黒の剣士に憧れし者 連載中止   作:孤独なバカ

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裏切り

結局二日間の捜索の上、上に上がることのないことがわかった後は俺がゲームのダンジョンの終着点には宝とワープできる魔法陣があるのがお約束だよなって言ったことにより攻略することが決定する

もうあれから何日経ったのであろうか。時間の感覚は既にないので、どれくらいの日数が過ぎたのかはわからない。それでも、驚異的な速度で進んできたのは間違いない。

その間にも理不尽としか言いようがない強力な魔物と何度も死闘を演じてきた。

例えば、迷宮全体が薄い毒霧で覆われた階層では、毒の痰を吐き出す二メートルのカエル(虹色だった)や、麻痺の鱗粉を撒き散らす蛾(見た目モ○ラだった)に襲われた。常に神水を服用してその恩恵に預からなければ、ただ探索しているだけで死んでいたはずだ。

まぁ今のステータスを見れば一目瞭然なのだが

 

飯塚昴 17歳 男 レベル:70

天職 剣士

筋力 1900

体力 1500

耐性 500

敏捷 2400

魔力 900

魔耐 900

 

技能 二刀流[+剣舞] [+剣技][+神速] 隠密 直感 投剣 限界突破  魔力操作 胃酸強化 天歩[+空力][+縮地] 豪腕 夜目 遠見 気配感知 魔力感知 気配遮断 毒耐性 麻痺耐性 石化耐性 無属性適正 言語理解

 

「んであの空間どうする?」

 

肉を食べながら俺はハジメに聞く。

 

「さぁな。さながらパンドラの箱だな。……さて、どんな希望が入っているんだろうな?」

 

自分の今持てる武技と武器、そして技能。それらを一つ一つ確認し、コンディションを万全に整えていく。全ての準備を整え、ハジメはゆっくりドンナーを抜いた。

 

 そして、そっと額に押し当て目を閉じる。覚悟ならとっくに決めている。しかし、重ねることは無駄ではないはずだ。ハジメは、己の内へと潜り願いを口に出して宣誓する。

 

「俺は、生き延びて故郷に帰る。日本に、家に……帰る。邪魔するものは敵。敵は……殺す!」

 

俺は少しだけ苦笑いしてしまう。俺も香織に会いたいから何も言えないけど邪魔をする奴は容赦をしないことには賛成だ。

 

扉の部屋にやってきた俺たちは油断なく歩みを進める。特に何事もなく扉の前にまでやって来た。近くで見れば益々、見事な装飾が施されているとわかる。そして、中央に二つの窪みのある魔法陣が描かれているのがわかった。

 

「? わかんねぇな。結構勉強したつもりだが……こんな式見たことねぇぞ」

「マジか?」

 

ハジメは自らの能力の低さを補うために座学に力を入れていた。もちろん、全ての学習を終えたわけではないけど。魔法陣の式を全く読み取れないというのはおかしい。

 

「…あぁでもこれって指定モブを討伐したらここを通れるみたいな奴じゃないか?」

「なるほどな。」

「なるほどなって言いながら触るの止めろや。」

 

 

――オォォオオオオオオ!!

 

 突然、野太い雄叫びが部屋全体に響き渡る

 

俺は剣を抜きすぐさま戦闘に移せるよう警戒し

ハジメはバックステップで扉から距離をとり、腰を落として手をホルスターのすぐ横に触れさせいつでも抜き撃ち出来るようにスタンバイする。

 

 雄叫びが響く中、遂に声の正体が動き出した。

 

「まぁ、ベタと言えばベタだな」

 

 苦笑いしながら呟くハジメの前で、扉の両側に彫られていた二体の一つ目巨人が周囲の壁をバラバラと砕きつつ現れた。いつの間にか壁と同化していた灰色の肌は暗緑色に変色している。

 

「一体任せた。」

「あいよっと。」

 

俺は地を蹴り右のサイクロプスに斬りつけようとした時だった

 

「あっやべ力入れすぎた。」

 

