ダンジョンでブラフマーストラを放つのは間違っているだろうか 作:その辺のおっさん
最初に「ダンまちにインド神話って影薄いよね」ぐらいの気持ちで読専の癖に書き始め3桁いったらいいなぐらいだったんですが………
登録本当にありがとうございます。これからもいろいろ至らぬところも多いと思うのでその時はぜひ感想にでも書いてください
「うぅ…ソーマに言われて来たけど…ソーマが『リグ・ヴェーダ』では元々3番目に神格が高かっただなんて知らなかったよぉ……」
「だが、あのサポーターはベルにとって、今回の
「うん、皆、協力してくれ」
「よし、行こう」
ヘスティアが意を決したように前を向いたと同時に扉が開き、全員が身構えるがそこにいたのは意外な人物であった
「ようこそ、ヘスティア神、ソーマ神は既に一室で待っています。どうぞ、こちらに」
「ええっ!?カルキ君、なんで【ソーマ・ファミリア】の酒蔵に君がいるのさ!?」
笑みを浮かべながらヘスティア一行を出迎えたのはカルキで勝手知ったように案内しようとする元同居人にヘスティアが驚いた声を上げるが
「いや、ソーマ神とは多少の付き合いがあって、それに自分は『ソーマ神は問題ない』と言ったはずだが」
サラリと告げるカルキに「じゃあ、もっと早く助けてくれても良かったじゃないかぁ!」と怒るヘスティアをスルーして自己紹介してから案内するカルキに全員の自己紹介を終え、中立を標榜しているヘルメスとその団長であるアスフィ以外はおとなしくついて行き、とある部屋の前でカルキが立ち止まり、ドアをノックすると「入れ」とソーマの声がしたため、カルキがドアを開けてヘスティア達を部屋へと通す
「来たか…案内ご苦労だったカルキ」
「ヘ、ヘスティア様…皆様…」
部屋には長机が一つと奥に座ったソーマと手前側に座ったとリリだけがいて、その他の【ソーマ・ファミリア】の団員たちは見かけられなかった。「カルキ、すまないが椅子を持ってきてくれ」とソーマがカルキに頼み、隣の部屋からカルキがミアハの分の椅子を持ってきたところでヘスティアとミアハにソーマが座るように促す
「ソーマ、サポーター君についてだが…」
「わかっている。【ヘスティア・ファミリア】に
こちらの意見をいう前にあっさりと
「以前に本人から別の【ファミリア】へ
「じゃ、じゃあ」
期待した目でヘスティア達はソーマを見るが
「だが、それと同時に、私は下界の
『え……?』
「当然だろう?
そう言うとソーマはカルキに指示を出し、それに頷いたカルキは別の部屋から酒壺を持ってきてソーマに渡す。ソーマがおもむろにその酒壺を開けると室内には芳醇で甘美な酒の香りが漂い、その香りをかいだだけで、ヴェルフ達は足元がおぼつかなくなり立っていられず座り込み、神であるヘスティアやミアハでさえクラリと酩酊し頭を揺らす。そんな姿にソーマは酒壺のふたを閉め
「……これが本当の『ソーマの神酒』だ。私が下界に来てから作ったのはこれのまがい物でしかない…私には眷属に報酬として渡すものはこれしかなかった、だが、私の眷属は簡単に酒におぼれ、我先に手に入れようとし、お互いを蹴落とす醜い争いを行い始めた」
故に下界の人間達に失望したのだと語るソーマに誰も反論できない。今、本当の『ソーマの神酒』を知ってしまった以上、確かにまがい物の神酒に溺れる眷属を見れば下界の
「だが…」
『?』
「リリルカ・アーデ…お前がこのまがい物に溺れず、己を律し、他者に意思を委ねず、自分の望みが薄っぺらいものではないということを証明するならば…出来たならば、私は、お前の望みを聞き入れ
再びカルキに命じて出来損ないの神酒と杯を用意させ、杯に注ぎリリの前に差し出すソーマの姿は、リリの知っている茫洋とした姿ではなく、己の眷属の真偽を見極めようとする正に神格の高い神の姿であり、思わずゴクリと喉を鳴らすリリであったが、やがて決心がついたのか杯に口をつけた
***
結果、リリルカ・アーデは神酒に溺れなかった。一口飲んだ瞬間、杯を落とし、机に伏し、視点が定まらず「――――――ぁ、は」と絶頂の声を出した少女に所詮はその程度と判断したソーマが立ち去ろうとし、椅子から立ち上がり背を向けた時、確かな意思をもって少女は主神に訴えたのだ
「私はあの人を助けたい」
そう訴えた少女の目からは涙がこぼれ、更に少女は泣きながら自分はきっと今この時のために生まれてきたのだと、この時のために間違いを積み重ねてきたのだと、今度は自分が自分を助けてくれた人を助けたいと主神に自らの思いの丈をぶつける
「そうか…分かった、
神酒に溺れず、自らの思いをぶつけてきた眷属にソーマはどこか満足したように頷くと
