ダンジョンでブラフマーストラを放つのは間違っているだろうか 作:その辺のおっさん
な、何を言っているのか分からねーが、俺も何を言っているのかがわからねぇ、PSP発掘してCCCして、ローマになって、魔王ノッブ引いて、ボイジャーと紅葉引いてたら、こうなってやがった
………はい、ごめんなさい、サボってました
「うむ……これならば………」
その日、自派閥の所有する酒蔵でソーマは満足げに頷いていた
「これならば神酒の味はそのままでも子供たちは今までのような神酒の禁断症状は出ないだろう………フッ、存外簡単だったな」
とはいえ、大量生産には望めそうにもないのでまずは5壺分ほど仕込み、完成したら、天界で同郷だったガネーシャとカーリー、良き戦いを魅せてくれたカルキとタケミカヅチ、そしてこの戦いからこの酒蔵を結果的とはいえ守ったヘスティアに振舞おうと思っていたところ
轟音を立てて酒蔵が崩れ酒壺が木っ端みじんに砕け散った
「……………………は?」
自身が丹精込めて仕込んだ酒壺が砕け、地面に神酒となるはずだった液体がしみわたっていくのを見て、呆然としていたソーマだったが、やがて微かに感じられる神威にこれをやったのが誰なのか分かると、そのクソ野郎がいる方向を睨みつける
「…………まさか………まさか1度ならず2度も俺の酒壺を壊すとは────覚悟は出来ているんだろうな」
ブチリと蟀谷から聞こえてはいけない音を鳴らしたソーマはゆらりと軽い足取りで酒蔵を出る
「ソ、ソーマ様!?大変です!あのカルキ・ブラフマンが暴れてロキ様を………ヒィッ!」
途中、自身の眷属が自分に何かを報告してくるがそんなことは無視をする────今はとにかく
「チャンドラ…なんでもいいから今すぐに弓と矢を持ってこい、これからあの馬鹿と一戦やるぞ」
『は、はいいいいいいッ!!』
普段の茫洋とした雰囲気の声と姿のソーマから発せられる凄まじい殺気に、名指しされたチャンドラだけでなく、【ソーマ・ファミリア】の団員達は震え上がり、慌てて自派閥で使っている弓矢を探し始め、数分してから自派閥で最も高価で最上の弓を持って来たが
「………遅い」
『ヒイイッ!!』
恐る恐るといった調子でソーマに弓と矢筒を差し出すチャンドラからひったくり、矢筒を腰に装備し、弓の弦を確認したソーマは団員達を置いてけぼりにして自派閥の敷地を飛び出す
────────見つけた
ダイダロス通りを轟音が聞こえてくる方向に走って数分、やたら視界の広くなった一角に、ロキの顎を掴みながら持ち上げているカルキが────もとい、カルキの体を使って下界に下りてきた
「では………天界にいた頃に倣って挨拶代わりだ」
そう言うなやいなや、矢を弓につがえたソーマは己の武技もって、インドラに向かい音を置き去りにするほどの速さとオラリオを跡形もなくを滅ぼしうる威力を持った矢を放った
***
「ったくよお?久方振りに会ったってのにどういうつもりだソーマ、オレが止めてなけりゃこのオラリオとかいう所が跡形もなくなくなってたぜ?おい」
「なに、懐かしくてなぁ、つい天界での挨拶をしてやっただけだ…………まさかだと思うがこの程度の矢も止められなくなったのかインドラ?」
「んな訳ねーだろ、てめえなんざオレがコイツ《カルキ》の体使って丁度いいぐらいのハンデってやつだよ」
「ほぉう?武神とはよく言ったものだ、負けると思って言い訳か?」
「…………あ゛あ゛?」
穏やかな表情と口調でソーマとインドラは話しているが、周りにいる人間と神々はそれどころではない
