ダンジョンでブラフマーストラを放つのは間違っているだろうか 作:その辺のおっさん
あと、ダンメモはいいぞ
16巻…………どーっすかね
「終わったか………今回はヘスティア様様といったところか」
ぶつかり合う音も衝撃も無くなったことで、インドラとソーマの戦いが終わったことを悟ったタケミカヅチは、刀を鞘に戻し、そう呟く
「(しかし………俺が言えた義理じゃないが、『技』だけでオラリオ近隣にこれだけの被害とは………『
建物の屋上から見える景色は、様変わりし、汽水湖は干上がり、北の山は失われ、砂漠は火の海と化していることを、バレない程度の『神の力』を使いながら『千里眼』で見渡し、極東の武神は嗤う
「そして、人の身でありながら、俺達神々と並ぶ『技』を修め、今も発展途上のカルキ・ブラフマン………ああ、全く、これだから世界というのは愉快なのだ」
そう笑っていたタケミカヅチであったが、笑うのをやめると、スッと目を細め、「来たか」と呟くなやいなや、中央広場の眼前にナニカが、轟音と派手な砂煙と共に降り立つ
「ま、俺も行っておくか」
トンッと軽い音を立ててタケミカヅチの姿は虚空に消えた
***
「よぉ………何百年いや、何千年ぶりだぁ?ウラノスのジジイよぉ………」
「インドラ……‥」
立ち上った土煙を、右手を軽く振っただけで、人々も一緒に吹き飛ばした
「まあ、敢えて単刀直入に聞いてやる………俺が認めた『闘争』を行った者に形でも『罪』を問うとした馬鹿は誰だよ?」
『『『────ッ!!』』』
「「………」」
『
確かにカルキの身長は180cmあるが、そうではなく、人々が感じるのはまるで遥か上空から見降ろされているような、自分達とはあまりにもかけ離れた存在から見降ろされている感覚に陥り、膝をつく者が現れる
そのなかで、一切動じていないのはギルドの最高神、ウラノスとどこか呆れた様子のガネーシャだけである
「おい、答えは?」
「……‥それを聞いてどうする?」
「ハッ………んなもん決まってんだろうが、今更とぼけんなやジジイ」
インドラとウラノスという『大神』
「ならば私の答えも分かっているであろう────『神の誰が罪に問うたなぞ教えない』………これが答えだ」
「へぇ……んじゃあ、聞いてやる、その
「これは下界に降りてきている
どこまでも静かに、しかし、明確な否定の回答をウラノスはインドラへと突き付ける
その姿はまさにオリュンポスの天空神、『大神』と呼ばれるにふさわしい威厳ある姿に冒険者や住人達が瞠目する────が
「成程それがお前の『答え』と………ああ、わかったよ────じゃあ、死ね」
インドラの背後から、突然現れた槍の形をした雷が、ウラノスに向けて放たれた
***
「………おい、ウラノスを守るたぁ、どういうつもりだ
「『どういうつもり』とはこちらの科白だインドラ」
誰にも気づかれることなく音もなく現れ、文字通りの神速の抜刀で雷を切り裂いてみせたタケミカヅチに、目を細めたインドラが問いかける
「天界じゃあ、
「阿保か、鞍替えするぐらいだったら、自分自身の手で自分の首を撥ねるさ」
うっすらと微笑を浮かべながらサラリと恐ろしいことを言うタケミカヅチに人々の背に汗が流れ、「やっぱり極東の連中はイカれてるな!」とガネーシャは呵々大笑する
「ま、そんなことは置いてだ…………ウラノスが下界から去れば『祈祷』がなくなり、ダンジョンからモンスターがあふれ出る────ただ、それだけだ」
「ケッ、そんな『祈祷』なんざ変わりはいくらでもいるだろうがよ」
タケミカヅチは刀を納め、腕を組み、ウラノスを守った理由を話すが、インドラはウラノスの代わりなど、ガネーシャやソーマ、今はオラリオにはいないが、ゼウスやヘラ、アマテラス辺りでも良いだろうと吐き捨てる
「
「タケミカヅチ………それは、褒めているのか?それとも貶してるのか!?」
暗に実力があっても見た目の威厳がなければ人間は動かないと言外に言うタケミカヅチに、思わずガネーシャが突っ込むと
「褒めているに決まっている、『祈祷』はヘスティアもやろうと思えば出来るだろが………アイツに威厳を求めるのは間違っているだろう?」
