黒の剣士に憧れし者 連載中止   作:孤独なバカ

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変態竜

〝ぬ、抜いてたもぉ~、お尻のそれ抜いてたもぉ~〟

 

 北の山脈地帯の中腹、薙ぎ倒された木々と荒れ果てた川原に、何とも情けない声が響いていた。声質は女だ。直接声を出しているわけではなく、広域版の念話の様に響いている。竜の声帯と口内では人間の言葉など話せないから、空気の振動以外の方法で伝達しているのは間違いない。

俺はどういうことかと首を傾げていると

 

「お前……まさか、竜人族なのか?」

 

 〝む? いかにも。妾は誇り高き竜人族の一人じゃ。偉いんじゃぞ? 凄いんじゃぞ? だからの、いい加減お尻のそれ抜いて欲しいんじゃが……そろそろ魔力が切れそうなのじゃ。この状態で元に戻ったら……大変なことになるのじゃ……妾のお尻が〟

 

「竜人族?」

 

俺は聞いた事ないことに首を傾げる

 

「……なぜ、こんなところに?」

 

 ハジメが自分に呆れている間に、ユエが黒竜に質問をする。

 

〝いや、そんなことよりお尻のそれを……魔力残量がもうほとんど…ってアッ、止めるのじゃ! ツンツンはダメじゃ! 刺激がっ! 刺激がっ~!〟

 

俺は首を傾げながら話を聞いているとどうやら何か喜んでいるように聞こえる竜に一歩下がる

 

「滅んだはずの竜人族が何故こんなところで、一介の冒険者なんぞ襲っていたのか……俺も気になるな。本来なら、このまま尻からぶち抜いてやるところを、話を聞く間くらいは猶予してやるんだ。さぁ、きりきり吐け」

 

どうやら竜人族は一度全滅した種族らしく俺は小さくへx〜って呟く。

 

〝あっ、くっ、ぐりぐりはらめぇ~なのじゃ~。は、話すから!〟

 

 ハジメの所業に、周囲の者達が完全にドン引きしていたがハジメは気にしない。このままでは話が出来なさそうなので、ぐりぐりは止めてやるハジメ。しかし、片手は杭に添えられたままだ。黒竜は、ぐりぐりが止まりホッとしたように息を吐く。そして、若干急ぎ気味に事情を話し始めた。その声音に艶があるような気がするのは気のせいだろうか。いや気のせいではないだろう。

 

〝妾は、操られておったのじゃ。お主等を襲ったのも本意ではない。仮初の主、あの男にそこの青年と仲間達を見つけて殺せと命じられたのじゃ〟

 

「どういうことだ?」

 

〝うむ、順番に話す。妾は……〟

 

黒竜の話を要約するとこうだ。

 

 この黒竜は、ある目的のために竜人族の隠れ里を飛び出して来たらしい。その目的とは、異世界からの来訪者について調べるというものだ。詳細は省かれたが、竜人族の中には魔力感知に優れた者がおり、数ヶ月前に大魔力の放出と何かがこの世界にやって来たことを感知したらしい。

 

 竜人族は表舞台には関わらないという種族の掟があるらしいのだが、流石に、この未知の来訪者の件を何も知らないまま放置するのは、自分達にとっても不味いのではないかと、議論の末、遂に調査の決定がなされたそうだ。

 

 目の前の黒竜は、その調査の目的で集落から出てきたらしい。本来なら、山脈を越えた後は人型で市井に紛れ込み、竜人族であることを秘匿して情報収集に励むつもりだったのだが、その前に一度しっかり休息をと思い、この一つ目の山脈と二つ目の山脈の中間辺りで休んでいたらしい。当然、周囲には魔物もいるので竜人族の代名詞たる固有魔法〝竜化〟により黒竜状態になって。

 

 と、睡眠状態に入った黒竜の前に一人の黒いローブを頭からすっぽりと被った男が現れた。その男は、眠る黒竜に洗脳や暗示などの闇系魔法を多用して徐々にその思考と精神を蝕んでいった。

 

