ダンジョンでブラフマーストラを放つのは間違っているだろうか 作:その辺のおっさん
………なんということだインドなのに
今回、またキャラ崩壊しているけどお許しください
「ひ……は……あ…………」
【ソーマ・ファミリア】が独自にダイダロス通りに所有している酒蔵、ソーマが神酒づくりを行っている部屋で一人の
「……リリルカ・アーデ」
「…ひゃ、ひゃい……」
主神であるソーマから起伏の少ない声で自分の名前を呼ばれた少女は声を震わせ裏返しつつも何とか返事をする。しかし、そうなるのも無理はないだろう。今、彼女が座り込んでいる近くにあるのは、両足があらぬ方向に曲がり、力なく床に倒れ伏す自分をここに拉致した【ソーマ・ファミリア】の団長ザニスと辺り一面には血の海が広がり、数分前までは【ソーマ・ファミリア】の団員達だった肉片が転がっているのだから
***
「(ベル様……)」
昨夜、急にやってきた男に「ベルが明日の朝、【アポロン・ファミリア】の襲撃を受ける」と言われ、その人物に合流ポイントとして指定された場所でヴェルフと共に待機したが、少年が格上の【アポロン・ファミリア】の団長と接敵し、敗北。協力していたファミリアと少年を助け出し、逃走を続けていたが、少年を襲っている者達の中に【ソーマ・ファミリア】もいると気付き、自分がいることが【ソーマ・ファミリア】が襲う口実となっていることに気付いたリリ自らが所属している派閥の団長であるザニスに投降の意思を示した。
――――――あの優しく温かい彼等の側に、汚い自分がいてはいけなかった!自分を呆然とした顔で見送るしかできない少年の顔を思い出し、涙を眼の縁に溜めながら【ソーマ・ファミリア】が所有している酒蔵に連行されたのが数時間前、そこで主神であるソーマに報告をするからとザニスや他の団員数十名と共にソーマの前に引き出されたのだが
「ザニス、お前を団長から更迭し、牢屋へと入れる」
報告を言う前にソーマは椅子に座りながらいつも通りの起伏の少ない声でザニスを団長の座から外すことを伝える。その場にいる誰もが唖然となるが「聞こえなかったか?」とソーマは続ける
「ザニス、お前が神酒を横流しして、不当な利益を得ているのは知っている。そして【アポロン・ファミリア】に手を貸し他のファミリアに迷惑をかけたこと、
「く、クソッ!今まで何も興味を示さなかったくせに……!」
淡々とザニスを更迭する理由を話すソーマに悪態をついて逃げ出そうとするザニスに
「どこへ行く……」
「ぐあっ!」
ソーマが声をかけた瞬間、ザニスの両足があらぬ方向へ曲がり、床に叩きつけられる
「私が…神が
ただ椅子に座って話しているだけなのに全身を握りつぶされるような圧迫感を感じさせるソーマの殺気にその場にいる誰もが押し黙り、ソーマから直に殺気を向けられているザニスは既に白目をむいて気絶している。しかし、どこにでも愚か者はいるもので
「それで…ソーマ様、次の団長はいったい誰に………?」
ヘヘッと笑いながらソーマに聞く団員やその周りにいる数十人の団員たちからは、次は自分たちが神酒を独り占めにできるのではという考えが透けて見えた・・・がそれに気づかないソーマではない
「……やはり、ヴィシュヌがカルキに命じた通り、『間引く』ことが必要か」
「………へ?」
何事か呟いたソーマに反応した瞬間、一瞬でその場にいた【ソーマ・ファミリア】の団員数十人が主神の手で動かぬ肉片にされ、辺り一面が血の海となる。そして何が起きたのか分からず呆然としているリリにソーマが声をかけ、現在へと至るのである
***
「リリルカ・アーデ、外にいるチャンドラを呼んで来い、そしてザニスを牢屋に入れろ」
「は、はい……」
「お前が自らの死を偽装していたことについては私の管理不足であるとして不問としよう、ただし、派閥の面子もある。数日お前もザニスと同じように牢屋で謹慎を命じる」
己の非を認めたソーマに驚きつつも、リリはあの白い少年がどうなったのか知りたくて声をかける
「あ、あの、ソーマ様……」
「もし、何かを望むならば謹慎が終わってからにしろ、そして試練を踏破したら望みは聞いてやろう」
こちらの言うことは一切聞かず「早くしろ」と急かすソーマに「……わかりました」とリリは部屋を出てチャンドラを呼びに行く。どうやら目的の人物はすぐに見つけられたようで主神の部屋に入ってきたドワーフは部屋で行われたであろう主神による殺戮にギョッとした顔になるが元団長のステイタスを封印し終わった主神から「連れていけ」と命令されたので、今だ気絶している元団長と少女を牢屋へと連れて行った
「それで、事の顛末はどうなった」
何もない虚空にソーマが話しかけると部屋のバルコニーがひとりでに開き、バルコニーの外で待機していたカルキが部屋に入ってきて今回の騒動の結末と今後の予想される動きを話す
「【ヘスティア・ファミリア】が【アポロン・ファミリア】からの
「そうか……何日後にヘスティアはこちらに来ると予想する?」
「ヘスティア神が一週間は引き延ばすと言っていたので恐らくは3日後かと」
カルキからの報告を受けて「ふむ…」としばらく考えたソーマは考えが纏まったのかカルキに
「では3日後の
少し驚いた表情をするカルキに「気付かないとでも思ったか?」とソーマが意地の悪い笑みを浮かべて聞いてきたのでカルキは苦笑しつつも
