黒の剣士に憧れし者 連載中止   作:孤独なバカ

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トラップ

 現在、俺達は【オルクス大迷宮】の正面入口がある広場に集まっていた

ここでステータスプレートをチェックし出入りを記録することで死亡者数を正確に把握するのだとか。戦争を控え、多大な死者を出さない措置だろう。 

しばらく経つとメルド団長が受付を終えたらしく行くぞといい中に入る

それから迷宮の旅が始まった

 

迷宮の中は、外の賑やかさとは無縁だった。

縦横五メートル以上ある通路は明かりもないのに薄ぼんやり発光しており、松明や明かりの魔法具がなくてもある程度視認が可能だ。緑光石という特殊な鉱物が多数埋まっているらしく、【オルクス大迷宮】は、この巨大な緑光石の鉱脈を掘って出来ているらしい。

隊列を組みながら進むと広間に出た。ドーム状の大きな場所で天井の高さは七、八メートル位ありそうだ。

すると気配感知に反応がある

 

「敵襲。およそ20匹くらいだな。」

 

その言葉の後壁の隙間という隙間から灰色の毛玉が湧き出てきた。灰色の体毛に赤黒い目が不気味に光る。ラットマンという名称に相応しく外見はねずみっぽいが……二足歩行で上半身がムキムキだった。八つに割れた腹筋と膨れあがった胸筋の部分だけ毛がない。まるで見せびらかすように。

気持ち悪。と思わざるを得ないがとりあえず地を蹴る

俺は青い剣と緑色の剣を抜くとスピードに乗り突っ込んでいくと俺はその勢いのまま二刀でラットマン3体の切り捨てる

パーティー内で一番のスキルなしで火力を稼げるのは俺だから飛んだオーバーキルらしい。

そして数分後には戦闘が終わり歓声をあげるクラスメイトの中俺は気配感知をふんだんに使い警戒を怠らない

そこからは特に問題もなく交代しながら戦闘を繰り返し、順調よく階層を下げて行った。

そして、一流の冒険者か否かを分けると言われている二十階層にたどり着りつき軽く小休止に入る

 

「ハジメ。飯食おうぜ。」

「うん。いいけど。いいの?」

「いいだろ。というよりもこれ以上視線が限界。」

 

暇な時間は香織が話かけてくるので周囲の男子に睨まれることが多かった

 

「そういや、白崎さんと話しているけど。」

「ん〜。いや。なんか日頃の話かな。ハジメと何話しているとか。」

「……あはは。白崎さんらしいね。」

 

俺はそういうとハジメが笑う

その笑顔を見ても、感覚がなくならない

何でだ?と思いつつ香織の方を向く

すると目線でどう?と言われた気がしたので俺は首を横に振る

 

「どうしたの?」

「いや、何となく嫌な感じだなって思ってな。」

「やめてよ。昴の勘はあたるんだから。」

 

まぁ技能にあるからな。俺

ふと視線を感じて思わず背筋を伸ばす。ねばつくような、負の感情がたっぷりと乗った不快な視線だ。今までも教室などで感じていた類の視線だが、それとは比べ物にならないくらい深く重くつい俺は剣に手を触れてしまった。

 

「どうした?」

 

メルド団長の声に俺はハッとなり剣から手を離す

 

「いや、視線を感じて。」

「視線?」

「……いや。何でもありません。」

 

俺は剣を離すと俺は座るとハジメも感じたのか目線を見回す

香織の言っていた嫌な予感というもの感じる

一行は二十階層を探索する。

迷宮の各階層は数キロ四方に及び、未知の階層では全てを探索しマッピングするのに数十人規模で半月から一ヶ月はかかるというのが普通だ。

二十階層の一番奥の部屋はまるで鍾乳洞のようにツララ状の壁が飛び出していたり、溶けたりしたような複雑な地形をしていた。この先を進むと二十一階層への階段があるらしい。

