カロッテ村のゾネさん   作:おかひじき

31 / 34
カロッテ村東の海岸地形が実際どうなってるのかは、
マップ見ても細かい所が分からなかったので想像


防水系アイテムを作ろう

 

 さて、何かもう常に仕事が飽和状態ですけど、

ヴィオラートが旅立つ前に完成させておきたいアイテム群があります。

クリエムヒルトさんがしっかりと「何かのタネ」づくりが出来るようになって、

量産可能となった素材のうち、ゼグラス草を材料に使うアイテムです。

ゼグラス草は劣化しやすいのでそのままでは売り物になりませんが、

「防水袋」の材料になるという点が重要です。

 

 このアイテムは、

装備すると水中にアイテムを持ち込んでも劣化しない完全防水となっています。

つまりこの素材を利用すれば、防水系のアイテムが色々作れるって事です。

どうやら吸水系素材っぽい、ぷにぷに玉と組み合わせるのもありかな。

 

防水袋の材料自体にぷにぷに玉が含まれていて、

「ゼグラス草×2」「ゼッテル×2」「ぷにぷに玉」「中和剤」なので、

元々そういうことなのかもしれません。

 

 ぷにぷに玉は他作品ではぷにぷにを倒すか、

妖精の訪問販売を頼らざるをえない微妙にレアな素材アイテムですが、

ヴィオラートのアトリエでは「ダグザの釜」から湧き出してくる食材アイテムの1つで、

さらに発展後のカロッテ村では普通に買えるので、

今なら容易に手に入れることが出来ます。

 

 防水袋は素材の入手の容易さや、作れる個数が多いメリットがある割に売値が高いので、

そういう点で見ても狙い目ですね。まあ、袋だけで終わらせる気はないですけど。

ヴィオラートと共同で色々作ってみましょう。

 

 まずは何と言っても「水着」あるいは「ウェットスーツ」ですね。

どちらかというとウェットスーツの方が重要です。

全身が濡れずに水中で戦えるスーツは、冒険者の行動範囲を広げるのに役立ちそう。

幻影回廊が近くにあるこの地では需要があるんじゃないでしょうか。

 

 水中で動けるようになればローレライの鱗や真珠玉を狙うことも出来て、

港や倉庫街が出来て取引量が増えたら、安定してかなり稼げる仕事になるかも知れません。

 

 何よりも、私自身も気軽に海中のアイテム採取に行けるようにしたい。

まず最初に自分用です。小さいので使う素材も少なくて済みますからね。

 

 水着の方は……正直この素材での完成品が厚手で硬質過ぎて、

塗料や材質の変化も受け付けない強靭さがあだとなって話になりません。

ちょっとデザインを遊べる加工の自由度がないので保留です。

 

 まあ、魔物溢れるこの世界で自由な水遊びや水泳スポーツは元々無理があって、

専用プールか管理ビーチを作る必要があるので、

試作品が出来ても結局実用化が後回しになるのは同じだったんですけどね。

 

 とにかく、まず最初に私用のウェットスーツの開発に取り掛かります。

原案、図面に起こして型紙作りの段階までは私がリードして調子良くやっていたのですが、

裁断から仕上げまではヴィオラートの独壇場でした。

微妙に硬くて切りにくくて形を成型しにくいんですよ。

 

 記憶にあるウェットスーツに比べて、かなり厚みのあるものになっています。

変な先入観のないヴィオラートの方が、

元々分からないものとして試行錯誤してやれて上手く行ったと。

 

 んー、まあ、ちょっと加工しづらいのが分かったので、

これはオーダーメイドの1品ものですかね。しばらくは。

海中進出を狙う上級冒険者には売れても、

普通の漁師さんまでへの普及はまだまだ先になりそうです。

 

 最近あんまり冒険に行ってないし、海中素材が必要なら自力で行くとしましょう。

とりあえず、今の所このアイテムはこれでいいですかね。

 

 次は「雨傘」に挑戦してみようかと思います。

流石にあの細かい機構をちゃんと記憶に留めてはいなかったので、

木の板や棒に持ち手をつけて防水布を貼り付けただけの、

閉じられない傘っぽい何かになってしまいました。

 

 これ、作ったはいいけど取り回しが面倒なので、

私専用の試作品で終わりそうですね。そんな大きくないし。

 

 やるとしたら、防水素材を渡して、この閉じない雨傘を見せて、

どこかの木工職人さんに依頼すればいいのかな?

