ダンジョンでブラフマーストラを放つのは間違っているだろうか 作:その辺のおっさん
長くなりそうだぅたので前後編に…………
許してください!何でもry
バチンと、世界から弾かれた感覚が全身を襲った
「………またか」
が、世界から弾かれた、当の本人であるカルキは腕を組みながら呟くほどには、すこぶる冷静であった
「しかし、先ほど、僅かに見えたが、ガネーシャ神やタケミカヅチ神も巻き込まれていたな……同じところに落ちれば良いのだが」
オラリオで色々あったことで、ブラフマーから「そんなに暴れたいなら世界の狭間に空間を造ってやんよ」とカルキがブラフマーが創造した空間を授かったのが昨日の夜
空間を授かったことをガネーシャ神に報告したら、「え?そこでは『神の力』使いたい放題だって!?」と、テンションの上がったガネーシャが「じゃあ、今からタケミカヅチ誘ってくる!」と言い出したのが今朝の出来事である
そして、つい先ほどまで、『神の力』使いたい放題のガネーシャとタケミカヅチの神々の戦いを傍から眺めていたことを思い出しつつ、カルキはその身を任せ、自由落下していく
「ああ‥‥どの世界でも夜にきらめく星々は変わらず美しいな…‥…は?」
天界で修行していたころ、よく神々の戦いに巻き込まれて飛ばされた『異世界』で夜の空を見上げるたびに思うことを、現実逃避まじりに呟いたカルキは、頭を動かし「やはり月も変わらぬ美しさなのだろうか」と思い、その世界の月を見た瞬間、呆けた声を上げる
が、思わずといった調子で珍しくカルキが呆けた声を上げたのも無理はない
本来であれば夜の暗闇に覆われた空に儚くも美しい光を放ち、美しい円を描いているはずの月が、一部が崩れ去り、その破片が周辺を漂っている異様な月が目に映ったからである
そして、カルキが呆けた声を出した理由はもう一つある、それは
「まさか‥‥ここは、あの歌う痴女達がいる世界か?」
そう、以前にカルキはこの世界に飛ばされたことがある。そこは、カルキが『痴女』と称し、カルキから報告を受けたヴィシュヌですら困惑した表情を浮かべた、歌いながらきわどい珍妙な鎧を着ていた少女達と会ったことのある世界だからである
「2度来るのは初めての経験だ……いや、まずはガネーシャ神達と合流するのが先か」
そう言ってカルキは眼下にあった極東風の建物へと激突した
***
────鎌倉 風鳴本家────
「むぅっ!」
「今のは!?」
屋根で対峙していた風鳴訃堂とS.O.N.G司令風鳴弦十郎は突然空から落ちてきたナニカに、動きを止め、土煙に目を凝らすと同時に護国の鬼は顔を屈辱に歪め、OTONAは驚愕に染まる
「(おや?この白髪の男は以前みたな………?)」
‥……その一方でカルキの方は、全く気にしていない様子ではあるが
「夷狄が‥‥…一度ならず二度までも風鳴の地を荒らすかっ!!」
数ヶ月前、フラリと現れたカルキに手傷一つ負わすことも出来ずに、一方的に叩きのめされた訃堂は、片に付いたホコリを払い、どこか疲れた雰囲気を醸し出す男に憤怒の表情で睨みつけ、
「くっ………まさかここで現れるとはっ………!」
他方、同じく数ヶ月前に、その男の埒外じみた力を目の当たりにした弦十郎は、この場からどのようにして離れるかを思考する
「(目の前にいるのは、『神の力』を宿したティキ、パヴァリア光明結社の幹部と局長、そしてギアの適合率を上げ、装者の力を集めた響君を一撃で戦闘不能にし、反応兵器すら目から放った光線で消し飛ばし、その余波で米国の3分の2、2発目で露国と中国を中心にユーラシア大陸全土で未曽有の死者を出した不審人物………しかも、それらも実力の底とは限らない………どうする…………)」
が、男の方はそんな2人を無視し、片に付いた埃を軽く払った後、興味すら示さず立ち去ろうとする
「待てぇい!!」
「待てっ!」
しかし、2人は男を去らせまいと吠える
