねぇ」

 

「ふぇっ?!」

 

 

 ボクの顔、様子を見るなりアクセリアさん溜息と共にそんな事をのたまいました。

 

 

「そ、そんな発情なんてしてないですよ!」

 

「ほんとぉ? ちなみに、今まで発情期の経験はあるかしらぁ?」

 

「え、えっと……ないです」

 

 

 そもそも、こうなる前は発情期なんてあってなきがごとしだったし……いやまぁ万年発情期と言える生態だったかもしれないけど!

 そんなしょうもない事が頭を駆け巡るなか、アクセリアさんはたおやかに微笑んでそのほっそりとした指をボクの額へ当てる。

 

 

「守護女神様……今しばらく、この娘の発情を鎮めて下さいな」

 

 

 言葉短くアクセリアさんが祈りの言葉を捧げ、その指先が暖かく光ったかと思えば。

 その光が彼女の指からボクの頭に、頭から光が広がるようにボクの体全体を包み込んでいき……その光が消えた頃には、ボクの全身を包んでいた高揚感と熱っぽい頭が落ち着きを見せていた。

 

 うん、落ち着いた。

 そして、北方山脈へ行く途中や北方山脈で過ごした夜、今の今まで頭を占めていたシナバーさんへ会いたいという思考と感情を持っていたという事実だけが、ボクの中に残った。

 

 

「にゃ」

 

 

 顔が急速に熱くなり、声にならない声が喉をついて出てくる。

 ボクの声にアクセリアさんが苦笑いしている。

 

 

「こゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 

 思わず両手で自らの頬を抑えながら、耳と尻尾をピンと立てて蹲る。

 何やってんの?ボク何やっちゃってんの!? あんなの男誘うってレベルじゃないぐらいの痴態と言うかみっともないにもほどがあるというか、そもそもボクは元々男なのであって。

 いやシナバーさん嫌いじゃないよ? むしろ頼りになる兄貴分的なソレやアレで、だけどもそれは遊び友達であり困った時に手助けしてくれるステキなお兄さん的なサムシングなのであって!

 違う違うそうじゃないそうじゃない!ボク何やってた?!あの人の背中にお胸押し付けるは腕に抱き着くはベッドで一緒に寝る事おねだりするとかもうそういう風に見てるとしか思われないじゃん!?

 

 

「おちつきなさい?」

 

「はふん」

 

 

 慌ただしくピコピコと動く狐耳ごと、ぺふんとアクセリアさんに頭を押さえられ、優しく撫でられる。

 マーフォーク故か、ひんやりとしたアクセリアさんのおててがきもちいいです。

 

 

「風の噂でぇ、コクヨウちゃんがあの男の人と同室で夜を明かしたって聞いた時は驚いたけどもぉ、初めての発情じゃぁしょうがないわよぉ」

 

「ごゃ゛っ?!」

 

 

 アクセリアさんに撫でられながら告げられた噂になってたという事実に、落ち着き始めた尻尾がビクンと立ち上がりぶわっと毛が逆立つ。

 そうだよあそこに旅人さんたくさんいたじゃん!そんでもって声潜めたりも特にしてなかったらそりゃ話の種にされちゃうじゃん!

 考えてみたらあの時は気付いてなかったけど街の人達なんだか生暖かい目向けてきてたじゃん!もうそういう関係とかそんなのとしか見られてないじゃん!

 はっ!ここでしっかりと何もなかったと言えばある程度はリカバリーが効くはずきっとそのはず!

 

 

「な、なにもなかったですよ!シナバーさんベッドに誘ったけどあの人はボクに何もしませんでした!」

 

「うーん、そういう事じゃぁないんだけどねぇ……コクヨウちゃん、そこまで大胆な事しちゃってたのねぇ」

 

 

 はぅぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!

 ダメだー!もう何を言ってもダメだー!自分でも理解できるくらいの大混乱だよーーーー!!