豪腕によって力を入れすぎた剣撃が飛ぶと

一撃で剣撃がサイクロプスに直撃し真っ二つに割れる。

 

「ふむ、約二十秒か。ちょっと遅いな……巨体のせいか?」

 

するとハジメも瞬殺したらしく俺とハジメは少し苦笑してしまう

 

「とりあえず肉は後からとるとして。」

「魔石だろうな。」

 

俺は剣を取り解体すると魔石を一つハジメの方に投げる

ハジメは窪みにピッタリとはまり込んだ。直後、魔石から赤黒い魔力光が迸

ほとばし

り魔法陣に魔力が注ぎ込まれていく。そして、パキャンという何かが割れるような音が響き、光が収まった。同時に部屋全体に魔力が行き渡っているのか周囲の壁が発光し、久しく見なかった程の明かりに満たされる。

 

「すげぇな。」

 

思った以上の異世界の技術にハジメも頷く

少し目を瞬かせ、警戒しながら、そっと扉を開いた。

扉の奥は光一つなく真っ暗闇で、大きな空間が広がっているようだ。ハジメの〝夜目〟と手前の部屋の明りに照らされて少しずつ全容がわかってくる。

中は、聖教教会の大神殿で見た大理石のように艶やかな石造りで出来ており、幾本もの太い柱が規則正しく奥へ向かって二列に並んでいた。そして部屋の中央付近に巨大な立方体の石が置かれており、部屋に差し込んだ光に反射して、つるりとした光沢を放っている。

 

「……ってあれ?気配感知に反応がある。……っ人か。」

「何?」

 

ハジメは俺の方を見る。気配感知は俺魔力感知についてはハジメが展開するのが基本の形になっていた。

 

「どうする?」

「どうするって言っても通るしかないだろう。邪魔するのだったら殺す。」

「はいはい。どうせ後始末は俺ですよっと。」

 

俺はそう言って入ると上半身から下と両手を立方体の中に埋めたまま顔だけが出ており、長い金髪が某ホラー映画の女幽霊のように垂れ下がっていた。そして、その髪の隙間から低高度の月を思わせる紅眼の瞳が覗いている。年の頃は十二、三歳くらいだろう。随分やつれているし垂れ下がった髪でわかりづらいが、それでも美しい容姿をしていることがよくわかる。

 

「……だれ?」

 

かすれた、弱々しい女の子の声だ。

 

「……どうする?」

「まぁ助けてもいいし。封印している女子を助けてこの後控えている集団の戦に備えるか。見捨てるか。」

「ま、待って! ……お願い! ……助けて……」

 

 女の子は必死だ。首から上しか動かないが、それでも必死に顔を上げ懇願する。

 

「まぁ普通だったら断るべきだろ。こんな奈落の底の更に底で、明らかに封印されているような奴を解放するわけないだろう? 絶対ヤバイって。見たところ封印以外何もないみたいだし……脱出には役立ちそうもない。」

「……ぐぅのねも出ないな。」

 

見捨てることがほぼ確定だな

 すげなく断られた女の子だが、もう泣きそうな表情で必死に声を張り上げる。

 

「ちがう! ケホッ……私、悪くない! ……待って! 私……」

 

 知らんとばかりに扉を閉めていき、もうわずかで完全に閉じるという時、ハジメは歯噛みした。もう少し早く閉めていれば聞かずに済んだのにと。

 

「裏切られただけ!」

 

俺とハジメは手を止める。十秒、二十秒と過ぎ、やがて扉は再び開いた。そこには、苦虫を百匹くらい噛み潰した表情のハジメが扉を全開にして立っていた。

 

 ハジメとしては、何を言われようが助けるつもりなどなかった。こんな場所に封印されている以上相応の理由があるに決まっているのだ。それが危険な理由でない証拠がどこにあるというのか。邪悪な存在が騙そうとしているだけという可能性の方がむしろ高い。見捨てて然るべきだ。

