カロッテ村のゾネさん   作:おかひじき

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自分の作った仕事を自分で処理し続ける経営者の鑑


2号店開店準備

 

 カロッテ村では拡張工事が着々と進み、

共同で使われる倉庫が真っ先に完成することになるようです。

進み具合は……全体の建設状況で4割完成くらいかな?

 

 2号店用の用地も、村長さんとユーディウスさんがヴィオラートと相談の上、

候補地を確保しておいてくれました。

以前相談した内容を汲んで自動的に仕事をしておいてくれる、まさに共同経営ですね!

 

 立地は倉庫の隣で、土地が8万、建物建設で8万、

何かオプションつけるなら追加でドン!だそうです。

8万+8万に、予備費として8万用意しておこうかな?何となく必要になる気がするぞ。

リリーのアトリエでも、オプション建築で結構使ったからな。

 

 ヴィオラートは他にも、「アルコール」の調合にも成功していました。

過去作に登場したアイテムですね。これでまた、調合の幅が広がります。

これの出る「ザールブルグ」シリーズは素材アイテムの違いと調合系統の違いが大きく、

現状そのままでは作れないアイテムが多いのですが。

応用力が必要ですね。何かこう、ラフ調合的な、

今手に入る素材でアイテムを作ることも考えないといけませんね。

 

 こっち系の研究は現状アイゼルさんの知識と、

それに付随したヴィオラートの試行錯誤で成り立っているので、

そっちの知識も生かせるように私自身がそっちにも参加したい所ですね。

 

 何かちょっと人を増やしたけど、それ以上に仕事が増えてませんか、私達?

まあ、村おこしの中心的人物の1人になって、独立したお店を経営して、

時折外に冒険に出かけて、街を飛び回って依頼をこなして、

クリエムヒルトさんにお任せとはいえ家庭菜園の面倒も見て、

将来を見据えて2号店の建設計画を立てて、新しい倉庫用地も確保して……。

 

「ゾネさんは、カローシする?」

「しないよ!」

 

 したくない!確かに今の仕事は私が望んだことではあるけど、

それは錬金術士の仕事と商店経営の仕事を両立させるのが基礎になっている。

その上時折冒険にも出て行くハードワーク。

 

「気づいてしまった……」

 

 気づいてしまったら調整するしかない。ええと、どこか調整できるとこないかな。

まず街の酒場の依頼は、基本受けてすぐ達成で回して来たけど、

ある程度依頼の期限を見て後回しにすることも考えよう。

依頼の期限まで100日以上余裕あるのもあるんだから。

ワームコンパス移動も考慮に入れれば、相当の日数空きが出来るはずだ。

 

 そして家庭菜園は、現状クリエムヒルトさんが結構しっかりと、

「何かのタネ」を作れるようになって来ているので、

予算をつけて「フラワー部門」的な所を作ってまとめてもらうのもいいかもしれない。

 

 ユーディウスさんに店舗を任せるとか、

色々な人にこの世界の法や商業慣行を教えてもらうとかは……うん、

もっと長期計画で考えた方がいいんじゃないかな。すぐには出来ないのが当然なんだし。

 

 冒険は……ほら、生きがいだから。アイテムの効果の試験もやらないとだし?

冒険と錬金術は私の錬金術士としての存在証明に繋がるので、絶対に外す気はないな。

 

 ただ、そろそろ冒険に行ける新規の場所は近所に無くなりつつあるんで、

私が外に冒険に行く頻度は減るだろうな、とは思ってる。

 

 ヴィオラートは外……外国の、

フィンデン王国やザールブルグへの関心が出て来てるみたいだから、

やっぱりゲームの一部エンディングと同様に旅立つ気なのかも知れない。

 

 となるとやっぱり急いだ方がいいか?

ここは時間を使ってでも、ヴィオラートとアイゼルさんの研究資料を整理して、

研究ノートか参考書みたいな形にまとめておいた方がいいかもしれない。

特に中和剤の違いとか、こっちで見たことの無い素材アイテムとか。

素材アイテムは、こっちで行商人の人に頼めば入手出来るかもしれないしね。

 

 カロッテ村は、廃村寸前だったけど行商人はしっかりいるんだよね。

 

 とりあえず頼めるものは頼んで、グラムナート2種+ザールブルグ互換研究を、

1冊のノートか本にまとめるのを最初の目標にしたいと思う。

基礎的な中和剤と素材アイテムの違いからだな……。

 