「自分がスーリヤ神から言われたのは『アポロンは自らと同じ太陽神を名乗るにはふさわしくない、どうせ消滅しても1万年たてば復活するのだから消滅させよ』とのことでした。」
スーリヤからカルキに出された命令にアポロンはよほどスーリヤを怒らせたようだとソーマは思うが「まあ、私には関係ないことだ」と言って部屋から出ていこうとして、途中で何かに気付いたように振り返ると
「ああ、すまないが、カルキ、この部屋の掃除と後始末を頼んだ」
それだけ言うと部屋から出ていったソーマに残されたカルキはため息をついて
「いや、ソーマ神よ、他人に後始末を押し付けるのならば初めからしないでほしかったな」
一人部屋に残されたカルキは黙って黙々とソーマが起こしたことの後始末をするのであった。
***
3日後、バベル30階の広間で行われている臨時の
「では、攻め手は君に譲ろう、ヘスティア!ああ、それと私のことを太陽神にふさわしくないなどと抜かしたあの男も参加させろよ!私の眷属達によってあの男がボロ雑巾のようになるのを見るのが今から楽しみだ!!」
自分に恥をかかせた男をオラリオの見世物にしてやろうとするアポロンに
「ちょっ、カルキ君は恩恵を貰っていない!ただの一般人だ!!」
焦るヘスティアがカルキが恩恵を貰っていないことを言ったため、3日前、カルキに首を落とされる幻覚を観させられたことも忘れて、『恩恵貰ってないのにイキッてる奴とか』『常識ねぇの?マジでバカかよ』と周りの神々がゲラゲラとここにいないカルキを嘲笑する中、ロキとフレイヤはそのイキリ野郎と神々が嘲笑する男について考えていた
「(確かに普通に考えたらただ世界を知らないイキっとる奴や、でもフィンが言う通りなら、あの酒場で喧嘩売ってきた奴は
「(オッタルをあそこまで一方的にボロボロにすることの出来る男……まさか本当に
その後、【ヘスティア・ファミリア】にはオラリオ外部から一名だけ助っ人を呼んでいいこと、カルキを参戦させることが決められ、これで終わりかと思われた時、唐突に広間の扉が開けられソーマが入ってきた
「あれれ~?ソーマ君は今頃参加ですか~?」
『ギャハハハハハハ!』
「……………」
今頃やって来たソーマに神々が笑う中、ソーマは何も反応せずヘスティアのもとに近づく
「…………ヘス……ティア?」
「ああ、そうだよ、なんだい?」
急に話しかけてきたソーマに少しヘスティアが動揺するがそれを無視するかのように
「お前の眷属とパーティーを組んでいたリリルカ・アーデについて話がしたい、後で私の【ファミリア】が所有しているダイダロス通りにある酒蔵に来い」
それだけ言うと帰ろうとするソーマに「まあ、待てよ」と近づいてきた神がソーマの肩に手を置くと
「気安く触れるな」
「……へ?ギャ、ギャアアアアアァァァッ!俺の腕がああああああ」
ソーマに肩を置いた神の手がソーマによって引きちぎられていた
「貴様らのような神格の低い神が何故私と対等だと思っている」
少し怒気を含んだ言葉をソーマが発した瞬間、数ヶ月前、同じ場所でガネーシャとタケミカヅチが放った神気に匹敵するかそれ以上の神気がソーマから発せられ、ガネーシャ、タケミカヅチ、ヘスティア以外の神が机や床に強制的に突っ伏される
「ちょっ、これはルール違反だろう?ソーマ?」
必死に神々が定めたルール違反であるとヘルメスが床から顔を上げながらソーマに抗議するが
「……何故、私より神格が低い神が定めた決まりを私が守らなければならない?」
あまりにも傲慢に言い放つソーマに神々が唖然としていると
「そこまでだ!ソーマ!!」
「そうだな、俺達が言えた義理じゃないが、これはやりすぎだ」
ソーマの神気に屈しなかったガネーシャとタケミカヅチが神気を放ちソーマの神気を抑え込み相殺する。流石に武神二柱相手は厳しいと判断したソーマは神気を消して、どうしたらいいのか分からずオロオロしているヘスティアに
「必ず来い」
とだけ最後に言い残して部屋から出ていった
***
「で、何やったんや、あのソーマの奴の変わりようは?」
ソーマが去り、しばらくたって落ち着きを取り戻した広間でロキが普段と違うソーマについてロキが誰にでもなく疑問を呈すると神々はソーマと天界で同郷であったガネーシャを見る
「うむ!説明するとだな、俺が!ガネーシャだっ!!」
ビシイッ!!っとポーズをとるガネーシャに胡乱げな神々の視線が集まる中、「ゴホン」とガネーシャは咳払いして
「まぁ、そうだな、俺も久しく忘れていたが、ソーマは今でこそ酒造りにしか興味のない神だと認識されているが、元々『リグ・ヴェーダ』の神々の間ではインドラ、アグニに次ぐ神格の高さを有していた神で性格はさっきのように傲慢だったからな、あれが本来のソーマの神気と本質…といったところではなかろうか」
ハッハッハ!と大笑いするガネーシャに『リグ・ヴェーダ』の神々のバケモノっぷりを知っている神々は『ヤベェよ、ソーマ怒らせたら絶対ダメな神だよ、消されちまうよ』と震え上がり
「え?ボク今から会いに行くんだけど…………」
涙目で呟いたヘスティアにヘルメス、ヘファイストス、タケミカヅチ、ミアハが優しくポンっと肩を叩き、
「ベ、ベルくぅ~ん」
思わず今も強くなるために【剣姫】と特訓しているであろう自分の眷属の名前を呼んでしまうヘスティアであった
ソーマはもう本編で出番ないから好き放題盛ってもいいよねって
本編再登場したらどうしよう………