 当然、そんな事をされれば起きて反撃するのが普通だ。だが、ここで竜人族の悪癖が出る。そう、例の諺の元にもなったように、竜化して睡眠状態に入った竜人族は、まず起きないのだ。それこそ尻を蹴り飛ばされでもしない限り。それでも、竜人族は精神力においても強靭なタフネスを誇るので、そう簡単に操られたりはしない。

 

 では、なぜ、ああも完璧に操られたのか。それは……

 

〝恐ろしい男じゃった。闇系統の魔法に関しては天才と言っていいレベルじゃろうな。そんな男に丸一日かけて間断なく魔法を行使されたのじゃ。いくら妾と言えど、流石に耐えられんかった……〟

「……それって魔法をかけられているにも関わらずずっと寝てたってことだよね。」

 

 全員の目が、何となくバカを見る目になる。黒竜は視線を明後日の方向に向け、何事もなかったように話を続けた。ちなみに、なぜ丸一日かけたと知っているのかというと、洗脳が完了した後も意識自体はあるし記憶も残るところ、本人が「丸一日もかかるなんて……」と愚痴を零していたのを聞いていたからだ。

その後、ローブの男に従い、二つ目の山脈以降で魔物の洗脳を手伝わされていたのだという。そして、ある日、一つ目の山脈に移動させていたブルタールの群れが、山に調査依頼で訪れていたウィル達と遭遇し、目撃者は消せという命令を受けていたため、これを追いかけた。うち一匹がローブの男に報告に向かい、万一、自分が魔物を洗脳して数を集めていると知られるのは不味いと万全を期して黒竜を差し向けたらしい。

 

「まぁ理屈は合うよな。」

 

俺の言葉に全員がこちらを見る。

 

「ロープの男。多分同級生の誰かには間違えないだろうな。この話が本当であればの話だが。戦っている俺たちなら分かるけどオルクスの90層レベルじゃない。ラスボスレベルの強さだ。ユエ。お前の適正でティオを操れるようになるにはどれくらい掛かる?」

「……できない。そもそも魔物を操るのは弱い個体でも数体が限度。」

「……そんなに難しいのか。」

 

ハジメのつぶやきは俺も同意見だった。全属性持ちの魔法の天才が言うことに間違いはないだろう

 

「……ふざけるな」

 

 事情説明を終えた黒竜に、そんな激情を必死に押し殺したような震える声が発せられた。皆が、その人物に目を向ける。拳を握り締め、怒りを宿した瞳で黒竜を睨んでいるのはウィルだった。

 

「……操られていたから…ゲイルさんを、ナバルさんを、レントさんを、ワスリーさんをクルトさんを! 殺したのは仕方ないとでも言うつもりかっ!」

 

〝……〟

 

 対する黒竜は、反論の一切をしなかった。ただ、静かな瞳でウィルの言葉の全てを受け止めるよう真っ直ぐ見つめている。その態度がまた気に食わないのか

 

「大体、今の話だって、本当かどうかなんてわからないだろう! 大方、死にたくなくて適当にでっち上げたに決まってる!」

 

〝……今話したのは真実じゃ。竜人族の誇りにかけて嘘偽りではない〟

 

 なお、言い募ろうとするウィル。それに口を挟んだのはユエだ。

 

「……きっと、嘘じゃない」

「っ、一体何の根拠があってそんな事を……」

「……竜人族は高潔で清廉。私は皆よりずっと昔を生きた。竜人族の伝説も、より身近なもの。彼女は〝己の誇りにかけて〟と言った。なら、きっと嘘じゃない。それに……嘘つきの目がどういうものか私はよく知っている」

 

それは俺らにも言えることだった。嘘じゃない。俺もハジメも確実にそう言い切れるはずだ。

 

〝ふむ、この時代にも竜人族のあり方を知るものが未だいたとは……いや、昔と言ったかの?〟

 

 竜人族という存在のあり方を未だ語り継ぐものでもいるのかと、若干嬉しそうな声音の黒竜。

 