その後、
「ごめん、カルキ君、君も
「しかし、まさかまがい物とはいえ神酒にあらがえるとはな…」
「それこそ、神々の言う所の『下界の
そう言いながら酒を酌み交わす一柱と一人は最後にヘスティアが残していった話題には触れずに静かに本物を味わっていると、こちらに近づいてくる神の気配を感じ扉を見ていると
「そう!俺が、神酒の香りにつられてやって来たガネーシャだ!」
大きな音を立てて扉を開けて入ってきたガネーシャにソーマはため息をついて新しい杯を用意し神酒を注ぐ、杯になみなみと注がれた神酒を駆けつけ一杯と言わんばかりに一気に飲み干したガネーシャはカルキへと向き合い
「【ヘスティア・ファミリア】と【アポロン・ファミリア】の
「……それは先ほどヘスティアから伝えられた」
「何いっ!」
カルキが返す前にソーマが呆れた口調で既にヘスティアから聞いていたことをガネーシャに伝えると「そうだったのか!いやぁ、すまん!」と大笑いするガネーシャに「そんなことを聞きに来たわけではないのだろう?」とカルキが視線で問いかけ、ガネーシャは真剣な雰囲気となり
「……スーリヤとヴィシュヌは何と言っていた?」
やはりソーマと同じように3日前カルキにスーリヤが憑依していたことは気づいており、また、この3日の間にカルキが天界に赴き、『ソーマの神酒』を取りに行った際、ヴィシュヌから何かしらの命令を受けていると確信しているらしい。流石はガネーシャ神だとカルキは敬服し答える
「スーリヤ神からは『太陽神にふさわしくないものを消滅させろ』と言われ、ヴィシュヌ神からは『もし、ベル・クラネルが真に世界を担う英雄になりうるならばこの程度は試練と呼べないだろう、故に決着はベル・クラネルに任せろ』との命令でな」
どこか困ったような疲れたような雰囲気のカルキに二柱は「ふむ…」と考え
「ならば、
「うむ!それならばどちらの命令も果たせる、それにもうギルドで発表されたから伝えるが今回は『攻城戦』、お前が戦えば城の一つや二つ簡単に吹き飛ばせるだろうしな!」
神二柱の意見とほとんど同じ考えであったカルキは同意する。カルキとしては【アポロン・ファミリア】にはアポロンに心酔している者と無理矢理眷属にされている者と別れているという認識であり、後者の者達を前者と一緒くたにして『間引く』訳にはいかないので『間引く』のはアポロンとそれに心酔する者達であるが、それも
「インドラ神まで来てしまったらな…」
そう、あまりカルキが静観しすぎれば恐らくスーリヤは【アポロン・ファミリア】を消滅させようと【ヘスティア・ファミリア】に手を貸そうとして下界に介入してくるだろうがそうなれば間違いなくスーリヤと何かにつけてお互い張り合っているインドラが【アポロン・ファミリア】に手を貸すことは容易に想像できる。そうなれば城一つどころか大陸、否世界崩壊の危機になることは間違いないだろう
「それはそれで見物だろうがな…」
「まあ、お前の動きを見ても
スーリヤとインドラが下界に介入してくるのも自分の背後に誰がいるのか明らかになるのも面白いと嗤いながら言う神二柱に呆れつつ杯をあおるカルキであった
***
次の日、カルキはギルドへと行き、
「……随分と増えたな…あのサポーターはいないようだが」
「あはは…」
「なるほど…しかし、何故ベルに手を貸すのだ?普通に考えればこちらが圧倒的に不利だというのに?」
そう問えばヴェルフは「ベルのためなんだから当然だろ?」と呆れたように言い、命は「私はベル殿に返さねばならない恩義がありますから」と真っ直ぐに答える2人を見て「善い人に恵まれたな」とベルに笑いかけるとまるで自分のことのように嬉しそうにするベルに頷き、こちらを警戒した目つきで見てくる覆面のエルフが作戦を話し始める
***
「さぁて、化けの皮がはがれるか……見物や」
「うふふ、アポロンには悪いけどあの男を知るために全滅してもらおうかしら」
「さて、スーリヤがどう動くか…」
「俺が!ガネーシャだっ!」
ロキとフレイヤはカルキの正体を探り、ソーマはスーリヤが介入し、あわよくばインドラとの戦闘を見ながら神酒を飲むことを望み、ガネーシャはギルドの前に造られた特設の舞台で叫ぶ。
正午を前に控え、ヘルメスが
『
後に最も多くの死者を出したとされる悲惨な
最初は戦争遊戯開始と共に城壁が太陽によって焼かれてオラリオが『………ゑ』っていう流れで行こうかなって思っていたけど書いてる途中で「あれ?スーリヤがヘスティアについたらインドラがアポロンにつくんじゃね?ベル君にヴァジュラ飛んでくんじゃね?」となったので没になりました