護国の鬼は男に今まで鍛え上げた技など無駄だと言わんばかりに向けられた眼に屈辱を晴らすため、少女たちを導く男は、男の向かおうとしている先にいる兄と部下たちを守るため、卑怯とは思いながらも後ろから襲い掛かる
「qdt、b4e4sgi、ztbsf@t@t@……33、p@vmud…q@Zqt?」
そう男が小さく呟くなやいなや、男が腕を振るうと、訃堂と弦十郎は吹き飛んだ
***
「………(ああ、思い出した、あの白髪の老人、以前この世界の情報が欲しくて丁度よさげな屋敷を見つけたので入ったらいきなり襲い掛かって来たから、両手両足を折ったのだったな………ならばここはあの屋敷か」
こちらに飛びかかってきた2人を軽く払ってからカルキは、ふとあの白髪と白髭の老人にはあっていたことを思い出しながら、歩きつつ、ふぅと小さくため息をつく
「さて……これからどうするか」
はっきり言って、この世界では自分への評価は最悪だろうとカルキは判断する。言葉は通じず、自分達を一方的に叩きのめした男……‥そんな男に手を差し伸べる物がいたら、余程の阿呆かお人好し、あるいは相当な傑物であろう
「?」
そんなことを思いながら、2人を吹き飛ばした先に何の気なしに向かったカルキは、そこでカルキは何やら言い争っている初老の男と青い髪をした少女を見かける
「(男の方は知らないが、あの青い髪をしたのは確か、痴女の一人だったか?)」
やがて、初老の男性が、少女に何かを諭すと、後ろから現れた茶髪の男性に何事か叫び、ネクタイを取り、上着を脱ぐと、近くに転がっていた白髪の老人が手にしていた刀を握り、カルキを睨む
「ああ、そういうことか………」
そうカルキはフッと微笑ながら呟く、あの初老の男性の眼は、家族を守ろうと死ぬ覚悟を決めたそれである。恐らく、否、間違いなくあの初老の男性はあの痴女の父親なのだろう、その瞳には、例え己が死しても娘を守ろうとする気概が感じられた
「ならば………その意気に自分も全力を以って応えるとしよう‼」
そう言って、カルキは虚空からチャンドラハースを取り出し、手に取り、構えた
***
「お父様ぁ!!」
勝負は一瞬、男が振るった凶刃は容赦なく正確に八紘の首に吸い込まれ、はね飛ばし、首から上が無くなった胴から鮮血が噴水のごとく勢い良く吹き上がり、周囲を朱に染める
風鳴本家に翼の絶叫が響き、その光景を見ていた弦十郎達は顔を強張らせ、映像を見ていたS.O.N.Gの面々は顔を思わず背け、目を強く閉じる
「………」
男は持っている三日月刀を軽く一振りし、刃についた血をはらうと、右頬についた僅かな傷を左手の甲で拭い、僅かに口角を上げる
「貴様ァァァァ!」
激昂した翼がギアを纏い、男に斬りかかるが、男は武器を使うどころか、僅かに体を動かすだけで、斬撃を躱していく
「そんな…………」
それどころか、切り札として使ったアマルガムの攻撃ですら、男に片手一本で止められるという現実に、その場にいる誰かが呆然とした声を上げるしかできない中、地面が揺れ、シェム・ハとユグドラシルが姿を現した
***
「………また神もどきか?」
「遺憾である、我が名はシェム・ハ、貴様ら人が仰ぎ見る唯一の神である」
思わずといった拍子でカルキが呟くと、まさかの返答があったことにカルキは僅かに眉を上げる
「侮るな人間、それより、貴様、何故失った統一言語を話せる、この世からそれは失われたものだ」
「ふむ…何故と問われれば、それは自分がこの世界の者ではないから、ということが正しいだろうな」
「ほぅ……」
カルキの答えに興味を持った様子を見せるシェム・ハは
「だが、貴様もヒトだというのであれば我の下に跪け、失いし統一言語を話す者よ、それが摂理である」
そうカルキに己の配下になるように迫るが
「断る」
「何………?」
にべなく断ったカルキにどういう意味かと問うシェム・ハにカルキは人差し指を眼前に立て
「生憎だが、自分が恐れ敬うのは『あの御方々』のみだ………それにな」
「?」