「……ん。私は、吸血鬼族の生き残り。三百年前は、よく王族のあり方の見本に竜人族の話を聞かされた」

 

〝何と、吸血鬼族の……しかも三百年とは……なるほど死んだと聞いていたが、主がかつての吸血姫か。確か名は……〟

 

「ユエ……それが私の名前。大切な人に貰った大切な名前。そう呼んで欲しい」

 

 ユエが、薄らと頬を染めながら両手で何かを抱きしめるような仕草をする。ユエにとって竜人族とは、正しく見本のような存在だったのだろう。話す言葉の端々に敬意が含まれている気がする。ウィルの罵倒を止めたのも、その辺りの心情が絡んでいるのかもしれない。

 

「……それでも、殺した事に変わりないじゃないですか……どうしようもなかったってわかってはいますけど……それでもっ! ゲイルさんは、この仕事が終わったらプロポーズするんだって……彼らの無念はどうすれば……」

「殺されるほうが悪いんだろ。」

 

俺はそういうと全員が俺の方を見る

 

「冒険者っていうのはいつも危険と隣合わせの仕事だ。魔物と戦い。その報酬を得る。今回の件は強い魔物の群れの発見情報があったにも関わらず依頼にウィルを連れていった。それが一番の問題だろう。油断。慢心。一歩間違えれば死ぬところだ。先生たちだって俺たちが居なければ確実に死んでいたわけだしな。そういう運だって冒険者には大切だ。……死人に口無し。残酷だけど死は冒険者をやっている以上は覚悟しておかないといけない。」

「……そうだね。ちょっと言い方は少しキツイだろうけどボクも同じ意見だよ。確かにティオさんだって悪いとは思うし責任がないとは言わないけど。どんだけ頑張ったって負けは負け。殺すか殺されるかのやりとりをしている訳だから。死んだ方にも責任があると思うし、弱い自分が一番責めるべきだと思うよ。」

 

俺とユキは残酷だけども正論を言うとウィルは目を伏せる

でもこれが冒険者である以上鉄の鉄則なのだ

 

「ウィル、ゲイルってやつの持ち物か?」

 

 そう言って、取り出したロケットペンダントをウィルに放り投げた。ウィルはそれを受け取ると、マジマジと見つめ嬉しそうに相好を崩す。

 

「これ、僕のロケットじゃないですか! 失くしたと思ってたのに、拾ってくれてたんですね。ありがとうございます!」

「あれ? お前の?」

「はい、ママの写真が入っているので間違いありません!」

「マ、ママ?」

 

俺は少し首を傾げる

 

「いやその中身二十代前半だろ?お前の母親にしたら若すぎないか?」

「せっかくのママの写真なのですから若い頃の一番写りのいいものがいいじゃないですか」

「……えっと。」

 

俺が聞くとまるで自然の摂理を説くが如く素で答えられた。その場の全員が「ああ、マザコンか」と物凄く微妙な表情をした。女性陣はドン引きしていたが……

ちなみに、ゲイルとやらの相手は〝男〟らしい。そして、ゲイルのフルネームはゲイル・ホモルカというそうだ。名は体を表すとはよく言ったものである。

 

そしてウィルが落ち着いたところで黒竜を殺すかとなった時

 

〝操られていたとはいえ、妾が罪なき人々の尊き命を摘み取ってしまったのは事実。償えというなら、大人しく裁きを受けよう。だが、それには今しばらく猶予をくれまいか。せめて、あの危険な男を止めるまで。あの男は、魔物の大群を作ろうとしておる。竜人族は大陸の運命に干渉せぬと掟を立てたが、今回は妾の責任もある。放置はできんのじゃ……勝手は重々承知しておる。だが、どうかこの場は見逃してくれんか〟

 

「いや、お前の都合なんざ知ったことじゃないし。散々面倒かけてくれたんだ。詫びとして死ね」

 

 そう言って義手の拳を振りかぶった。

 

