カロッテ村のゾネさん   作:おかひじき

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果物とかもっとあると思ってた……(ちょっと前俺)


レヘルンクリームの夢と、賢者の石

 

 2号店は、シュトーラちゃんが全てを補助して整然と営業していました。

 

「セカンドキャラ解禁ですの~」

 

 彼女のお店と、ここのカウンターと、お客様対応してるのと……。

 

 うん、もはや何も言うまい。とにかく、

私がお店でやらなきゃならないようなことは無いのが分かったので、

ちょっとレヘルンクリームの試作に挑戦しましょうか。

 

 とにかく効果が高い上に日持ちするのと、

【美味しそうな香り】がする上に日持ちするのと、

普通に【いい香り】がする控えめなのと、

ハチミツの甘さで甘さをマシマシしたのと……。

 

 劣化しない系の効果は全部につけたいな。

【腐りにくい+3】【痛みにくい++】【究極の】

あたりを重ねて……そうなると他の従属効果の継承が難しいけど、

やってやれないことはないはずだ。

 

 ただ、村で手に入る果物の種類が少ないのが痛いですね。

メジャーなのは幸福のブドウくらいかな?

錬金知識にない果物で、村で作ってるのが何かないか探してみよう。

 

 香り系はまずフィルマーでいいとして、

あれ?あとは甘さ倍々のミルクハチミツくらいしか思いつかないぞ?

ヴィオラートならにんじんで喜ぶだろうけど、

流石にそれは商品としてはないし。

 

 あと3種類、計6種類くらいは試作しておきたいな。

少し高くつきそうだけど、輸入素材でも行けるかな?

何気に砂糖の類がないのがお菓子作りには厳しい。

シリーズの昔の「リリーのアトリエ」には「ザラメ」があったのに、

なぜかこっちにはないんだよね。

 

 まあ、無いものをねだっても仕方ない。

ハチミツか何かで甘さは何とかするしかないか。

素材の方は輸入でいいから「ランドー」や「カリカリの実」

とかが手に入ればいいんだけど、これもまだ存在を確かめたわけじゃないし。

 

 そうか、外に目を向けるより、まず村の近辺で何か作ってないか、

生産物全般も含めて調べるのが先か。

にんじんが特産品とはいえ、まさかそれだけしか生産してないわけもないし。

 

 合間を見てクラーラさんとクリエムヒルトさんに聞いた結果、

ありましたよ!素材!一部の家が裏庭で作って自家消費してるだけの「ランドー」に、

にんじん以外の「その他」用の端切れみたいな土地の畑で作っている、

これまた自家消費用の「ヴァッサメローネ」と「メローネ」です!

スイカとプリンスメロンに似てる野菜?果物?ですね。

スイカはともかくメロン味は定番中の定番でしょう!

 

 この2つは、シャーベットにしても良さそうですね。ブドウもあるし。

 

 残念ながら、季節が違うので今はないみたいですが、

錬金術菜園で作ってみようかな?検討しましょう。

 

 しかし、流石に商品の素材として売るのに錬金術菜園での確保はコストが高すぎるので、

収穫期に確保して保存する氷室があった方がやはり良さそうですね。

 

 この近くで樹氷石の採れる場所、カロッテ遺跡の部屋は使えるかな?

半端に冷やすだけだと結露で劣化しそうだし、

完全に凍らせればワンシーズン位は……。

 

 氷室だけじゃなくてドライフルーツでの素材確保も検討するかな。

まあ、素材の保存は試作の後の量産で考えるべきことか。

 

 うーん……いっそ2号店の地下に原作通りの地下氷室作るか?

店内在庫用の倉庫の地下に作るとか?それで専門店みたいな、

透明素材のケースと金属のアイスボックスを販売用に表に展示して、

その中も樹氷石で冷やせば……。

 

「見えて来た、見えて来たよ!」

「世界が丸見え?」

「違う、そうじゃない」

 

 これは一大ヒット商品になる予感がします。

何せ村の発展傾向は娯楽溢れるキワモノ村、「驚天動地カロッテランド」ですからね。

 

 問題は、レヘルン(アイス)クリーム専門店なんて私の頭の中にしかないので、

また私が最初全部やらなきゃならないタイプのアレだってことです。

これ以上、それだけで本業になりうる仕事を抱え込んでいいのだろうか?