すると気配を感知すると俺は止まり剣を抜く。

 

「4、いや5体か?」

「ふむ、多分擬態を使っているからだろう。それを見抜くだけの気配感知を持っているとは。」

 

笑いながら言っているけど。俺は息を吐き精神を落ち着かせる

するとその直後、前方でせり出していた壁が突如変色しながら起き上がった。壁と同化していた体は、今は褐色となり、二本足で立ち上がる。そして胸を叩きドラミングを始めた。どうやらカメレオンのような擬態能力を持ったゴリラの魔物のようだ。

 

「ロックマウントだ! 二本の腕に注意しろ! 豪腕だぞ!」

「八重樫。八重樫と俺は次中衛として動いた方がよさそうだぞ。彼奴ら咆哮持ちだから無理に全員が近づいたら後衛に抜けてくるはずだ。」

「……了解。」

 

陣形を整えると天之河と坂上が前衛に上がる

すると天之河が何でって顔で一瞬気を逸らした

 

「おいバカ前見ろ。」

「やべぇ。」

 

天之河に飛びかかってきたロックマウントの豪腕を坂上が拳で弾き返す。

すると数体のロックマウントはこっちに抜けてきた。

 

「あのバカ。」

 

八重樫が小さく呟く。少し怒りの混じった声に俺も頷く。

実際この連携は訓練でもやっていたはずだ

ロックマウントの腕が振り下ろされそうになると俺はそれを二つの剣で弾き返すと重い衝撃に顔をしかめる。

 

「八重樫。スイッチ。」

 

俺はその直後背後に飛ぶと弾いた腕の方から八重樫が走ってくる

そして無駄のない動きで全てを切り捨てていく。

相変わらず間近で見ると無駄のない剣筋に少し憧れてしまうのは無理もないだろう

 

「グゥガガガァァァァアアアアーーーー!!」

 

すると前方からそんな声が聞こえるが俺と八重樫は範囲外にいたので硬直することなく次の動きに取り掛かった

 

ロックマウントはその隙に突撃するかと思えばサイドステップし、傍らにあった岩を持ち上げ香織達後衛組に向かって投げつけた

香織達が、準備していた魔法で迎撃せんと魔法陣が施された杖を向けたがここでロックマウントだったのだ。空中で見事な一回転を決めると両腕をいっぱいに広げて香織達へと迫った。

 

「ひぃ。」

「おいおい。詠唱やめてたら意味ないぞ。」

 

俺は宙に飛びロックマウントに狙いを絞り

 

「飯塚流剣術。奏刀。」

 

俺は空中で両手の片手剣を奮い、8連撃を無属性魔法でサポートして放ち、敵一体を戦闘不能に追い込む。

 

「えっ?」

「守ってやるっていっただろ?そんなことも忘れたのかバカおり。」

「ば、バカじゃないもん。」

「突っ込むところそこなの?」

 

全員が呆気にとられているが

 

「後から全員説教だから覚えとけ。」

「うげぇ。」

「鈴ちゃんそれ女の子が出したらダメな声だよ。」

 

とまったりしかけた時

 

「万翔羽ばたき、天へと至れ――〝天翔閃〟!」

「あっ、こら、馬鹿者!」

 

その瞬間、詠唱により強烈な光を纏っていた聖剣から、その光自体が斬撃となって放たれた。逃げ場などない。曲線を描く極太の輝く斬撃が僅かな抵抗も許さずロックマウントを縦に両断し、更に奥の壁を破壊し尽くしてようやく止まった。

 

「……何やっているんだあいつは。」

 

俺はため息を吐く。そして笑顔で迫っていたメルド団長の拳骨を食らった。

 

「へぶぅ!?」

「この馬鹿者が。気持ちはわかるがな、こんな狭いところで使う技じゃないだろうが! 崩落でもしたらどうすんだ!」

 

メルド団長のお叱りに「うっ」と声を詰まらせ、バツが悪そうに謝罪する天之河。

 

