魔王と救世の絆   作:インク切れ

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カザハナシティ編――ライバル
第11話 バトル大会! inカザハナシティ


サヤナとアチャモは追い詰められていた。

「くぅ……アチャモ、まだ立てる?」

というのも、アチャモの主力となる火の粉は特殊技。日照りで強化されるとはいえ、フラワーギフトによって特防の上昇しているチェリムにはダメージを軽減されてしまう。

チェリムにもダメージは蓄積しているが、アチャモの方が疲労が大きい。

チェリムのエナジーボールを正面から受けてしまったアチャモだが、まだなんとか立ち上がり、勇ましく鳴き声を上げる。

「さあ、サヤナさん。貴女の特訓の成果、もっと見せてくださいな! チェリム、マジカルリーフ!」

かなり疲弊してきたアチャモに対し、チェリムが周囲に光る無数の木の葉を浮かべる。

だが、ここで。

「もちろんです! アチャモ、ここからだよ!」

サヤナが強気に言葉を返すと同時に、アチャモの体が赤いオーラに包まれる。

ギリギリまで追い詰められたことで、アチャモの特性、猛火が発動したのだ。

「……なるほど、それを狙っていたのですわね。ですが、既にマジカルリーフは発射されていますわよ」

輝く必中の木の葉が、アチャモを仕留めんと襲いかかる。

 

「アチャモ! 特訓の成果、新しい技を見せよう! 弾ける炎!」

 

アチャモが大きく息を吸い込み、口から火の粉ではなく、炎の弾を噴き出した。

炎は激しく火花を散らしながら突き進み、マジカルリーフを焼き尽くし、さらにその奥のチェリムを捉えた。

「な、なるほど……! 最後の技を、ずっと隠し持っていたのですわね!」

日照り、そして猛火によって超強化された炎技を効果抜群で受ければ、さすがのチェリムもただではすまない。

飛び散る火花と共に地面に倒れ、戦闘不能となってしまった。

「チェリム、戦闘不能です。アチャモの勝利! よってこのバトル、チャレンジャー・サヤナの勝利となります!」

「やったー! アチャモー! 今のカッコよかったよー!」

サヤナが両手を広げてアチャモに駆け寄ると同時に、アチャモもくるりと振り向いてサヤナの元へ駆け出す。

腕へ飛び込んでくるアチャモを抱きしめ、くるくる回って大はしゃぎだ。

「頑なに四つ目の技を使わないから何か隠しているとは思っていましたけれど、まさか弾ける炎を覚えていたとは。ちゃんと成長していましたわね、サヤナさん」

「えっへん、もちろんです! コフキムシと私と三人で、いっぱい頑張ったもんね!」

顔いっぱいに満面の笑みを浮かべるサヤナに合わせて、アチャモも、ピィ! と元気に鳴く。

そんなサヤナたちを見てイチイは微笑み、

「では、サヤナさんにも。ポケモンリーグ公認のジムバッジ、フローラルバッジと、シュンインジムお手製のバッジケースですわ」

「わぁ、やったぁ! ありがとうございます! にひひー、これでハルに並んだよ! 次は追い越すからね?」

初めて貰ったジムバッチを手に、サヤナは得意げにハルの方を振り返る。

「おめでとうサヤナ、いいバトルだったよ。僕も負けてられないね」

サヤナのリベンジマッチも無事達成、といったところで、

「二人とも、次はカザハナシティに行くのですわよね。カザハナはここからハツヒタウンまでよりも少し長い道のりになりますわ。色々ありましたし、今日はシュンインで休んでいかれては? 旅には休息も大事ですわよ」

「そうだね。私も今日は泣いたり笑ったりでへとへとだよ」

一日の中でポケモン泥棒に遭ったり、ジム戦に勝利したり。いくら元気いっぱいのサヤナでも、さすがに疲れてしまうだろう。

「うん。それじゃあ、今日はポケモンセンターで休もうか」

「それがいいですわね。それじゃ、二人ともこの先も頑張ってくださいね。また何か困ったことがあったらいつでも連絡してくださいな。私でよければ、力になりますわ。カザハナシティの大会も応援してますわよ」

「はい、ありがとうございます!」

「イチイさんも、お元気でー!」

イチイに別れを告げ、二人は花屋を後にする。

ポケモンセンターの宿舎で休んで、明日はカザハナシティへ出発だ。

 

