ダンジョンでブラフマーストラを放つのは間違っているだろうか   作:その辺のおっさん

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いつの間にかお気に入り登録が3000件を超えていました……マジですか……ありがとうございます

ダンメモのガネーシャのストーリーをYouTubeで見たんですが……やっぱりダンスしてましたね流石インド




第33話

「ヘスティア、あんたの眷属(子供)はアレをどこで手に入れたの?」

 

ベル達がウィーネの情報を求めダンジョンに向かった後、【ヘスティア・ファミリア】の本拠(ホーム)で気絶したヘファイストスは目を覚ますとすぐにヘスティアに詰め寄っていた

 

「ど、何処でって…歓楽街での事件の時、アグニの炎が消えたからベル君と命君を探しに行って、気絶していた命君を見つけた時にはもう首に架かっていたから‥‥」

 

「命がアグニの炎に包まれていながらも無事だったのはあの首飾りの加護があったからだな」

 

「しかし、アレはある意味あの竜女(ヴィーヴル)よりも問題になる代物だぞ?」

 

「そうね‥‥‥とりあえず他の神にバレないようにしないと」

 

しどろもどろに答えるヘスティアに何故気絶していた命があのアグニの炎の中で無事だったのかをタケミカヅチが説明し、ミアハは首飾りがウィーネ以上の爆弾であると憂慮し、これからどうするべきかとヘファイストスと話し合っていると

 

「…………ところでどうして皆あの命君の首飾りを問題視してるんだい?」

 

「「は……?」」

 

さっきからどうしてヘファイストスとミアハが命の首飾りを気にしているのか全く分かっていないヘスティアが聞くとヘファイストスとミアハは質問の意味が分からないとばかりに間抜けな声を出しタケミカヅチは「まだ気づいていなかったのか……」と片手で頭を抱える

 

「あ、あんた…それ本気で言ってるの!?」

 

「ヘスティア……」

 

「な、なんだよっ!二人揃ってボクを残念なモノを見るような眼をしてっ!!」

 

「いや、これはヘスティアよりヘファイストスとミアハの方が正しい」

 

胡乱げなヘファイストスとミアハにヘスティアは抗議するがタケミカヅチまでヘファイストスとミアハの味方をしたことでヘスティアは「ボクが悪いってのかい!?」と叫ぶが

 

「そりゃあ、あの首飾りに使われている素材に気付かないお前が悪い」

 

「ハァ!?どういう意味だいタケ!?」

 

「いや、一目見ればわかるだろう…」

 

「むきーっ!」とタケミカヅチとミアハの言葉に怒るヘスティアであったが、蟀谷を抑えていたヘファイストスがヘスティアに説明をする

 

「いい?あの首飾り、アレに名前を付けるとしたら『スーリヤの首飾り』よ」

 

「…………はい?」

 

何故そこで天界で最もヤバいと言われている神々の集団である『リグ・ヴェーダ』の中でも最上位クラスの神格と実力を持つ太陽神の名前が出てくるのか分からないヘスティアにタケミカヅチは深いため息をついてから

 

「首飾りに使われている素材は天界最硬と讃えられ、あの破壊神シヴァでさえ破壊困難と謂われ、天界にある全ての神造武器を集めてもその価値に及ばないとまでされている『スーリヤの鎧』の一部だぞ?」

 

「…………えっ」

 

最早理解できないという(宇宙猫)顏をするヘスティアをよそにヘファイストス、ミアハ、タケミカヅチは話を続ける

 

「しかし、一体どのようにしてあの『スーリヤの鎧』を削ったのか…」

 

「それはたぶん、スーリヤ自神が削ったのだろう、自分の鎧くらい自分で削れなくては意味がないだろうしな」

 

「それで製作者はトヴァシュトリと……一部だけとはいえどれだけの価値があると思ってんのよ……」

 

片手で頭を押さえ、呆れるヘファイストスにタケミカヅチは感心したように

 

「ほう!造ったのはあのトヴァシュトリだったか!俺は素材は分かったがトヴァシュトリかヴィシュヴァカルマン、どちらが造ったかまでは分からなかったな」

 

「そこは鍛冶神だからな、誰が造ったかなど我々が見るよりヘファイストスの方が詳しいのだろう」

 