「それにしても飯塚は本当に初めてなのか?冷静でいい判断だし。今後はお前に指揮を頼んでも良さそうだな。」

 

するとメルド団長の言葉に俺は少し苦笑してしまう。まぁ、ダンジョン自体は初心者だけど、隠密を使って俺はこっそり夜中に冒険者ギルドで稼いでいたツケができたのであろう。

 

 その時、ふと香織が崩れた壁の方に視線を向けた。

 

「……あれ、何かな? キラキラしてる……」

 

そこには青白く発光する鉱物が花咲くように壁から生えていた。まるでインディコライトが内包された水晶のようである。香織を含め女子達は夢見るように、その美しい姿にうっとりした表情になった。

 

「グランツ鉱石だな。珍しい。」

「あ〜確か結婚指輪とかに使われる鉱石ってハジメが言っていたな。」

「素敵……」

 

 香織が、メルドの簡単な説明を聞いて頬を染めながら更にうっとりとする。すると少しだけ目線が合うと顔を真っ赤にして背けてしまった。

さすがにここまでわかりやすいと意識するなって言われるのも無理な話だろうな

 

「だったら俺らで回収しようぜ!」

 

 そう言って唐突に動き出したのは檜山だった。グランツ鉱石に向けてヒョイヒョイと崩れた壁を登っていく。それに慌てたのはメルド団長だ。

 

「こら! 勝手なことをするな! 安全確認もまだなんだぞ!」

 

しかし、檜山は聞こえないふりをして、とうとう鉱石の場所に辿り着いてしまった。

メルド団長は、止めようと檜山を追いかける。同時に騎士団員の一人がフェアスコープで鉱石の辺りを確認する。そして、一気に青褪めた。

 

「団長! トラップです!」

「ッ!?」

 

 檜山がグランツ鉱石に触れた瞬間、鉱石を中心に魔法陣が広がる。グランツ鉱石の輝きに魅せられて不用意に触れた者へのトラップだ。魔法陣は瞬く間に部屋全体に広がり、輝きを増していった。まるで、召喚されたあの日の再現だ。

 

「くっ、撤退だ! 早くこの部屋から出ろ!」

 

 メルド団長の言葉に生徒達が急いで部屋の外に向かうが……間に合わなかった。

 部屋の中に光が満ち、俺達の視界を白一色に染めると同時に一瞬の浮遊感に包まれる。空気が変わったのを感じた。次いで、ドスンという音と共に地面に叩きつけられた。

 

「いつぅ。」

 

と俺は小さく呟くと立ち上がり剣を抜き周辺を見る。俺達が転移した場所は、巨大な石造りの橋の上だった。ざっと百メートルはありそうだ。天井も高く二十メートルはあるだろう。橋の下は川などなく、全く何も見えない深淵の如き闇が広がっていた。まさに落ちれば奈落の底といった様子だ。

橋の横幅は十メートルくらいありそうだが、手すりどころか縁石すらなく、足を滑らせれば掴むものもなく真っ逆さまだ。俺達はその巨大な橋の中間にいた。橋の両サイドにはそれぞれ、奥へと続く通路と上階への階段が見える。

 

 それを確認したメルド団長が、険しい表情をしながら指示を飛ばした。

 

「お前達、直ぐに立ち上がって、あの階段の場所まで行け。急げ!」

 

雷の如く轟いた号令にクラスメイトは移動しかけるが

 

「……いや。囲まれてます。戦闘準備。」

 

俺の気配感知には大型のモンスターと多数のモンスターが沸くのが分かっていた。階段側の橋の入口に現れた魔法陣から大量の魔物が出現したからだ。更に、通路側にも魔法陣は出現し、そちらからは一体の巨大な魔物が……

その時、現れた巨大な魔物を呆然と見つめるメルド団長の呻く様な呟きがやけに明瞭に響いた。

――まさか……ベヒモス……なのか……

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