「『あの御方』の炎で焼かれ、肉体を完全に宇宙より『破壊』されたならまだしも、肉体を失っただけで、依代がなければ復活できない紛い物以下のゴミに礼をするほど、自分の頭は軽くはないのだ」
「貴様……ぁ!」
完全に舐めきっているとしか思えないカルキの答えと態度に、激昂するシェム・ハの攻撃と、それを迎え撃つカルキの一閃がぶつかりあった
***
───同時刻 某県 調神社───
「ほぅ!ここはアマテラスにトヨウケ、スサノオを祀っているのか!ならば俺を………いや、タケミカヅチを祀っている社もあるのだろうか?」
「ええ、鹿島神社という…………写真を持ってきましょうか?」
「ああ!ぜひ頼む!!」
神社の裏にある宮司が使っている部屋にタケミカヅチはいた
「(しかし、まさか異世界に来たかと思えば、極東、しかも俺達と同じ名を持つ神とは……いや、良き縁だ)」
例え異世界でも己を祀っている社があると、偶々、空から落ちた神社の宮司から聞いたタケミカヅチは機嫌よく、宮司から出されたキッシュを摘む
「さぁ、これが鹿島神社です」
「こ、これは!」
タケミカヅチが驚くのも無理はないだろう、写真に写っている己と同じ名の神を祀っている神社は荘厳であり、己の社とは比べ物にならないほど立派なものであったためだ
「くっ…うっ、うぅ………」
「な、泣くほどですか!?」
「いや、済まない、宮司よ………うぅっ、異なるとはいえ、ここまで立派な社を建ててもらえるとは………もし、こんな立派な社に住んでいれば、桜花、命、お前達に苦労はさせなかったものを………うぅぅ!」
「………何事かは分かりませぬが、今夜は飲みましょう、私も付き合いますから」
「か、忝ない…………」
そうして、武神と神に仕える男の夜は互いの境遇を語り明かしながら、ゆっくりとふけていく
***
───同じくお好み焼き屋ふらわーにて───
「うむ!このガネーシャ、『お好み焼き』なるものを初めて食ったが、これは旨い!気に入ったゾウ!」
「ふふっ、嬉しいねぇ」
「しかし、女将よ、本当に良いのか?俺は無一文、もしも連れと合流出来れば良いが………」
「まぁ、それは私の奢りってことで……ね?」
その慈愛に満ちた、ふらわーのおばちゃんの言葉に、心を打たれたガネーシャは立ち上がり、号泣しながら
「うおおおん!ガネーシャ心から感謝!!まさにこの女将の心こそ!ガネーシャだぁ!!」
「うふふっ、面白い方だねぇ」
その後、やってきた3人の女子高校生と何故か意気投合した『群衆の神』は、異世界の夜を楽しんでいた
***
─────その一方で
「お…………の……れ…………………」
風鳴訃堂から逃れたシェム・ハは、地に伏し、今まさにカルキによって、依代の少女ごと殺されようとしていた
「怪物共め………使い物にならん…………」
そして、シェム・ハの周りには、中途半端な怪物から完全なる怪物へと作り変えられたノーブルレッドが、カルキによって、無残にも倒れている
「やはり、所詮は紛い物、あの偉大なる方々には遠く及びもしないな」
そう右手で三日月刀を持ちながら歩いてくるカルキに
「なめ………るなっ!……」
「!」
倒れていたヴァネッサがカルキの足元にナニかを投げると、カルキの体が光に包まれ、姿を消す
「ク………ハハ………良くやった………これで、これで我に逆らう者無し………フハ……フハハハハハ!」
カルキをこの場から地球の裏側へとテレポートさせ、勝利を確信し、高笑いするシェム・ハは知らない
今、この世界には、今、テレポートさせた男より、余程狂った神が2柱いることを
そして、その神の1柱の所属している神々よって、既に己の同胞達は殺されており
シェム・ハ自身の望みすら、嘲笑われ、無残に己が死して行くことを
未来を視ることが出来ず、未来を求める神は、己の運命をまだ知らない
カルキ「………何で言葉通じるのですか?」
ガネーシャ・タケミカヅチ「「神だから」」
カルキ「………oh」
ちなみに真実を知ったカルキ
「え!あの男が父親ではなかったのか!?」←加減/ZEROでチャンドラハースを振り切った男