「うわアァァァ!?ベル君!アマゾネス君!ヴァレン何某!気をしっかり持つんだぁ!!?」
「ぁ………ぅあ………」
ソーマとインドラが垂れ流す殺気と神威に周囲の神々のうち、立っていられるのはヘスティアのみであり、他の神々は地面に膝をつき、必死に意識を飛ばさないように歯を食いしばり、先程「ついうっかり」漏らした程度の殺気とは比べ物にならない殺気にベルは既に意識を失くし、その周辺にいる第一級冒険者であろうと例外なく気を失い、一部の者達は二柱の殺気に耐え切れずに息絶える
「当然だ、今のお前の言葉はまるで『
「酒造りなんぞにお熱になってる阿呆なんぞオレの相手にもならねえって言ってんだよ、腑抜けが」
「ハッ、その『腑抜け』に負けたらお前はどうなるだろうな?『最強の武神』の名を同じ権能を持つタケミカヅチにでもくれてやったらどうだ?」
『(おい!!これ以上煽るな!?)』
オラリオの天気が曇天を通り越してどす黒い暗雲が立ち込め、周囲が大惨事になっていることを気にも留めずインドラを煽りまくるソーマに神々が内心ツッコむ中
「(ああ………昔、パールヴァティー達からお茶に誘われて行った先でシヴァとヴィシュヌが睨み合ってたなぁ………)」
必死でベル達をその場から引きずって避難させようとしているヘスティアは、どこか遠い目をしながら現実逃避をしていた
「…………てめぇ、いい度胸してんじゃねぇかソーマァ……!」
「俺の酒蔵を壊しておいて俺がそう簡単に許すとでも思っていたのか?インドラ……!」
『ッツ!!』
ああ、これは無理だわと神々は直感する
ここまで煽られたインドラ(カルキに憑依しているが)は絶対にキレてるだろうし、オラリオの平和や秩序より己の趣味を優先するソーマ、ただでさえ『他神や人間への迷惑?何それ?美味しいの?』な神々の中でもその気が強い神がこうなってしまったらどうなるかは至極単純
「「くたばりやがれえええぇぇぇ!!!!」」
『『ギャアアァァァあ!!!?』』
インドラの拳とソーマの放った矢がぶつかり合うと同時に、天を覆っていた暗雲は割れ、神と人間は容赦なくとある女神とその周辺にいた者達以外は吹き飛ばされた
***
「な、なんだ!?」
突如オラリオを襲った轟音と衝撃に、地上に進出したモンスターへの警戒────という建前で本当は
「先ほどから響いていたナニカを殴る音が途切れたと思ったらこれか………これもカルキ・ブラフマンの仕業か?」
「たぶんね…………ロキやアイズ達のことは心配だけど、今すぐに此処を放棄する、全員撤収だ。今は全員生き延びることだけを考えろ」
『はいッ!!』
自分達の主神が半殺しにされていることを知らない【ロキ・ファミリア】は持つ物も持たずに敗走するように『ダイダロス通り』から逃げ出す
「うむ!やはりこうなったか!!」
知ってた!とばかりにインドラとソーマの喧嘩の余波に巻き込まれ、空中を舞う神や人間を見ながらガネーシャは呵々大笑する
「だが………今回のコレに無辜の民衆が巻き込まれるのはよくないな、ああ、良くない」
そう言って斧を肩にかけるガネーシャは嗤う
「まあ、余波を逸らすぐらいだ、体を動かすには丁度いい」
そう言うなやいなや飛んできた余波を一振りで切り払ったガネーシャは心底楽しそうに笑った
「ウォッ!?何だこの揺れは!?」
インドラとソーマの戦いの余波は地下にまで届き、地下水路に潜んている
『クッ!此処は頑丈だから崩壊することは無いだろうが…………!』
未だ合流できていない
「………!何……これ………本気じゃ……ない……」
『ウィーネ?』
