ダンジョンでブラフマーストラを放つのは間違っているだろうか   作:その辺のおっさん

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恐らくはこれが2019年最後の投稿です

10月末に投稿を初めて約2ヶ月、色々と至らないこともありましたが、来年も頑張りたいと思います

それでは皆様、良きお年を

~その辺のおっさん~


第26話

カルキは歓楽街に向かう途中、意外な神物から声を掛けられた

 

「久しぶりじゃの、カルキよ」

 

「……カーリー神よ、貴神に礼を」

 

何故かオラリオに護衛もつけずにいるカーリーにカルキが恭しく道の真ん中で一礼をし、何故オラリオにいるのか問うと、カーリーはカラカラと笑いながら

 

「今から殺戮を行うのであろう?ならば殺戮を司る女神である妾がここにいるのは当然じゃ」

 

どうやら神の勘とやらでカルキが【イシュタル・ファミリア】を蹂躙することを感じ取ったらしい。チョイチョイと手を動かし、自らの足元に傅くように促すカーリーにカルキは恭しく傅くと、カーリーはカルキの頭に手をかざし

 

「今宵の殺戮を殺戮を司る妾が認めよう…お主に祝福あれ」

 

「カーリー神からの祝福、確かに頂きました」

 

カーリーから祝福を受けたカルキは再び歓楽街へと足を進め、その後ろ姿を見てカーリーは心底愉快であると言わんばかりに嗤う

 

「ああ…今宵は大量の血が流れ、心地よい涙と悲鳴が奏でられる良い夜になろう、イシュタルよ、せめて妾を楽しませる玩具となってくれ…ククッ、クハハハハハハハハ!!」

 

***

一方、【ヘスティア・ファミリア】の本拠(ホーム)では【タケミカヅチ・ファミリア】に事情を説明して来てもらい、ベルと命が【イシュタル・ファミリア】に拉致されたこと、殺生石と狐人(ルナール)との関係性が明かになっていたが、ふと、疑問を感じたリリが何故かとある人物について話さないヘスティアに問いかける

 

「ところで、ヘスティア様、なんでカルキ様については何も仰らないんですか?」

 

あの方も歓楽街に向かわれたそうですがとリリが付け加えると、ヘスティアは「なんて余計なことを…」とまるでこの世の終わりを迎えるような顔となり、その場にいる全員がどういうことかと疑問に思っていると、ヘスティアの真向かいに座るタケミカヅチが急に立ち上がり

 

「そうか……カルキ・ブラフマンが動いたか」

 

それだけ言うと、桜花や千草を置いて部屋から出ていってしまったタケミカヅチに誰もが不思議に思うなか

 

「え、えらいことになったぁ!み、皆ぁ!タケを止めるんだぁ!!」

 

ほら!早く!!と何故か必死な顔をするヘスティアに急かされるヴェルフ、リリ、【タケミカヅチ・ファミリア】の面々は慌ててタケミカヅチを追いかけ、歓楽街へと向かうのであった

 

***

「……儀式はどうなっている?」

 

歓楽街にある【イシュタル・ファミリア】の本拠(ホーム)女主の神娼殿(グレート・バビリ)」で煙管をふかせるイシュタルは側にいる自派閥の団員に問うと順調であると返ってきたことに満足する

 

「(まさか、ベル・クラネルは魅了を無効するとは…だが、この儀式さえ終れば、あの忌々しいフレイヤを引きずり下ろせる。その後にゆっくりと魅了してやれば良い)」

 

そう思いながら煙管をふかせるイシュタルであったが、唐突に自室の扉が勢いよく開けられ、別の団員が「イシュタル様!」と飛び込んで来た

 

「か、歓楽街が、燃えています!」

 

「何ぃ!?」

 

窓に映る歓楽街の光景は普段と同じだというのに嘘をついていると感じられない団員の報告にイシュタルは自室の窓を開けると、歓楽街は業火に包まれていて、娼婦達の泣き叫ぶ悲鳴が聞こえてきた

 

「我々も消火しようとしているのですが、水をかけても砂をかけても火が収まる気配がなく……イシュタル様?」

 

消火したくても何故か消えない炎を報告する【イシュタル・ファミリア】のアマゾネスの団員は呆然とするイシュタルに疑問を覚えるが、イシュタルはもはや心ここにあらずの状態になっており、この歓楽街を燃やし尽くそうとする業火とこの炎を司るとある神の名前を呟く

 

「そ、そんな、この炎は……」

 

