一度さがったモチベーションがなかなか上がらなくて・・・・。
なぜか姫路さんに真・マッスルリベンジャー(知らない方は調べてください)をかけられた夢を見て更新しなければと思った次第です。
「よし、明久。着いたぞ」
「ああ、もう!いいかげんに放してよ、雄二!」
「ん?ああ、すまんな。引きずり心地が良くてつい。できることならこのまま学園中を引きずり回したいくらいだ」
「そんな心地があってたまるか!」
明久は自身の襟首を鷲掴みにしていた雄二の手を強引に引き離す。
「ん?・・・待て、明久。静かにしろ」
「え?」
乱れた襟を正しながら再び口を開こうとした明久を手で制し雄二が聞き耳を立てる。
『・・・商品の・・・として隠し・・・』
『・・・・こそ・・・勝手に・・・如月ハイランドに・・・』
すると学園長室の小綺麗な扉の向こうから何やら言い争っているような声が聞こえてくる。
「どうやら先客がいるみたいだな」
「でも何を話しているのかな?」
「さあな。まあ、中に学園長がいるのは確かみたいだ。よし、入るぞ」
「え?ちょっと、雄二?」
「失礼しまーす!」
流石に不躾に乱入するのはまずいのではないかと思ったーーなどという常識はなく、雄二は気にするような素振すら見せずドアをノックするとすぐに開けて中に入ってしまう。
明久が後に続く。
「本当に失礼なガキどもだねぇ。普通は返事を待つもんだよ」
呆れたようにため息をつきながら二人に目を向けたのは試験召喚システムの開発者にして文月学園の最高権力者である学園長、藤堂カヲルであった。
教育よりも研究という閉塞的な特徴を持つ分野に長ける人間であるためかクセのある人物である、というのが明久ら生徒が持つイメージだったのだが今の一言、仮にも自身の学園の生徒を面と向かってガキと罵ったことがそれが正しかったことの証左であろうか。
「やれやれ。取り込み中だというのに、とんだ来客ですね。これでは話を続けることもできません。・・・まさか、貴女の差し金ですか?」
二人の乱入を快く思わなかったのか生徒の前であるのにも関わらず学園長を睨み付けたのは文月学園のNo.2、竹原教頭だった。
「馬鹿を言わないでおくれ。どうしてこのアタシがそんなセコい手を使わなきゃいけないのさ。負い目があるというわけでもないのに」
「それはどうだか。学園長は隠し事がお得意のようですから」
「さっきから言っているように隠し事なんて無いね。アンタの見当違いだよ」
「・・・そうですか。そこまで否定されるならこの場はそういうことにしておきましょう。・・・それでは、この場は失礼させて頂きます」
決して穏やかとは言えないやり取りの後にそそくさと部屋を出ていってしまった教頭だったが、明久はその際の彼の仕草、部屋の隅に一瞬だけ目をやったことに首を傾げる。
「んで、ガキども。アンタらは何の用だい?」
学園長は再び目を明久と雄二に移す。
「今日は学園長にお話があって来ました」
「まったく、最近は来客が多いねぇ。私は今それどころじゃないのに空気を読んでもらいたいよ。・・・ああ、学園の経営に関することなら、教頭の竹原に言いな。それと、まずは名前を名乗るのが社会の礼儀ってモンだ。覚えておきな」
先ほど教頭が出ていったばかりのドアを顎で示しながら言う。
「失礼しました。俺は二年F組代表のーー」
「ほぅ、アンタが坂本でそっちのマヌケな顔をしているのが吉井かい」
「え?何で知っているんですか?」
「マヌケは否定しないんだな、明久」
学園長が自身と雄二のことを知っていたことに驚きの声を上げる明久。
「知っているもなにも、Aクラスに至るまでDクラスとBクラスを破る快進撃を続けてそのままの勢いで番狂わせを起こすかと思ったら、松永ってガキ一人に惨敗したクラスの代表と観察処分者の名前は学園の職員の間でも有名だよ。してやられたそうじゃないかい」
「・・・次は負ません」
松永という名前が出たとたんに雄二はくしゃりと表情を歪ませる。
「まあ先生方の報告を聞く限り、あのガキには行き過ぎた発言も見受けられるけどね、筋が通っている面もあるから今のところは奴に処分はないからそのつもりでいな。ウチは実力主義だからねぇ。・・・でも話ぐらいは聞いてやるよ」
「・・・ありがとうございます」
「礼なんか言う暇があったらさっさと話しな、ウスノロ」
「わかりました」
落ち着きを取り戻した雄二が続ける。
「Fクラスの設備について改善を要求しに来ました」
「そうかい。で?だから何だってんだい?今の設備はアンタらの自己責任じゃないのかい?」
「今のFクラスの教室は風が吹けばそのまま通り抜けるように、例えるなら学園長の脳みそのようにすっからかんでとても教室と呼べる代物ではなく、悪天候や強風で授業もままならない状態です。ああ、そういえば風といえば、風が吹けば桶屋が儲かるとは言いますが、学園長の場合は風が吹けば棺桶屋が儲かるといったところでしょう」
否、落ち着きを取り戻したというよりも今までの鬱憤を晴らさんとしているようである。
少しの間でも敬語を駆使していた雄二に何かあったのかと明久は内心疑問に思っていたのだが平常運転に切り替わったところで納得した。
「あ、申し訳ありません。学園長のように戦国時代から生きながらえている妖怪には棺桶など不要でしたね。とにかく、今の教室擬きはあなたのような老いぼれ、生ける屍はまだしも、現代の高校生にとっては危険かつふさわしくないと思われます。要するに、あのゴミみたいな教室のせいで勉強もままならず体調を崩す生徒が出てくるからさっさと何とかしやがれクソババア、ということです」
「・・・・・・・・」
雄二が繰り出す罵詈雑言など気にする様子も見せずに学園長は押し黙ったままであった。
まるで、何かを考え策を練っているかのようだ。
「あの、学園長?」
まさか怒りを買ってしまったのではないかと明久が恐る恐る尋ねる。
「(なるほど、そういうことならちょうど良いね)・・・・。よしよし、お前達の言いたいことはよく分かった」
「え?それじゃ、直してもらえるんですね?」
明久が表情を明るくする。
「却下だ。さっきも言った通りさね。ウチの学園は成績毎にクラスの設備が違うのが売りの一つであり学園の方針だよ。ましてや自滅したバカなガキ共の尻拭いをするのはごめんだよ」
「なんだとクソババア!」
「落ち着け明久。仮にも学園長だ、失礼だぞ。で、考え直していただけませんか、クソババア」
「・・・・お前達は本当に何とかしてほしいと思っているのかい?まったく、せかっちなのは社会で損をするって教わらなかったのかい?まだ話は終わってないよ」
学園長は呆れたような顔をしながらも続ける。