 私用とヴィオラート用の2冊作ることにして、

本の装丁とかはよく分からんので、単純な紐綴じで作っておきましょう。

適当に綴じるだけの何ちゃって装丁ですが、何もしない紙束よりはマシなはず。

将来的には和綴じっぽいのとか巻物風のも出来るようになりたいですね。

洋書風の装丁はちょっと記憶だけではよく分からんので……。

 

 ヴィオラートの旅立ちまでには、どんな形であれ写本が作れるようになっておきたいです。

ワームコンパスとフライングボードがあるので二度と会えないとかは無いでしょうが、

ヴィオラートがカロッテ村の外に拠点を得ることもありそうなので。頑張って行きますよ!

 

 

 

………………………………

 

 

 

 月日の経つのは早いもので、私のあやふやな知識を元に、

私・ヴィオラート・アイゼルさん3人の協力で、なんちゃって和綴じ本の、

「グラムナート・ザールブルグ互換術」をまとめるまで数ヶ月かかりました。 

一定の科学的成果がまとまったと例えるなら、早すぎるぐらいなんですけどね。

 

 3人分で3冊になりましたが、しっかりと和綴じ風の装丁を行った参考書です。

途中で本を綴じるための器具が無いことに気づき、

プロスタークの鍛冶屋さんに作ってもらったこともありました。

何にせよ最低限の基礎はマスターしたので、写本作りもスケジュールに加えたいと思います。

さすがに暇がある時に不定期になりますが。

 

 新たな参考書も、行商人さん達に頼んでフィンデン王国やザールブルグ、

カスターニェやケントニス……思い当たる色々な場所で仕入れて来てもらいましょう。

正直あてになるとは言えませんが、1冊でも見つけて持って来てくれればもうけものです。

 

 珍しい素材なんかも頼んでおきましょう。

まずはどこで何が買えるのか、そして価格調査からですね。

ヴィオラートはあまりぴんと来ないようでしたが、

アイゼルさんは早速リストアップして参考価格まで書き込んでいます。

やっぱり不足している材料とかあったんですかね。

 

 え?2万コール出すから秘密バッグ1セットが欲しい?

いえいえ、アイゼルさんからお代はいただけませんよ。いいからとっとけ?

ならいただきます。

 

 秘密バッグなら作ったことあるし、

そのままもう一回……場所指定を変えられるようにして欲しい?

 

 あ、そうか。今は全部私達のコンテナに繋がるようになってるけど、

アイゼルさんの荷物はそこじゃないんだよね。当然だけど。

これは多分、材料の妖精さん人形か地球儀の調整が必要かな?

これはちょっと研究が必要かも知れません。今すぐ完成は無理かも。

 

「そう。あと1年か2年くらいはこの村にいるつもりだから、

それまでに作ってくれたらいいわ。最悪、自分で作るか調整するから」

 

 ああ、そうでしたね。既に結構年月は経過して、

原作で言う所の「4年目開始、11月」でしたね。

先日ヴィオラートの両親からの手紙が届き、

「まだ帰ってこれない」という連絡があったばかりです。

 

 つまり、既に2年間の延長戦に突入しています。

これでバッドエンドは無くなりました。その代わりと言っては何ですが、

ヴィオラートが旅立ってしまう可能性はむしろ高まっています。

これは私、気合いを入れて頑張るべきでしょうね。

 

 出来れば、村に残るバルテル兄さんと「その後」の話をしておきたい所ですが、

「旅立ち」はまだヴィオラートの頭の中にしかないメタ知識なので難しいですね。

最悪私一人でも、村の中でお店を続けて生きて行ける体制を作っておきたいです。

頑張っていきましょう。

 

 ああ、それと村の拡張工事が進展して、私達の利用する倉庫がついに建ちました!

最終的に私達のスペースだけで物が1000個置けるようになる大容量倉庫、

これは通って地ならし整備するしかないですね!