とんでもない高級品になってしまいそうです。

稼動部の再現が難しいんだよねぁ。これも何か上手く行かない、保留で。

 

 えーと、雨傘が駄目となると、実用的なのは、

武装したまま羽織れる大き目の「レインコート」です。

これは騎士隊に需要ありそうだけど、

頑丈で大きめで固定用ひも付きとなるとちょっと高価になるかな。

 

 廉価版として、

ひも状に加工した端切れ防水素材をマントの上に盛りまくった、

「雨避けみのむし」はどうかな。なんかしっくり来ない。

じゃあ「撥水性ミノマント」で。

 

 うん、レインコートとミノマントは、高級品と廉価版の住み分けで、

いい感じに売れそうな気がしてきました。

 

 ええと、あとは……「撥水シート」と「雨ぐつ」ですね。

撥水シートは中間素材の防水布をそのまま大きく取って、

それをシート状にすればいいのですが、

素材の値段が微妙に高いので、使い捨てレベルでの使用は見込めませんね。

濡れたら困る物、オークションに出てくる高額商品の保護にでも使いますかね。

 

 雨ぐつの方は、ロングブーツの類に貼り付けたり組み込んだりするんですけど、

サイズ調整が難しいですね。これも靴職人の人に案と素材を渡すだけになるかも。

そうなるとこれで儲けるのは厳しそう。なかなか上手く行きませんね。

 

 防水系のアイテム開発はここで一旦打ち止めにします。

モノになりそうなのは、高級一品モノのウェットスーツに、

一品モノという程ではないけど数量限定になりそうなレインコート。

 

 意外にミノマントは普及するかもしれませんね。加工も比較的楽だし。

 

 雨傘と撥水シートはもう身内というか私専用で、

雨ぐつは……ちょっと無し。下請けの素材屋扱いで、

量販店がやる仕事を抱えるような暇なんて私にはないので。

これはほら……まあ、これも私専用にしておきますかね。

 

 何かホラ、雨の日は雨傘と雨ぐつでってっていうイメージがあるんですよ。

何かまた勝手にキャラ付けされそうですが、

私はやりたいようにやる!不退転の決意!雨傘と雨ぐつは私用に作る!

 

 まあ、それはそれとして。

今はクリエムヒルトさんしかいないのであれですが、

こうなるとゼグラス草専用の菜園も必要になって来ますね。

漁師さん増やそうプロジェクトのためのウェットスーツが量産出来ていたら、

その心配は要らなかったのですが。

 

 ん?あれ?ゼグラス草って一応「食材」でしたっけ?

何で忘れてたんだろう。これは立派に、

「ダグザの釜」から湧いて出てくるアイテムの一つです。

これはランダムに湧いて来るので完全に当てには出来ませんが、

それでも量の確保は見込めます。

 

 そうですね……とりあえず東の端切れ土地の余りを、

錬金家庭菜園にしておきましょう。

タネ1つ2つでも育てられれば、錬金家庭菜園にはなりますので。

フラワー部門に人が増えたら、

研修がてらゼグラス草その他の素材を作ってもらいます。

 

 カロッテ村時代に農業をやってて、

今転職して収入が上がったはいいけど、

今の仕事に合わない……的な人がどこかにいませんかね。

 

 フィンデン王国のリサあたりで探すのもいいですかね。

倉庫を管理する人もあと少し探した方がいいだろうし。

 

 よく考えたら、私何でこんなに事業拡大してるんですかね?

私の当初の目標とはちょっと違うような。

 

 まあいいか。とりあえず、試作した防水系アイテムの試験が必要ですね。

 

 

 

………………………………

 

 

 

 というわけでやって来ました、カロッテマ市北海岸。

もう「獣人原」に近い場所まで、開発のための道路が準備されてますね。

海食崖と、その下にはちょっとした砂浜が連なっています。

北に行くほど砂浜が広くなって、

獣人原の北まで行くと完全に平坦な砂浜になるんですけどね。

 

 計画では、一番大きな大型船専用港を獣人原に近い砂浜部分に作って、

海食崖の谷間の1つ1つにも小さな港を作り、

そこの後方の街道近くに備えた大きな倉庫街から放射状の道と横断道路を繋げて、

そこを港業務の中心地にする予定だとか。

複数の港を近接させてハブ化するなんて誰が考えたんですかね。いえ私ですが。

 

 だって北の獣人原まで行くと遠いし、港の岸壁を1つに限定するには、

1つ1つの谷間が狭くて地形的に大きな港にならないし。

ちょっと海食崖地形なので道路を広げる必要がありますけど、

そのための爆弾は私が寄贈するので問題ありません。

 

