ダンジョンでブラフマーストラを放つのは間違っているだろうか   作:その辺のおっさん

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実は前回、ゼノスが賢者と共にどこかに行ったとカルキが言っていますが、アレはただゼノス達も吹き飛ばされただけです


戦闘描写が短いのはご愛敬ってことで一つ!!お願いします何でも(ry




第44話

────────愉しい

 

目の前の人間と打ち合いながら武神は嗤う

 

確かに自分の眷属の成長を見守り、彼等が強くなっていく姿を見ることも、強くなるために自分が稽古をつけている時間もかけがえのない大切な何物にも代えがたい楽しい時間だ

 

だが、今はその時間とは違う愉しい時間だ

 

「ああ────素晴らしい」

 

カルキの放った『奥儀』を()()()()()()()()()()真正面から受けつつ嗤う。まさかあの神々の『奥儀』を下界で、しかも人間が使うことを見る日が来るとは思わなかった

 

「フ……フハハハハハハハハ!!」

 

左手は炭化した、全身も『奥儀』を真正面で受け止めた代償にボロボロになったが、神の力(アルカナム)を使い治そうとすれば、神々が定めた規則(ルール)にのっとり、天界に送還すべく自らの体から光の粒子が出るが

 

「こんな愉しい時の邪魔をするな!」

 

そう一喝し、光を霧散させる

 

「これは『戦争』ではなく『闘争』………ならば、日輪が地の陰に隠れはじめるるまで心ゆくまで打ち(殺し)合おうではないか!」

 

こちらに槍を持って飛翔するかのように向かってくる人間(カルキ・ブラフマン)を獰猛な笑みを浮かべながら極東の武神(タケミカヅチ)は迎え撃つ

 

凄絶な笑みを浮かべる人間と神が互いの得物をぶつけ合うと同時に更地となった南区画がさらに吹き飛ばされた

 

***

「ク、フフフ………フハハハハハ!良い、まさか下界でこれほどの『闘争』を見られるとは思わなんだ!!」

 

目の前で繰り広げられる『闘争』に比べれば、闘国(テルスキュラ)で行い港街(メレン)で行ったカリフ姉妹とヒュリテ姉妹との『儀式』なぞ児戯に等しいとカーリーは嗤う

 

「ああ………これは良き『闘争』だ、俺の『神酒(さけ)』もいつも以上に美味に感じる………」

 

普段は出し渋る神酒の入った酒瓶を次々空にして足元に転がすソーマは満足げに頷く

 

「それにしても、ガネーシャはさっきから随分静かじゃの?」

 

「………………」

 

やはり『群集の主』であるガネーシャにこの光景は愉しめるものではなかったかとカーリーが横目でガネーシャを見ると、何かに耐えるようにガネーシャは俯き、震えているのを見て自分の考えは間違っていたかとカーリーは苦笑し、ソーマはどこか呆れたように嘆息する

 

「ガネーシャ分かっておるじゃろうが…………」

 

「ああ……分かっている………」

 

そう、ガネーシャはカルキとタケミカヅチの『闘争』によって崩壊していくオラリオの街並みを見て怒りを堪えているから震えている────────訳ではない

 

「ああ────俺も立場やしがらみを捨ててあの『闘争』に入れればどれ程愉しいだろうか」

 

カルキとタケミカヅチの『闘争』を眺めながらポツリと呟いたガネーシャの顔はカルキとタケミカヅチと同じように凄絶な笑みが浮かんでいた

 

***

「重傷者に高級回復薬(ハイ・ポーション)万能薬(エリクサー)を優先してください!軽傷者は薬と包帯で対応するか安静にして傷口付近を縛るか氷結魔法を使って一時的に出血を止めて各【ファミリア】の治療者(ヒーラー)が来るまでどうにかして耐えて下さい!!」

 

オラリオ北区画にあるギルド本部の前にある広場で【ディアンケヒト・ファミリア】の団長アミッドの必死な声が響き、動けるものはギルド職員でも冒険者であろうと負傷者の看護にあたるが

 

「アミッドさん!ダメです、薬も包帯も何もかも足りません!!」

 

