黒の剣士に憧れし者 連載中止   作:孤独なバカ

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プロローグ

「おはよう。ハジメ。」

「おはよう。昴。」

 

 月曜日。それは一週間の内で最も憂鬱な始まりの日。きっと大多数の人が、これからの一週間に溜息を吐き、前日までの天国を想ってしまう。

それは飯塚昴も例外ではなく幼馴染の南雲ハジメも同様にうんざりしながら、いや俺たちはさらに面倒なことを控えているためにうんざりしながら授業が始めるギリギリに登校する

 

「ハジメまた徹夜かよ。」

「うん。お父さんの仕事手伝っていたから。」

「……お前の親父さん。夜遅くまでプログラム組み立てさせるなよ。」

 

俺は呆れ半分同情半分でハジメを見る

 

「でも、僕は楽しいから。」

「そりゃ自分の趣味を仕事にできたらなぁ。」

 

ハジメは趣味を人生の中心に置くことに躊躇いがない。なにせ、父親はゲームクリエイターで母親は少女漫画家であり、将来に備えて父親の会社や母親の作業現場でバイトしているくらいなのだ

 

「昴は?」

「俺はいつも通りだな。今日も工事現場に直行。」

「……本当に僕の家に来ないでいいの?」

 

心配そうに俺を見るハジメ。というのも俺は一年前の春に両親を事故で無くしており、しばらくはハジメの家でお世話になっていたのだが、今は一人暮らしをしている

貯蓄は結構あるものの節約や貯金をするにこしたことはないし一応大学までは出る予定だからな

 

「まぁバイトは苦じゃないしな。卒業したら正社員になってくれって頼まれているくらいに順調だぞ。」

「……相変わらずの有能っぷり。」

「有能ってそんなんじゃないけどな。」

「お母さんが今度の土曜日空いているかって。」

「やる。」

 

家事をやるだけで1日飯付き3万とかかなりお徳なバイトだしな。

そうしながらアニメの話や色々な話をしながら教室に入る。

その瞬間、教室の男子生徒の大半から舌打ちやら睨みやらを頂戴する。女子生徒も友好的な表情をする者はいない。無関心ならまだいい方で、あからさまに侮蔑の表情を向ける者もいる。

この空気も慣れたもんだな

極力意識しないように自席へ向かうが、毎度のことながらちょっかいを出してくる者がいる。

 

「よぉ、キモオタ!また、徹夜でエロゲか?」

 

声を掛けてきたのは檜山大介といい、毎日飽きもせず日課のように俺たちに絡む生徒の筆頭だ。近くでバカ笑いをしているのは斎藤良樹、近藤礼一、中野信治の三人での大体この4人が頻繁に俺たちに絡む。基本的無視しているのでどうでもいいのだが

ニコニコと微笑みながら一人の女子生徒が俺たちのもとに歩いてきている。このクラス、いや学校でも俺たちにフレンドリーに接してくれる数少ない例外であり、この事態の原因でもある。

 

「昴くん、南雲くんおはよう! 今日もギリギリだね。もっと早く来ようよ」

「おはよう。香織。」

 

白崎香織という、学校で二大女神と言われ男女問わず絶大な人気を誇る途轍もない美少女だ。腰まで届く長く艶やかな黒髪、少し垂れ気味の大きな瞳はひどく優しげだ。スッと通った鼻梁に小ぶりの鼻、そして薄い桜色の唇が完璧な配置で並んでいる。

 

「お、おはよう白崎さん。」

 

ハジメも挨拶をするといつものようにざわざわし始める。

まぁ白崎は俺たちに構おうとする。元々人気があったのが災いしとばっちりをくらっているんだよなぁ。

バイトの関係上時々だけど居眠りしているし、弁当を基本的に持っていていないのでそれが面倒見のよさから香織が気に掛けていると思われている。

すると嬉しそうにする香織に俺たちは軽い会話をする。視線は痛いし昨日は一日中バイトだったから眠いけどせっかくの好意を無下にすることはないだろう。ハジメは慣れてはいないけど。

すると三人が後ろから近づいてくる

 

「飯塚くん。南雲くん。おはよう。毎日大変ね」

「香織、また二人の世話を焼いているのか? 全く、本当に香織は優しいな」

「全くだぜ、そんなヤツにゃあ何を言っても無駄と思うけどなぁ」

 

三人の中で唯一朝の挨拶をした女子生徒の名前は八重樫雫。香織の親友件グループのまとめ役でもある。ポニーテールにした長い黒髪がトレードマークである。切れ長の目は鋭く、しかしその奥には柔らかさも感じられるため、冷たいというよりカッコイイという印象を与えているらしい。

