私は少し南部平原とカロッテ遺跡、
一角島周辺を回って周辺地図を作成することになりました。
ヴィオラートはラピスちゃんと留守番ついでに、何かのタネの研究です。
南部平原付近のどこで何が採れるのか、
その産物は錬金術的にどういうものなのか、
どういうモンスターがいるのか調べて記録するのは、
カロッテ村の発展、そして安全にとっても大切なことですからね。
私とスフィアちゃん、あと1人、
なんか村にいたカタリーナさんを誘って、調査と採取に出発です。
南部平原には、ぽつぽつと畑が並び始めていました。
ぷにぷにとか出るけど、そこは大丈夫なんですかね?
まあ大丈夫かな……大丈夫かも。
本来は、平原の南の端にある石造りの階段を下りて、
すぐに一角島方面に向かうところですが、
少しゲーム知識外の道を探して、階段を下りずに、
南東側からカロッテ遺跡に向かいます。
このあたりには、本来カロッテ遺跡を崩壊させないと入れない道があり、
そこにある素材目当てでわざと遺跡を崩壊させる、
というやり方もあるほどなのですが……。
行きにくく見つけにくいだけで、周囲を根気良く探したら行ける道がありました。
何かまた今更ですが、
これでカロッテ村周囲の素材アイテムの種類が段違いに増えますね。
品質なんかも他の場所より高いので、村の発展という意味でも見逃せません。
私個人の利益じゃなくて、村の周囲で採取出来るという方が、
村全体の発展にとっては重要ですから。
良い品質の「何かの宝石の原石」や「グラビ石」、
「グラセン鉱石」や「月長石」も手に入るようになるのはいいですね。
ロッドを使えば、さらに良いものが採れますからね。
新たな採取場所を開拓して村に帰った私達。
そこで待っていたのは、ヴィオラートの提案でした。
「あたしとゾネちゃん、交代で外に行くことにしようよ!」
詳細を聞いてみるとですね、活動できる範囲が広がって、
雇える人も増えて、行ける場所も増えてきたので、
ここは班分けを前もって明快に時間と場所、人で区切り、
完全に私とヴィオラートの2ラインでやってみようと。
ようは何ヶ月単位で大枠のスケジュールを立てようってことですね。
なるほど、悪くないと思います。
お仕事、冒険、錬金術、色々お付き合いも増えましたが、
1人1人と交流できる時間も有限ですからね。
「有限だったんだよなぁ……」
「おじさんの思い出!」
「おじさんはね、おじさんだから。
数十年会ってない同級生とか忘れちゃうし、
自由に使える時間には限りがあるって知ってしまうのですよ」
「忘れ物おじさん?」
「うんスフィアちゃん、おじさんはやめてね?」
「忘れ物ゾネさん……」
「出来たら思った事をすぐに口に出しちゃうのも、
やめて欲しいんですけど。それならまあ、いいでしょう」
「ゾネさん!」
「スフィアちゃんの素直な所は私とてもいいと思います。ハイ」
とりあえず、「私より背が小さいから」というふざけた理由ですが、
私になついて私の家に入り浸ってるスフィアちゃんは私の方に。
ヴィオラートの住居兼お店に住んでいるラピスちゃんは、
ヴィオラートの方に。これは決まりですね。
あとは完全にヴィオラートからの繋がりであるバルテル兄さん、
ロードフリードさん、ブリギットもそちらに。
私は他の仲間候補さんを頼る感じで。
……あれ?私ってカロッテ村出身のはずが、
ヴィオラート経由以外の知り合いって少ない?
れんきんじつと称して周囲を振り回した記憶はあっても、
他の子供に混じって普通に遊んだ記憶は……。
ハイやめ、この考察やめ!
私はもう昔の私じゃない本物の錬金術士の私なんだから、
これから友達も知り合いももっとたくさん出来るのです!
多分!だといいなぁ!
ハイ、それで、ですね。とりあえず帰って来たばかりですが、
私が先に外に冒険に行くことになりました。
次は幻影回廊を深く探索しようと思っていたのですが、
ヴィオラートはそれを見越して、
防水袋を大量に作っておいてくれていたのです。
やった!ヴィオラートさん流石です!家庭菜園のゼグラス草が役に立ちましたね!
