ダンジョンでブラフマーストラを放つのは間違っているだろうか 作:その辺のおっさん
そしてFGOの2部5章配信間近ですね、ゼウスは一体何をやらかしたのか………(風評被害)
気付いたらお気に入り登録が1500件を超えて1700件も超えていました
登録ありがとうございます
「借金総額401万ヴァリスか………」
スーリヤからの命令に従いアポロンを消滅させた次の日、カルキは一人オラリオのとある通りを歩きながらポツリと呟き、これからどうやって返済しようか考えていた
カルキの借金は【アポロン・ファミリア】との
更には今回の
無論、カルキはそんな行いをしたギルドに激怒し、シヴァから授かった
「元はと言えば、自分が盗賊団を皆殺したのが原因…ならば、本来支払われるはずの依頼料、ギルドから命じられた違約金、地下道を掘るのに使った道具等の補填、これらは自分が補うのが道理だろう」
そのように決めたカルキは改めて自分の借金を計算した結果、総額401万ヴァリスとなったことを思い出しながら、一人寂しくオラリオの通りを歩いているのである。
***
「(やはり、手っ取り早く済むのはダンジョンか…しかし深く潜りすぎてはオラリオの経済に余計な影響を与える、だからといって浅い階層では効率が悪い…さて、どうしたものか……)」
カルキからしてみれば今からこっそりダンジョンに潜って魔石やドロップアイテムを400万ヴァリス分集め、それをガネーシャに渡せばいいのだが、浅い階層ではあまり高く売れる魔石やドロップアイテムは少なく時間がかかり、加減していたとしても魔石ごと消し飛ばしてしまうことも多く効率が悪い。
だからといって、深層に行けばいいというわけではない。51階層にいるカドモスや58階層のヴァルガングドラゴンといったモンスターならば加減すれば魔石は残り、ドロップアイテムも効率よく採取できて一気に借金返済どころか貯金できるのだが、深層まで行ける【ファミリア】は限られていて、今現在、深層に行ける上位の【ファミリア】は【遠征】には行っておらず、『この深層域の魔石やドロップアイテムは誰が取って来たのか』と大騒ぎになることは間違いない。
さらには、もしカルキが数日、深層に留まって延々とカドモスやヴァルガングドラゴンといった深層域のモンスターを狩り続け、一気に大量の魔石とドロップアイテムを換金すればオラリオの需要と供給のバランスは崩壊しオラリオの経済に多大な悪影響を与えるのは容易に想像できる
「確か極東の言葉に『あちらを立てればこちらがたたず』というのがあったな」
上手く言ったものだと感心していると、今からダンジョンに向かうのだろう、ベルと新しく【ヘスティア・ファミリア】に入団した面々がこちらに向かって歩いてきているのが分かった
「ほう、パーティーとしては様になったようだな」
「あ、カルキさん…えっと……」
「……?」
何故か妙によそよそしいベルにどうしたのかと疑問に思っていると、
「気にしなくてもいいですよカルキ様、ベル様はあなたとリュー様が
「リリスケ程金に汚くはないが……本当に良かったのか?【アポロン・ファミリア】から奪った財産から報酬を貰わないで」
「ええ……自分達は新しく得た
本人たちがいらないと言っているのだから気にしなくていいのにとリリが、申し訳ないと思っているのか頬を掻きながらヴェルフが、肩をすくめながら命がベルのどこかよそよそしい態度をフォローする
「なるほど、そういうことならば報酬ついでにいくつか聞きたいことがある」
「は、はいっ、何ですか?」
「実はな……」
そういうことならばとカルキはベルに質問し、頼られたことが嬉しそうなベルはカルキの質問へ答えていくのであった
***
ベル達と別れたカルキはしばらくした後、オラリオに広がる地下水路にいた
「なるほど、これは……酷いな」
ベルになるべく安定して稼げる仕事はないかと尋ねるとギルドが日雇いの仕事を紹介してくれるとのことだったので、ならば、その日雇いの仕事をしながら、こっそりダンジョンに潜り中層から下層で数日掛けて借金を返済すればよいと思い立ち、ギルドへと赴き、
「ふむ、地下水路の害虫・害獣駆除のための薬剤散布か…こんなに臭いのならば誰もしないのも道理だな」
カルキが請け負ったのは『地下水路の害虫・害獣駆除のための薬剤散布』で1週間で25万ヴァリスという簡単な仕事にしては破格の報酬が支払われるものであった。
………ちなみに、このような仕事に数十万の報酬が支払われるのは、地下水路は暗い、臭いときて、冒険者に頼もうとしても報酬が低いと断られ続けていたので報酬が吊り上げられていった結果である。
地下水路と一口に言っても上水・下水に分かれており、カルキが今いるのは下水の方であり、案の定というかそこら中で黒光りする例のアレやら鼠やらが走り回っていたので殺虫・殺鼠剤を撒きながらしばらく歩き、貰っていた薬剤を撒き終わったらギルドへ行って報告、その後、夜になってからこっそりダンジョンに潜ってモンスターを手加減しながら屠り、奇跡的に残った魔石やドロップアイテムを回収し、ガネーシャに持っていき、借金の返済に充てるということを暫く続けることとなったのである。
