・・・・・ちょっと見ないうちにお気に入り件数と評価数が倍になっていたのですが・・・・
何はともあれ、ありがとうございます。
これからも暇潰しにどうぞ。
『泣くなよ秀吉、男だろ?今生の別れじゃないんだ、また会えるよ。そうだ!今度また会った時はーー』
『模試で全国一位!?俺が!?』
『君のような優秀な生徒には是非ともうちの高等部に来てもらいたいね』
『頼む、松永。委員長を任せられそうなのは君しか居ないんだ』
『松永先輩、よろしくお願いします!』
『あ、ありがとうございます、委員長』
『権利というものは義務を果たして初めて主張できるんだ。ルールぐらい守れよ』
『そんなにくそ真面目に生きて何が楽しいんだか。うぜぇんだよ、松永』
『な、何で・ ・・・!?ーーが・・・・!!』
『ーー、申し訳ありません』
『そうだ・・・・そうですよね。俺や、ーーが間違っているわけがないですよね。間違っているのは・・・』
『く、来るな!!来ないでください!!』
『残念です。君も、このクズ共と同じなんですね』
『な、何をしているんだ松永!?』
『正当防衛を主張します』
『おい、聞いたか?奴等を病院送りにしたの、松永らしいぜ。あの優等生もおしまいだな』
『・・・・推薦の件、あれはなかったということで頼むよ』
『そうだ、ーーーに違いない。死ぬ気でやるんじゃなくて死ぬほどやれば良い!だってーー』
「夢、ですか」
「よう、やっと起きやがったか、おはようさん。まあ午後だけどな」
正久が目を覚ますと視界に入ったのは見知ったような天井と主治医である立花医師の顔だった。
調度患者の様子を診て回っていたのか、若い女性の看護師を連れており、彼女がカルテなどと思われる書類に正久の経過を記録していた。
「これは、これは立花先生。またお手数をお掛けしたようで」
窓から差す日光が眩しいのか目を細めながら言う。
「まったく、今回も前みたいにあの西村っつう熊みてぇな大男がお前を担いで走って来たらしいな。見ていた患者や職員の話じゃあ救急車より速かったらしいぞ」
「あの先生は文月学園では人外とまで言われていますから特段驚くことではないですよ。・・・・この花は?」
正久はベッドの隣に置かれた小台の上の花瓶に差された色とりどりのガーベラやチューリップを見て首を傾げる。
「昨日の夕方に親御さんが帰った後にお前の同級生だって言う4人の嬢ちゃんーーあ、一人は野郎か。その内の一人、優子って名前の子が持って来た物だ。・・・・かみさんに小言言われながらいろいろと心配されてる俺が言うのもなんだが、てめぇを心配している奴のことをちったぁ考えろや。・・・今のところは勉強だの何だのに固執する理由は問わん。親御さん、お前の保護者の了解が得られんからな。でもだ、これ以上酷くなるってんなら俺が全力で親御さんを説き伏せてでも止めてやる。お前んとこの教師達と一緒にな」
「最後通告ですか・・・・・気持ちだけはありがたく受けとりますよ」
「・・・・・もっとありがたがれや。んじゃ、次行くか」
「はい、先生」
立花医師は正久の顔を見詰めた後に、看護師に声をかけて病室を出ようとする。
しかし、
「あ、いい忘れてたな。お前、今週いっぱいはここで安静な。俺の権限で勉強道具持ち込み禁止。そこは親御さんも同意してくれたからな」
「は?」
「そういうことだから精々羽を伸ばせ。じゃあな」
そう言うと反論は許さんと言わんばかりにドアをピシャリと閉めて行く。
「・・・・・仕方がない、道具が無くても勉強できないことはありませんので。しかし、しかしまるで走馬灯のような夢でしたな」
「立花先生、松永君流石に驚いてましたね。口をあんぐりと開けちゃって」
病室を出た後、看護師が苦笑いしながら言う。
「そうかね?俺はそんなのより珍しいもんを見たと思うがな」
「?」
「あいつ、優子っていう嬢ちゃん達が見舞いに来たと聞いてほんのわずかだが嬉しそうに頬を緩ませたぞ」
「え?そうなんですか!?」
今度は看護師が口をあんぐりと開ける。
「まるでロボットみたいな野郎かと思ってたが、そんなことは無ぇ、やっぱりあいつもガキなんだな」
「そこは人間らしいとか言うところじゃないですか?」
「うるせぇ、俺に言わせりゃあいつだろうがお前だろうが皆ガキなんだよ」
「・・・・そういうことが口からでるとは、先生も歳ですね」
「誰が歳だ、俺はまだアラサーだ」
「四捨五入して40はアラフォーですよ」
「・・・・・そうか、お前、そんなに夜間当番の日を増やして欲しいのか」
「ちょっと!?パワハラですか!?」
「すまん、急に耳が遠くなったわ」
二人による不毛な言い合いは通りがかった看護師長に説教を受けるまで続いた。