そして、幻影回廊への直通ルート、
フライングボードに乗って海上移動からの幻影回廊ダイレクトアタックが使える今、
「入る時と出る時一瞬だけ、2回使えればいい」
という発想で、予備のボロ着を用意したらどうかと提案されました。
一瞬だけ持てば用途は果たせる。
使い捨ててもいいというのはいい発想ですね。
まあ、それなら……そうか水着の発想はまだないのか。
防水袋とかぷにぷに玉で作れそうな気がするけど……。まあこれはあとでいいか。
とりあえず今回は用意されたボロ服を使って、
幻影回廊に行くとしましょう。
………………………………
メンバーは私とスフィアちゃん、
ローラントさんとパウルと……パメラさん。
皆かなりイケイケの冒険メンバーですね。
ぬかりなくアルハイルミテルとロッド、
回復アイテムに攻撃アイテムも用意しています。
遺跡を瞬時に修復するアイテム、アルハイルミテルが、
ナナちゃんのお店に入荷するのはありがたいですね。
確か初期在庫だけで再入荷はなしだったと思いますが、
初期在庫だけで全ての遺跡を探索し修復するのに十分です。
錬金術でも製作可能ですしね。
さて、フライングボードを使って海上の道を行き、
幻影回廊入り口の小島に到達した後、
ボロ服に着替えて手持ちは秘密バッグにしまい、
エアドロップ使用後に秘密バッグを防水袋に入れて、
幻影回廊内部に侵入します。
まずアルハイルミテルで崩壊寸前の遺跡を完全修復し、
防水袋を解いて服を着替え、武器防具をしっかり装備して、ロッドを使い……。
ゲームだと一瞬で済んだ幻影回廊への侵入も、
リアルになってみると大変ですね。
そこに何かあると噂になっているのに、
何故か詳細な情報が入らないのも納得というものです。
まあ私は中に何があるのか分かってるので、
積極的に攻略しますけど。
内部はアポステルなどの悪魔系の敵と、
固定敵で氷ブレスを吐くラウムリザードなんかが出ますが、
【出目ダメージ大】【6の目が出やすい】
をつけた最終兵器ヘルフェンダイスがあれば楽勝です。
幻影回廊の3つの塔を橋で行き来し、
進んだ先には巨大な音叉のような構造物があります。
ここで、作っておいた三叉音叉を鳴らし、
巨大音叉と共鳴させると、今いる塔が物理的に上にせりあがり、
道順が変化。さあ、3つの塔を上下させて橋で延々行き来する、
地獄のシーソーゲームの始まりです。
元々ボロボロの海中遺跡にこの上下運動のギミックは、
遺跡の崩壊を促進しているような気がするんですが気のせいですかね?
まあ、これで遺跡耐久値が減ったりはしないんで、
何らかの原因で大丈夫なんだと思いますが。
私もアルハイルミテルがなければ探索しようとは思えませんね。
遭遇した巨大音叉の前で繰り返し、
三叉音叉を鳴らしたり、スルーしたり、鳴らさなかったり、
かなりの日数を費やして、新しい参考書「エルスクーラリオ」をゲットします。
途中、ロック鳥やワイバーンも出てきましたが、
ヘルフェンダイスがあればどうということはないです。やはり強いですね。
エルスクーラリオには、
ヴィオラートのアトリエ最強炎爆弾の「テラフラム」と、
遺跡破壊用爆弾の「ばくだん」のレシピが載っています。
「テラフラム」は最強クラスのアイテムですが、
「ばくだん」の方は正直使い道ない気が。
一応解体用、発破用として需要はあるんですかね?
