魔王と救世の絆   作:インク切れ

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第12話 カザハナ大会・一回戦

「よし、行くぞ! ヤヤコマ、電光石火!」

まず先手を取ったのはハル。

ヤヤコマが翼を広げて猛スピードで滑空し、コンパンを突き飛ばす。

「コンパン、サイケ光線!」

ひっくり返ったコンパンだがすぐさま起き上がり、上空のヤヤコマを見据え、巨大な目から光線を発射する。

「ヤヤコマ、躱して疾風突き!」

大きく旋回してサイケ光線を躱すと、ヤヤコマは嘴を突き出し、再びコンパンへ突撃を仕掛ける。

しかし、

「コンパン、毒の粉!」

ヤヤコマが眼前に迫った瞬間、コンパンは体を揺らして周囲に毒の鱗粉を撒き散らす。

ヤヤコマは毒の粉を至近距離で吸い込み、思わず動きが止まってしまう。

「シグナルビームだよ!」

そこにコンパンが目から色鮮やかな光線を撃ち出し、ヤヤコマを吹き飛ばした。

「っ、ヤヤコマ、大丈夫?」

ヤヤコマは少しだけ苦しそうに呻くも、すぐに気合の入った鳴き声を上げる。

シグナルビームは虫技なので効果は今一つだが、ヤヤコマは毒状態になってしまった。

『おおっと! ここでリオン選手のコンパン、ヤヤコマへと毒を浴びせました!』

『毒の状態異常……毒タイプの常套手段だな。このまま撹乱していけるかどうかだが』

しかし毒状態については、ハルはシュンインジムでもう身をもって学習している。

「長期戦は不利、毒が蓄積される前に倒す! ヤヤコマ、火の粉だ!」

「ならコンパン、サイケ光線!」

ヤヤコマが嘴から火の粉を吹き出し、コンパンは目から光線を放つ。

お互いの技が正面から衝突するが、

「疾風突き!」

その隙にヤヤコマは翼を広げて一気に急降下、地面すれすれに飛びながら一気にコンパンとの距離を詰める。

「っ、コンパン、虫食い!」

慌ててコンパンが牙を構えるが既に遅い。ヤヤコマの嘴がコンパンに命中し、その丸い体を突き、押し飛ばす。

「いいよヤヤコマ! エアカッター!」

「っ、コンパン、サイケ光線!」

ヤヤコマが翼を羽ばたかせて風の刃を飛ばし、コンパンは目から不思議な光を放つ光線を放射して迎え撃つ。

空気の刃は光線で何とか防ぐが、

「電光石火!」

続くヤヤコマの高速の追撃に対応できずに、突き飛ばされてしまう。

「うぅ……コンパン、シグナルビーム!」

体勢を立て直し、コンパンが今度は瞳から激しい光を放つ光線を放射するが、

「ヤヤコマ、躱して火の粉!」

素早く動き回るヤヤコマには光線が当たらず、隙を見せたところにヤヤコマの火の粉が降りかかる。

「今だヤヤコマ、エアカッター!」

ふらつくコンパンに対して、ヤヤコマは翼を羽ばたかせ、風の刃を飛ばす。

躱すことも出来ずにコンパンは風の刃に切り裂かれ、そのまま戦闘不能になってしまった。

「コンパン戦闘不能! ヤヤコマの勝利!」

『ここで決着がついた! 一回戦、第一試合の勝者はハル選手! リオン選手のコンパンを倒して、二回戦進出です!』

『ヤヤコマのスピードを生かした、いい試合運びだった。リオンさんのコンパンは苦手な相手と正面から向かわせすぎて、防戦一方になってしまったな。もう少し補助技で相手を翻弄できれば勝機はあっただろう』

ハルとリオンはそれぞれのポケモンを戻し、互いに一礼したあと、バトルフィールドを後にする。

 

 

 

「よし……一回戦は突破したぞ」

ロビーに戻ると、途端に緊張がほどける。第一試合だったこともあり、かなり緊張していたのだが、なんとか勝利できた。

「ハル、お疲れー! いいバトルだったよ!」

そんなハルをサヤナが笑顔で出迎える。

ちなみにこの大会、突発的な大会だったこともあり参加者はあまり多くない。トーナメント形式で三回勝てば優勝、つまり次はもう準決勝となる。

「よーし、次は私の番だね! にひひー、応援よろしくね、ハル!」

「うん。サヤナなら勝てるよ、頑張ってね」

 

 

 

そして。

『それでは只今より、一回戦、第四試合! サヤナ選手とミオ選手の入場です!』

『第一試合と同じく、バッジを一つ持っている二人の勝負となるな。どんなバトルを見せてくれるのか楽しみだ』

サヤナの試合、対戦相手は黄色の髪をした背の低い少年だ。

「よーっし、行くよ! アチャモ!」

「頼んだよぅ、ラルトス」

サヤナのポケモンはアチャモ、対戦相手ミオが繰り出したのは人間の幼児にも似たような姿をした白いポケモンだ。

 