***

何とかタケミカヅチに追い付いたヘスティア達は何故か見張りのいない歓楽街の門を開けると、そこに広がっていたのは

 

首のない【イシュタル・ファミリア】団員の死体、燃え盛る業火によって燃やされ崩れ落ちる建物、炎に焼かれ、崩れ落ちる建物に巻き込まれ逃げ惑い助けを求めて泣き叫ぶ娼婦と娼館の店員達

 

まさに神々が言うところの地獄を地上に再現したと言っても過言ではない光景が、つい数日前にヴェルフ達が訪れた歓楽街は見るも無惨な姿になっていた

 

「ッツ!ふざけろ……っ」

 

「命!春姫!」

 

呆然とヴェルフが呟きながらベルと新しい仲間を、桜花は幼馴染2人の身を案じて炎へ飛び込もうとするが

 

「!?、ダメだっ!2人共っ!!」

 

後ろからヘスティアが2人の服の裾を掴んで炎に触れないように引っ張る。泣きそうな顔で必死に引っ張るヘスティアにヴェルフも桜花だけでなく、どういうことかとリリや千種、【タケミカヅチ・ファミリア】の団員達も不思議そうな顔で見る

 

「だって…だってあの炎は……」

 

***

ヘスティア達が歓楽街に到着する少し前、歓楽街では【フレイヤ・ファミリア】の団員達が突然足元から吹き上がった業火に対処していた

 

「チッ…どうなってやがる」

 

【フレイヤ・ファミリア】副団長【女神の戦車(ヴァナ・フレイヤ)】アレン・フローメルが水でも砂でも消火できない炎に悪態をつき

 

「まさか、魔法すら当たったとたんに燃やす炎があるとは…」

 

「……………」

 

自分達の魔法が炎に当たった途端に燃やされるという、異常事態に【白妖の魔杖(ヒルドスレイブ)】 ヘディン・セルランド、【黒妖の魔剣(ダインスレイブ)】ヘグニ・ラグナールは驚愕しつつも、自分達の女王が来る前に何とかしようと魔法を打ち続ける

 

「何故か消えない」

「炎に触れたら武器も魔法も燃やされる」

「どういうことだ?」

「俺が知るか」

 

会話をするかのように話す【炎金の四戦士(ブリンガル)】ガリバー兄弟は炎に自分達の得物を燃やされ困惑する

 

 

オラリオ最強派閥とされる【フレイヤ・ファミリア】の幹部や団員達が揃って消火一つ満足に出来ない中

 

「……どう、いう…こと…なぜこの炎が……?」

 

突如自分達の後ろから聞こえてきた鈴の音のような声に振り向くと、そこには怯えた表情のフレイヤが佇んでいた

 

「フレイヤ様?」

 

満足に消火一つ出来ず、イシュタルの元に主神を連れていけない不甲斐なさを詫びようとしていたオッタルは、今のフレイヤのおかしさに気付き声をかける

 

そして、3柱の女神は歓楽街を焼き尽くさんとする森羅万象、この世の有りとあらゆる物を焼き付くし、一切の不浄を焼き払う業火の正体を呟く

 

『アグニの炎』

 

 

***

「……ふむ、どうやら気づいたようだ」

 

【イシュタル・ファミリア】の団員の首をはねたカルキはアグニの炎にイシュタル、ヘスティア、フレイヤの3柱の女神が気づいたことを感じとり、「ならば」と歓楽街と【イシュタル・ファミリア】の本拠(ホーム)周辺に展開していた認識阻害の結界を指を一つ鳴らして解除する

 

「(殆どの【イシュタル・ファミリア】の団員は間引いた…さて……イシュタルを間引きに行くか、…うん?)」

 

頭上からボロボロな命が落ちてきたので、軽く受け止めたカルキは、命を地面に置いて「ふむ…」と何かを思い出したかのように懐から黄金に輝く首飾りを取り出す

 

「スーリヤ神からアポロン神を消滅させた褒美として頂いた物だが……まぁ、いつか返してもらえば良いだろう」

 

トヴァシュトリが天界最硬とも讃えられるスーリヤの鎧を加工して造り上げた首飾りを命にかける。

 

すると、命の体に出来ていた火傷や傷が勝手に治っていく。そのことに満足げに頷いたカルキは再び、イシュタルの元に歩を進めていくのであった

 

***

『歓楽街が燃えている』

 

カルキが歓楽街周辺に展開していた認識阻害の結界を解除したため、歓楽街が燃えていることに気づいたオラリオは人も神も大混乱に陥っていた

 

