バカとテストと召喚獣 狂気の努力家   作:24601

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溺れる愚者、狂信者の裾を掴む

「坂本とアキ、大丈夫かしら?学園長のところに行くって言ってたけど・・・」

 

「何らかの交渉のために赴いたのじゃろうな。正直ワシらだけではこの現状をどうにも変えられんからの」

 

「・・・・・現状では勝算が薄い」

 

康太が秀吉に同意する。

 

「かつては神童と呼ばれた雄二じゃ。何とかするじゃろう。明久は・・・・・・・・・・・・まあ、その、行動力はある」

 

「フォローの言葉が見つからなかったのね」

 

言いよどむ秀吉に美波が苦笑いする。

 

「それはともかくとして、じゃ。島田、ムッツリーニ、ワシもトーナメントに出ようと思うのじゃが・・・」

 

「木下も大会に?誰と出るつもりなの?」

 

「・・・・・俺は厨房(とムッツリ商会)の仕事で忙しい」

 

「ムッツリーニはダメか・・・」

 

ガックリと肩を落とす秀吉。

 

「土屋もダメならどうするの?正直に言ってウチのクラスの男子はあまり戦力にならないわよ?」

 

美波が指摘する。

 

そう、目的はあくまでもFクラスのイメージアップなのである。

 

この大会に出場する者の多くは賞品目当て、親しい友人との仲をより深めるため、思い出作りのため、純粋に自分達の実力を試すためなど、それぞれ狙いがあって挑戦するのだ。

 

しかし今回の目的を成し遂げるためには一般公開もされない序盤で敗退してしまっては何の意味もなく、とにかく勝ち進まなければ意味がない。

 

そうなると学力=戦力に乏しいFクラス生同士で組むのは論外と言わざるをえない。

 

「仕方がない。演劇部の部員に頼んでみるのじゃ」

 

「あ、待って木下!ウチも行くわ」

 

「・・・・・俺も」

 

校舎へと駆け出した秀吉の後に二人が続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから秀吉達は演劇部の部員のいるクラスをまわって頼みこんだのだがだれ一人として首を縦に振らなかった。

 

そして最後の一人であるCクラスの部員に頼みこんだのだが・・・・・・

 

 

「すまんな、いくら木下の頼みでもFクラスのために出るのはごめんだよ」

 

「頼む、お主で最後なのじゃ。そこを何とか・・・」

 

「お願い木下と出てくれない?」

 

「・・・・・頼む」

 

今までことごとく断られ、最後の一人である部員に三人が頭を下げる。

 

彼は真意を話しても部員は難しい顔をしたままであった。

 

「だから勘違いしないでくれ。木下と出るのが嫌じゃないんだ。ただその結果がFクラスを助けることになるのが嫌なんだ」

 

「どういうことじゃ?」

 

「木下、お前達は知らないのか?ここ最近流行ってる噂だよ。『Fクラスに味方する奴はAクラスの松永に潰される』ってやつ」

 

「正久に潰されるじゃと?」

 

「何でアイツの名前が出てくるのよ?」

 

「・・・・・そういえば聞いたことがある」

 

「だってほら、お前達FクラスがAクラスに戦争吹っ掛けたとき、姫路さん諸とも松永にやられたんだろ?『Fクラスに与する奴も同罪』とか言って。それにあの根本ですら手玉に取ったって話じゃないか。そこまで宣言して行動する力があってそれに化け物じみた点数だったんだろ?下手にFクラスに手を貸せば俺や俺のクラスにどんな被害が及ぶか分かったもんじゃない。俺だけじゃない、皆言ってるぞ」

 

「だから皆断ったってワケね・・・」

 

「し、しかしじゃな、このままじゃと姫路がーー」

 

「姫路さんのことは残念だけど、この話はなかったことにしてくれ」

 

そう言って彼はいそいそと自分のクラスに帰ってしまった。

 

「もう、なんなのよ!」

美波が恨めしそうに部員の背中に向かって毒づく。

 

「ここでも松永が邪魔をするなんて!」

 

「・・・・・影響力が強すぎる」

 

康太が美波に同調する。

 

「落ち着くのじゃ、二人とも」

 

「だって木下、アンタ演劇部の皆に断られたんでしょ!?どうするのよ!?このままじゃ瑞希の転校を止められないかもしれないじゃない!」

 

「いや、あと一人だけあてがあるのじゃ。噂に惑わされることも報復を恐れることもない人物が一人だけおる」

 

「・・・・・木下優子か?」

 

「いや、姉上は霧島翔子と出るそうじゃ」

 

「じゃあ誰なのよ?」

 

「うむ。元凶である正久本人じゃ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いったい何の用でしょうか?俺は忙しいのですがね」

 

所変わって屋上。

 

秀吉達三人に呼び出された正久は不機嫌そうに言いながら単語カードを捲っている。

 

「正久、単刀直入に言う。ワシと一緒に清涼祭のトーナメントに出てほしいのじゃ」

 

「・・・はて?俺と秀吉がですか?」

 

正久は手を止めて顔を上げる。

 

「頼むのじゃ、他の皆ーー」

 

