魔王と救世の絆   作:インク切れ

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第13話 速攻の自信家、再び

『それでは只今より二回戦、第一試合を開始します! ハル選手とスグリ選手の入場です!』

カザハナシティバトル大会、第二回戦。ハルの相手となるのは、強敵スグリ。

「久しぶり、ハル君。二回戦に上がってきたね。まぁ正直、ハル君なら一回戦突破くらいは余裕だと思ってたよ」

「まぁね。前回は負けたけど、今回はそうはいかないよ」

「へえ、そりゃ楽しみだ」

口元を小さく緩ませてスグリはボールを取り出し、まだ緊張の解けないハルもボールを構える。

「ハル君はまあまあ強いから……ジュプトル!」

「よし、頑張るよ、リオル!」

スグリのポケモンはジュプトル、対するハルはリオル。シュンインシティでのリベンジマッチだ。

『スグリ選手はジュプトル、ハル選手はリオルを繰り出しました! 一回戦、スグリ選手は対戦相手のアメタマを一分も掛けずに倒しています。対するハル選手はタイプ相性を生かして有利に試合を進め、そのまま勝利。さあ、この対戦カードはどうなるか!』

『二人とも素早さの高いポケモンを連れているな。スグリ君とは私もジム戦で戦ったが、彼のポケモンの機動力には目を見張るものがあった。ハル君のポケモンもスピードが高いが、一回戦のようにはいかないだろうな』

実況のアナウンサーとヒサギのコメントが入る中、いよいよバトルスタートだ。

「それでは、試合開始です!」

審判の声が響く。先に動き出したのはスグリとジュプトルだ。

「ジュプトル、燕返し!」

ジュプトルがバトルフィールドを駆ける。一気にリオルとの距離を詰め、右腕を振り下ろす。

「リオル、躱して!」

ジュプトルの振るう右手をどうにか躱すリオル。

だが間髪入れずに右足で蹴り飛ばされ、宙に打ち上げられる。

「だったら真空波だ!」

宙を舞いながらもリオルは腕を振り抜き、真空波を飛ばす。

以前とは違い、多少不安定な体勢でも狙って真空波を飛ばせるようになったが、

「遅い遅い! ジュプトル、電光石火!」

刹那、ジュプトルがその場から消える。

一旦壁まで飛んで真空波を躱しつつリオルの視界から消え、即座に壁を蹴って飛び出しリオルを突き飛ばす。

「っ、リオル、岩砕き!」

やられっぱなしではいられない。リオルも拳を握りしめ、右腕を振るうが、

「躱して二度蹴り!」

ジュプトルはその場で素早くリオルの腕を躱すと、返す刀で瞬時に二発の蹴りを叩き込んだ。

『スピードはどちらも優れているが、スグリ君のポケモンはそれに加えて攻撃前後の隙が非常に少ない。結果としてその時間を追撃や回避に当てられ、攻撃速度が速くなっていく』