俺から見たらかっこいいっていうよりも可愛いって思うのだけど。まぁクラスに知らせていない俺の両親が二人とも死んでいるってことを知っている一人でもある。あとは白崎。

次に、些か臭いセリフで香織に声を掛けたのが天之河光輝。いかにも勇者っぽいキラキラネームの彼は、容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能の完璧超人だけど自分の都合のいいように考え話を聞かないっていう俺からかなりあいしょうが悪いやつだ。

 最後に投げやり気味な言動の男子生徒は坂上龍太郎といい、光輝の親友だ。短く刈り上げた髪に鋭さと陽気さを合わせたような瞳、百九十センチメートルの身長に熊の如き大柄な体格、見た目に反さず細かいことは気にしない脳筋タイプである。

 

「おはようさん。八重樫。てかお前もこいつらの世話大変だな。」

「ちょっと昴。おはよう、八重樫さん、天之河くん、坂上くん。はは、まぁ、自業自得とも言えるから仕方ないよ」

 

俺は皮肉いっぱいに。謙遜しているハジメは少しジト目を向けながら俺の方を見ていると

 

「それが分かっているなら直すべきじゃないか? いつまでも香織の優しさに甘えるのはどうかと思うよ。香織だって君に構ってばかりはいられないんだから」

 

天之河はそう忠告する。やはり、俺たちは香織の厚意を無下にする不真面目な生徒として映っているようだ。

まぁどうでもいいが。

 

「知るか。俺には俺のやり方がある。生憎今のスタイルを変える気はないし。お前らの都合に合わせるつもりはない。」

 

俺はぶっきら棒に答えるとすると睨む天之河

そして無自覚の爆弾がさらに落とされた

 

「? 光輝くん、なに言ってるの? 私は、二人と話したいから話してるだけだよ?」

「……八重樫悪い。後から飲み物奢る。」

「えぇ。いちごオレね。」

 

頭を抑える八重樫を気遣い飲み物の差し入れを決めると

 

「え? ……ああ、ホント、香織は優しいよな」

 

どうやら天之河の中で香織の発言はハジメに気を遣ったと解釈されたようだ。

 

「……ごめんなさいね? 二人共悪気はないのだけど……」

 

 この場で最も人間関係や各人の心情を把握している八重樫が、こっそりハジメに謝罪する。ハジメはやはり「仕方ない」と肩を竦めて苦笑いするのだった。

 

「……はぁ。今日も面倒な1日になりそうだな。」

 

俺は溜息を吐くと空を見る

こんな日ものどかに晴れている空を羨ましく思った

 

 

教室のざわめきに、ハジメが目覚めると俺は軽くノートでパンとハジメの頭を叩く

 

「おはよう。馬鹿ハジメ。お前少しはノート取れよ。」

「……うん。」

 

目をこすりながらハジメは10秒チャージの栄養補給を終えるともう一眠りつくハジメ。

たく。と思いながら俺はどっかぶらつこうと思い俺は席から立とうとすると

 

「昴くん今日昼食一緒に食べないかな?」

 

すると香織が話しかけてくる

 

「いや。いいや。今日は俺は飯抜きだからな。」

「ダメだよ、ちゃんと食べないと! 私のお弁当、分けてあげるね!」

「いや。いい。お前こそ細いんだから少し肉つけとけよ。体調崩して寝込んでも知らないぞ。」

「それ飯塚くんだけには言われたくないよ。」

 

確かにそうだな

 

「香織。こっちで一緒に食べよう。せっかくの香織の美味しい手料理を食べるなんて俺が許さないよ?」

 

爽やかに笑いながら気障なセリフを吐く光輝にキョトンとする香織。

 

「え? なんで光輝くんの許しがいるの?」

 

「「ブブッ。」」

 

多分素で聞き返している香織に思わず八重樫と俺が吹き出した。

正直痛いと思っていたので的を得たツッコミに俺はツボに入ってしまい笑いが止まらなくなり腹が痛くなる

しかし次の瞬間俺は笑いを止め一瞬で顔が引きつる

 

俺の目の前、天之河の足元に純白に光り輝く円環と幾何学模様が現れたからだ。その異常事態には直ぐに周りの生徒達も気がついた。全員が金縛りにでもあったかのように輝く紋様――俗に言う魔法陣らしきものを注視する。

その魔法陣は徐々に輝きを増していき、一気に教室全体を満たすほどの大きさに拡大した。

 

「みんな外に逃げろ。」

 

俺の声に全員が硬直が溶ける。未だ教室にいた愛子先生が咄嗟に「皆! 教室から出て!」と叫んだのと、魔法陣の輝きが爆発したようにカッと光ったのは同時だった。

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