ダンジョンでブラフマーストラを放つのは間違っているだろうか   作:その辺のおっさん

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スカディ引けました、これでマーリン、孔明と揃った・・・


からQP集めなきゃ(使命感)




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第9話

カルキが風神(ヴァーユ)によって吹き飛ばされた時、自らの眷属と共にモンスターに追いかけられ必死なヘスティア以外のオラリオにいるすべての神々が確かに下界に介入してきた風神(ヴァーユ)の権能に気付き天を見上げた。

 

「カルキ…ヴァーユを怒らせたのか……?」

 

群集の主(ガネーシャ)は何者かによって逃げ出したモンスターへの対処を自派閥の団員に指示しながら誰にも気づかれずに呟き

 

「何故…ヴァーユが……」

 

『月と酒』を司る酒神(ソーマ)は趣味である酒造りの手を止め、前髪に隠れた眼を開いて天井を見上げ

 

「ヴァーユが介入してきた、ということは……」

 

極東の武神(タケミカズチ)はこのオラリオにあの領域の神々の関係者がいると確信し、急に天を見上げた姿を不思議に思ったのかこちらを見ている己の眷属に「何でもない、さあ、祭りを楽しむぞ!」と声をかけつつも内心ではその人物と手合わせすることを望み心躍らせ

 

「ヒヒヒッ、おいおい、面白いことでも起こるのかぁ~」

 

人工迷宮(クノックス)に潜む愉快神(イケロス)はこのオラリオで起こるかもしれない波乱に思いをはせ

 

「うーん、大丈夫なのかなぁ、エニュオの計画ってやつ」

 

闇派閥(イヴィルス)の主神となっている死の神(タナトス)は今後についての不安を覚え

 

「ば、馬鹿な…これでは私の『狂乱』(オルギア)が……」

 

酔っているはずの酒と狂乱の神(デュオニュソス)は酔いが覚めるほど顔を青ざめ

 

「ふん、あの神々のことなどどうでもいい、今はフレイヤだ……」

 

フレイヤに嫉妬するもう一人の美の女神(イシュタル)は興味なさそうにしつつも声が上ずり

 

「はん!あいつらの一柱が介入しようとアタシにゃ関係ないね」

 

嘯く貧窮の女神(ぺニア)は動揺を隠すように持っている酒を一気に飲み干し

 

「うーむ、もし今後もあいつらが介入するとなると金儲けどころでは……」

 

祭りにかこつけてアコギな商売をしている医神(ディアンケヒト)は今後、あの領域の神々が介入しないことを願い

 

「うむ…人間(子供たち)に被害がなければいいが……」

 

善良な医神(ミアハ)は人に被害が出ていないか心配し

 

風神(ヴァーユ)か…太陽神(スーリヤ)でなくて良かった……」

 

恋多き神(アポロン)は『神格』が高すぎる同じ太陽を司る神が介入したのではないことに安堵し

 

「むぅ…」

 

寡黙な鍛冶神(ゴブニュ)は錬鉄していた手を止め天を睨み

 

「どうなってるの!?」

 

≪ヘスティア・ナイフ≫を打ち終え、一息ついていた赤髪の鍛冶神(ヘファイストス)は動揺を隠しきれず

 

「う、嘘やろ…なんであの領域の神が……」

 

食人花を倒してアマゾネスの双子と別れ、残りの逃げ出したモンスターを【剣姫】と追っている、天界にいた頃に太陽神(スーリヤ)武神(インドラ)の喧嘩に面白半分でちょっかいを出し、その二柱から消滅させられる一歩手前まで殺されかけ、あの領域の神々の恐ろしさを骨の髄まで嫌というほど叩き込まれた道化の女神(ロキ)は震え上がり

 

「あの人間が…いえ、まさかね……」

 

自分を傷つけた人間があの領域の関係者ではと思った美と豊穣の女神(フレイヤ)だったがそんなことはありえないだろうと首を振り、今、格上の存在と向き合っている白兎に興味を移す

 

「ウラノス…?」

 

「まさか、あの神々の一柱が介入してくるとは……」

 

ギルドの奥、祈祷を捧げる「最高神」とも称されるウラノスは話しかけてきた黒衣の魔術師からの問いかけを半ば無視して、あの領域の神々が今後も介入してくる可能性について思い悩む