でも俺としては助けるべきだと進言した。ハジメは今は生き残ることと俺のことしか考えてみてないように見えた。どうであって俺とハジメは家族なんだから当たり前なんだが

それでも、こうまで心揺さぶられたのは、やはりどこかで割り切れていない部分があったのかもしれない。そして、もしかしたら同じ境遇の女の子に、同情してしまう程度には前のハジメの良心が残っていた

だから俺は少し迷うことなら助けてやるべきだと。数十秒の間に告げた

 

「裏切られたと言ったな? だがそれは、お前が封印された理由になっていない。その話が本当だとして、裏切った奴はどうしてお前をここに封印したんだ?」

 

俺たちが戻って来たことに半ば呆然としている女の子。

 

 ジッと、豊かだが薄汚れた金髪の間から除く紅眼でハジメを見つめる。何も答えない女の子にハジメがイラつき「おい。聞いてるのか? 話さないなら帰るぞ」と言って踵を返しそうになる。それに、ハッと我を取り戻し、女の子は慌てて封印された理由を語り始めた。

 

「私、先祖返りの吸血鬼……すごい力持ってる……だから国の皆のために頑張った。でも……ある日……家臣の皆……お前はもう必要ないって……おじ様……これからは自分が王だって……私……それでもよかった……でも、私、すごい力あるから危険だって……殺せないから……封印するって……それで、ここに……」

 

俺はそれは聞いた覚えがあった

 

「……本で読んだな。確か吸血姫がどんな体でも再生ができ魔力を操れることができるって。」

「……(コクコク)」

「殺せないってなんだ?」

「……勝手に治る。怪我しても直ぐ治る。首落とされてもその内に治る」

「……そ、そいつは凄まじいな。……すごい力ってそれか?」

「これもだけど……魔力、直接操れる……陣もいらない」

「これ優秀な魔法使いゲットできねぇ?数日前俺たち物理抵抗力が高い魔物に1時間くらい戦っていたし。吸血鬼は血が飯だからな。」

 

俺がそういうとハジメも少し考え

 

「悪いが。」

「了解。警戒は俺がしておくから。」

 

俺は魔力感知も使い全力で警戒する

ハジメはそれを無視して錬成を始めた。

 

 ハジメの魔物を喰ってから変質した赤黒い、いや濃い紅色の魔力が放電するように迸る。

しかし、変形するはずの立方体は、まるでハジメの魔力に抵抗するように錬成を弾いた。迷宮の上下の岩盤のようだ。だが、全く通じないわけではないらしい。少しずつ少しずつ侵食するようにハジメの魔力が立方体に迫っていく。

 

「ぐっ、抵抗が強い! ……だが、今の俺なら!」

 

 ハジメは更に魔力をつぎ込む。詠唱していたのなら六節は唱える必要がある魔力量だ。そこまでやってようやく魔力が立方体に浸透し始める。既に、周りはハジメの魔力光により濃い紅色に煌々と輝き、部屋全体が染められているようだった。

ハジメは更に魔力を上乗せする。七節分……八節分……。女の子を封じる周りの石が徐々に震え出す。

 

「まだまだぁ!」

 

 ハジメは気合を入れながら魔力を九節分つぎ込む。属性魔法なら既に上位呪文級、いや、それではお釣りが来るかもしれない魔力量だ。どんどん輝きを増す紅い光に、女の子は目を見開き、この光景を一瞬も見逃さないとでも言うようにジッと見つめ続けた。

ハジメは初めて使う大規模な魔力に脂汗を流し始めた。少しでも制御を誤れば暴走してしまいそうだ。だが、これだけやっても未だ立方体は変形しない。ハジメはもうヤケクソ気味に魔力を全放出したのだろう。

それでいい。

それでいいんだよ。

人の為に働け。

どんな残酷なことでも

人を想いやる心だけは残してやってほしい。

俺は手榴弾型ロケットランチャーを構える。魔力によって気配が完全に起きたのを感じていた

10分で蹴りをつけるぞ。

そういうと俺は上空に向かってロケットランチャーを放ちそして俺は飛ぶ

 

「飯塚流剣技聖天。」

 

 

俺は鋭い一撃を放つと手応えを感じるけど

 