という考えが脳裏に浮かびます。

 

「まあ、やる前からあれこれ悩んでても仕方ないか」

 

 試作品もまだなのに、我ながら気が早すぎですね。

とりあえず今用意出来るフィルマー、激甘ハチミツ、幸福のブドウ、

ヴィオラート専用のにんじん味と、

それぞれの……にんじん以外のシャーベットは作ってみましょうか。

 

 氷室とか透明ケースとか金属ボックスとか、そこらへんの設備は後回しにして、

とりあえず試作品を作ってフィンデン王国の食料品系量販店に登録しておきましょう。

にんじん以外。

 

 はてさて、「劣化しない」レヘルンクリームとは具体的にどういうものなのか、

あくまで普通のアイテムのように長期保存が出来るようになっただけなのか、

それとも鉱石みたいに何年でも置いておけるようになるのか、

実際どうなるかで扱い方も変わって来ます。

 

 今回の試作品は即量販店に登録するので、

量産が出来てから実証実験を行いますかね。どうなるか楽しみです。

さあ、始めて行きましょうか。まずは材料の厳選と加工、最適化からです。

 

 レヘルンクリームの材料は、

蜂の巣、シャリオミルク、井戸水、アードラの寝床となっていますが、

この蜂の巣はハチミツってことですかね?

 

 ユーディーのアトリエだとハチミツが無かったと思うので、その代用かな。

これも詳細は試作してみるしかないか。仕方ない、ちょっと気合い入れましょう!

 

 

 

………………………………

 

 

 

 やあ。お店の忙しさと通常の依頼処理と、

レヘルンクリームの従属効果のコントロールに夢中になっていたら、

いつの間にか1ヶ月が過ぎていました。

 

 2号店だけじゃなくて比較的ましだった1号店まで流行の影響を受けて、

ものすごく忙しくなっちゃってたのもありますが。

 

 シュトーラちゃんがいなければ回りませんでしたよ、本当に。

私も各種レヘルンクリーム作成の合間に両方のお店を覗きに行って、

忙しそうな方に緊急でお店番や在庫補充に入ったりして右往左往しました。

 

 まあ3種類+1のレヘルンクリームはちゃんと試作して、3種類をプロスターク、

ヴェルン、リサの食料品系量販店に分散登録……しようと思ったら、出来ませんでした。

 

 量販店ごとに再現可能な従属効果のレベルには限界があり、

一番高い「レベル9」のプロスターク量販店に登録せざるをえなくなりました。

 

 これだとレベル10の【究極の】効果は再現出来ないんで、

そうなったら食料品系レベル10のファスビンダーで登録するか、

他の効果を利用する必要があります。

 

 ただ、カナーラント王国側の量販店は専門分化しておらず、

なおかつフィンデン王国側では登録出来ない錬金雑貨類も登録出来るので、

出来るだけフィンデン王国側で済ませたいんですよね。

「ヴィオラートのアトリエ」側の【腐りにくい+3】がレベル8で劣化速度0.4減少なんで、

その効果を使って従属効果レベル9以下で劣化しないレヘルンクリームを作成しました。

 

 とにかく、無事試作品の登録も終わり、

にんじんレヘルンクリームを食べたヴィオラートもご満悦で、

検証の結果どうやら本当に「劣化しない」レヘルンクリームという、

ぶっ飛んだアイテムが出来上がったようです。

 

 自分で作っておいて何ですが、マジですか!?

錬金術の、まさに魔法っていう要素を強く見た思いです。

こう、氷菓子のくせに何週間経っても変わらない、まさに魔法のレヘルンクリームです。

 

「ゾネさん、また食べてる……」

「ち、違う……これは検証、検証作業だから……」

 

 劣化しないレヘルンクリーム……恐ろしい子……!

