ダンジョンでブラフマーストラを放つのは間違っているだろうか   作:その辺のおっさん

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感想の返信の方でも書きましたが、インド神話や他の神話でもよくある(?)ようにカルキはやらかす時はやらかします(例:カーリーへの挨拶代わりにメレン崩壊)


そして、男同士なら下ネタもポロっと言うし(インドラのせい)、ガネーシャやソーマ辺りが「一戦どうだ?」と手合わせに誘うと嬉々として乗っかります。冷静そうに見えて割と戦闘狂の部類です(番外編のオラリオ経済崩壊IFはその一端)





あと、全く関係ないですけど、北欧神話でニョルズとフレイヤって親子なんですね(ニョルズが親)………ちょっ、ダンまちでの神の親子関係どうなってんだよ(まぁ、ディアンケヒトとミアハとかウラノスとゼウスとヘスティアが何も説明されていないので親子姉弟の関係自体ないんでしょうが)


第39話

闘争が来る

 

 

白き光は竜の娘をかばい道化の眷属、都に住む者達と相対する

 

 

獣の夢を好む神は人が放つ日輪の極光を宿す不滅の刃の前に森と共に消える

 

 

それを天より眺める雷の武神は人に神の槍を授ける

 

 

その槍を見し下界に下りし武神、昂りて人と打ち合う

 

 

人と神の闘争に民と異形はなすすべもなく街は恐怖する

 

 

忘れるな求めし光は下界に下りし万能の者の多さであり、白き光が竜を助く時

 

 

群集の主、月と杯、闘争と殺戮、彼の神々の助けなくば都は滅ぶ

 

 

心せよ、其は破壊の神に認められし人と極東の武神の闘争――――――――

 

 

***

「―――――――――――――――――――――――ッツ!」

 

【ミアハ・ファミリア】の本拠(ホーム)『青の薬舗』、ギルドから『待機命令』を出され、待機していた【ミアハ・ファミリア】に所属する少女カサンドラは、ついうたた寝をしてしまい、そのわずかな時間で『予知夢』を見て飛び起きた

 

「(何?今の…………)」

 

カサンドラはいつも『予知夢』を見てきた。しかし、その『予知夢』が告げる『破滅』は自分とその周りの『破滅』だけであったのが今回はオラリオという迷宮都市そのものの『破滅』を見たのである

 

「オラリオが人と神の戦いで滅ぶ…………?」

 

「カサンドラどうしたの?」

 

「もう、また例の『夢』って奴?」

 

呆然とカサンドラが呟くと、団長であるナァーザとカサンドラと同じように【アポロン・ファミリア】から【ミアハ・ファミリア】に改宗(コンバーション)したダフネがそれぞれ尋ね、後ろではうたた寝したカサンドラに毛布を掛けてあげようとしていたミアハがいた

 

「あ、あのね、ダフネちゃん、団長さん、オラリオで神様が人の放った太陽の光を宿した()()()()で殺されて………」

 

カサンドラは見た『予知夢』を何とか彼女たちに伝えようとするが

 

「………カサンドラ、あんた分かってんの?人間(ウチら)が神を殺せるわけないじゃん」

 

「うん、そもそもが間違ってる」

 

『下位の存在である人間は上位の存在である神を殺せない』という下界の絶対のルール、即ち、神殺しの大罪を犯せる人間などいるはずがないとカサンドラの夢の内容を否定するダフネとナァーザであったが

 

「待て………今の『夢』詳しく聞かせてほしい」

 

「「ミアハ様!?」」

 

カサンドラの『夢』の内容の続きを促す真剣な顔のミアハにナァーザとダフネは驚くが、彼女たちを半ば無視するようにミアハはカサンドラの『夢』の話に聞き入り、『破壊の神』と聞いた途端、顔をサッと青ざめて震えたかと思うと

 

「ナァーザ!今すぐにヘファイストスの所に行きヘファイストスに『カルキ・ブラフマンとタケミカヅチが戦う可能性がある』と伝えてくれ、カサンドラはヘスティアのもとに行き同じことをヘスティアに伝え、ダフネは【タケミカヅチ・ファミリア】の本拠(ホーム)に向かいタケミカヅチの動きに注意してくれ、私はギルドに行き、ウラノスに何としてもこのことを伝えてくる」

 

そう言うなやいなや本拠(ホーム)を飛び出していったミアハを見送った後、残された彼女たちはしっかりと本拠(ホーム)の戸締りを確認した後、それぞれミアハの指示に従うのだった