『information

 ラルトス 気持ちポケモン

 生き物の感情を察知する力を持つ。

 近づいた者から少しでも敵意を感じ

 取るとテレポートで逃げてしまう。』

 

ラルトスというエスパータイプのポケモンのようだ。アチャモとはタイプ相性に有利不利はない。

『それでは、バトルスタートです!』

バトルが始まると同時、先に動いたのはサヤナだった。

「行っくぞー! アチャモ、電光石火!」

バトルが始まると同時に、アチャモが勢いよく飛び出す。

いきなりラルトスの距離を一気に詰め、そのまま突き飛ばすと、

「続けて火の粉だよ!」

さらに嘴を開き、無数の火の粉を吹き出す。

「ラルトス、妖精の風」

対してラルトスはどこからか白く輝く光を乗せた風を起こす。

白い風によって火の粉は風に流され、明後日の方向へと飛んでいく。

「ならアチャモ、つつく!」

火の粉は振り払われたが、ラルトスはまだ近くにいる。

アチャモがラルトスへと飛び掛かり、嘴を突き出すが、

「ラルトス、念力だよぅ」

両手をかざしたラルトスの手の先から、見えない力が迸る。

不可視の念力がアチャモの嘴の一撃と拮抗し、競り合った末にアチャモを押し返す。

『ミオ選手のラルトス、アチャモの連続攻撃を防ぎきった!』

『今のは念力……筋力が弱い代わりに強力な超能力で戦う、エスパータイプの常套手段だ。私の専門とする格闘タイプによく効く技の一つでもあるな』

押し返されたアチャモだが、まだまだやれるといった様子で勇ましく鳴く。

「あのラルトスはそんなに速くはなさそうだから……アチャモ、電光石火!」

ラルトスに勝るスピードを生かし、再びアチャモは地を蹴って飛び出す。

しかし、

「ラルトス、テレポート」

刹那、ラルトスの姿が消えた。

「ええっ!? ど、どこ!?」

慌てて周りを探すサヤナ。アチャモも急停止し、周囲を探る。

「続けて念力だよぅ」

直後、少し離れたところに不意にラルトスが現れる。

念動力を発生させて空気の流れを歪ませ、衝撃波を飛ばす。

「っ、アチャモ! 大丈夫!?」

念力による不可視の衝撃波を避けられず、アチャモがふらつく。

「ラルトス、もう一度テレポート」

アチャモが体勢を立て直した時には、再びラルトスは姿を消している。

「アチャモ、どこから来るかわからないよ。いつでも攻撃できるようにしておいてね」

再び周囲を警戒するサヤナとアチャモ。

少し間を置いて、ラルトスが今度はアチャモの正面に現れ、

「妖精の風だよぅ」

両手を突き出し、白く輝く風を呼ぶ。

「させないよ! アチャモ、火の粉!」

しかしここはアチャモの方が早かった。どこにラルトスが出てきても対応できるように、あらかじめ火の粉を溜めておいたのだ。

大量の火の粉を浴びたラルトスがよろめき、数歩後退りする。

「今だよアチャモ! 弾ける炎!」

その隙を逃さず、アチャモが口から炎弾を吹き出す。

体勢を崩していたラルトスに直撃し、火花を散らすとともにラルトスを吹き飛ばした。

「あっ、ラルトス……」

念力を得意とする代償なのかは分からないが、どうやら耐久力は低いらしい。

弾ける炎を受けて吹き飛ばされたラルトスは、そのまま床に倒れてのびてしまった。

「ラルトス、戦闘不能! アチャモの勝利!」

『決着がつきましたぁ! サヤナ選手のアチャモ、ラルトスの念力に翻弄されかけるも隙を突いた見事な一撃! 二回戦進出を決めました!』

『テレポート直後の火の粉はお見事だったな。ミオ君の攻めの姿勢も良かったが、あの場面ではもう少し慎重に立ち回るべきだったな』

サヤナも無事一回戦を突破し、互いに一礼してバトルフィールドから出る。

 

 

 

「サヤナ、お疲れ! いい勝負だったね」

「ありがとーハル! 二回戦も頑張ろうね!」

試合を終え、ロビーにて合流する二人。

そして全ての一回戦が終わったということで、第二回戦の組み合わせが発表される。ちなみに試合ごとに対戦相手はシャッフルされるため、トーナメント形式ではあるが次の相手に誰が来るかは分からない。

その、注目の二回戦の対戦相手は。

「うそ……!」

ハルにとって一番当たりたくなかった相手、スグリだった。

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