ダンジョンでブラフマーストラを放つのは間違っているだろうか 作:その辺のおっさん
ベル君、ブラフマーストラでも一発キメとく?
あと、申し訳ございません、ちょっと独自設定を入れさせてもらいます。
ダメだと思ったら感想の方にお願いします
意識を失い倒れているオッタルから背を向け地上へ向かおうとするカルキは数歩歩いてから、はたと気付く
「(……ここに求道者を置いて行っていいのか?)」
敗者に手を貸すのはその者の誇りを汚すものではないかと考えたカルキであったが、ベルが試練を乗り越えた今、恐らく動けないベルとサポーターらしきリリと呼ばれていた少女を運んで【剣姫】と【ロキ・ファミリア】の幹部の誰かがもうすぐやって来ることは容易く予想できる
「(もし都市最強と呼ばれているこの男が倒れ自分がいないとなるとな……)」
間違いなく自分がオッタルより強いことが【ロキ・ファミリア】にバレる。そうなると間違いなく面倒ごとになるとカルキは思い至った
「(それに、あの
どうやらあの
「(この求道者もわずかに息があるようだが【フレイヤ・ファミリア】の
あの女神への牽制にはなるだろうと、カルキはわずかに息のあるオッタルを左肩に担ぐと地上に戻るべく歩き出した
が、その場に残った血だまりはそのままであったので、カルキが去った後、気絶したベルとリリを運んできたアイズとリヴェリアがその血だまりを目撃した結果、【ロキ・ファミリア】の間に
***
「そーいや、白髪頭で思いだしたけど結局あの連れは
唐突に思い出したかのようにベルの連れの男について店の仲間に質問したのは『豊穣の女主人』の店員で栗毛の毛が特徴の
「そういえばそうニャ、あの少年と同じ【ファミリア】ってわけでもないみたいニャ」
「ほーら、そこの猫二匹サボってるとまたミア母さんにどやされるよ」
昼の修羅場が終わり、夜の仕込みへと移ろうかとしているのに仕事もせず呑気に聞いてくるアーニャに答えた二人の女性は黒髪の猫人クロエ・ロロ、そして質問にかこつけてサボろうとしているバカ猫を注意しているのは
「だって、結局あれから白髪頭はシルに昼飯たかりに来るのにアイツはあれから一度も来てないニャ、不思議に思うのは当然ニャ」
「確かにおかしいけど…」
「きっと、酔った勢いで【ロキ・ファミリア】に喧嘩売ったことに気付いて今頃は部屋の隅っこでブルブル震えてるニャ、ニャハハハハ!」
「…ハァ」
つい仕事の手を止めて話してしまうワケあり酒場三人娘に小さなため息をつきながら近づいてきたのはエルフの少女リュー・リオンだ。ちなみに【ロキ・ファミリア】との一件の際、カルキは酔っておらず素面である
「何ニャ?リュー、お
「いいえ、それより」
こちらに来たエルフも自分たちと同じようにベルの連れが気になっているのかと尋ねるアーニャにリューは否定しながら、店のある一方向を指差す
「「「?」」」
三人が頭に疑問符を浮かせてリューが指差した方向を見てみると
「いつまでサボってくっちゃべってんだい!このバカ娘共ォ!!」
「「「ヒイイイイイイイイッ!」」」
案の定、店主のミアに三人揃ってどやされ、そんな光景を見て笑いあう他の店員たち
そんな普段通りの『豊穣の女主人』の日常であったが、唐突に中庭に出るための裏口がドンドンと叩かれ、その場にいる全員が一体何事かと思う中
「チッ、一体誰だい?裏口なんて叩く奴なんてアーニャ、ちょっと見てきな」
「了解ニャ」
こんな時間に酒場の入り口から入らず裏口叩く奴なんて碌な奴じゃないとミアはアーニャにみてくるように言い、アーニャは軽い足取りで裏口へと向かう
「ハイハーイ、どちら様ですかニャ?」
「……確か槍使いの猫人だったか」
「ニャニャニャ!お、お
扉を開けたら今まで噂をしていた奴がいた。そんな状況になったらアーニャでなくても驚くであろう、しかし、アーニャにとっては聞き捨てならないことを目の前にいる男はサラリと述べたのである
「……お
眼を細め、返答次第によっては…という雰囲気を纏うアーニャに男はその殺気を軽く受け流しながら
「見たらわかるだろう?そんなことは」