 

 

マデル地方では、他の地方と比べてよりポケモンバトルによる街の活性化に力を入れている。

そのため、様々な街でジムリーダーやテレビ局、ポケモンリーグ本部などが協力して不定期にポケモンバトル大会を開催しているのだ。

そして、

「やっと着いた……ここがカザハナシティかぁ」

「シュンインシティと比べて、なんだか地味じゃない?」

「うーん……あの街が花のおかけで派手に見えるから、比べるとね」

きちんと整備されているがあまり派手さは感じられず、質朴な街並みだ。

道場のような建物がいくつか見られ、街の一角には巨大なテントが張られている。大会の会場用に作られたものだろう。

また、隣町であるヒザカリタウンとはカザカリ山道という山道で繋がれており、他の道路と比べて険しい道のりになるようだ。

ひとまず二人はポケモンセンターへ寄り、公共スペースのソファーへと腰掛ける。

「ハル、大会って明日だよね?」

「そうだね、だけどもうエントリーはできるみたいだよ。アルス・フォンで直接申し込めるってさ」

バトル大会情報のアプリから進むと、すぐにエントリー画面が出てきた。

そこに示された通りに必要事項を入力していけば、

「よし、これで完了みたい。サヤナ、登録できた?」

「ばっちりだよ! でも大会って言葉を聞くと、ちょっと不安になるんだよね……」

「そうだね……でも今回の大会の参加者はみんなバッジ二個までの初心者だし、きっと何とかなるよ」

「うん! もしバトルすることになったら、真剣勝負だよ!」

いよいよ明日。

マデル地方恒例のバトル大会、カザハナ大会が開幕となる。

 

 

 

『さあ、まもなく始まります! カザハナシティバトル大会! 今回は特別に、今大会主催者、カザハナシティジムリーダー・ヒサギさんに来ていただきました!』

実況の男性がマイクを片手に、試合会場を盛り上げる。

『それではヒサギさん、今日は試合解説のほど、よろしくお願いいたします!』

 

『information

 ジムリーダー ヒサギ

 専門:格闘タイプ

 肩書き:静かなる闘志(サイレンスファイター)

 悩み:人見知り』

 

『……ああ。よろしく頼む』

男――ヒサギはなんだか無愛想に返事を返すが、観客席からは拍手や歓声が起こる。やはりジムリーダーともなれば注目を集めるだろう。

『さて、それでは早速参りましょう! カザハナシティバトル大会、いよいよ開幕です!』

会場が歓声に包まれ、選手の入場だ。

『まずは一回戦、第一試合! ハル選手と、リオン選手の対戦です!』

『二人とも既にバッジを一つ獲得しているな。ハル君はシュンインジム、リオンさんはヒザカリジムのジムバッジを持っているそうだ』

ハル、まさかの第一試合。

小さな大会とはいえそれなりの数の観客に見られるポケモンバトルは、ジム戦とはまた違った緊張感を覚える。

対戦相手のリオンは背が高めの金髪ポニーテルの少女。バッジはお互いに一つ。

『バトルは一対一。先に相手のポケモンを倒した方が勝利となります。第一試合、スタートです!』

試合開始の合図と共に、二人はボールを取り出し、それぞれのポケモンを繰り出す。

「出てきて、ヤヤコマ!」

「お願い、コンパン!」

ハルが選んだのはヤヤコマ。対するリオンのポケモンは、紫色の体毛に覆われ、赤い複眼を持つ丸っこい虫ポケモンだ。

 

『information

 コンパン 昆虫ポケモン

 ふさふさに見える体毛は細くて硬い

 ので押してみるとちくちくするが

 毒を浴びるので触ってはいけない。』

 

『ハル選手はヤヤコマ、リオン選手はコンパンを繰り出しました!』

『タイプ相性でいえばヤヤコマの方が有利だな。ヤヤコマはスピードも速い』

『つまり、このバトルはハル選手が有利ということでしょうか?』

『そうとも言い切れない。コンパンは豊富な補助技を得意とする毒・虫タイプ。上手くヤヤコマを撹乱できれば、勝機は充分にある』

無愛想ではあるが、解説はきっちりこなすヒサギ。さすがはジムリーダーだ。

「それでは、バトル開始!」

審判が合図を告げると共に、両者のポケモンが動き出す。

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