突然ふるえはじめたウィーネに、心配そうに声をかけるレイに、ウィーネはしがみつく
「使っていない…………わからないけど………そう感じる………」
『『『?』』』
怯えるウィーネの言葉をその場にいる人の言葉を話す異形の怪物達は理解できず首を傾げた
***
「フ、フハハハハハ!!酒造りにうつつを抜かした挙句、下界に降りて腕が落ちたんじゃねえかと思ってたがそこそこやれるじゃねえか!ええ?ソーマよぉ!?」
「そういうお前は弱くなったか?カルキの体とはいえ『最強の武神』というのは随分安いものだ」
「抜かせぇ!!」
最初の方こそ互いにキレていたインドラとソーマであったが、数分も経たぬうちにその表情は憤怒から歓喜に変わり、今では互いに数日前、このオラリオで暴れた時のカルキとタケミカヅチと同じ獰猛な笑みを浮かべていた
「シッ!」
弓に矢をつがえたソーマが一瞬でインドラの懐に入るなやいなや接射する
「!」
が、そのほぼ零距離から放たれた射撃をカルキの体を使っているはずのインドラは恐ろしい速度で反応し、受け、素手で矢を掴み受け止める…………が
「チッ!」
勢いだけは殺しきれずにオラリオの城壁をぶち破ってインドラが吹き飛んでいく
「さて………次はどうするか………」
それを眺めながらニヤリと笑ったソーマを咎める者はその場には誰もいなかった
***
「あーー、クソっ、やっぱり人間の体ってのは脆いな、この程度で吹き飛ぶのかよ」
ソーマの攻撃の勢いを殺しきれずにとある森まで吹き飛ばされたインドラはそう愚痴る
「(つっても、コイツの体だから跡形も残らず……ってことになってねえのは事実だがよ)」
さて、どうすっかなーと言いながら立ち上がるインドラに声を掛ける者がいた
「き、貴様!何者じゃ!!」
「あ?」
声がした方を見てみると、そこにいたのは小柄なエルフであった
「貴様!人間だな!!ここをどこだと思っている!?ここは大聖樹の森!我らエルフと精霊達が………」
「うるせぇ」
何やらエルフがごちゃごちゃ言っていたようだが聞く気もなく煩わしかったので、拳を脳天に落とすと頭が潰れたトマトみたいにはじけ飛ぶ
「あ、ヤベッ」
つい普段の癖でやらかしたことに気付いたインドラであったが時すでに遅し、頭のなくなったエルフの体は首から赤いものをぶちまけながらゆっくりと地面へと倒れる
「(あー、やっちまった………これは天界に還ったら『勝手に殺すな」ってヤマの奴が面倒くせぇ)」
頭をかきながら面倒ごとが増えたことにため息をついていたインドラであったが、とあることに気付く
「?なんだぁ、カスみたいなのしかいないとはいえ、精霊がいるじゃねぇか………こりゃあ、丁度いい」
そう言うと近くにいた1匹の精霊を掴むと、弓の弦を引く様に腕を引き
「さっきはソーマからだったからな……今度は俺から挨拶してやるよ!!」
ニヤリと笑い精霊をオラリオに向けて勢いよく投げ飛ばす
「………来るか」
互いの攻撃が対消滅していることやガネーシャとタケミカヅチが余波を上空へ逸らしているおかげで奇跡的に最小限の被害で済んでいるオラリオで佇むソーマが空を見上げると
数え切れぬほどの無数の炎の矢がオラリオの空を覆いつくし、今にもオラリオに雨の様に降り注ごうとしていた
遠くで「うわあああぁぁ!?」「し、死ぬ!!アレ絶対に死ぬ!」「逃げろぉ!?」「どこにだよ!!どこに逃げろってんだよ!?」「ほぅ!これはまた……!」「いやぁ、なんと懐かしい!!」と恐怖と絶望の声が聞こえる(そのなかに歓喜の声が2つほど混じっているが)
「精霊でも弾に使ったか?………面白い」