 

***

ダンジョン18階層にある『リヴィラの街』に【ガネーシャ・ファミリア】やベル、よくわからない3人組を、ついうっかり追い抜いてしまったことに気付いたカルキはすぐに隠形の術を使い、モンスター達…‥異端児(ゼノス)に気付かれないように隠れたのだが

 

「(……………………遅いな)」

 

カルキが隠形の術を使い始めて30分、正直な話カルキが早すぎただけなのだが、ベル達は今だに影も形も見えず、ベル達が来るまで一人ポツンとダンジョンで体育座りしていても仕方がないので、『リヴィラの街』へと向かい、情報を集めることにしたカルキは隠形を維持しながら廃墟と化した『リヴィラの街』へと向かうと

 

「同胞ヲ何処ヘ連レ去ッタ!?言エ、人間!!」

 

「(なるほど……あれが異端児(ゼノス)か」

 

18階層に響くモンスターの鳴き声に混じり、片言の人語が聞こえたため、そちらに向かうと片言の人語を話す石竜(ガーゴイル)が両足をつぶされた冒険者に詰め寄っており、情報を得るには都合が良いとこっそりと近づき、聞き耳を立てる

 

「シラバックレルナ!!貴様カラハ臭ウ、人蜘蛛(ラーニェ)ノ『毒』ノ香リガ!!」

 

「っ…………!?」

 

「同胞ノ遺シタ意思ガ、貴様等ヲ薄汚イ畜生ダト言ッテイル!!」

 

どうやら、石竜(ガーゴイル)に顔先まで詰め寄られ、上下から体内の水を出している冒険者は【イケロス・ファミリア】に所属している狩猟者(ハンター)のようであり、“ラーニェ”という単語に聞き覚えはないが、恐らくは【イケロス・ファミリア】に殺された異端児(ゼノス)の名前だろうと推測する

 

「(しかし、どうやら人語を話すのはそこにいる石竜(ガーゴイル)蜥蜴人(リザードマン)、赤い帽子をかぶった小鬼(ゴブリン)歌鳥人(セイレーン)辺りか………)」

 

周囲のから響くモンスターの鳴き声に混じり微かに聞こえてくる人語を聞き逃さなかったカルキはすぐに人語を話しているモンスターを把握し、その数と種類を確認する。そして、異端児(ゼノス)に指示を出しているのが主に石竜(ガーゴイル)蜥蜴人(リザードマン)であり、この2体が異端児(ゼノス)達のリーダー格であると気付いた

 

「(なるほど、理性がある故に、集団を指揮する者がいて他の者はその指示に従うというわけか、ふむ、この辺りは人間と変わらんな…………うん?)」

 

上も下もビショビショに濡らした【イケロス・ファミリア】の狩猟者(ハンター)から【イケロス・ファミリア】のアジトが東端の森にあることを無理矢理聞き出した石竜(ガーゴイル)が「持っていないお前等ではたどり着けない」と同じ回答を続ける【イケロス・ファミリア】の狩猟者(ハンター)とこれ以上の問答は無意味と判断したのか石の相貌を歪め、手を下そうとしていた

 

「うむ、それは困るな」

 

「グオッ!?」

 

『!!?』

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()とはいえ、後から来るであろう事情を知っているシャクティに一人くらいは【イケロス・ファミリア】の狩猟者(ハンター)がいたことを残さないといけないと感じたカルキが石竜(ガーゴイル)を数十(ミドル)投げ飛ばし、投げ飛ばされた石竜(ガーゴイル)は背中をしたたかに打ったことで苦悶の声を上げ、その他の異端児(ゼノス)狩猟者(ハンター)は急に出てきた人間に驚き、異端児(ゼノス)は警戒するように身構えると

 

「ふむ、勘違いしてもらっては困るな異端児(ゼノス)達よ、自分はこの男を助けたわけではない、後から来る【ガネーシャ・ファミリア】の冒険者に引き渡すためだ」

 

『!!?』

 

腕を組み、苦笑しながらいう人間に異端児(ゼノス)達は自分達が理性のある存在だと知っていると言っている人間の言うことを信じていいものかとお互いに顔を見合わせていると

 

「…………東端の森に向かわず、ここに長居していると、【ガネーシャ・ファミリア】の冒険者たちが来るぞ?」

 