「西区画から避難してきた方々がさらに増えて………っ、もうギルド本部の広場だけでは収まり切りませんっ!」

 

事態が悪化する一方であることを泣きそうな声で【ディアンケヒト・ファミリア】の団員が報告する。北区画一帯で多人数を横にできる広さのある場所は、北区画の隣にあるバベルがそびえたつ中央広場(セントラルパーク)、ここギルド本部前広場、【ロキ・ファミリア】の本拠(ホーム)『黄昏の館』があるのだが、中央広場(セントラルパーク)では神々が神の力(アルカナム)を使い障壁を張り、冒険者や大人や子供関係なしに動ける人間が簡易のバリケードを造り、盾を並べカルキとタケミカヅチがぶつかり合う際に起きる衝撃の余波を防ぐ防波堤となっており、【ロキ・ファミリア】の本拠(ホーム)『黄昏の館』は先ほどの一撃により両断され使用不可能となっており、そのため、ギルド本部前の広場に負傷者があふれかえっていた

 

「ッ………ギルド長にギルド本部の中も使えるように申請をっ、新しく来た方々は重傷者と軽傷者に振り分けて下さい!!」

 

一瞬だけ苦い顔をしたアミッドはすぐに指示を出し、自らの『戦い』に身を投じる

 

「レフィーヤ達はまだ戻らないかっ………!」

 

中央広場(セントラルパーク)まで下がって各【ファミリア】と協力し、焼け石に水だと分かっていてもバリケードを造り、盾を並べ、北区画に被害が出ないようにしたフィンは、自分が死地に送ってしまったレフィーヤを含んだ4人の団員が未だ戻っていないことに唇をかむ

 

「幸いにもレフィーヤ達が向かった区域の建物は奇跡的にあの戦いの被害を受けていない………あの子たちが無事ならいいが………」

 

不安げにリヴェリアが呟き、レフィーヤ達が竜女(ヴィーヴル)を追った方向を見る

 

フィン達が知らないことであるが、ベルやレフィーヤがウィーネを追った『ダイダロス通り』の一角の前にガネーシャ達が陣取っており、衝撃の余波やカルキが槍に纏わせた『アグニの炎』を3柱が神威で防いでいたので実はベルやレフィーヤ達がある意味で今のオラリオで最も安全地帯にいたのである

 

「クッソ、あの馬鹿どもめ………」

 

神の力(アルカナム)を使い、被害を防いでいるロキはカルキとタケミカヅチの『闘争』を見ながら悪態をつく

 

「(やけど此処であの馬鹿どもの戦いにちょっかい出すのは最悪手や……手ぇ出したら最期、あの馬鹿どもが『戦いの邪魔をしたから』とこっちを殺しに来る)」

 

そしてロキの考えと他の神々も同じ考えなのだろう、普段ならばふざけて他者の喧嘩で野次馬根性でふざける神が誰も人間と神の戦いに干渉せず、とにかくこれ以上被害が出ないようにしていた

 

「ロキ………」

 

「あぁン?何の用やフレイヤ?」

 

「あなた……あの男、いいえカルキ・ブラフマンの背後にいるのが()()()()()()()()()()?」

 

突然の問いにロキは目を開けどういう意味かとフレイヤに問うとフレイヤは「あの男はアグニの『炎』を使い、怪物祭(モンスターフィリア)でヴァーユの『風』に飛ばされた」と返す

 

「ちょ待て……じゃあそいつらも………?」

 

「それにあの男が『リグ・ヴェーダ』と繋がっているとするなら、この『破壊』をあの『維持神』が許すと思う?」

 

「!!?」

 

それは「否」だとロキは思う、だが、あの『維持』を司る神が、世界を『維持』するためならば戦争も殺戮も良しとするあの神がカルキ・ブラフマンをこのオラリオに向かわせた黒幕だというのならば…………

 

「まさか、カルキ・ブラフマンの背後におるんは────────」

 

「ええ………」

 

「「ヴィシュヌ」」

 

呆然とロキとフレイヤが呟いた神の名前は誰にも聞かれることなく再び鳴り響く轟音にかき消された

 