これは今すぐ商品棚に並べたい……けど、やめたほうがいいか。

まだ2号店開店!の流行が続いているので、

これ以上流行を重ねがけするような商品を追加するのは厳しいですね。

流行が終わってお店が落ち着いてからにしましょう。

 

 落ち着くまで、個人的に食べる分だけ買って来るのはいいですよね?

食べ過ぎると太りそうなので1日1個……いや多すぎるな、

10日で2個か3個レベルで。

 

 その間は店番もしながら、そうですね、依頼用に用意しておく宝石類と、

MP消費無しのブリッツスタッフを作り置きしておきましょうか。

 

 ブリッツスタッフのMP消費は、「中和剤」の属性値を上げると無くなります。

具体的には、【潜在能力増加+3】にもう1つぐらい従属効果を重ねる感じですかね。

作り置きしておいたダグザの釜・ゲヌークの壷から出る素材が利用しやすいです。

もちろんロッドで拾った鉱石類を使ってもいいですね。

 

 倉庫の整備や微調整も進めて、アイテムを置ける場所が増えて来たので、

ダグザの釜やゲヌークの壷を追加で作っておくのもいいですね。

従属調整用の【潜在能力増加+3】や【破壊力増加+3】【回復力増加+3】

その他の従属効果のついた中和剤は、すぐ使う分以外も含めて多めに作っておきましょう。

 

 さあ、今まで積もりに積もった、

「今やらなくてもいいけどいつかやっておいた方がいい仕事」さん、

どこからでもかかって来なさい!

 

 

 

………………………………

 

 

 

 そしてまた1ヶ月経過ですよ。どう思います?スフィアちゃん。

 

「ゾネさんは、仕事と自分とどっちが大事?」

 

 仕事と私じゃなくて、仕事と自分の事ね。

かつての私が凝り固まっていた「生きるための仕事」じゃ比べ物にならないけど、

今やってる、趣味と実益が完全に一致した仕事ってのは……うん、

意外に私は、人生を仕事に捧げられる人間であったらしい。

 

 かつての仕事も、自分で選べた物であったら、

今のように充実した人生を送れていたんだろうな。もう終わった事だけど。

 

「どっちが大事って言うか、これが私だから」

 

 錬金術を、冒険を、お店を、酒場の依頼を、

知恵と勇気と錬金術で期待以上にこなして行くのが私、ゾンネンブルーメ・トロイメント。

今の私なら、「こうなるために産まれて来た」って言える。

しかし……。

 

「身体は正直?」

 

 うん、そうなんだよね。1日でやりたいことをやり尽くしてないのに、

先に身体が眠気をおぼえて、耐え切れなくなって眠らざるをえない。

 

 もう15歳とは言えまだ若すぎるからか、

それとも夜の明かりが皆無なこの環境がそうさせるのか、

実は日没後は家に帰って、参考書を読むか手仕事をするか、

仕事メモ書いたり見るかした後、すぐに寝てたんだよね。

そうせざるをえないとも言うけど。

 

「すぐに……?」

「いやその……体感ではすぐに?」

 

 まあ私が寝る時は家族は全員寝てるんだけどさ。

昔に比べたら全然夜更かしの実感が無いんだよね。

 

 やりたい事が無くてもなんとなく深夜まで起きていたかつての記憶、

やりたい事がいっぱいあるのに環境と身体の眠気で強制終了の今。

 

「多分、いい事なんだろうな」

 

 そして私は今日も、日没と共に家路を急いだ。

今日の夢は何故か、今の美少女の姿のままでコンビニバイトして、

停電で全滅したアイスを錬金術で作り直してドヤ顔する夢だった。

不思議と違和感はおぼえなかった。

 

 

 

………………………………

 

 

 

 私が通常営業の仕事をこなして、

妙な夢を見て寝顔でニタニタしている間にも歴史は進んで行く。

 

「賢者の石!?」

「うん、そうだよ」

 

 ククク……ヴィオラートさんがやってくれましたよ。

何と至極あっさり、何の前触れも無く、

「賢者の石」を作成してくださりやがりましたよ!?

