アイテム効果は大差なくて良いからもっと種類が多くてもいい
さあ、ヴィオラートがスカウト活動をしている間に私は、
新しいお勉強をしつつ更なるアイテム開発に精を出しますか。
少し思いついたこともありますからね。
この間手に入れた参考書、「今日の食卓」と「銘酒探訪の旅」ですが、
レシピ通りの素材が無くて作れないアイテムがありました。
主に足りないのは「みずあめ」で、その「みずあめ」を作るのに必要な、
「ザラメ」と「ベルグラドいも」がどこを探してもないのです。
これは「リリーのアトリエ」では店で買えるアイテムで、
ベルグラドいもは野生のものを採取も出来るのですが、
現状入手する手段がないのでアウトです。
なのでここは発想を変えて、リアル知識から代用品をひねり出すことにします。
ベルグラドいもははつまりでんぷんとか炭水化物ですから、
手に入りやすいもので言えば小麦粉で代用出来るでしょうか？
ザラメ……糖分なら乳糖かハチミツです。
比較的安い乳糖を作っておいて良かったですね。
これを「中和剤・緑」魔法の草から作った緑色の中和剤と混ぜ合わせて、
一応、みずあめは出来ました。
その後、完熟ひよこ豆でも出来ることが判明し、
さらに調査の結果、ベルグラドいもは別の色・別の名前ではありますが、
カナーラント王国にも存在することが分かりました。ホーニヒドルフで、
もう少し黄色・赤紫っぽい品種が細々と栽培されているとのこと。
そっちでいいじゃん……。
どうも気候的に涼しい場所で育つっぽいので、無理して栽培するより、
ホーニヒドルフからどうにかして運んだ方が良さそうです。
みずあめの需要次第ですけど、これは私が直接仕入れるか、
ファスビンダー経由の専用便を出す価値もあるかもしれませんね。
代用品でもみずあめが出来たので、
ザラメもベルグラドいもも代用可能と言うことがわかりました。
入手不可のアイテムは、
こうして一つ一つ素材を見つけたり代用品を探すしかありません。
もう一方の参考書のアルコール系の検証は、
ヴィオラートがやってくれていました。
「お酒の木の樹液」から「お酒のもと」を、
「お酒のもと」から「アルコール」を、
「アルコール」を使って「誘惑のカクテル」と「お酒アメ」を、
順々に作成したようです。
２人合わせてかなりの成果ですね。お酒系が量販登録出来たら、
ラフ調合を駆使してもっと色々な種類のお酒を作れたのですが。
そう上手くは行きませんね。
とりあえず「みずあめ」は先だっての食品系量販店に登録して、
市内のお菓子作りの礎になってもらうとしましょう。
「お酒アメ」の方は……リサかヴェルンの量販店に一応登録しておきますか。
このアイテム、甘くて口当たりがいい上に、
いつでもどこでも舐めれば酔えるっていう危険極まりないアメですので。
うちの街の、在庫量３０個の彼の量販店でばら撒かれたら大惨事確定です。
在庫上限５個と少なく、
人口も少ないリサの村の量販店に登録するのが一番ですかね。
リサ量販店への登録を終えて、
私が２号店でひさびさの趣味の店番を楽しんでいたその時。
ヴィオラートが仕事を終え、人を連れて来ました。
何故かホーニヒドルフから女の子を３人スカウトしてきたらしいですけど、
一体それどういうマジックなんですかね……。私にはとても出来ない。
しかしその詳細を聞くと、話は単純でした。
他の街に行くだけで危険な山道を何日間も行かなければならないホーニヒドルフ、
モンスターや盗賊対策のために冒険者に護衛を頼む必要もあるのですが、
普通の女の子だけであらくれ冒険者に護衛を頼んで、
あてもない新しい街に何日もかけて行って移住する……。
うん、いくらファンタジー世界とはいえ頭おかしいムボーなお話になりますね。
何か私達が似たようなことを散々やって来たって事実はさておいて。
私もヴィオラートも頭はおかしくない。私の正気は私が保証する！（自問自答）
さて、そんな状況に置かれたホーニヒドルフの街に、
颯爽と現れた我らがヴィオラート。私含めた今までの営業活動のお陰で、
当然顔は売れていて信用もばっちり。そのヴィオラートが、