冷静に判断したソーマは矢筒から矢を取り出すと弓につがえゆっくりと引き絞り、炎の矢の雨へと矢を向ける
「だが………この程度ではな、あまり舐めてくれるなよインドラ……!」
ソーマが放った矢は同じように炎の矢の雨と化し、インドラの炎の矢を全て撃ち落とす
「さぁ、第2幕といこうか」
こちらに恐ろしい速さで向かってきているインドラの気配を感じながらソーマは嗤う
***
「あーーッ!!もう!ソーマもインドラも暴れてぇ!!ここは天界じゃないんだぞぉ!!」
とある建物の一室でツインテールの小柄な女神は「ウギーッ」と喚いていた
「それに、ベル君や恩恵を貰っていない子ならまだしも、どーしてボクがロキやフレイヤ、他の
「そ、そんなことを言わないでくれよ、俺達はヘスティアのおかげで助かってるんだぜ」
そうヘスティアを宥めるのは、ベルに会いに行こうとしていて余波に巻き込まれたヘルメスである
その数階建ての建物にはヘスティアと今だに目覚めないベルだけでなく、ヘスティアが引きずってあげていたアイズ達、偶々吹き飛んだ先にヘスティア達がいたロキ、余波に巻き込まれ逃げていた【ロキ・ファミリア】の面々、主神の判断により2柱の戦いから必死になって逃げていた【フレイヤ・ファミリア】とその主神、『ダイダロス通り』にいた冒険者や『ダイダロス通り』の住人達などがぎゅうぎゅうになっていた
「まあ、竈に火が入っていて、孤児の子達がいる以上、ボクがちょっとだけ神威を使えばこの建物は安全だけどさ」
ヘスティアの言葉通り、この建物はインドラとソーマの戦いの余波を受けてもヘスティアの力によりビクともしていなかった
「にしたって!あいつ等は本当に頭がおかしい!!なんだい!
「(まあ………その『技』の余波を簡単に止めた挙句、この建物を
ツインテールを振り回しながら「やっぱり
***
ソーマが矢を放ち、インドラはソーマが矢継ぎ早に放つ矢をいつの間にか拾っていた誰かが落とした大剣を片手で軽々と振りながら全て弾く
大剣に弾かれた矢は西の汽水湖を蒸発させ、北の山脈を抉り、南東にある砂漠を砂の海から炎の海へと変え、点在する小国の人や神は逃げ惑う
………が、今の2柱にとってそんなことは『些事』でしかない
片や酒蔵を壊されたことに激怒しつつも、やはり数日前の『闘争』に昔の血が騒いでいた『月と盃の神』、
片や目の前にいる男神が腑抜けたと思っていたら、蓋を開けてみれば以前と────かつて『武神』である己や『破壊神』、『維持神』、『創造神』、『炎神』、『風神』や己の不倶戴天の好敵手である『太陽神』何かと因縁のある『天空神』といった面々…………他の領域の神々の「大神」と呼ばれている神に匹敵か上回る神々と鎬を削っていた男神が全く変わらぬ実力を持っていることに狂喜する『武神』
この2柱の『闘争』の前には神や人が天にいくら昇ろうともその2柱の神が所属する『リグ・ヴェーダ』の神々は人々が、神々が抗議しても嗤ってこう答えるだろう
────────『それがどうかしたのか?』と
おかしい……ヘスティアの本気までいかなかった………これは許さない………
あ、大聖樹の森云々が分からない方はYouTubeでダンメモのイベントを探してください
(実はソーマが焼き払う予定だったんだが残りました、良かったね!!)
そういえば、漫画版のソードオラトリア読んで思ったんですが、リーネって潰れたトマトみたいに真っ赤になって死んでましたねぇ………その姿をカルキが見ていたら【ロキ・ファミリア】に最高の煽りが出来たのに………!!
あ、卑劣様モデルのオリ主に言わせればいいかな?