「ま、まさか…【フレイヤ・ファミリア】?」

 

ギルドでは、天に届かんとする業火の正体を知らないエイナが、【イシュタル・ファミリア】と敵対し攻められるファミリアはそれしかないと呟き

 

「う、嘘やろ………」

 

「…どういうことだ………」

 

歓楽街を焼き尽くすアグニの炎を見てロキ、ヘルメスは戦慄し、他の神々も『ヴァーユに続いてアグニまで介入するのか…!』と普段とは違い恐怖し、炎の正体を知らぬ団員達が疑問に思うなか

 

この光景を見て酒を飲み、心から楽しんでいる神が3柱だけオラリオにいた

 

「ククッ…ハハハハハハハハハ!!良い!良いのぉ!血が川のように大地に流れ!涙と悲鳴が大気を震わせておる!最っ高じゃあ!クハハハハハハハハ!!!」

 

「カーリーほどではないが、まさか紛い物の神酒でも、これ程の銘酒になるとはな……」

 

「ソーマの言うとおり確かに銘酒だ!それにアグニの炎とは懐かしいな!天界で戦ったことを思い出すぞ!」

 

少し高い建物の屋上で歓楽街で起きている惨劇を眺め、笑いながら酒を飲むカーリー、ソーマ、ガネーシャにバーチェ、チャンドラ、シャクティは己の主神、特にガネーシャは本当に今まで自分達が知っている姿と違うことに戦慄する

 

「…ガネーシャ、あの男、カルキ・ブラフマンは何者なのだ」

 

意を決してガネーシャに尋ねるシャクティに、言っていなかったのか?とカーリーとソーマがガネーシャを横目で見ると、仕方がないと溜め息をついたガネーシャはカルキの正体をシャクティに話す

 

「シャクティ、カルキは…いや、カルキ・ブラフマンという男はな、齢14でこの世で最も高い山に登り、天界最強と讃えられる破壊神シヴァへと弟子入りし、武術を修め、『リグ・ヴェーダ』の神々からの試練を全て踏破し、神造武器を使用することを許可され、我らの言葉で『終末』を意味する『カルキ』を名乗ることを許され、偉大なる者(ブラフマン)を姓として与えられた正に人外の傑物と言ってもいい人間なのだ」

 

誇らしげに語るガネーシャに

 

「あれは我ら(神々)の領域…いや、大神の領域にまで入っておろうなぁ」

 

「カルキと比べれば冒険者なぞ赤子同然だしな」

 

ガネーシャの情報を補足するように語るカーリーとソーマはこの殺戮劇が愉快であると笑う

 

カルキの実力をある程度知っていたつもりのシャクティであったが、改めてガネーシャが以前話していた『オラリオの冒険者と神々がカルキと戦っても傷一つつけられない』という言葉に偽りがなかったのかと戦慄し、あの時、カルキが本気を出さず、今、自分が生きていることを心底運が良かったと感じるのであった

 




新アイテム【黄金の首飾り】

・形のイメージとしてはFateのカルナがFGOのバレンタインイベントでのお返し礼装であるピアスの片一方を10センチくらいの大きさにして、チェーンが付いていて首に掛けられるようになっている
・製作者(?)はトヴァシュトリ、材料はスーリヤの鎧の一部を削ったもの。かつてスーリヤの光を加工し、武器や防具を造ったヴィシュヴァカルマンに対抗して職人魂を発揮した結果、出来ちゃった一品
・身に付けているだけでどんな傷でも完治させ、即死レベルのダメージをおっても蘇生する。擬似的な不死になれる
・この後、ウィーネを見に【ヘスティア・ファミリア】のホームに来たヘファイストスはこの首飾りを偶々見つけてしまい昏倒、首飾り一つでヘスティア・ナイフを100本打ってもお釣りがくる価値があるらしい




Q,私の炎は使わないのか?byシヴァ

A,丁重にお断りしますbyカルキ



Q,タケミカヅチ様随分大人しいですね

A,桜花達がいるから暴れられない…無念


今回の被害者は多分、カルキと戦い損ねたタケミカヅチと【イシュタル・ファミリア】のホームに進撃出来なかった【フレイヤ・ファミリア】

逆にMVPは間違いなくヘスティア、少しでもタケミカヅチがカルキが歓楽街にいることを伝えていたらカルキvsタケミカヅチになっていたし、ヴェルフと桜花がアグニの炎に突っ込んで行ってたら灰も残らなかったため








あ、イシュタル様年越せた………
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