***

「うぬぁー、いつまでここにいなくちゃいけないんだいっ!!」

 

「文句を言わないで下さいヘスティア様っ!」

 

「ウラノス様とヘスティア様、ヘファイストス様、ミアハ様が動いたら俺達が死にます」

 

今ならばベルを追いかけられるのにとヘスティアが文句を言うがリリが怒り、ヴェルフの意見にその場にいる者全員が頷く

 

「くっ、西区画の一部にも被害が……っ」

 

「これじゃあ、天界と変わらないわね………」

 

とうとう西区画にも被害が出始め、ミアハとヘファイストスが眷属達を守りつつ苦い顔をする

 

「ロイマンたちが住民の避難をさせている………間に合えばよいが………」

 

でも今、ボク達取り残されてる状況だよねぇ!?とヘスティアが叫ぼうとすると、尋常ではない熱風がオラリオに吹き荒れた

 

***

オラリオを尋常ではない熱風が襲う少し前、カルキはタケミカヅチに僅かに押されていた

 

「(やはり武神、ブラフマー神から授かっている『祝福』を抜いてくるかっ……)」

 

本来、ブラフマーから神々や精霊、それらの眷属からの攻撃を受けても無効化する『祝福』を授かっているが、その『祝福』をタケミカヅチは簡単に抜いてきてカルキの体には大小問わずいくつもの裂傷が出来ていた

 

「(────だが……愉しい!)」

 

今の『戦い』は『闘争』である、ならば期限は日が沈み始める時まで、そしてその瞬間は間もなく訪れる

 

「(ならば────この一撃を以って締めとしよう!)」

 

そう決めたカルキはタケミカヅチを吹き飛ばし、跳躍すると槍を逆手に持ち替え弓の弦を引くように引き絞り

 

「…………此れはスーリヤの極光宿る不滅の刃────行け『ブラフマーストラ・クンダーラ』ッ!」

 

「!」

 

投擲した槍に太陽の光と熱が宿り、周囲を焼き尽くしながらタケミカヅチに向かって音すら置き去りにして飛翔していく

 

「────ォオオオオオオオオオオッ!!」

 

タケミカヅチは再び正面から受け止めるが、槍の勢いに負け、ズルズルと後ろに下がっていく

 

「グッ………」

 

一瞬だけ苦渋の表情を浮かべたタケミカヅチに

 

「シッ!」

 

「!?」

 

自ら放った『奥儀』の熱など知ったことかとばかりに地面すれすれで突っ込んできたカルキがタケミカヅチの腹に蹴りを放ち、その蹴りをまともに喰らったタケミカヅチは「ゴフッ」と血を吐きながら飛んでいき、城壁を破って数十KM(キロミドル)飛ばされる

 

「!」

 

飛ばされた先で顔を上げれば目に映るのはここまで蹴り飛ばされたタケミカヅチを自動追尾してきた日輪の極光と膨大な熱が宿る大槍、その大槍を見てタケミカヅチは嗤った

 

そして次の瞬間には大槍がタケミカヅチを襲い、周囲数十KM(キロメドル)を焼き払い、オラリオの西にある城壁を消し飛ばし、西区画の半分を壊滅させた

 

***

「フーッ‥……」

 

大きく息を吐いたカルキが右手をおもむろに伸ばすと幾何学模様を描きながら『インドラの槍』がその手に再び収まる

 

普通であればこれで終わったと誰もが思うであろう、が、カルキは構えを一切崩さず周囲を警戒する

 

「!」

 

カルキが背後を振り向き槍を突き出すと凄まじい衝撃が再度オラリオを襲い

 

「────成程、インドラ神とスカンダ神が『極東の連中は「技」もおかしいがそれ以上にアスラ神達以上にしぶとい』と仰っていた理由が分かりました」

 

「そうか……ならばインドラとスカンダに伝えておけ『我ら極東の『タカアマハラ』は確かにお前等『リグ・ヴェーダ』と比べれば『破壊の規模』と『火力』に劣る、だが、『技』と『意志』で劣っていると感じたことは一切ない』とな!」