〝待つのじゃー! お、お主、今の話の流れで問答無用に止めを刺すとかないじゃろ! 頼む! 詫びなら必ずする! 事が終われば好きにしてくれて構わん! だから、今しばらくの猶予を! 後生じゃ!〟

 

ハジメは冷めた目で黒竜の言葉を無視し拳を振るおうとした。だが、それは叶わなかった。振るおうとした瞬間、ユエがハジメの首筋にしがみついたからだ。驚いて、思わず抱きとめるハジメの耳元でユエが呟く。

 

「……殺しちゃうの?」

「え? いや、そりゃあ殺し合いしたわけだし……」

「……でも、敵じゃない。殺意も悪意も、一度も向けなかった。意志を奪われてた」

「ぶっちゃけ俺も殺すのは反対だな。」

 

俺はそう言うとハジメは俺の方をみる

 

「お前は敵ならば殺す。敵じゃなければ殺さない。そうやってきただろうが依頼だから相手にしていただけで元々は殺意は一度も向けなかった。ウィルだけを狙っていたのは意志を奪われており、刷り込まれた命令を機械の如くこなしていたに過ぎないだろ。」

「……それに自分に課した大切なルールに妥協すれば、人はそれだけ壊れていく。黒竜を殺すことは本当にルールに反しない?」

 

そしてハジメが考えていると

 

〝いい雰囲気のところ申し訳ないのじゃがな、迷いがあるなら、取り敢えずお尻の杭だけでも抜いてくれんかの? このままでは妾、どっちにしろ死んでしまうのじゃ〟

 

「ん? どういうことだ?」

 

〝竜化状態で受けた外的要因は、元に戻ったとき、そのまま肉体に反映されるのじゃ。想像してみるのじゃ。女の尻にその杭が刺さっている光景を……妾が生きていられると思うかの?〟

 

「うわぁ。」

 

ユキが声を漏らす。どの意見に同感だったのかシアを含めた女性陣はお尻を押さえて青ざめている。

 

〝でじゃ、その竜化は魔力で維持しておるんじゃが、もう魔力が尽きる。あと一分ももたないのじゃ……新しい世界が開けたのは悪くないのじゃが、流石にそんな方法で死ぬのは許して欲しいのじゃ。後生じゃから抜いてたもぉ〟

 

……今聞き捨てならない言葉が聞こえた。

俺は完全に隠密と気配遮断を使い我関せずって感じに隠れる

 

ハジメは空いている方の手で黒竜の尻に刺さっている杭に手をかけた。そして、力を込めて引き抜いていく。

 

〝はぁあん! ゆ、ゆっくり頼むのじゃ。まだ慣れておらっあふぅうん。やっ、激しいのじゃ! こんな、ああんっ! きちゃうう、何かきちゃうのじゃ~〟

 

 みっちり刺さっているので、何度か捻りを加えたり、上下左右にぐりぐりしながら力を相当込めて引き抜いていくと、何故か黒竜が物凄く艶のある声音で喘ぎ始めた。ハジメは、その声の一切を無視して容赦なく抉るように引き抜く。

 

ズボッ!!

 

〝あひぃいーーー!! す、すごいのじゃ……優しくってお願いしたのに、容赦のかけらもなかったのじゃ……こんなの初めて……〟

 

 そんな訳のわからないことを呟く黒竜は、直後、その体を黒色の魔力で繭のように包み完全に体を覆うと、その大きさをスルスルと小さくしていく。そして、ちょうど人が一人入るくらいの大きさになると、一気に魔力が霧散した。

 

 黒き魔力が晴れたその場には、両足を揃えて崩れ落ち、片手で体を支えながら、もう片手でお尻を押さえて、うっとりと頬を染める黒髪金眼の美女がいた。腰まである長く艶やかなストレートの黒髪が薄らと紅く染まった頬に張り付き、ハァハァと荒い息を吐いて恍惚の表情を浮かべている。

 

「なんてこった。こいつは凶悪だ。」

「これがふぁんたずぃ〜か〜」

「くそ、起きてくれ、起きてくれよ。俺のスマホ。」

「……何というか自分を含めて男子ってろくな奴がいないな。」

「あそこの人たちより随分マシだと思うよ。」

 