「条件が合わなくても送り返すから大丈夫！今回は特別に、
（よく分からないすごいアイテム）での旅にご招待しまーす！」
（第三者目線意訳）
などと夢物語みたいな条件で誘って連れて来ちゃったと。
ああ、（よく分からないすごいアイテム）なんて見せられて、
完全に目が期待で輝いていますね。３人とも。
何も知らずにそんなもの見せられたら誰だってそうなる。俺もそうなる。
まあ、ヴィオラートの無自覚なパフォーマンスの甲斐あってか、
即日で話はまとまりました。いつもの月２００→４００のお店番見習いコース。
彼女たちはどうやらお裁縫系の技術が少しあるようなので、
将来的に、布系アイテムを扱う部門を任せたいな、と考えています。
布系の取り扱いが出来たら、竜騎士隊のアイテム取り扱い部門と合わせて、
専門の店舗を別に作るのもいいですね。
この子達の布系アイテムに、武器防具を販売する部門も合わせて……。
数年どころか５年以上先の話になってしまいそうですけど。
用地の確保だけはちょっと早めにやっておいた方がいいかな。
とりあえず、まだ拠点がない北側か西側……港の出来る北側がいいですかね？
いや、南側を軍港にしてもらう予定なので、
そちらにあるダグザの釜・ゲヌークの壷の集積地を移動させて、
竜騎士隊支部（中央寄り）から軍港（南側）への動線上で、
お店（予定）が目に入りやすくしたほうがいいかもしれない。そっちにしよう。
北側には、今用意出来る金額で大規模な倉庫……いや、
複数作ってちょっとした港付き倉庫街（拡張の意図あり）を建てておいた方がいいかな。
将来的に拡大したら、余った分は共用のレンタルか市営用に売り渡してもいいし。
そうなると収入がものすごく安定しそうだから、
その収入分で防潮堤建設事業でも始めて……。夢が広がります。
まあ、それこそ国家事業にまる投げすることになりそうな公共事業計画はいいとして、
私が今先にやるべきは倉庫用地の確保ですね。
今ならまだ、目端のきく商会あたりが嗅ぎ付けているかいないか。
安く済むといいんですけどね。
私のカロッテマ市整備計画事業（仮称）は将来の話です。とりあえずは、
ホーニヒドルフから連れて来た３人娘さんの雇用契約をちゃんと完了しておかないと。
一旦ホーニヒドルフに戻して、家族を交えて説明ぐらいはしておかないといけません。
見た目ただの美少女の私と……スフィアちゃんだけでは色々とアレなので、
大人の人……ユーディウスさんについて来てもらいます。
店員風の普段着じゃ駄目なんで、帽子つきの一張羅で来てくださいね？
え？それを言うなら私も？え？あの、ステファニさん、
その手に持ってるフリフリは……。
あーいけません！フリフリだらけで実用性皆無の、
小さい子が無理して淑女風ファッションを着込んでいるかのような、
豪華な羽根つき帽子とフリフリドレスは！あーっ！
……ガラスの靴まで揃えて、フリフリ一式を着せられてしまいました。
まあ、かわいいですけどね、私！
流石にこれで冒険の旅や日常生活を過ごす気にはなれませんが、
ここぞという時ならアリですかね。
とりあえずボロが出ないようにお淑やかな所作を心がけて、
ゆったりと動けばかなりいけてます。
ガラスの靴の内側には、しっかりと透明な緩衝材がくっついていて、
履き心地も良好です。まあ自作の作り置きなんですが……。
「それじゃ、行くとしますか」
３人の女の子とともに、ホーニホドルフに向かった私達。
私のワームコンパスの「白い霧が出る」仕様で、またまた３人は大興奮。
大騒ぎしながら白い霧と共にホーニヒドルフに乗り込み、ご家族と面会します。
……ハッタリとパフォーマンスの効果は偉大でした。
いや、ゴテゴテ着飾った見た目もさる事ながら、
ホーニヒドルフ広場にマジックミラーや白い霧を出して現れた、
私達のインパクトは大きすぎました。
親御さんに説明する３人娘達のテンションも合わさって、
親御さんも巻き込んでスゴイ！錬金術士！スゴイ！の連発。
いとも簡単に店員の確保に成功してしまいました。
確かに、例え現れたのが地球現代でも、場所によってはこんな大騒ぎになるよな。