それでどれほどの価値だ?と聞くタケミカヅチとミアハにヘファイストスは「たぶんだけど…」と前置きして

 

「私が打った『ヘスティア・ナイフ』…あれを100本打ってもまだおつりがくるぐらいの価値はあるわね‥‥‥」

 

「間違いなく、命にあの首飾りを架けたのはカルキ・ブラフマンだろうが……そこまでの価値がある物を簡単に他人に渡すとはな」

 

「ふぅ‥‥」

 

命の持っている首飾りの本当の価値を認識させられたヘスティアは先ほどのヘファイストスと同じように気絶するのであった

 

***

「…………本当に事態が動いたな」

 

夕刻、【ヘスティア・ファミリア】の本拠(ホーム)から抜け出した竜女(ヴィーヴル)の少女を眼下に眺めながらソーマが呟く

 

「幼子は突飛な行動をするから眼を離すなとは言いますが……」

 

「ここまで幼子と変わらないとは盲点だったな!」

 

やれやれとどこか呆れながら首を振るカルキと苦笑するガネーシャは厄介な事態になったことを苦々しくもいつつも、どう動くべきかを直ぐに考え始める

 

そう、今だ本拠(ホーム)に戻っていないベルを除いた【ヘスティア・ファミリア】が目を離しているうちに竜女(ヴィーヴル)の少女は【ヘスティア・ファミリア】の本拠(ホーム)からオラリオの街へ走って出ていったのである

 

「こうなっては仕方がない……カルキ、あの竜女(ヴィーヴル)を追え。俺は本拠(ホーム)に戻りシャクティに事情を話してこよう」

 

「あの竜女(ヴィーヴル)の存在がバレた時はどうするカルキ?」

 

「その時は【ヘスティア・ファミリア】の元本拠(ホーム)に一時的に隠しましょう。あそこならばそう簡単には見つからず、【ヘスティア・ファミリア】だけが分かるかと」

 

そう言うと漆黒のローブを着て顔まで隠したカルキが音もなく移動し姿と気配を消しながら竜女(ヴィーヴル)の少女を追い、「では事が起こったらヘスティアにそれとなく伝えるか」とソーマはヘスティアを尾行し、ガネーシャは不測の事態に備えるべく動き出した

 

***

「(ウィーネッ‥‥!)」

 

カルキ達が動き始めて少し経った頃、【ヘスティア・ファミリア】の本拠(ホーム)からウィーネがいなくなったことに気付いたベル達は慌ててウィーネを探していたのだが、とある通りでモンスターが見つかったと聞き急いで向かうとウィーネが無数の飛礫を浴び目に涙を浮かべており、それを見た瞬間、ベルの全身が発火し、身を挺してでもウィーネを守ろうとファミリアの仲間が止めようとするのも聞かずに人垣をかき分け涙を流すウィーネの元に駆け付けようとしたのだが

 

「な、なんだっ!?」

 

「か、風がっ!!」

 

突然、ウィーネの周辺に強風が吹き荒れ、人々が風で吹き飛ばされ周囲の壁に叩きつけられたかと思うとウィーネのすぐ隣に漆黒のフードを身に着け、顔の見えない人物が現れ、ウィーネを片手で抱え上げ路地裏へ走っていったのである

 

「ッツ!!」

 

ウィーネを目の前で攫われたベルは頭に血が上ったのか直ぐに漆黒のローブの人物を追いかけようとすると、後ろから襟首をつかまれ「グッ」と声を上げ自分の邪魔をした人物が誰なのか振り向くと

 

「神様‥‥?」

 

『ソーマ(様)!?』

 

いつの間にかベルの後ろにいた神らしき人物にベルは混乱するが、前髪で目を隠す男が身を知っているヘスティア達はその神の登場に驚いた声を上げるが、ソーマは一切反応することなく小声でベル達に話しかける

 

「(あの竜女(ヴィーヴル)はカルキがお前たちの以前の本拠(ホーム)に連れて行った……)」

 

『(!!)』

 

意外な情報にベル達が驚く中、「早く行け」とばかりに顎をしゃくるソーマにベルは「ありがとうございます!」と告げ走っていき、【ヘスティア・ファミリア】の面々もソーマに礼を言った後【ヘスティア・ファミリア】の元本拠(ホーム)へと素早く移動を始めた