俺とユキはジト目でクラスの男子をみると

 

 

「面倒をかけた。本当に、申し訳ない。妾の名はティオ・クラルス。最後の竜人族クラルス族の一人じゃ」

 

 ティオ・クラルスと名乗った黒竜は、次いで、黒ローブの男が、魔物を洗脳して大群を作り出し町を襲う気であると語った。その数は、既に三千から四千に届く程の数だという。何でも、二つ目の山脈の向こう側から、魔物の群れの主にのみ洗脳を施すことで、効率よく群れを配下に置いているのだとか。

魔物を操ると言えば、そもそもハジメ達がこの世界に呼ばれる建前となった魔人族の新たな力が思い浮かぶ。それは愛子達も一緒だったのか、黒ローブの男の正体は魔人族なのではと推測したようだ。

しかし、その推測は、ティオによってあっさり否定される。何でも黒ローブの男は、黒髪黒目の人間族で、まだ少年くらいの年齢だったというのだ。それに、黒竜たるティオを配下にして浮かれていたのか、仕切りに「これで自分は勇者より上だ」等と口にし、随分と勇者に対して妬みがあるようだったという。

と、そこでハジメが突如、遠くを見る目をして「おお、これはまた……」などと呟きを漏らした。聞けば、ティオの話を聞いてから、無人探査機を回して魔物の群れや黒ローブの男を探していたらしい。

 

 

「こりゃあ、三、四千ってレベルじゃないぞ? 桁が一つ追加されるレベルだ」

 

 ハジメの報告に全員が目を見開く。しかも、どうやら既に進軍を開始しているようだ。方角は間違いなくウルの町がある方向。このまま行けば、半日もしない内に山を下り、一日あれば町に到達するだろう。

 

「は、早く町に知らせないと! 避難させて、王都から救援を呼んで……それから、それから……」

 

慌てているようで的確だな。俺は先生のすべきことに素直に感心を覚える

案外評価は少ないけど一番見えているのは先生なんだなっとみていると

 

「あの、ハジメ殿とスバル殿なら何とか出来るのでは……」

 

 その言葉で、全員が一斉にハジメの方を見る。その瞳は、もしかしたらという期待の色に染まっていた。ハジメは、それらの視線を鬱陶しそうに手で振り払う素振りを見せると、投げやり気味に返答する。

 

「そんな目で見るなよ。俺の仕事は、ウィルをフューレンまで連れて行く事なんだ。保護対象連れて戦争なんてしてられるか。いいからお前等も、さっさと町に戻って報告しとけって」

「保護対象連れて、大群と戦争なんかやってられない。仮に殺るとしても、こんな起伏が激しい上に障害物だらけのところで殲滅戦なんてやりにくくてしょうがない。特に俺たちもティオとの戦いで魔力回復薬も結構減ったし。あんまり得策ではないな。」

「まぁ、ご主じ……コホンッ、彼らの言う通りじゃな。妾も魔力が枯渇している以上、何とかしたくても何もできん。まずは町に危急を知らせるのが最優先じゃろ。妾も一日あれば、だいぶ回復するはずじゃしの」

 

ハジメの呼び方が少しおかしい気がしたが無視をするのが一番だろう

 

ティオが、魔力枯渇で動けないのでハジメが首根っこを掴みズルズルと引きずって行く。実は、誰がティオを背負っていくかと言うことで男子達が壮絶な火花を散らしたのだが、それは女子生徒達によって却下され、ティオ本人の希望もあり、ハジメが運ぶことになった。

面倒くさそうに顔をしかめると、いきなりティオの足を掴みズルズルと引き摺りだしたのだ。

愛子達の猛抗議により、仕方なく首根っこに持ち替えたが、やはり引き摺るのはかわらない。何を言ってもハジメは改めない上、何故かティオが恍惚の表情を浮かべ周囲をドン引きさせた結果、現在のスタイルでの下山となった。

 

まぁ一応作戦だけは考えておくか。


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