ダンジョンでブラフマーストラを放つのは間違っているだろうか 作:その辺のおっさん
オリ主瞑想しとるし……天界行っちゃったし……
せや!もう一気にメインヒロインのとこまで行けばええやん!ってことで3巻入ります
ベル君………成長早すぎん?(今更)
カルキがヨーガの体勢を取り瞑想し、魂が天界にある頃、オラリオでカルキの正体について最も近づいていたのは美と豊穣を司り都市最大派閥を率いる女神フレイヤであった。
「……もう一度聞くわ、本当にあの人間が『とある神を怒らせた』と言ったら風が吹き荒れ、その人間を吹き飛ばしたの?」
「間違いありません、フレイヤ様」
「そう……ありがとうオッタル、いい情報だったわ…あと、もうあの人間には関わらないようにアレン達にもそう伝えて」
自らの眷属であるオッタルから報告を受けたフレイヤはその美貌をわずかに歪め、「下がっていいわよ」と言ってオッタルを下げさせ、椅子から立ち上がり、窓際まで寄ってじっと考える
「(まさか本当にあの人間が『リグ・ヴェーダ』の神々と何らかの関係が……?)」
昼間、ヴァーユの権能を感じた際に自分が思ったことが当たっていたということに驚きつつ最悪の事態を考えていた
「(まさかあの人間『リグ・ヴェーダ』の神々だけでなくあの
思わず自分が考えた最悪の事態を「そんなことはないだろう」と思い直し、今はあの
もし本当にあの人間と
***
瞑想を終えたカルキの瞼がゆっくりと開く、久しぶりに当たる光に目を細めていると、こちらに向かってくる気配があるのでその方向を見るとゆっくりとした足取りでガネーシャが来ていた
「今回は随分と長かったな!カルキ!まさか20日も瞑想を続けるとは!……やはり
最後の方は小声で聞いてくるガネーシャに対し
「そうか、今回は20日もかかったか……いや
その答えにガネーシャは安心する。あの
「ならば何故こんなに長くかかったのだ?天界で一体何があった?」
今回瞑想を行いカルキの魂が天界にいたのは20日、普段ならば数日で下界に戻るはずなのに今回は異常と言っていいほど天界に長くいたのだ。そのことについて疑問に思ったガネーシャが尋ねると
「いや…スーリヤ神がいの一番に認めたから……な」
どこか疲れた表情で答えたカルキにある神のことをガネーシャは察する
「あっ……インドラか」
そう、
実はこの太陽神スーリヤと武神インドラは好敵手であると同時に不俱戴天の敵でもあり、しょっちゅう喧嘩という名の殺し合いを行ない、どちらかが右に行けば一方は左に、片方が正義につけば片方は悪にというような形で常にお互いに張り合っている間柄なのである。さらにタチの悪いことにこの二柱、自分たちの戦いに
そんな二柱がよりにもよってこのタイミングで喧嘩を始めてしまい、他の神々が止めさせようとすると「お前たちは黙っていろ」と言わんばかりに二柱から攻撃が飛んできたことにカチンと来たらしい炎神アグニや先日下界に介入した風神ヴァーユ、医神アシュヴィン双神、技巧神トヴァシュトリ、アスラ神ヴァルナ、冥府神ヤマ、財宝神クベーラ、司法神ダルマ、蛇神ナーガといった『リグ・ヴェーダ』の神々までもが喧嘩に乱入、さらには
「ガネーシャ神よ、あの二柱の仲の悪さはどうにかならないのか」
「無理だな!あの二柱の仲の悪さは折り紙付きだ!それこそロキとヘスティアのようなものだろう!」
「あの二柱の関係とは比べものにならないのだが?」
どうやらガネーシャからすればスーリヤとインドラの関係とロキとヘスティアの関係はそう変わらないらしい。「やれやれ」と呆れつつ固まった体を伸ばしながらふと思ったことをカルキは話す。
「もし、スーリヤ神とインドラ神が人間との間に子供をもうけたら、あの二柱の仲の悪さまで引き継がれそうだな」
「ハッハッハッ!体からバキバキ、ゴキゴキ鳴ったらいけない音が鳴っているぞカルキ!あの二柱に子供が出来たらならばそうなるかもな!ハッハッハッ!」
腰に手を当てながら大笑いするガネーシャに「いや、笑えないのだが……」と思うカルキであった。
***
さて、凝り固まった体をほぐすには体を動かすしかないのだが、そうなると十二分に体を動かせる場所はダンジョンである
が、ガネーシャに天界であったことや天界でヴィシュヌに追加の依頼を受け、それがオラリオ外での依頼であるため旅支度やオラリオ外に出る許可申請書類の作成をせねばならずその準備に2日かかり、準備も終わったのでオラリオの大通りを歩いていると
「なあ、知ってるか、今、【猛者】が17階層にいるらしいぜ」
などという会話が耳に入ったのでこっそりと盗み聞きすると、どうやら【猛者】が17階層に駐留し何やらミノタウロスと戦い続けているらしい、いや、あれは
「(なるほど、どうやらあの
フレイヤやオッタルがベルがミノタウロスにトラウマを持っていることをカルキも気づいていた。だからこそフレイヤはベルにミノタウロスをぶつけようとしていると判断できる。
「(さて、今からミノタウロスを鍛えないとな)」
そう思ったカルキはすぐにダンジョンに向かったのであった
***
封じ込めていた大型のカーゴから自分を解き放った冒険者数人をここ数日で自分を鍛えたあの
「なるほど、このミノタウロスがあの求道者が鍛えていたものか」
こちらに近づきながら自分に声をかける者がいる。そちらの方を見てみると、あの猪人よりは小さい黒髪黒目の男、防具はつけておらず武器も持っていない、ならば新しい自分の獲物だと大剣を振りかぶり男に向かって振り下ろすが
「ふむ、どうやらある程度は鍛えられているようだ」
思わず猛牛は目を見開く、そこには自分の一撃を左手の人差し指と中指で挟んで受け止めた男が立っていたからである。とっさに後ろに飛んで距離をとったがそれでも一瞬で詰められると野生の本能で感じ取った
この男は自分よりあの猪人よりも強い遥か格上の存在であると
『ヴ、ヴォォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオ!』
だが猛牛は自らを鼓舞するように咆哮を上げ格上の男に向かっていく、そんな猛牛を真っ直ぐ見ながら
「さて、一夜漬けでどこまで鍛えられるか……」
薄い笑みを浮かべながらカルキは猛牛を鍛えるのであった
ダンまちの押しも押されぬメインヒロインは紐神でも小人でも狐人でも正義の妖精でも酒場の町娘でもペタンコアマゾネスでも金髪女剣士でも美の女神でもなくあの猛牛だと思う