 

 

「まぁ、おちつきなさい? 神職でもぉ、伴侶を得たり子供を作っても神様は咎めたりしないわよぉ」

 

「は、伴侶とか!子供とか!そういう関係じゃないですからぁぁぁ!」

 

 

 こゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!と言語化に難儀する鳴き声じみた声を上げながら、必死にアクセリアさんへ主張するボクであれども。

 アクセリアさんはと言うと、全部わかってると言わんばかりの慈愛に満ちた微笑みのまま、ボクの頭を撫でるのみである。

 

 この時ボクはいっぱいいっぱい極まりない状態で、とにかく誤解というかなんというかを解こうと必死だった。

 だから、アクセリアさんがぼそりと呟いた言葉を耳にしながらも、だから違うと主張するしかなかったんだ。

 

 

「でもね、一度よく考えてねコクヨウちゃん? 本当に大事だった人は、気が付いたら掌から零れちゃうから……」

 

 

 この時の言葉を、ボクはもっとしっかりと考えて受け止めるべきだった。

 

 

 

 

 

 

 

 春の陽気がゆっくりと冷え込んでいく夜の帳に満ちた街の中、一人で夜闇に紛れながら進み目当ての廃屋へ音を立てる事なく踏み入る。

 持ち主が居ない筈の……周囲に居住者もいない廃屋、その奥の部屋から僅かな灯りと声が漏れ出ており、周囲への警戒を怠ることなく戸の陰に身を潜めて中の話を盗み聞きを始める。

 

 

「例の乳がでかい巫女狐の仕事だが、なんでも依頼人が報酬を更に上乗せしてきたぞ」

 

「マジかよ、しかしアイツの警護は厳重だぜ。何か手はあるのか?」

 

 

 どうやら部屋の中に居る連中の目的は、あの呑気で無防備にも程がある娘の拉致らしい。

 あの時に、背後関係を綿密に洗っておけば今の手間は省けたな、などと今更考えてもしょうがない事を考えながら、話へと耳を傾ける。

 

 

「ああ、あの巫女狐のお気に入りの優男がいるだろ? あいつを拉致って餌にしちまえば簡単に呼び出せるさ」

 

「なるほど違いねぇ、なんせ一緒の部屋に泊まるぐらいの関係だ。アイツみてぇなお優しい巫女様はほいほい出てくるだろうよ」

 

 

 どうやら男達の目的は、餌としての自分らしい。

 あの娘の足枷になるつもりは更々ないが、しかし攻撃の起点にされると言うのはさすがにマズイ。

 そう考えながら、懐にある薬瓶の蓋をいくつか開け、その中にある薬剤を媒体に……精霊へ声を出す事なく眠り薬を作らせた、その時。

 

 部屋の中の連中は、ゲラゲラと愉快そうに笑いながら聞き捨てならない事をほざいた。

 

 

「しかし勿体ねぇなぁ、依頼人は無傷で持ってこいってんだろ?」

 

「なぁにバレやしねぇよ、抵抗が激しかったからやむなくって言えば。三日間ぐらい楽しんでも何とも言われやしねぇさ」

 

「うへへ、たまんねぇなぁ。あのでかくて柔らかそうな乳房に吸い付きてぇ」

 

「俺は徹底的に犯してやりてぇな、あの呑気な顔が名前も知らない男のガキ孕ませられるって理解した時の顔を想うと、たまんねぇぜ」

 

 

 今、こいつらは、何と言った?

 この街を愛し、人を愛し、碌に縁もない連中にすら手を差し伸べたあの娘の事を……何と言った?

 

 脳裏に蘇るのは、変わり果て物言わぬ姿となっていた救えなかった彼女の姿。

 その彼女の姿、顔が、コクヨウに重なった時。

 俺は精霊に調合させていた薬剤をキャンセル。憎悪を滾らせながら意識を残したまま動けなくするための麻痺毒を調合し、戸の隙間から部屋の中へ散布する。

 

 この毒は臭いがキツいから暗殺には不向きだし、証言を残されると面倒だから使い勝手が悪い事この上ないが。

 

 

 拷問して口を割らせた上で皆殺しにするのならば、最も効果的な毒だ。

 

 

「うぇ、なんだぁこのにお……っ!?」

 

「おいおい、だらしね……な、なんだよこれ!」

 

 

 中で複数人が倒れ込み、元気に喚くだけになったのを確認した上で、ゆっくりと戸を開けて中へと踏み込む。

 居たのは4人ほど。全員が全員、野盗とそう遜色のない薄汚れた格好で、コクヨウの手伝い途中で見かけた、問題を起こして除名処分された連中と人相や背丈が一致している。

 なるほど。逆恨みと金目的の両方を都合よくしようとしていたワケか。

 