ましてやファンタジー世界で。
ホーニヒドルフは平地が狭くて安心して出られる場所が少ないから、
広場に直接インというのはやむをえない事情だったんだけど。
また流行で、「現れた錬金術士！？」という噂が広がっている模様。
お前らそんなに私が気になるのか！？いい加減他の噂もしろよ！
………………………………
首尾よく他の街から従業員をスカウト出来たのはいいんですけど、
最近常に街の宿屋に空きがないんですよね。満員御礼です。
お陰で折角スカウトした３人娘の寝床が確保出来ません。
これもまた発展の代価か。
とりあえず３人娘の寝床は、
錬金ハウス（クサイ）か南の倉庫（クサイ）か２号店近くの倉庫（大体岩）
でいいですかね？……言っててなんか自分が嫌になりました。この案は没です。
候補としては、まだ空きがあるヴィオラートの家と、
大人の都合上空きがあるクリエムヒルトさんの家、
なぜか大人数が泊まれるようになっているシュトーラちゃんの家、
すぐ確保出来そうな所を選んで泊まってもらいましょう。
こうなってくると、うち専用の従業員宿舎が欲しくなって来ますね。
市長さんに頼んで長屋や集合住宅的なものを作ってもらうのもアリですけど、
それだと時間がかかりすぎますからね。もちろん頼んではおくのですが。
そういうのが出来るまでの時間を私が埋めないと……。
「ゾネさん、考え過ぎ？」
スフィアちゃんの一言でちょっと冷静になった。
私が埋めるのもアリですけど、別に埋める義務はないんですよね。
今の人数ならまだ頼んで泊めてもらうでもいいし、
集合住宅フルセットじゃなくて１件、あるいは一軒家数ヶ所程度なら、
かなり早く立ててもらえるし、何なら自力でも行けるでしょう。
何件もすぐには無理でも、そのくらいの資金はあります。
何か、下手に色々手に入れたせいで、
出来ることは今すぐ完全にやらなきゃ！と気負いすぎていたようですね。
反省反省。
実際の対応として、街の東側、２号店近くの、
変な形に余って売れ残っていた土地をまとめて安く買って、
比較的大きな地所に２階建ての住宅を建設します。
３～４人住めるので１件にまとまるのもいいし分散するのもいい……ですが、
元々友人同士だったこともあり、３人シェア一択ですよね、はい。
残りはまだ見ぬ従業員のために更地のままにしておきましょう。
とりあえず見習い期間は家賃無しです。その分見こんで給料安くしてありますし、
安いとこを絞るのは趣味じゃないので。何より手間かかりそうですしね。
見かけ上の売り上げよりも手間暇カットです！（切実）
とりあえず完成したら従業員宿舎に入ってもらうとして、
直近の希望を聞くと、シュトーラちゃんの家一択だそうで。
確かに、クリエムヒルトさんの家は空きがあるとはいえ、
「だんなさんの帰りを待っている」（無期限）の状態だし、
ヴィオラートの家はお店部分もさることながらバルテル兄さんが居るし。
となると、「たくさん増やしても泊まれるようにしてあるですぅ～！」
などとわけのわからない供述をしているとはいえ、
有能な先輩かつかわいい女の子１人（？）のシュトーラちゃんの家が、
一番安心して泊まれるのでしょう。
３人が変な技身につけて分身出来るようになったりはしないよね？
まあそうなっても何も問題はないが（思考放棄）
とりあえず３人はシュトーラちゃんに任せて、
私はまた新しい噂、流行への対処を考えることにする。
とりあえずミーフィスさんとカタリーナさんをまた呼べば何とかなるかな。
新しい人材はいっそフィンデン王国にも探しに行ってみるか？
行けるなら、その他の国にも行きたい所だけど。
そうなるとちょっと忙しすぎるかなぁ。ただ行くだけじゃ意味がないし。
私は白い霧を出して、ファスビンダーへと向かう。
ヴィオラートとアイゼルさんが抜けるのは痛いなぁ、
などと別の事を考えながら。
やっぱり錬金術士が欲しいよなぁ。
私一人じゃ仕事量的に無理ゲーになりそう。何とかならんもんかな。
原作でも多分酒場に宿屋があるんだろうけど、
自宅があるせいか宿屋で休むコマンド自体が無いから確認出来ない……