 

この神々以外の神々も期待、不安、動揺といった三者三様の反応を示す。ヴァーユが権能を使ったのはほんのわずかな時間であり、オラリオに住む人々は何も感じなかった。しかしオラリオにいる神々はこのオラリオに間違いなくあの神々の一柱が介入してきたという事実に少なくともこのオラリオで近いうちにナニかが起きるだろうという確信と不安を持ったのである。

 

***

その夜、とある裏通りにあるひっそりとした酒場にカルキは向かっていた。その酒場につくと「どうぞこちらに、お連れ様方はお待ちになられています」と通される。ガネーシャに呼び出されたためこの客が一人もいない酒場に来たカルキであったが、どうやら待っているのはガネーシャだけではないらしいと店の一番奥にある個室に入ると

 

「おお!待っていたぞ!カルキ!!」

 

「ガネーシャ…少し静かにしろ……」

 

そこにはガネーシャと前髪で目を隠した神がいた。カルキはガネーシャに「この神は・・・?」と問うと「ソーマだ」と返って来たのでなるほどそういうことかと納得し挨拶する

 

「お初にお目にかかるソーマ神よ、自分はカルキ・ブラフマンという」

 

「知っている…先ほどガネーシャからお前がこのオラリオに来た理由も聞いた」

 

どうやらこちらのことはある程度ガネーシャから聞いたらしい、そうなると、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「それで、今日の昼間感じたヴァーユの権能についてだが……」

 

「うむ!何をやったのだ?カルキ!」

 

やはり呼び出されたのは昼間、自分がヴァーユの権能によって吹き飛ばされた一件のようだとカルキはため息をついて答える

 

「なに、フレイヤ神の本質を“風”と例えたらヴァーユ神を怒らせてしまったようだ」

 

その答えを聞いたガネーシャとソーマはさらに大きなため息をつくと、

 

「大山鳴動して鼠一匹とはこのことか……」

 

「いや、炎や太陽、雷霆と称さなかっただけマシだったと考えた方がよいのではないか?もし風ではなくこれらに例えていたらいったいオラリオにどれだけの被害が出ていたかわからんぞ!」

 

どこか呆れたような安堵したような何とも言えない雰囲気となり呼び出されたことについての説明は終わったのでカルキが退出しようとすると

 

「まあ、待て!せっかくソーマが神酒を持ってきてくれたのだ!カルキよ、一つ付き合ったらどうだ!」

 

「私が造った…最上の神酒だ」

 

「神二柱から誘われては断る道理もないか……」

 

ガネーシャとソーマの神二柱から誘われては断れるはずがないと暫くガネーシャとソーマと杯を交わすカルキであった。

 

***

次の日、カルキは【ガネーシャ・ファミリア】の本拠(ホーム)の庭に生えている木の下でヨーガの体勢を取り瞑想していた。その姿を見て【ガネーシャ・ファミリア】の団員は「また働きもせずに・・・」と呆れていたが今回はガネーシャだけでなく団長であるシャクティまでもがカルキを擁護するので何事かと首をひねっていた。

 

その頃、カルキの魂は下界にはなく天界にあった。しかしその魂ははっきりとカルキの姿をしており、またしっかりとした足取りで目的の神々がいる場所に向かって歩いている。そして暫く歩いた後、カルキは体の前で両手を合わせ一礼する。

 

「偉大なる三柱神(トリムルティ)、並びにリグ・ヴェーダの神々よ、カルキ・ブラフマン、ここに参上しました」

 

恭しく挨拶をすれば、そこにはオラリオにいる神々とは比べ物にならない程の高い『神格』を持った神々が次々に音もなく現れる。その神々に対し、カルキは再び両手を合わせ、一礼してから

 

「では、オラリオで見つけた世界を担う可能性のある英雄と人語を話し、対話を望み、闘争を避けようとするモンスターの通称、異端児(ゼノス)についてのご報告をさせていただきます」

 

カルキはこの数ヶ月間で見つけた世界を担うことになるであろう英雄の卵と下界の可能性の一つとされる異端児(ゼノス)についての報告を神々に始めるのであった。




いや、本当にカーリーどうしよう・・・

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