 

互いに全身から血を流し、槍の柄と刀の鍔迫り合いをしながら獰猛な笑みを浮かべるカルキとタケミカヅチは同時に後ろに飛び、再び打ち合おうと構えるが

 

音もなく静かに黄昏の空に光の柱が突き立つ

 

『?』

 

その光の柱にオラリオにいる誰もが瞠目し、注目する。それはカルキやタケミカヅチ、ガネーシャ達も同様であった

 

「何だ……これは………?」

 

「神の送還?いや違うな………」

 

黄昏の空を眺めたことで何かに気付いたカルキが構えを解き『インドラの槍』の穂先を下すと、槍から光の粒子が出て来て『インドラの槍』は消える

 

「ああ────時間切れか………それにインドラの奴も満足したようだ」

 

そう言ってどこか惜しむようにタケミカヅチは呟き西の空を見ると太陽が地平の向こうに沈み始めており『闘争』の終わりを告げており、タケミカヅチも刀を鞘に納める

 

「カルキ・ブラフマンよ、次があればその時はお前本来の得物で戦おう。そして一つ言わせてくれ……………よくぞ人の身で、その齢でここまで『武』を磨き上げた。俺は『武神』として率直にお前を称えよう」

 

獰猛な笑みではなく相手を称えるような微笑みを浮かべながらタケミカヅチはカルキを称え、カルキはタケミカヅチに手を合わせ恭しく礼を返すと

 

「自分の方こそ、貴方様のような強き『武神』と槍を合わせ、心躍る『闘争』をしたことをオラリオでの最も誇らしい我が『武』の誉れだと誰かに聞かれた時、そう答えましょう」

 

誇らしげに答えるカルキとその答えにフッと笑うタケミカヅチを称えるように夕日が照らしていた

 

 




カルキとタケミカヅチのデート費用(被害)一覧

オラリオ全体
東区画 消滅(インドラのせい byタケミカヅチ&カルキ)
西区画 半壊
南区画 消滅
北区画 一部被害

死傷者10万以上(神含む)

各【ファミリア】
フレイヤ・ファミリア 本拠消滅
ロキ・ファミリア 本拠両断
ヘスティア・ファミリア 半分消滅
ガネーシャ・ファミリア 本拠の首部分が取れた
ソーマ・ファミリア 本拠一部破損
ミアハ・ファミリア 同上
ヘファイストス・ファミリア 本拠半壊
タケミカヅチ・ファミリア 同上
ヘルメス・ファミリア 同上
ディオニュソス・ファミリア 同上
この他の【ファミリア】にも本拠や関連施設の半壊・全壊・全焼・消滅が確認されている。なお、ソーマ・ファミリアの酒蔵は(丁度ヘスティア達がいたところに近かったため)無事だったもよう

ギルド
ギルド本部 被害なし
闘技場 消滅
バベル 多数のヒビ、一部欠損
本部に被害はないものの、この後、被害確認、地上に現れたモンスターの処理で地獄を見る模様

その他
豊穣の女主人 焼失
民家 半壊・全壊・全焼多数
ラキア王国 領土の3分の1が焦土になった(とばっちり)
セオロの密林とその周辺 イケロスと共に消滅するはずだったがイケロスをテンション            上がったカーリーがうっかり殺しちゃったから被害なし、             やったね!

各コメント
【群集の主】「まあ、この程度で済んだことが奇跡だな!実に良き闘争であった!!次は俺も入れてくれハッハッハ!!」

【月と酒の神】「酒蔵が無事だったので他はどうでもいい、最上の娯楽だった。満足している」

【闘争と殺戮の女神】「もうちょっと長く戦えばよかったものを……なんだかんだ言って奴らは『善性』よのぉ………」

カルキ「これからブラフマー神からの説教らしいので失礼する…………」

【極東の武神】「本来の得物でなかったのが残念だが概ね満足した、次の闘争は本来の得物を使うカルキ・ブラフマンと闘いたい」

神々と人々「どうして……………」(電話猫)

なお、戦ったのは一時間程度だった模様

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