ダンジョンでブラフマーストラを放つのは間違っているだろうか 作:その辺のおっさん
「似合ってるぜ、ベル君。恥ずかしがらなくて大丈夫さ」
そわそわとするベルにヘスティアは気楽そうに告げる。が、ベルは気恥ずかしさだけでなく自分たちの
「でも、神様、カルキさんに僕たちの
そう、『神の宴』に参加するため
「なぁに!大丈夫さ!美味しいお土産を持って帰ったらきっとカルキ君は喜んでくれるさ!」
ドレス姿だというのに手にしているのはカルキへのお土産を詰めるためであろう、タッパーを持っているヘスティアにベルだけでなく一緒に来たミアハやナァーザもつい微笑を漏らした
「さあ、エスコートを頼むぜ、ベル君?」
「は、はいっ!」
ヘスティアから差し出された手を恐る恐る取ったベルは、緊張で思わず息をのむ。意を決したように前を向くと足を一歩踏み出し、周囲に倣い、ヘスティアとナァーザ、2名の女性をミアハと共にエスコートして【アポロン・ファミリア】主催の『神の宴』が行われる建物の中へと足を踏み入れていった
***
「(アポロン神か………確かソーマ神のファミリアの団長と接触していたと言っていたが…)」
【ヘスティア・ファミリア】の
「(確かアポロン神はスーリヤ神と同じ太陽を司る太陽神だったはず…しかし、何故かスーリヤ神はアポロン神を毛嫌いしていたな…あれは何故だ……?)」
スーリヤは基本的には万人の在り方を受け入れる神である。また、寛容な神の一柱でもあり、実際、カルキが先日天界に赴いた際、
また、神は自分以外の同じものを司る神を敵対視する傾向があるがそんなこともせずアマテラスやルーといった他の太陽神とも友好的な関係を築いている程寛容なのである。さらには、施すことを善としており、例え自分と初対面のものであろうと困っているものがいれば手を差し伸べる正に生命を育み、あまねくものを平等に照らす太陽そのものと言っても過言ではない神である。
「(恐らく、インドラ神が困っていたとしても日頃のことなど関係なしに手を差し伸べ、自分がかつてヴィシュヌ神の試練としてインドラ神とスーリヤ神の喧嘩の仲裁に赴き『邪魔をするな』と攻撃され二柱を相手取った後、謝罪をしに行ったら逆に謝罪され自分を認めてくださった程の神があそこまで嫌う理由は何だ……?)」
つい誰もいない廃教会の地下室で一人で考え込んでしまうカルキであった
***
「あ、あのっ、ヘルメス様っ」
「?どうしたんだい、ベル君?」
ヘルメスから『三大
「ここ最近、神様たちが話している『リグ・ヴェーダ』って何ですか?」
「え?あ、えーと…説明していいのかなぁ」
軽い気持ちで聞いたはずなのに、何とも言えない表情をするヘルメスにどうしたのだろうかと疑問に思うベルだったが、やがて話す決心がついたのか先ほどより真剣な顔になってヘルメスは話し出す
「まあ、わかりやすく言うなら天界にいる、とある神々が所属している集団の名前かな」
「神様たちの集団の名前……?」
「ああ、オレやヘスティア、ヘファイストスなんかは『オリンポス』っていう集団に所属しているし、ロキやフレイヤ、ミアハは『アースガルズ』の所属って感じで、まあ、領地の近しい神々が集まって組織みたいなものを天界で作っているのさ」
「じゃあ、その『リグ・ヴェーダ』というのもその一つなんですね」
「ああ、ただ『リグ・ヴェーダ』は異質でね」
「異質?」とベルが首を傾げるとヘルメスは「まあ、前提から教えよう」と話を続ける
「神々の中で神格が高く実力のある神は『大神』と呼ばれている。まあ、オレ達『オリンポス』ならさっきも言ったゼウスやヘラ、今はギルドにいるウラノスなんかがそう呼ばれていて、だいたい各集団に一柱か二柱は少なくてもいるんだが…」
手元のワインを一気に飲み干す。まるで飲んででもいなければやっていられないという雰囲気のヘルメスに自分はヤバいことに首を突っ込んでしまったのではないかと今更ながら焦るベルにヘルメスは続けて
「『リグ・ヴェーダ』には『大神』と呼ばれる神はいないんだ」