「「「……………………ブハッ!!」」」」
肩をすくめながら言った全くと言っていい程空気を読んでいないタケミカヅチの軽口に、インドラやガネーシャだけでなく、ウラノスやヘファイストスといった神々や【ヘスティア・ファミリア】の面々が思わずといったように吹きだす
彼等の脳裏に浮かんだのは、ギルドの深奥でダンジョンに『祈祷』を行う神秘的な女神の姿…………ではなく、どうしても足の届かない椅子に座り、その身長にそぐわない胸を張り、誰かが来れば屈託のない笑みを浮かべ、子犬の様にはしゃぐロリ女神の姿
「おいおい!どうしてくれんだよ!タケミカヅチ!!おま…っ……ウラノス殺せなくなったじゃねぇか!ククク………う…ハハハハハ!」
あ―面白ェ、とタケミカヅチの発言がツボに入ったのか、ソーマとの殺し合いで浮かべていた笑みとは違って、心底愉快そうにインドラは笑う
「あー、久しぶりに面白れぇ『身の程知らず』でいい気分だった所を不快にしてくれやがったが………まあ、今回はタケミカヅチのバカ話に乗ってやる」
「ああ、そうしてくれ、それにな」
「「「「…………え?」」」」
ウラノスへの興味を失くし、タケミカヅチへと向き合ったインドラに、タケミカヅチは肩をすくめ
────た瞬間に、振り向くと同時に、インドラとガネーシャ以外感知できない速さで抜刀、呆然とする神や人々が正気に戻ったのは、人々の後方で「ドンッ」と2本の光の柱が立った時であった
「俺とカルキの戦いに難癖をつけた神は、天界へ送った………あとは好きにしろ」
「おいおい、随分と気が利くじゃあねえかよ」
「お前がこれ以上暴れた結果の下界への被害と神2柱の天界への送還、どちらが最上かなど赤子でも分かろう」
『『『…・………っ!』』』
サラリと答えるタケミカヅチに神や人々の背にうすら寒い汗が流れる
「…………ま、俺としちゃ、こんなクソ下らねえ都市なんざ滅んじまっても別にいいんだがよ」
「おい!下らないとはなんだ!下らないとは!!」
ケッ、とオラリオをこき下ろすインドラに、ガネーシャが抗議の声を上げるが、「ああ?」と反応し
「そりゃあ、そうだろう、5年前まではルドラの奴を通して報告は来てたのを時たま暇つぶしで眺めてたが、特に7年前の件はくだらなすぎたな」
「いや……7年前、俺はオラリオにいないんだが………?」
「自己満自慰神と踏み台願望嗜虐趣味共に好き放題された挙句に、アストレアのクソアマにデカい顔なんざさせてた時点で、ガネーシャ含めてどいつもこいつもカスなんだよ!!」
そのインドラの発言に7年前の『大抗争』を知っている者達からは、僅かに非難を含んだ目が向けられ、特にとある酒場のエルフは、厳しい目を向けられる中
「アレはあくまでも『人間達』の問題、オレ達神が介入するわけにはいかないだろうに」
「ああ、ガネーシャの言う通りだ」
そうガネーシャがインドラを諭し、ウラノスがその意見に同意し、ミアハやヘファイストスといった7年前のことを知っている神々が頷き
「インドラ……俺もアストレアのことは多少気に入らないが、お前ちょっとアストレアのことを嫌いすぎてないか?」
多少は気持ちは分からんでもないが、とタケミカヅチは苦笑するのをみて、インドラは深いため息をつき
「特にあの犬死に大量発生なんざ、怒りを通り越して呆れ果てらぁよ」
「?」
どういうことかわからんと説明を求めたタケミカヅチに、かくかくしかじかとインドラが説明し、
「本当か?」とタケミカヅチが、顔をしかめ、ウラノスやガネーシャに聞くと、神々や当時を知っている人々が頷き、タケミカヅチは片手で顔を抑え、天を仰ぐ
「…………っ、何というか………うむ、『冒険者』の、いや、『人間』や他の神々の価値観や尺度でいえば、『名もなき者達への挽歌』なのだろうが………うーむ」
「おい、はっきり言ってやれよ」
言って良いのかどうかと悩むタケミカヅチに、インドラが煽り
「………俺たち『武神』の価値観だと『犬死に』だな」
「おい」
自神も眷属を失くしているガネーシャがタケミカヅチを非難げな口調で咎めるが