その言葉を聞き、石竜(ガーゴイル)蜥蜴人(リザードマン)は互いを見やり、頷くと仲間たちを連れて、東端の森に向かい始める。その先で、モンスター同士でぶつかり合う音が聞こえ始めると、カルキは放心している狩猟者(ハンター)に向き合うと、何かに気付いたかのように顔を上げ、南にある18階層と17階層をつなぐ通路を見て呟く

 

「…………やれやれ、今頃着いたか」

 

カルキの到着から遅れて約1時間、ようやく【ガネーシャ・ファミリア】とベルがダンジョン18階層に到着したのだった

 

***

「リヴィラが………!」

 

暗い通路から出てきたベルは、討伐隊の中で唯一息を切らしながら壊滅したリヴィラの街を眺めて呆然と呟いていたが、【ガネーシャ・ファミリア】の冒険者たちはすぐに行動を開始しようとしていた

 

「団長ここからは………ってええ!?」

 

「いや、待て―――――姉者あれをって………何故あの居候がいる!?」

 

シャクティから指示を聞こうとしたモダーカが驚いた声を上げ、誰よりも早く武装したモンスターに気付いたイルタがシャクティに報告しようとして、武装したモンスターのすぐ近くに足が潰されている冒険者の近くで悠然と佇むカルキに気付き怒声を上げる

 

「武装した有翼のモンスター………一体いつの間にここにいるんだアイツは」

 

武装したモンスターが真東にある大森林に向かっているのを確認しつつ、モンスターを追う気配すらない最強の居候にシャクティはため息をつきつつ

 

「部隊を2手に分ける、私は一時アイツと会う、モモンガ、少人数で私と来い」

 

「はい!あと、自分はモダーカです!!」

 

「残りの者は森へ追え!私も後から合流する!」

 

もう【ガネーシャ・ファミリア】のなかで自分の名前を正しく呼ぶのはあの居候だけなのでは…?と思うモダーカを連れ、シャクティは壊滅したリヴィラの街へと先行して向かうとこちらに気付いたカルキが右手を挙げ

 

「来たか……すまないが、この男、引き取ってくれ」

 

「そこにいるのは今回の騒動の被害者か?」

 

シャクティが来るなり、足元にいる男を引き取れと言うカルキに救助した逃げ遅れた冒険者かと尋ねると

 

「いいや、【イケロス・ファミリア】だ」

 

「そうか……モモンガ、この冒険者は今回の騒動の鍵になる男だ、どこか適当なところに縛っておけ」

 

「ああ、ちょっと待て、消臭の道具(アイテム)で毒の臭いを消して…………とこれでいいだろう」

 

追いついてきたモダーカ達に【イケロス・ファミリア】の生き残りを確保させた後、再び姿を消していたカルキにため息をつき、イルタ達が戦っているであろう東端の森に向かうシャクティだった

 

***

「(あの【イケロス・ファミリア】の団員は【ガネーシャ・ファミリア】に任せるとして……………ベルはどこにいる?」

 

18階層の大森林を素早く移動するカルキがベルを探していると、ベルが蜥蜴人(リザードマン)と何やら口論している様子を確認したので再び隠形の術を使い近づいて行き、話を聞くと、どうやらベル達【ヘスティア・ファミリア】と共に暮らしていた竜女(ヴィーヴル)、ウィーネが【イケロス・ファミリア】によって拉致され、多くの異端児(ゼノス)が殺されたことが事の発端であると分かった

 

「(これはガネーシャ神が言っていたように異端児(ゼノス)には『他者が傷つけられたからこその怒り』があるということの証明になったな)」

 

そんなことを呑気に思っていると、ベルは蜥蜴人(リザードマン)………リドというらしい、異端児(ゼノス)に拒絶され、あの酒場の店員に助けられていた

 

「(異形の者に自分のことを思って拒絶され、エルフからは一旦地上に戻るように言われたか…………さあ、竜女(ヴィーヴル)のことを蜥蜴人(リザードマン)達に任せて地上に戻るか、それとも拒絶されても手を伸ばし、他人に任せることを良しとせず自らも助けに行くか……………………どうする、ベル…………………………?)」

 

ベルが差し出されたエルフの手を取るか否かカルキは見定めるようにじっと陰から眺めていた

 




カサンドラの夢はこれでいいかな…………?



タケミカヅチ「オラリオでは戦わないと思ったけど、まだ誰にもそのことを言ってないからセーフ!!」


走れミアハ・ファミリア!君たちの動きにオラリオが壊滅するかダイダロス通りだけが壊滅するかが掛っている!!

作中最強がミイシャならカルキの天敵はカサンドラ(何故か行動が夢で見られるため
)

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