 何だったら爆破だけは私がやってもいいです。

爆弾系アイテムの取り扱い経験と調合経験、

ある程度の数値が視覚化出来るメルクリウスの瞳は伊達ではありません。

かなり安く済むんじゃないですかね。多分。

 

 それはさておき、海食崖の谷間の小さな砂浜に降り立ち、

スウェットスーツを着込んで水中探索です。

今回の仲間は、私、スフィアちゃん、アイゼルさん、パメラさん。

ヴィオラート達は街でお留守番ですね。

 

 パメラさん以外はそれぞれ大きな防水袋を持ち、

エアドロップを使用しつつウェットスーツを着込んで、

アイゼルさんの用意してくれていた古典的水中眼鏡をつけています。

 

 素で忘れてた。そうですよね。水圧ありましたよね。

私のウェットスーツだけだと目の部分は、

ぷにぷに玉と防水布を色々混ぜて作った半透明膜で覆っただけだったので。

 

 ゴーグルだと邪魔だと思ったんですけど、

半透明膜だけだと水圧で張り付いて見えづらかったです。はい。

 

 今回は、海中探索自体の省力化という目的もあるので、

後で手入れが必要になるような武器やアイテムは使いません。

主火力になるのは魔法と、使い切りの攻撃アイテム。

それも材料を火薬に依存していない「クラフト」です。

 

 結局これも火薬材料カテゴリアイテムではあるので時間を置くと劣化しますが、

材料の「ニューズ」は火薬材料ではないただの堅い木の実で、

陸で保存するだけならいつまでも置いておけるし、何より実の状態なら火薬ではないので、

何か事故が起こっても「木の実がはじける」で終わり、

炎ダメージ系の爆弾のように副次的に火災が発生したりしない。これも重要です。

 

 火薬ではない、という性質なので工事に使うものではありませんが、

魔物対策として緊急生産したり、使い方とセットで騎士様に売るというのもいいかも知れません。

 

 ゲームでは序盤しか使わないクラフトですが、

メジャーな爆弾として普及しているのにはそれ相応の理由があったわけですね。

一応、過去にアイテム効果の水中試験は実証済みですが、

今回また再度確認しておきます。

 

 記憶にある通りのダメージ量は出ているようですね。

 

 今回何をしに来たんだろうと思っていたパメラさんは、

意外にも水中でも魔物の警戒に実力を発揮。

何かちょっとあったかいものが近づいて来たら分かるわーって、

本当に幽霊っぽい確認の仕方ですね。助かりますけど。

 

 さて、今回の隠し玉、

防水袋の中のクラフトをさらに1つ1つ防水袋で梱包した、

前世地球のお菓子系過剰包装の術はどうでしょうか?

 

 うん、私とアイゼルさんは問題なく使えていますね。

スフィアちゃんは……はい、予想通りというか、やはり駄目みたいです。

これはスフィアちゃんがどうこうと言うよりは、

錬金術士ではないから、でしょうか。

 

 やはり、一般の騎士様や冒険者にもお手軽にアイテム配って戦力強化、

とは行かないようです。ちょっとした専門教育が必要そうですね。

 

 ザールブルグでは、そういう系の教育もしてたってことでしょうか?

あの街の作品では確か、誰でもアイテムを装備して使うことが出来ましたよね。

こっちでも出来るといいんですけど。どうすればいいのかな。

 

 とりあえずやることはやったので海から上がって、帰りましょうか。

コンテナの中にとっておいた「井戸水」を秘密バッグ経由で取り出して、

ウェットスーツと防水袋を洗浄します。

 

 これ、人が増えたら海水浴場のシャワーみたいな施設を作って、

置いた方がいいかもしれませんね。

北の港が稼動してからの話ですが、ゲヌークの壷を使って……。

グラムナート式だとランダムに液体が湧き出す効果なので、

この用途には向かないですね。

ザールブルグ式の蒸留水が湧き出すゲヌークの壷を設置すればいいでしょうか。

 

 出入り自由だと盗まれそうですね。

壷の設置場所は隠してその水を流す形式がいいか。

うん、また1つ設置したい施設案が出て来ましたね。

今はまだその時ではありませんけど。

 

 




仲間にするとアイテム使えないのに、
お店に置くとそのアイテムがアイテム使えない人にバンバン売れて行く……
教授、これは一体!?

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。