***
そんな生活を続けて数日後、午前中の分の薬剤を散布し終えたカルキはギルドでシャワーを浴び、消臭袋で臭いを落とし、午後の分の薬剤を貰うと、ギルドにハーフエルフの受付嬢と共にベルが何やら思い悩んだ顔でやって来たので声を掛け、その受付嬢とベルの悩みを遮音性の高い相談室で聞くことになったのだが
「しょうかぁ~ん?」
ハーフエルフの受付嬢…エイナ・チュールが軽蔑の眼差しを浮かべ、怒気の気配を漂わせる中
「ベルよ、『英雄色を好む』といって英雄神とも謂われるどこぞの
「カルキさん、そんなこと言ってないで助けて下さいよぉ!!」
恐らく内心ではハラハラと涙を流しているであろう、がっくりと肩を落としているベルにカルキは諭す。勿論、ベルが夜遊びなんてことが出来る性格ではない……というよりも、夜遊びをする度胸などベルには微塵もないことは重々承知した上でからかい半分で言っているのだが、それどころではないベルがカルキに助けを求めていると
「じゃあキミはっ、夜の街で遊んじゃったて言うの!?」
「ちちちちちちちちち違いますうっ!?」
「……仲が良いな、まるで姉弟のようだ」
どうやらエイナの方が先に限界を迎えたらしい。目を吊り上げて勢い良く立ち上がり声を荒げるエイナに完全に圧倒され慌てふためく反応を見せるベルにカルキは微笑ましいと他人事のように自分に火の粉が降りかからないようにするのであった。
その後も、傍から見ると、まるでイケないことをしでかした弟を叱る姉と姉にバレたことに焦る弟のような、頬や耳まで真っ赤にしたエイナと対称的に顔色を真っ青にしたベルの
それから暫くして「まあ、頑張れ」とベルの肩を軽く叩き、相談室からカルキが去った後、【イシュタル・ファミリア】についてエイナから説明を受け終わったベルはふとカルキの言っていた英雄神とその仲の悪い神々について思い出した
「(……あれ?カルキさんが言ってたインドラ、スーリヤ、ヴァルナって確かヘルメス様が言ってた神様達だったような……?)」
この後、ベルは以前世話になった本屋の手伝いをするのだが、その際、合流したヘスティアにその神々のことを聞くと「えええええっ!?ベ、ベべべベル君ッ!どこでその神々の名前をッ!?」と完全に動揺を隠しきれず、「いいかい!?その神々のことは他の神々、特にタケには絶対に内緒だぜ!!」と珍しく厳命し、カルキがその神々のことを言っていたことを伝えると「な、なんでカルキ君が……?」とヘスティアが真剣な顔で悩むことになったのは完全な余談である
***
ヘスティアが自分について真剣に悩んでいることなど知らないカルキは再び地下水路へと戻り、今回は上水だから臭いは気にしなくてもいいだろうと団子状の薬剤を置きながら歩いていると
「……なんだこれは?」
地下水路の壁の一部がまるで何かの入り口のように開いており、上部は何故か凍らされていて奥を覗けばまるで迷路のようになっていた
「(これは明らかに人工物……薬剤はもう置き終わっている、それになにやら戦闘の気配がある…………行ってみるか)」
もう薬剤も全て置き終わり、戦闘の気配もするので、ならば入ってみようとカルキは
「(……どうやらここは何十年、何百年と造り続けられてきた人工物のようだ)」
カルキはスタスタと迷路のような道を気配を探りながら迷わずに歩いて行く。そこで気づくのはここは恐らく数年ではなく何十年、何百年単位で作られた人工物。ここまで作り続けたことを
妄執と貶すべきか受け継いできたことを称えるべきかどうか少し迷うがカルキはこの迷宮を探っていく
「……どうやらここはダンジョンを模しているようだ」
誰にも聞かれることなく、カルキは階段を下りながらポツリと呟く。しかもよく探ってみれば、迷路には正解の道が1つだけあることが分かり、この迷路を製作した人間(?)は何かしらの信念を抱いていたことが分かった。
「来るか…」
唐突にカルキが呟くとスッと後ろに下がる。すると壁の一部が爆ぜ、巨大な輪郭が姿を見せる。それは、鋼色の体皮をした牡牛型のモンスター、だが他の牡牛型と違うのはその額に当たる部分に女体の上半身がついていることであった
「この気配は……精霊か?」
カルキがこの摩訶不思議なモンスターが精霊であると判断した途端、そのモンスターがカルキに向かって突っ込んできた
「やれやれ……」
地下水路から外れた地下迷宮でカルキとモンスターに堕ちた精霊『穢れた精霊』との戦いが始まった
~おまけ~
カルキが何も考えずに深層に突っ込んだ場合
探索系ファミリア「この深層域モンスターのドロップアイテム1500万でどうや?」
商業系ファミリア「1200万ならええで」
探索系「まあ、それでいいわ」
商業系「まいど~」
カルキ「深層でカドモスをマラソンしてきたから魔石とドロップアイテムを1200万で数十個ずつ買い取ってくれ」
商業系「ええっ!数億ヴァリス吹っ飛ぶやんけ!!」
カルキ「また来る」
数日後
カルキ「今度はヴァルガングドラゴンをマラソンしてきたから魔石とドロップアイテムをそれぞれ1300万で数十個ずつ買い取ってくれ」
商業系「は、破産すりゅううぅぅぅぅぅぅ!!」
探索系「ファッ!深層域のモンスターのドロップアイテムの価値めっちゃ落ちとるやんけ!なんでや!!」
となってオラリオの経済大崩壊させる経済テロリストになってしまうことに………
ベルのことをお人好しと称する癖にカルキも大概であるという
ドーモ、イヴィルス=サン、デミ・スピリット=サン、カルキ・ブラフマンデス