さも当然のことのように言う目の前の男にアーニャの警戒心は最大まで上がっているが、そこに「なんだなんだ?」と他の店員もやって来た
「ふむ、丁度いいか…例えば、今来た黒髪の猫人は短剣、
「「「!?」」」
自分の得物と戦闘スタイルを言い当てられたクロエ、ルノア、リューは男に対しアーニャと同じように警戒心をあらわにする
「なんだい?アンタ、ウチの娘たちを脅そうってかい?いい度胸してるねぇ?」
店の奥からは怒りを露わにミアが出てくるが、男は全く気にした様子もなく
「どうしてそうなるのか分からないが……実は頼みがあってきたのだが、良いだろうか」
「へぇ…人にもの頼む態度じゃあないね」
頬を引きつらせながら言うミアに
「なに、大したことではない、この求道者の治療をと思ってな、ここはフレイヤ神、ひいては【フレイヤ・ファミリア】とも近しいだろう?」
そう言って、床に投げ捨てられた人物を見て『豊穣の女主人』の店員達はミアを含めて目を見張る
「……お【猛者】」
声を出すことが出来たのは誰だっただろうか、都市最強冒険者が全身から血を流し、腹には穴が開き、意識を失い倒れているという現実にその場の誰もが一言も発せない中
「では、頼んだ」
とだけ言って男は背を向けたかと思うと、今だ呆然としている店員達を尻目にふっと蝋燭の灯が消えるように店員達の前から消えるように移動したのであった
***
ようやく正気を取り戻した『豊穣の女主人』の店員達がオッタルの治療を慌てて始めた頃、カルキは【ガネーシャ・ファミリア】の本拠へ向かいながら、ふとあの酒場にいたエルフについて思い出していた
「(そういえば、あのエルフの行動がきっかけになってルドラ神は天界に送還されたのだったな)」
元々、このオラリオにいた
「(まあ、それで自分がオラリオに来ることになったのだがな)」
つい自分がこのオラリオに来ることとなったきっかけを作ったエルフを思い出したカルキはそのエルフがいたファミリアについて考える
「(しかし『正義』を掲げるファミリアとはな……『正義』なぞ生まれや立場、組織、国、時代そういったもので誰かに受け継がれることもない常に移り変わる危うさを含んだ只の価値観でしかなかろうに)」
別にカルキは『正義』を掲げることを過ちだというつもりは微塵もない、だが、『正義』とはあくまでも価値観でしかない。時代が変わり価値観が変われば『正義』など簡単に変わるものである。そして行き過ぎた『正義』は『悪』となる危うさも含んでいる
恐らく、そのファミリアも『何が正義なのか』という考えを常日頃から討論し、考えていたのであろう、そしてジャガーノートに襲われた際はエルフを生き残らせることが『正義』と称し笑って散ったのであろう。その結果、生き残ったエルフは復讐者となり『正義』と称した凄惨な事件を起こし、このオラリオで『悪』とされる・・・なんと皮肉の効いた結末だろうか
「(……まあ、もういない者たちのことをを考えても詮のないことであるか)」
最早この世にいない者のことを語っても意味はない、生き残った者だけが正義は語れるとカルキが考えているとどうやら【ガネーシャ・ファミリア】の本拠についたらしい
「おお!戻ったか、カルキ!どこに行っていたんだ?」
ビシィ!とポーズを決めながら問いかけるガネーシャに苦笑いしながら「ダンジョンだ」と答えると、「そうか!」と納得しながら、懐から一枚の紙を出し、カルキに渡す
「これがオラリオの外に出る時の通行許可証だ!……それでオラリオ外での依頼とは何だ?」
そう小声で聞いてくるガネーシャにカルキは天界へ赴いた際、ヴィシュヌからの依頼をガネーシャに話す
「行先は
ヤレヤレと少し呆れた様子で話すカルキは、翌日には
ルドラはシヴァと、カーリーはパールヴァティーと同一視されている→せや!シヴァとパールヴァティーの分霊にしたろ!という安直な発想
もし、カルキがオラリオで暴れて豊穣の女主人にも被害が出たら、自分の過去の行動によってカルキがオラリオに来たと知ったリューさんはどんな顔をするんでしょうかねぇ(ゲス顔)
ちなみにルドラは天界に還った後、恥をかかせたということでシヴァに消されました