ヒサギの解説する通り、スグリのポケモンは攻撃の隙が非常に少ない。

「くっ、リオル、発勁!」

リオルが右手に波導の力を纏わせ、再びジュプトルへと向かっていくが、

「ジュプトル、燕返し!」

それに合わせてジュプトルも突撃する。

リオルが腕を振り上げたところへ、ジュプトルの腕がラリアットの如く食い込み、リオルを吹き飛ばした。

「くっ……リオル、真空波!」

まだ何とか立ち上がり、腕を振って真空の波を飛ばすリオルだが、

「ジュプトル、躱して二度蹴り!」

真空波を躱して一気にリオルとの距離を詰め、ジュプトルは瞬時に二発の蹴りを放ってリオルを蹴り飛ばす。

そこで。

「そうだハル君。ジュプトルの新しい技、見せてやるよ」

スグリが、不敵に笑う。

「ジュプトル、リーフブレード!」

リオルの体勢が整わないうちに、ジュプトルが動き出す。

地を蹴って飛び出すと同時に、両肘に生えた葉が刃のように展開された。

「っ! リオル――」

ハルが指示を出すよりも早く。

ジュプトルの二対の刃が、リオルを切り裂いた。

立て続けに攻撃を受け続けたリオルの体力はついに限界に達し、戦闘不能となってしまう。

「リオル戦闘不能! ジュプトルの勝利!」

『決まりましたーッ! 二回戦第一試合、決着! スグリ選手、またしても速攻のバトルで瞬く間に試合を終わらせてしまいました!』

実況の声が響き渡り、会場が湧き上がる。

二人はポケモンをボールへと戻し、ハルはスグリへと言葉を掛ける。

「やっぱりスグリ君、強いね……また負けちゃったよ」

「へへっ、まあそれほどでもあるかな? ハル君に勝てばあともうそんなに警戒する人いないし、このまま突っ走って優勝しちゃうか」

「あ、あはは……頑張ってね」

相変わらず自信家なスグリだが、やはり強い。実際、彼の言う通り優勝まで突っ走っても何ら不思議ではないレベルだ。

だけどいずれ、スグリに勝ちたい。そんな思いをより強めつつ、あとはスグリとサヤナの試合を見届けるだけだ。

 

 

 

そして迎えた決勝戦。

対戦カードは、スグリ対サヤナ。

スグリは二回戦と同じくジュプトル、サヤナはアチャモで戦っているが、現在、スグリはタイプ相性で不利なはずのアチャモを圧倒している。スピードを武器に上手く立ち回り、タイプ相性を覆しているのだ。

「アチャモ、弾ける炎!」

「当たんないよ、ジュプトル、電光石火!」

アチャモが大きく息を吸い込むが、炎を吹き出すより前に動き出したジュプトルに突き飛ばされてしまう。

「うぅ、強い……アチャモ、こっちも電光石火!」

「ジュプトル、躱してからの二度蹴り!」

アチャモも高速で突っ込んでいくが、ジュプトルには躱され、直後に二発の蹴りを叩き込まれる。

「っ、アチャモ、火の粉!」

起き上がったアチャモは嘴を開いて無数の火の粉を放つが、

「遅い遅い、電光石火!」

既にジュプトルはそこにはおらず、アチャモは横から高速で突撃してきたジュプトルに再び突き飛ばされる。

「とどめっ! ジュプトル、リーフブレード!」

ジュプトルの両肘の葉が伸びて刃のように展開され、アチャモを切り裂く。

その一撃で、アチャモは地面に倒れ伏し、戦闘不能となってしまった。

『決勝戦、決着ーーッ!』

試合終了の合図と同時にアナウンサーの大きな声が響き渡り、観客たちがより一層湧き上がる。

『スグリ選手、タイプ相性をものともせずサヤナ選手のアチャモを撃破! 試合時間はどの試合も二分と掛かっておりません! 速攻のスグリ選手、カザハナシティ大会優勝です!』

『とんでもないトレーナーが現れたものだ。初めて戦った時にも感じたが、やはり今後の彼の活躍が楽しみだ』

勝敗の結果もさることながら、驚きなのは試合時間の短さ。スグリは全試合とも、あっと言う間と言える速度で勝負を決めてしまった。

その後、スグリが優勝商品であるポケモンの卵を受け取り、カザハナシティバトル大会は無事終了した。

 

 

 

大会後、スグリは少しハルやサヤナと話したあと、再びシュンインシティに向けて去っていった。

「スグリ君、本当に強かった……一応二位にはなれたけど、全然敵わなかったよ」

「正直、スグリ君なら優勝してもおかしくはないと思ってはいたけど……あんなあっさり優勝を決めるなんてね」

残ったハルとサヤナは、ポケモンセンターのロビーで大会の余韻に浸っていた。

「そうだ、サヤナは明日ジム戦行く? 今日解説をやってたヒサギさんのジムがあるけど」

ハルが尋ねると、サヤナは珍しく――といっては失礼だが――少し考え込み、

「うぅん、明日はちょっと休憩。ハル、先に行ってきていいよ」

「そ、そう? なら分かった。じゃあ今日は、もう休もうか」

大会を終えれば、二人もポケモンたちも休息の時。

ゆっくり休んで、明日はカザハナジムに挑戦だ。

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