思わず「………へ?」という間抜けな声を出すベルに「どういう意味かわかるかい?」と目で聞いてくるヘルメスに
「ええと、神格が高くて実力のある神様が『大神』って呼ばれていてそう呼ばれる神様がいないってことはその…神格の低い神様たちの集まりなんですか……?」
『大神』と呼ばれる神がいないということは神格の低い神々の集まりではないのかと聞くベルに首を振ってヘルメスは答える
「いいや、違うぜベル君、むしろその逆さ」
「……逆?」と首を傾げたベルが何かに気付き、「まさか」という顔をするベルにヘルメスは頷く
「そう、『リグ・ヴェーダ』の神々は全員の神格・実力が『大神』
ゴクリと喉を鳴らし緊張するベルにヘルメスは所属している神々を教えていく
「創造神ブラフマー、維持神ヴィシュヌ、天界最強とも称される破壊神シヴァの三柱からなる
「じゃ、じゃあ、ここ最近神様たちが話をしてるのは………」
「まあ、これは内緒なんだが」と前置きしてヘルメスはベルの耳元に近づき小声で今、オラリオにいる神々が危惧していることを小声で教える
「実は『怪物祭』の時にリグ・ヴェーダの神々の一柱、風神ヴァーユがこのオラリオに天界から介入してきて、これからあの神々が介入してくるんじゃないかって皆不安なのさ」
自分がシルバーバックと闘っていた時そんなことが起きていたなんてとベルは驚き、ふと湧いた疑問をヘルメスに聞く
「……もし、その『リグ・ヴェーダ』の神々がこのオラリオに来たらどうなるんですか……?」
「まあ、敵と認識されたら、『リグ・ヴェーダ』の神々一柱だけでこのオラリオは……滅ぼされるね、なすすべもなく」
***
「ただいま!!カルキ君、これは君へのお土産だ!あぁーっ!!何のつもりだあの
『神の宴』から帰って来たヘスティアが随分不機嫌で自分にお土産であろう料理が詰められたタッパーを3つ渡した後、蟹股で自室に戻る女神の後姿に「いったい何があったのか」と一緒に行っていたベルに聞くと「ええと…」と気まずそうに答えた
「なるほど、【アポロン・ファミリア】は最初からベルを己のモノとするために動いていて、それにベルは綺麗に嵌められたと……」
「うぅ…す、すみません…」
「いや、別に責めてはいないのだが」
大体の概要を聞き、アポロンの執着心に呆れつつ、何故スーリヤがあそこまでアポロンを嫌っているのかようやく理解した
「(なるほど……他者に施すことを善とするスーリヤ神と気に入った者を手元に置きたがり、他者のモノであれば力づくでも奪い取るアポロン神、確かに対称的だ・・・さらには自分より神格が低い太陽神………これは流石のスーリヤ神も嫌うだろう)————ッツ!」
「あの…カルキさん?」
どうやら驚かせてしまったようだ。不安そうに聞いてくるベルに苦笑しつつ
「なに、気にするな、それよりも、どうする?おそらく【アポロン・ファミリア】は明日の朝には仕掛けてくるぞ」
「えっ!?」
「気付いてなかったのか」と冒険者とはいえ年相応に甘いベルに仕方がないと思いつつ、
都市部での逃げ方を教えて仲間との合流ポイントを決めさせ、へスティアに協力してほしい旨を書いた手紙を一筆書いてもらい
それを【ミアハ・ファミリア】と【タケミカヅチ・ファミリア】に届け、ベルから教えてもらったリリルカ・アーデとヴェルフ・クロッゾに会いに行き、ベルが決めた合流ポイントを伝え、【アポロン・ファミリア】の襲撃に備える手伝いをした後
【ガネーシャ・ファミリア】の本拠に戻ったカルキはすぐに瞑想を始めた
「いや、流石に唐突に頭の中に話掛けられると驚くのだがな……スーリヤ神よ」
カルキが瞑想を始めて数分後、カルキの精神世界の中に入ってきたのは本来、天界にいるはずの太陽神スーリヤであった
「それで、一体自分に何用でしょうか。スーリヤ神よ」
そう胸の前で両手を合わせ一礼をするカルキにスーリヤはある命令を出したのであった
ダンまの劇場版を見るたびに思う。
アルテミスの弓とヴィジャヤってどっちが強いんだろうって