 

「さすがヴィオラートはさすがヴィオだな……今回のでそれがよく分かったよ」

 

 思わず口調も乱れるってもんですが、そうだよ賢者の石の材料は、

「ドンケルハイト」「アルハイルミテル」「竜の舌」「地底湖の溜まり」の4つ。

十分な錬金術の技量が備わった今なら、いつでも作れるじゃないですか!

 

 「ドンケルハイト」は売るほど作ってるし、

「アルハイルミテル」はナナちゃんのお店で売ってる。

「竜の舌」は普通に採ろうと思うとドラゴンを倒して落とすのを期待するしかないけど、

これ食材なんで普通にダグザの釜から出てくるんですよ!

「地底湖の溜まり」も液体なんでゲヌークの壷から出てくるし、

いつでも賢者の石を作る条件は整っているわけです。

 

「……私も作る!」

 

 ヴィオラートのアトリエにおいてはただの通過点でしかない賢者の石ですが、

錬金術士の技術評価としては最高レベルではあるわけで。

ヴィオラートが作ったことがあって私が作ったことがないとなると、

なんか座りが悪いわけです。

「ゾネさんは色々やってる分錬金術の方は……」とか、

「ヴィオラーデン・ゾンネンの商人の方」とか言われちゃったりするかもしれないのです!

 

「こいつはメッチャ許せんよなぁ?」

「メッチャ許されない……」

 

 そろそろ冒険に行きたかった所だけど、

今しばらくスフィアちゃんには私のそばでなんか言うだけの仕事をしてもらって、

賢者の石をぱぱっと作ってしまいましょう。1つ作るだけで10日かかりますけどね。

 

 これが何かのお話ならここで何かあって、

イベントが起こったりモンスターが攻めてきたりしそうなものですが、

あいにく何事もなく、順当に私作成の「賢者の石」が完成しました。「賢者の石」良質、

【美味しそうな香り】【出来がよい+1】【大人向け】【珍しい+-0】【カッコイイ】

一応マイナス従属のない良質な賢者の石。

 

「やった……」

 

 錬金術士としての1つの到達点であり通過点。

レシピがあれば作れないものはないという証です。

 

 ここから先は違う次元、そう、レシピを発掘・開発して行く、

「錬金術ならどこまで出来るのか」という果てしない問いに答え、

錬金術の可能性に挑戦し続ける最先端の錬金術士となって行くのです。

 

 「技術者」から、「研究者」としての道が始まります。

まあまだ既存の知識とアイテムでやれることは残ってるので、

おそらくは……ゲーム原作の知識が役に立たなくなる5年目の終わり、

未知の6年目が始まる11月からは全てが新しい挑戦になることでしょう。

 

 まあ既に、商人とか村おこしの方面では、

そういう未知への挑戦が始まっちゃってるんですけどね。フライング的に。

 

 倉庫の方の整備もそろそろ一段落するし、

2号店ではクリエムヒルトさんが自主的に家庭菜園を広げています。

流石に木板と杭を使っただけの簡易的な設備ですが、

順次補強を欠かさなければ十分錬金家庭菜園として稼動出来そうです。

 

 どうやらクリエムヒルトさんも「何かのタネ」は一通り製法をマスターしたようですし、

今まであまり作っていなかった「サンゴ」「ゼグラス草」「世界樹の葉っぱ」

なども作っていけそうですね。

 

 さらに驚きなのは、アイゼルさんとヴィオラートと共同で、

「飛びカズラ」「ユウバナ」のタネの作成に成功したということです。

マジですか?どうやったんだろう。

 

 特に「飛びカズラ」の綿毛は「布材」として使える繊維植物なので、

これ1つでかなりの可能性が広がります。

 

 「ユーディーのアトリエ」のレシピでは「布材」カテゴリが存在するほど、

布系のアイテムがあったんですが、

ヴィオラートのアトリエでは「ジョロウグモの糸」だけで全てがまかなわれているのです。

何で隣国なのに入ってこないんだろう……。

 

 まあ、それはそれとして。やり残しがないように、

そろそろ残された「テュルキス洞窟」の攻略に取り掛かるとしますか。

 

 




ゾネさんの就寝時間は現代地球の常識的な早寝早起きの時間です(生暖かい目)
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