「『Fクラスのイメージアップのために大会に出ようと思ったけど他の皆には噂を信じていたせいで断られた』、ですか」

 

「ち、ちょっと、何で知ってるのよ!」

 

「知ってるも何も、噂を流したのは俺ですので」

 

「な、何じゃと!?」

 

「なんですって!?」

 

「・・・・・!?」

 

淡々と言ってのける正久に驚きを隠せない。

 

「噂というのは非常に、非常に厄介な代物です。事実があることないことを巻き込んだせいで情報が誇張され歪められてしまい、それが広まってしまう。しかし、しかし利用する側にとっては心強いものです。なに、簡単なことですよ。俺は先の戦争でポーズ(姿勢)を示した。次に青空教室という見せしめを作る。後は少々お喋り好きな生徒にそれをひけらかすだけ。意外にも簡単なものです、特に学校という閉塞的な社会のなかでは」

 

「何でそんなことをするのよ!!」

 

「はあ・・・、何度も同じこと繰り返していうのも疲れるので答えはしませんよ」

 

『いい加減学習しろよ』という表情で美波を見る。

 

「で、秀吉。一緒に大会に出ろ、でしたっけ?姫路さんもしぶといですねぇ、未だに転校していないなんて」

 

「やはり知っておったか」

 

「・・・・・雄二の言う通り」

 

「アンタって奴は・・・」

 

「そう睨まないでくださいよ。口では姫路さんも同罪とか言いましたがね、青空教室は俺なりの彼女への配慮だったんですよ?」

 

「どこが配慮なのよ!?」

 

「志が低く、学力に乏しく、犯罪者紛いまでいて、切磋琢磨し合うレベルにないクラスメート達、そして劣悪な環境。そんな中で勉強するよりも他校の整った環境下で、勉強した方が彼女のためです。体調面でもね。そして彼女が去ったFクラスは戦争での大きな戦力を失い、卑劣下劣な策を講じるよりも勉強して戦力を上げざるをえない状況になる。また、俺達上位クラスは努力の成果である設備、安寧をFクラスごときに脅かされる危険性がさらに低くなる。ほら、多くの人の利益にかなって万々歳じゃないですか。もっとも、Fクラスの多数を占める怠惰なクズ共はますます腐るだけでしょうがね。腐った蜜柑にはお似合いです」

 

「で、でも!瑞希は転校なんて望んでないのよ!?」

 

「知りませんよ、そんなこと。仲良しこよししたいがために体調を崩して勉強ができなくなっては本末転倒でしょうに。彼女のことを本当に思っているなら、転校を阻止するのではなくて背中を押してあげるべきだと思いますがね」

 

「・・・・・・っ!!」

 

言い返せないためか悔しそうに美波は拳を握りしめる。

 

「やっとだんまりですか。今にも殴りかかって来そうでいささか不安でしたよ」

 

「・・・・・元凶がどの口を言う」

 

「元凶?姫路さんの転校話が俺のせい?違うでしょう。全ては勝手に戦争に挑んで勝手に負けた怠惰で愚かなーー」

 

「もう良いのじゃ、正久」

 

ターゲットを美波から康太に変えた正久だったが秀吉が手で制す。

 

「・・・行くぞ、島田、ムッツリーニ」

 

「ええ・・・」

 

正久に背を向け、とぼとぼと歩き出した秀吉に美波と康太が続

 

 

 

 

 

 

 

こうとしたの、だが

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?おかしいですね。俺は大会に出ないとは一言も言っていませんよ?」

 

「「「!!?」」」

 

正久の一言に驚くことに。

 

「じ、じゃあワシと一緒に出てくれるのじゃな!?」

 

「ええ、良いですよ。秀吉の頼みを無下にはできませんからね」

 

「ち、ちょっと待って木下!おかしいじゃない!コイツさっきまで瑞希を転校させる気だったのよ!?何でウチらに協力するのよ!?」

 

「・・・・・怪しい」

 

正久を訝しげに見る二人。

 

「なぁに、他愛もない理由ですよ。俺自身の思い出作りのためです。人生一度きりの青春を謳歌することなく勉強に捧げるのも悪くはありませんが、それではなんとも、なんとも味気ない。それに俺には親しい人は優子さんか秀吉しかいませんからね。誠に本当にこの上なく不本意ですがFクラスのイメージアップに繋がってもまあ今回はよしとしましょう」

 

「本当にそれだけなの?」

 

「ああ、嫌なら別に構いませんよ。その時はFクラスは姫路さんの送別会を開くことになりますが」

 

そう言うと今度は正久が教室に帰ろうとする。

 

「わ、分かったのじゃ。ワシと一緒に出る、それで良いな?」

 

「ちょっと木下!?」

 

「島田、ムッツリーニ、確かに納得がいかんのは分かるがワシらには後がないのじゃ。藁にもすがるしかあるまい」

 

「では、そういうことで」

 

不敵な笑みを浮かべて正久はその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

陰謀の舞台が今まさに整いつつある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




最近空いてる時間は録画した大河ドラマや刑事コロンボを観たり、司馬遼太郎作品を読んだりしているので遅筆になりつつあります。

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