松永正久
得意科目 なし
苦手科目 全教科
好きなもの 努力、 真面目な人、 ブラックコーヒー
嫌いなもの 怠惰、堕落した人、甘いコーヒー
特徴 ボサボサの髪 、青白い顔色、隈、死んだ魚のような目
文月学園2年Aクラス所属。
1日のほとんどを勉強に費やす。睡眠時間でさえも限界まで削っているため体調を崩すことがしばしばある。また、顔色が悪く隈が酷い。
努力して生きることこそが絶対正義だと狂信しており、努力を怠る者を忌み嫌う。そのためかFクラスを堕落の権化とみなしている。
自分のことをかなり下卑する傾向があり、それがますます勉強へと彼を駆りたてる。それは最早妄想域にまで達している。
彼の性格は生来のものではなく、中学時代のある事件を経て変わってしまった。
また、秀吉と優子とは小学校が同じで非常に親密な仲であったが正久が転校したため文月学園で再会。
名前の由来は近畿の戦国大名で梟雄と名高い松永弾正久秀。
口調のモデルは真・三國無双7猛将伝の陳宮。
4月上旬某日。
「1350年・・・観応の擾乱。1352年・・・半済令」
午前5時30分。
暦の上ではもうとっくに春が訪れているのだが、未だに早朝は肌寒い。
そんな中、まだ人通りがなく閑散としている文月学園への通学路を進む少年が一人いた。
彼は鞄を小脇に抱えながらお手製の年号カードを手にし、ぶつぶつと呟いてはめくりそしてまた呟きめくる、この一連の動作を延々と繰り返している。
器用にも道端の石やゴミ、電信柱を避けているところを見ると少年にとっては日常と化しているのだろう。
また、その少年の目の下にはある程度離れていてもはっきりとわかるぐらいの隈があるが、それは青白い顔色が引き立て役となっているためそう見えるのであろうか。
そうならばボサボサに伸びた髪と死んだ魚のように生気のない目もその一因に違いない。
「おはよう、松永。やはりこの時間に来たな」
「1069年・・延久のしょーーあ、これはこれは、西村先生。おはようございます」
そのままカードをめくりながら校門を抜けようとした少年、松永正久を呼び止める巨漢が一人。
文月学園補習担当教師にして生徒指導担当教師でもある西村宗一だ。
肌寒さをものともせずにスーツの上着を脱ぎいで腕捲りをしており、彼の趣味によって鍛え上げられた腕の筋肉があらわになっている。
「しかし、しかし相変わらずお早いですね」
「お前こそ相変わらずだな」
ため息をつきながら西村教諭が言う。
正久の入学当初は驚かされたものである。
いつも通り誰よりも早く学校に来たつもりだったのだが、閉ざされた校門の前で単語カードを手に待ち続けていたのだから。
それ以降は西村教諭の方が正久よりも一足早く来るようになったのだが問題があった。
「・・・松永、お前また徹夜したのか?」
「いえいえ、西村先生。昨日、というより今日ですが一応しっかりと仮眠をとりましたよ、30分ほど」
それは正久が勉強熱心過ぎるというものだ。
暇さえあれば勉強し、寝る時間を削ることをいとわない。
おかげで入学当初から日に日に正久は窶れ、顔色も悪くなっていった。
体調を崩したのも一度や二度ではない。
しかも、体調を崩してもなお登校してくるというもはや執念と言える勤勉さなのだ。
「その様子ではまた体調を崩すぞ?過ぎたるは及ばざるが如しだ。休むことも必要だぞ」
「ですが、ですが学生たる者努め励むのが本分。何より俺は他の皆さんと比べてできがよろしくない。まだまだ勉強が足りません。ですからたとえ、たとえ這いつくばってでも学校に行かなくてはなりません。一つでも多くの単語を覚え、一つでも多くの数式を解き、一つでも多くの年号を覚えねば。まあ、この間の振り分け試験では当日の朝、不覚にも40度の熱が出てしまいましたが。しかし、しかしなんとか持ちこたえました。おかげでそれなりに手応えはありましたよ」
正久は西村教諭の心配をはね除ける。
いつもこうなのである。
いくら言っても正久は方針を曲げない。
自分は勉強が足りないと言ってひたすら突き進んでしまう。
「まったく・・・・ほら、試験の結果だ」
今日もだめか、と再びため息をつくと西村教諭は片手に持っている箱の中から一枚の封筒を取り出し正久に渡す。
「体調が悪くなければもっとできただろうがな」
「いやいや、体調管理も実力のうち。こちらの落ち度というものです」
正久は封筒から一枚の紙を取り出す。
「ほう、これはこれは」
『松永正久 Aクラス』
この結果を見て正久は顔をしかめる。
「どうした、松永」
「おそらく、おそらくクラスでは最下位の成績なのでしょう。まだまだ勉強が足りないようですな。そうに違いありません」
「・・・言っておくがーー」
「嗚呼、嗚呼先程までの自分が恨めしい恨めしい!手応えがあったとは言いましたが慢心だったようです。これは、これは皆に比べて努力が足りないことの証左!。こうしてはいられません、一刻も早く取りかからなければ。それでは、西村先生、また。今度質問をさせていただきますのでその時は、その時はよろしくお願いいたします」
西村教諭の言葉を遮り、正久は髪を片手でぐしゃぐしゃ掻きながら校舎へと駆けて行った。
「お前は学年次席の成績だったんだぞ。頑張り過ぎだ」
西村教諭は正久の背を見ながら遮られた言葉の続きを呟く。
そして拳を握りしめる。
が、教師としての無力さがこみあげてきたためか自然と震えてしまう。
(いつになったら・・・どうしたら俺の言葉は届くんだ?)
何人たりとも正久の執念を霧散させることはできないだろう。
今までも、そしておそらくこれからも。
クズの補佐官の方も順次更新します。
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