現状だと、フェストの岩盤が露出していてボコボコで使いにくいですから。

 

 コンテナは……現在半分物置状態の、ヴィオラートのお店兼住宅から、

まずアイテム数百個分ぐらいは移動しておきますかね。

お店の店内在庫も必要ですから全部は抜き取れません。秘密バッグも調整しといて……。

 

 フェストの採取と地ならし、コンテナ作成、

1000引く数百で600~700個分、コンテナにして30個超って所ですか。

これまた日数がかかりそうだなぁ。これは錬金はともかく、冒険はしばらくお預けですかね。

 

 まあ冒険先の方はほぼ一通り行きつくして、

あと私が行きたいのは盗賊のアジトの「テュルキス洞窟」くらいなので、

問題ないと言えばないんですよね。

 

 まあ私もヴィオラートも冒険者じゃなくて、錬金術士であり店主。

先にやるべきことをやっておきましょう。

優先度が高いのは、やはり倉庫の完全確保……整地作業ですね。

 

 早速整地……と思ったのですが、何か錬金ハウスにお化け屋敷の噂が流れているようです。

パメラさん……。どうも近寄ってきた子供達を追い払ううちにそうなってしまったようで。

まあ、確かに私達がいない間とか、調合中に子供に突撃されたら困るのは確かだし、

悪くないと言えば悪くないんですけどねぇ。でもそのシチュエーションって、

 

「完全にお化け屋敷じゃないですか!」

 

 しかも娯楽用の、恐怖体験を売りにしたテーマパークです。

えーとこれは……キワモノ村以外なら大問題ですけど、

村の傾向とドンピシャ噛み合ってるので悪くないと言えば悪くないんです。

正直もう村の名所的な扱いになってきているんで、まあいいかなーと。

 

「ゾネさんちは、お化け屋敷?」

「違ぇよ!私の家は他にあるよ!」

 

 錬金ハウスは、錬金術のために用意した研究施設です。

まあ、住居がお化け屋敷認定されるよりはましでしょう。

 

 気を取り直して、早速始めていきますか。材料は……カロッテ村が廃村寸前だった頃は、

そこらの廃屋なんかにいくらでも廃材が転がってたんですけど、今はないですね。

西側の迷いの森辺りからこれ用のアイヒェや雑木を採って来たほうが早いかも。

堅い木を木釘みたいにして、それ以外をコンテナ本体にして……。

 

 うん、行けそうです。この作業は私とヴィオラートが、

お店の方はユーディウスさんともう一人ぐらいで回せそうなので、それで。

これが終わる頃は……2号店(予定)が完成する頃合ですね。

 

 倉庫の作業中に2号店が完成して、

イベント的時間経過でがっつり日数を取られそうです。大丈夫かなぁ?

 

「ゾネさんを信じる私を信じろ?」

「あんまり信じてなさそうな顔で言わないで下さい!」

 

 

 

………………………………

 

 

 

 ああ、やっぱり今回もダメだったよ。

施設作成は、それだけでまるまる日数を占有される大仕事でした。

倉庫の整地とコンテナ作成で20日。

その途中で2号店の店舗が完成し、準備やら引渡しやら何やらでさらに10日。

 

 今までの「ヴィオラーデン・ゾンネン」は、

ヴィオラートの店舗兼住居での営業で、主としてドンケルハイトを売り、

「世界一のフラワーショップ」としてその名を轟かせています。

 

 今のまま、5年目終了時点で店を閉めるなら何の問題もないですが、

私は何年後になってもお店を続ける予定で、

今の「1号店」がバルテル兄さんとご両親の住居に戻ったとしても、

「商店」という形をしっかり残すために、今回2号店を建てさせていただいたのです。

 

 2号店は、村の東側、大規模倉庫近くの新道沿いに建てられた大規模店舗で、

裏は錬金家庭菜園に拡張可能な大部屋と庭と畑がついたフラワーショップ。

これは将来的にはクリエムヒルトさんに任せてしまおうと思っています。

今の所は私達の手助けが必要そうですが。

 

 2号店メインの表側の責任者、店長は……とりあえず私かなぁ。

こちらのお店は量販登録した錬金アイテムと、ダグザの釜・ゲヌークの壷でホイホイ湧き出す、

食品系・液体系素材をメインにするつもりです。

 

 裏のフラワーショップが軌道に乗るのと、1号店が閉店するタイミング次第では、

フラワーショップ1号2号並存からの理想的客移動も可能かもしれません。

店員の頭数が不安なところもあるので、ゲーム知識外の固定枠ユーディウスさんと、

超有能シュトーラちゃんが加入してくれて本当に助かりました。

 

 時間が経てば、スカウト枠や村の子供、

新住民の中からまた新規の店員候補さんが出て来ますよね?

変な所でゲーム準拠で、ゲームに出てない人は可能性無いですなんてないですよね?

私には祈ることしか出来ません。

 

 




なお、レベルアップでHPMPLPが上がってるからカローシはしない
(無慈悲な過重労働)

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