 

***

「……………」

 

「…………ここまで怯えられると流石に傷つくな」

 

【ヘスティア・ファミリア】の元本拠(ホーム)『教会の隠し部屋』に着いたカルキは脇に抱えていた竜女(ヴィーヴル)の少女を下したのだが、竜女(ヴィーヴル)の少女は降ろされた途端、カルキから急いで離れ少し埃のかぶったベッドの陰に隠れ涙目でカルキを見ながら怯え、自分がベルの知り合いだと言っても信じてもらえず、カルキもどうしていいか分からずじまいであり、ベルがここに来るのをただ待っているしかないという状況になってしまっていた

 

「(しかし…どうしたものか)」

 

ガネーシャ達が人間の領域を飛び越え、神の領域にまで入っていると称賛する武を誇り、大抵のことは卒なくこなすカルキであるが、子供…特に幼い子供の相手は苦手であり、どうしたらよいものかと暫く途方に暮れていると

 

「ウィーネ!」

 

「ベルッ!」

 

扉をすごい勢いで開けて入ってきたベルを見てウィーネというらしい竜女(ヴィーヴル)の少女はベッドの陰から身を乗り出し、ベルに抱き着きに行こうとするが、ウィーネとベルの間にカルキがいるせいでしり込みしていることに気付いたカルキが「やれやれ」と首を振り、横に動くとようやくベルに抱き着きすすり泣き始めた

 

「ベル、この竜女(ヴィーヴル)…ウィーネについてはお前に任せる、大いに悩んでお前がどうしたいかを決めろ」

 

【ヘスティア・ファミリア】以外に効果のある人払いの結界は張っておこうとだけ言って部屋から出ていくカルキに小さな声で「ありがとうございます…」というベルに気にするなと振り返らずに手を振り地下から地上へ出るとヴェルフ達も丁度着いたところだったので、ベル達が地下の部屋にいることを伝えるとそれぞれカルキに礼を言って地下の部屋へと入っていく

 

「カルキ君」

 

「何でしょうかヘスティア神よ」

 

地下の部屋に入っていくヴェルフ達を見送った後、ガネーシャ達に報告しようとするカルキにヘスティアが呼びかける

 

「…………君達は…ううん、君の背後にいるあの神々は何を考えている?」

 

「やはり気付かれましたか‥‥いや、確信に至ったのはタケミカヅチ神のおかげでしょうか」

 

最早、自分の背後にいる神々のことなど隠す必要などないとするカルキに「あの神々のヤバさは分かっているだろう‥‥っ!」と真剣な顔のヘスティアにカルキは暫く考え

 

「まあ、あのウィーネと呼ばれている竜女(ヴィーヴル)を排除する気はありませんとだけ」

 

「そうかい……いや、そのことだけでも今は十分だよ」

 

短いやり取りであったがウィーネを守ろうとするヘスティア達と敵対することはないと言うカルキにホッとするヘスティアに「では」とカルキは去りヘスティアはその後ろ姿を見ているが、出入り口付近で「ああ」と今思い出したようにカルキが振り返り

 

「ヘスティア、お前の眷属であるベル・クラネルのことカルキだけではなく私も見極めるとしよう」

 

「この声はっ……スーリヤ!?」

 

自分の眷属がリグ・ヴェーダの神々の一柱に目を付けられていることに驚くヘスティアにフッと笑いカルキはガネーシャ達にウィーネのことを報告しに戻るのであった

 

***

ベル達が【ヘスティア・ファミリア】の元本拠(ホーム)に集まった頃、【ロキ・ファミリア】の本拠(ホーム)『黄昏の館』の執務室でロキ、フィン、ガレス、リヴェリアが集まって話し合っていた

 

「…………ロキ、それは一体どういうことだい?」

 

人工迷宮(クノックス)』攻略に必要とされる『鍵』…『人工迷宮(クノックス)』に存在する『扉』の開閉に必要とされる魔道具(マジックアイテム)『ダイダロス・オーブ』は未だ見つからず、団員達に命じて都市外及びダンジョン内にある人工迷宮(クノックス)の出入り口を押さえ、30階層までの食人花の生産工場の発見と撲滅を続けているが闇派閥(イヴィルス)が籠城の構えをしているせいもあって芳しい成果は上げられていない。歓楽街跡から【フレイヤ・ファミリア】が人を運び出し【イシュタル・ファミリア】の本拠(ホーム)跡地から何かを探していたという情報から『ダイダロス・オーブ』を所持していると思われるフレイヤへロキが探りを入れてもフレイヤはとぼけるだけであり交渉は難航、最悪『抗争』も辞さない状況になっていた