 

「お、おいてめぇ!薬もってたら寄越せ!」

 

「その前に一つ聞きたいんだがね、お前さんがこの集まりの代表かね?」

 

「ああそうだよ!だから……っ?!」

 

 

 呻き声をあげて転がる男達の中で、俺の姿を視認し喚きたてる男を一瞥し情報収集のために重要な問いかけをしてみれば、自信満々にまともに動けないのにほざく有様だ。

 随分と滑稽な男だ、などと思いながら俺は。男の目の前で転がり呻き声を上げていた男の頭を踏み砕き、砕けた頭蓋と脳漿を周辺へとぶちまける。

 

 

「お、おまえ、何してんだよ!? おい、なんなんだ………ぅひっ?!」

 

「いやだって、先ほどまでの様子だと質問してもまともに答えてくれなさそうだったからね。一人二人間引けば、お前さんも気持ちよく囀る事が出来るだろう?」

 

 

 そのまま、呻き声を上げながらも必死に命乞いしてくるごろつきの頭を、鼻歌交じりに踏み潰していく。

 どうせ皆殺しにするんだから、拷問せずとも尋問で口を割ってもらう為の材料になってもらうとしよう。こいつらには有意義過ぎる死に方だ。

 

 

「な、なんだよお前……何者、だよ……!」

 

「さてね、それに答える義理はないさ」

 

 

 さて、じゃあ尋問を始めるとするか。

 

 

 

「……で、依頼人は商人組合のお偉いさんのバカ息子、と?」

 

「ぞ、ぞう、です……」

 

 

 誠意溢れる尋問の末、片手の指五本と片目を喪うだけで済んだ、ごろつきの代表者が最も聞きたかった事をようやく口にしてくれた。

 全く、面倒極まりない話だよ。

 

 

「ほんじゃお疲れさん」

 

「ま、まで!はなしが、はなしがちが!!」

 

 

 代表者を蹴り転がし、命乞いを無視してその頭蓋を踏み砕く。

 ブーツと脚が汚れるが、まぁいつも通り精霊に頼んで浄化してもらっておけば問題はないだろう、後は証拠隠滅だが……。

 

 お、丁度よい所に火種があるな、それにここ周辺は住民もいない事だし。

 精霊に頼んで丸ごと焼き尽くしておこう。

 

 

 

 

 さて、件の依頼人とやらはどう始末してやったもんかねぇ。

 




悪魔さん「ん?シナバー君がまっとうな人間だと思っていたのかね?」
悪魔さん「ヤダなぁ、彼はとっくの昔に破綻者だよ。そうでも無ければ本来は手の出ない貴族相手に、恋人だった町娘の敵討ちの為に報復したりしないって」




『TIPS.物価①』
この世界の物価は基本的に変動相場制である。
その中で、ある程度の指標があるとするならば……・

交換レート
金貨1枚=銀貨100枚=銅貨10000枚
※但し両替商の手間賃抜きの為、場所や店によってはこの限りではない

酒場や食事処で頼む一食:銅貨10~20枚
安酒:一杯銅貨5枚
そこそこ良い酒:一杯銅貨10枚
簡単な干し菓子:銅貨1枚
安宿(セキュリティ劣悪、大部屋、素泊まり):一泊銅貨20枚
宿(1人部屋、素泊まり):一泊銀貨1~2枚
メリジェの実(旬採れ)1個:店売り銅貨5枚、直売3枚(世話になってる相手の場合は割引もある)

一般庶民の生活では、大きな買い物でも使って銀貨である。
金貨を使うのは大規模な商取引をする商人や高額な装備を購入する冒険者、それと貴族ぐらいである。
裕福な庶民ならば、いざという時の隠し金として金貨を1枚2枚持っている事もあるが、大多数の庶民は金貨を使う事失く一章を終える。

なお、上のメリジェは大量に収穫できる時期だからこそであり、上等なメリジェを干したモノ……それも樽一杯となると、時期によってはとんでもない金額へと値上がりする。
そうなる理由として、それらを欲するのが主に貴族や豪商等である為で、とある行商人は相棒のハビットへのご褒美でいつも、財布が酷い目に遭っている。
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