「いや、まぁ、本当に彼らが『後達を生かす』ために犠牲になったというのなら、対外的には多少なりとも称えるが、そいつらの中に、『年齢』での諦観があったというのならば、俺はそいつらは『犬死に』だったという評価を下すしかない」
珍しく、人間を哄笑するようなことを言うタケミカヅチに、タケミカヅチの眷属達から驚きの感情が向けられ、人間達からも同様の目を向けられる中、コホンとタケミカヅチはわざとらしく咳払いして
「では、一つお前達に教えておこう、確かにお前達「人」は我ら不変の神々とは違って、年を取り『老いる』」
「そして、無双を誇った肉体も、やがてやせ衰え、骨と皮だけになろう、思い通りに体が動かない時もあるだろう」
「「だが」」
「「それでも自分の『技』だけは一切の『老い』は無いと、昨日の己より磨かれて『極致』へ至っていると…‥…・…そう吠えるのだ、否、吠えなければならない」」
それが『武』に生きる者の心構えであると、2柱の武神は語り、インドラは嘲笑する
「それによ、『死んで守った』って奴と『死地で死を覚悟しようともその死地を踏破した』って奴、どちらが『英雄』として世界に名を刻み、俺達神々に称えられるかなんて語るまでもねぇ………冒険者っていう連中が『次代の英雄の卵』ってんなら、そんくらい出来なきゃあな」
***
「『死地で死ぬのは有象無象、死地を生き延びた者だけが英雄』か………ま、インドラだけじゃなくアテナも同じこと言うかな」
「おい、ヘスティア………」
他の神が浮かび上がらせた『神の鏡』に映る光景を見ながらヘスティアは呟き、自神も眷属を失くしているヘルメスがどう言う意味かと問う
「まあ……ね、ボクは思わないけど、昔アテナが言ってたよ『先逹から死して守られた者は自身が同じ状況になった時、誰かを守ろうとして死ぬ、だが、先達が死地を踏破し、生きた背を見た者は死地を踏破する………』ってね」
まー、その時は話半分しか聞いてなかったんだけどねー。とニヘラっと笑う竈の女神に、ヘルメスと話を聞いていたベルは何とも言えない顔をするのだった
***
────同時刻、北方の小国ベルテーン
「ク……そ……がぁっ……‥…」
どさりと鈍い音を立て、盲目の剣士が倒れ、地面に赤い液体が広がる
「て………め…ェ……どういう…腹だよ……アレスゥ…!」
「ああ…お前には悪いとは思っているんだ『正直者のヴェーラ』、だが、オレはオレの愉悦を求める心に逆らえん」
両手足を斬られ、イモムシの様に蠢き、睨みつけることしか出来ない女神に、軍神は両手を広げ、うっすぺらい謝罪をする
「だが、致し方なかろう……オレはアノ男の真髄を見たい……人間でありながら我らの領域に踏み込んだ男の力を……そのためにはオレも骨を折るさ」
「ふざ……けんな……っ!」
どこまでも勝手な言い分に女神は怒る、彼女の眼に映るのは、三色の光が渦を巻く剣を片手にヘラヘラと嗤う男神
その男神の背後に広がっているのは、長くベルテーンに仕えているエルフ、そのエルフの配下の者達、そして少し運命が違っていれば、狐人の少女と絆を育むはずの少女が、
………否、ベルテーンの首都に生きる全ての者達が性別・種族に関わらず、物言わぬ肉塊へ帰られ、辺り一面が血の海へと変わっていた
「オレ自ら戦うのも良いが……やはり、ここはダンジョンで神を殺してバケモノを生み出し、それをぶつけた方が良い………お前とラシャプはその『贄』だ」
そう言って『戦場の狂気』を司る軍神は嗤った
Q.あの人数の中からどうやって切ったの?
A.斬撃飛ばして、自分が斬りたいものだけ斬る………簡単だろう?
Q.どうしてタケミカヅチ様切りかからんかったの?
A.、憑代相手だと『神の力』を使えないからつまらないし、やるんだったら本神相手に本気でやるよなぁ?
――――3ヶ月後――――
デデーン(効果音)
カルキ「フレイヤアウトー!【フレイヤ・ファミリア】全員シヴァキックー(カンペガン見)…………なん……だと……!」
雌猫「えっ、ミャー達も!?」
破壊神「『半脱退』とか関係ないから(アルカイックスマイル)」
ガネーシャ「うん、痛みとか感じないから安心しろ!!」