 

そこに数日前、ロキが団員達に『カルキ・ブラフマンへの敵対行為及び一切の接触を禁止』を厳命したことに【ロキ・ファミリア】の最高幹部たちも混乱していた

 

「ロキもあの男は怪人(クリーチャー)の可能性があると納得していた筈だが?」

 

「うーん、そうなんやけどなぁリヴェリア、ウチはそいつが『自分は怪人(クリーチャー)だー』って言ってるところは見とらんから本当か嘘か分からんし、今ウチが想像していることが当たっとたらカルキちゅう奴は冒険者や怪人(クリーチャー)以上の化物や」

 

「?それはどういう意味じゃロキ?」

 

確かにリヴェリアが持ってきた情報―――――都市最強レベル7【猛者(おうじゃ)】オッタルをカルキが嬲るように半殺しにしたとを聞いたときはフィンもガレスも驚愕したがカルキが相当な数の魔石を喰らい力をつけた怪人(クリーチャー)であるならばレベル7に匹敵もしくはそれ以上あってもおかしくはないと考えたのだが、その報告を聞いた途端、ロキは「まさか…」とだけ呟き慌てたように【ロキ・ファミリア】の団員達にカルキ・ブラフマンへの敵対及び接触禁止を厳命したのである

 

「カルキ・ブラフマンちゅう奴とオラリオにおる神で特に親しくしとるのはガネーシャとソーマ、そしてオッタルからの『歓楽街の惨劇をガネーシャ、ソーマ、カーリーが楽しんでいた』と『怪物祭(モンスターフィリア)の際、突如吹いた『風』にカルキ・ブラフマンが吹き飛ばされた』という情報、そしてアポロンのトコでアイツが神々(ウチら)にすら『死』を錯覚させる程放った殺気、レナちゃんが言っとった歓楽街を燃やし尽くした『炎』の中で【イシュタル・ファミリア】の団員を殺していたという情報……………どうにもカルキ・ブラフマンの背後に『あの神々』の影が見えててな」

 

そんなことはあり得ん筈なんやけどなぁと薄く目を開け天井を見上げるロキにロキの神意が読み取れないフィン達はお互いを見て僅かに首を傾げるがロキは何かに怯えるかのように見えることだけは三人とも理解できた

 

「……あの神々相手にしてウチの眷属()を亡くす訳にはいかん……」

 

かつて天界で他の神の領土まで消し飛ばしながら殺し合いを楽しんでいたとある神々を思い出しながらロキはポツリと呟くのであった




あれ?前回から1日も進んでないような……?あれれ~おかしいぞぉ~?


残念ながらベル君にスーリヤだけじゃなくインドラやヴィシュヌも興味を持っちゃってるんですよ
‥‥‥…ヘスティアはベルをインドの魔の手から守り切れるのかこうご期待!!(嘘)



ベル・オッタル「強くなりたい………」

カルキ「そうか、ではまず、神の恩恵を封印してアグニの炎に一時間焼かれろ、次に自分がヴィマーナに乗って矢を放ちながら追いかけるから一日逃げ続けろ……まずはそれからだ」

ヘスティア・フレイヤ「り、理不尽すぎる………」

カルキ「もう体も出来てたからって七日七晩アグニの炎に焼かれたり、自動追尾してくる矢を放たれた自分よりはマシ」



ちなみにカルキはオッタルのことを報告してません。もし、上手く報告出来なかった場合

「は?下界に『おうじゃ』を名乗り『覇王』を冠する武器を使う奴がいる?………随分とフレイヤの奴は調子乗ってやがるな」

と、とある下半神がアイラーヴァタに乗って突っ込んで来た挙げ句

「何故報告しなかった」「こうなることが目に見えていたからです」「……手を貸そう」と下半神vsカルキwithスーリヤ(inオラリオ)のイベントが発生します

(なお、ガネーシャとソーマ、カーリーは笑いながら見学する模様)

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