「かたぁ!!」

 

多分傷一つ付いてないぞこれ。

 

「ハジメ。上空に敵反応あり。物理攻撃力が高すぎる。一度引こうぜ。」

「っ。了解。」

「この人は。」

「そんなの後だ。とりあえずずらかるぞ。」

 

と俺たちは逃亡戦に入ることになった

 

 

俺は剣をしまいメグファイアーを両手に構え射撃する

俺もほぼ100%当てられるようになったせいで。というよりハジメより両手持ちの射撃の腕は高いので両手持ちに射撃を鍛えているのだ

最大威力の秒速三・九キロメートルの弾丸がサソリモドキの頭部に炸裂する。

一方、ハジメは足を止めることなく〝空力〟を使い跳躍を繰り返した。その表情は今までになく険しい。ハジメには、〝気配感知〟と〝魔力感知〟でサソリモドキが微動だにしていないことがわかっていたからだ。

それを証明するようにサソリモドキのもう一本の尻尾の針がハジメに照準を合わせた。そして、尻尾の先端が一瞬肥大化したかと思うと凄まじい速度で針が撃ち出された。避けようとするハジメだが、針が途中で破裂し散弾のように広範囲を襲う。

 

「ハジメ。少し追いすぎだ。少し引け。」

 

 ハジメは苦しげに唸りながら、ドンナーで撃ち落とし、〝豪脚〟で払い、〝風爪〟で叩き切る。どうにか凌ぎ、お返しとばかりにドンナーを発砲。直後、空中にドンナーを投げ、その間にポーチから取り出した手榴弾を投げつける。

サソリモドキはドンナーの一撃を再び耐えきり、更に散弾針と溶解液を放とうとした。しかし、その前にコロコロと転がってきた直径八センチ程の手榴弾がカッと爆ぜる。その手榴弾は爆発と同時に中から燃える黒い泥を撒き散らしサソリモドキへと付着した。

いわゆる〝焼夷手榴弾〟というやつらしい。タールの階層で手に入れたフラム鉱石を利用したもので、摂氏三千度の付着する炎を撒き散らす。流石に、これは効いているようでサソリモドキが攻撃を中断して、付着した炎を引き剥がそうと大暴れした。その隙に、俺はドンナーを素早くリロードする。

 

「多分弱点は熱だな。タールで焼き尽くすか?」

「無茶言うなよ。ここでやったら一酸化中毒で全員死ぬぞ。仕方ないここで切り札を切れ。」

「はいはい。」

 

俺は少し睨み限界突破を発動する

加速していくと広範囲に針が放たれるが最低限はハジメが落としてくれる

 

「飯塚流剣術奏刀。」

 

俺は足を目掛けて放つと思った通りその攻撃を予想してなかったのかポトリち地に落ちる

 

「ハジメ。」

 

と叫んだその時だった

 

吸血鬼は、おもむろに立ち上がりサソリモドキに向けて片手を掲げた。同時に、その華奢な身からは想像もできない莫大な魔力が噴き上がり、彼女の魔力光なのだろう――黄金色が暗闇を薙ぎ払った。

そして、神秘に彩られた魔力色と同じ黄金の髪をゆらりゆらゆらとなびかせながら、一言、呟いた。

 

「〝蒼天〟」

 

 その瞬間、サソリモドキの頭上に直径六、七メートルはありそうな青白い炎の球体が出来上がる。

直撃したわけでもないのに余程熱いのか悲鳴を上げて離脱しようとするサソリモドキ。

だが、奈落の底の吸血姫がそれを許さない。ピンっと伸ばされた綺麗な指がタクトのように優雅に振られる。青白い炎の球体は指揮者の指示を忠実に実行し、逃げるサソリモドキを追いかけ……直撃した。

 

「グゥギィヤァァァアアア!?」

 

ナイス。

心の中で声援を送り

 

「覇剣。」

 

と俺は熱で溶けたところを正確に切り落とす。やがて、サソリモドキがゆっくりと傾き、そのままズズンッと地響きを立てながら倒れ込んだ。

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