参考書は手に入れましたが、まだまだ先に進みます。
何度も三叉音叉を鳴らし、また何日もかけて。
道中、ロッド効果で極上品の「アードラの寝床」と、
同じく極上品で【潜在能力増加+3】のついた「月長石」
が回収出来ます。地味ですが使った甲斐ありましたね。
しばらく行き来すると、お待ちかねの宝物庫に到着です。
大悪魔のデーモン系やワイバーンが待機してますが、やはりというか何というか、
ヘルフェンダイスとスフィアちゃんの「精霊の護り」でラクショーですね、ハイ。
3つの塔の中を縦横無尽に行き来して、宝物庫の宝箱から手に入れたお宝は、
……大量にあるので目立つものだけで言うと、
【毒抵抗+2】【マヒ抵抗+2】【防御力+3】
【呪い抵抗+3】【素早さ+3】のついた「ドラグーンメイル」
【防御力+3】【マヒ抵抗+3】【LP上昇+3】
【氷抵抗+3】のついた「天使の盾」
【精神打撃+2】【炎の力+3】【氷の力+3】【攻撃力+3】
【攻撃回数増加+3】のついた「ミュートスタッフ」
といった所ですかね?まず間違いなく、
この「ミュートスタッフ」は、前衛で杖で攻撃するスフィアちゃんに。
これは当然ですね。
スフィアちゃんの持っていた「炎の杖」は私が。
あまり私は杖で攻撃しませんが、雑魚散らしにはなるでしょう。
「ドラグーンメイル」は当然のごとくローラントさんに。
しきりに「いいのか?」と恐縮していましたが、
これから先も私のパーティーの前衛になってもらう予定なので、
これでいいのです。
これならずっと使い続けられるんじゃないですかね?多分。
そして今日の目玉、「天使の盾」ですよ、「天使の盾」!
誰でも装備出来る強力な盾、2つ目ゲットです!
2つ目なので装備はもちろん私に。いやー本当に軽くて頼もしくていいですね、これ。
当たらない前提の冷や冷や回避は卒業です。
攻撃が当たっても回復アイテムがあるので、
死にはしないし再起不能レベルのダメージも受けないし、
何なら「グラヴィールベル」の【戦闘不能回復かも】効果や、
スフィアちゃんの「元気になあれ(戦闘不能回復)」や、
「いたいのとんでけ(HP回復)」などのスキルもあります。
まず致命的なことにはならないのですが、
それと本人の感じる怖さは別ですからね。
ようやく私も装備スロットが埋まった充実感があります。
さてこれで、今回の目的は終了ですね。
帰りはいつもの【ダンジョン脱出】の「空飛ぶホウキ」で、
幻影回廊入り口の小島に1日で帰還。
そこからフライングボードを使って数日で獣人原、
そのまま空輸でカロッテ村に帰還しました。
今回は防水袋をしっかり活用したんで、海水特有のめんどくさい後始末はなし。
ボロ着は……放置した潮の香りが強すぎたので、
獣人原で炎属性ブリッツスタッフを使って、おたき上げしておきました。南無。
………………………………
カロッテ村に帰還したら、私がローラントさんとパウルを送迎。
パメラさんは錬金ハウスの方に興味があるようで、一体何が面白いのか、
溶鉱炉や家庭菜園の周囲をずっと漂ってご満悦です。
まあ、お店の方に居つかなければ良しとしましょう。
居つくとお化けがいるって評判が立ちますからね、マジで。
ヴィオラートのほうは、お店と依頼と家庭菜園と、
既存のスケジュールをしっかりとこなしていた模様。本当に頭が下がります。
私はどうもゲーム時代のスケジュールの癖があるのか、
既存の仕事は後回しにしてしまいますからね。
ゲームでは放置しても何の問題もないですが、
リアルだとちょっと問題ですからね。何もしない、というのは。
気をつけていきたいです。
で、次のスケジュールですが、
ヴィオラートはフィンデン王国の素材や参考書に興味が湧いたらしく、
「リサ隣接採取地」と、どうにか回り込んで「メッテルブルグ隣接採取地」
双方を確かめに行きたいと言っています。
そして私には、バルテル兄さんと相談して、
「ヴィオラーデン・ゾンネン感謝祭」をやって欲しいとのこと。
ついに来ました、流行発生イベントですね。
ヴィオラートのアトリエには流行という要素があり、
流行に乗るとその品物がバカ売れしたりするのですが、
「ヴィオラーデン感謝祭」イベントが発生すると、
用意した景品の金額により、最大60日間、全ての商品に対する流行が発生するのです。
もちろん、最大の10000コールを支払って、
最長の流行を発生させます。当然ですね。
ゲームだと1日2人のお客さんで上限だったのですが、
もちろん今はそんな上限はないと思った方がいいでしょう。
忙しくなりそうですね。
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