魔王と救世の絆   作:インク切れ

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第26話 イーブイ、絆の進化

イーブイが青く輝く光に包まれ、その姿を変えていく。

やがて光が収まったとき、そこに立っていたのは、イーブイとは全く違うポケモンだった。

 

『information

 エーフィ 太陽ポケモン

 トレーナーを守るため太陽の力を得た

 イーブイの進化系。日光を力に変えて

 強力なサイコパワーを行使できる。』

 

細くしなやかな体躯に、二股の尻尾を持つ。

体毛は薄い紫色で、額にはサイコパワーを司る珠が真紅に輝く。

タイプはノーマルからエスパーへと変化。そのためか、覚えている技も大きく変化している。

『なんとなんとっ!? ハル選手のイーブイ、ここで、エーフィへと進化を遂げたぁぁぁ!』

『エーフィ! トレーナーにとっても懐いたイーブイだけが進化できる姿だね! ハル君の想いに、ハル君を深く信頼していたイーブイが応えたんだ! さあ熱い展開だ、面白くなってきたぜ!』

実況と解説に合わせ、会場に大歓声が轟き渡る。

「イーブイ……いや、エーフィ。進化してくれたんだね……!」

ハルの言葉を耳にして、エーフィは振り返り、微笑んで頷く。

「……よし! エーフィ、この勝負、絶対に勝とう! 進化した君の力と、僕たちの絆を見せてやろう!」

意気込むハルに呼応し、エーフィは再び対戦相手・コモルーとエリーゼの方へ向き直る。

「ま、まままま、まさか、この局面で進化するなんて……!」

対するエリーゼは、一瞬だけかなり慌てた様子を見せるが、

「……で、でも、ここまでのバトルで受けたダメージはそのまま残っているはず。一気に決めさせていただくわ!」

すぐに平静を取り戻し、コモルーへと指示を出す。

「行きなさい! コモルー、龍の息吹!」

「こっちも行くよ! エーフィ、スピードスター!」

コモルーが龍の力を帯びた息吹を放つが、対するエーフィは尻尾を振り抜いて先ほどまでよりも勢いの増した無数の星形弾を放ち息吹を打ち消し、さらに、

「サイコショット!」

額の珠にサイコパワーを集めて念力の弾を作り出し、コモルーへと放つ。

「エスパー技なら、噛み砕く!」

コモルーが口を開き、念力の弾を鋭い牙で喰らい、破壊する。

「今だよエーフィ! 横からスピードスター!」

しかしその隙に、エーフィはコモルーの右側へと回り込み、無数の星形弾を撃ち込む。

今度はコモルーへと直撃。鉄壁によって硬化した殻も、特殊技は軽減できない。

「っ……コモルー、焼き尽くす!」

「エーフィ、躱して! ジャンプだ!」

コモルーが吐息とともに激しい炎を噴射するのに対し、エーフィは大きく跳躍して炎を躱す。

「言ったはずよ、無闇に飛ぶのは危ないって! コモルー、龍の息吹!」

エーフィが飛んだところを狙って、コモルーは龍の力を帯びた息吹を放つ。

先程は膨大な進化のエネルギーによってコモルーの攻撃を薙ぎ払ったが、二度はない。空中にいるエーフィには、息吹を避ける手段はない。

しかし。

だからと言って、それはハルとエーフィの敗北を示すとは限らない。

 

「このチャンスを待ってたんだ! エーフィ、マジカルシャイン!」

 

エーフィの額の珠が眩い輝きを発し、コモルー目掛けて純白の光が放出される。

「なっ……! フェアリー技……!」

フェアリータイプの技は、ドラゴンタイプに対して圧倒的に有利を取れる技。純白の光が龍の息吹を打ち消し、コモルーを覆い尽くした。

「っ、コモルー……!」

光が消えた時、コモルーは体力を削り取られ、戦闘不能となって目を回していた。

『決まったぁぁぁぁ! ハル選手のイーブイ、いや、エーフィ! 相性の悪かったコモルーを相手に、土壇場でまさかの進化! そのまま大逆転勝利です!』

『うんうん、とってもいい試合だったね! 二人とも熱い戦いを見せてくれた! だけどハル君とエーフィの絆が、エリーゼちゃんとコモルーを僅かに上回ったんだね! いやー、こいつぁ決勝戦も楽しみだぁ!』

実況と解説のハイテンションな叫び声に呼応し、会場にも歓声が響き渡る。

「やっ……やったぁぁぁ! エーフィ、勝ったよ! よく頑張ったね!」

ハルがエーフィに呼びかけると、エーフィはにっこり笑って振り返る。

しかしハルに駆け寄ろうとしたところでふらついて転んでしまい、慌ててハルはエーフィを抱える。どうやら、本当にギリギリの勝負だったようだ。

「な、ななななんてこと……! まさか、負けてしまうなんて……! カザカリ山道でのこともあって、正直なところ、格下の相手だと思って油断してたわ。私に勝つなんて、やるじゃない。見事なバトルだったわね」

「エリーゼさんのおかげで、イーブイはエーフィに進化できたんです。そもそも、あそこでエリーゼさんに会わなかったら、僕は今頃イーブイ――エーフィと旅をしていなかったと思います。ありがとうございました」

「き、急にそんなこと言われると調子狂うわね……と、とにかく! 私に勝ったからには、優勝しなさいよ。分かったわね」

「はい! 決勝戦、絶対に勝ちます!」

その後ハルはもう一度エリーゼにお礼を言って、フィールドを後にした。

 

 

 

そして、決勝戦。

「ドテッコツ、叩きつける!」

「リオル、躱して発勁!」

 

『information

 ドテッコツ 筋骨ポケモン

 手にした鉄骨で自身を鍛えたり

 バトルの際には武器として使用する。

 鍛え上げた硬い筋肉の体を持つ。』

 

赤い鉄骨を持った格闘ポケモン、ドテッコツが振り下ろす鉄骨を躱し、リオルは青い波導を纏った右手をドテッコツに叩きつける。

「ぐっ、ドテッコツ、アームハンマー!」

体勢を崩すもその場に踏み止まり、ドテッコツは筋肉を鍛え上げた硬い腕をリオルへ振り下ろす。

「躱して電光石火!」

だがリオルは一旦後ろへと飛んでドテッコツの腕の一撃を躱すと、地を蹴って目にも留まらぬ猛スピードで飛び出し、ドテッコツの腹へと体当たりする。

「ドテッコツ、引き剥がせ! もう一度アームハンマー!」

「リオル、サイコパンチ!」

リオルを叩き落そうとドテッコツが腕を振り上げるが、リオルはそれよりも速く拳に念力を纏わせ、ドテッコツの鳩尾に拳を叩き込み、吹き飛ばした。

「発勁!」

吹き飛ばされたドテッコツを追って地を駆け、リオルが波導を纏った右手を突き出す。

「ぐっ……ドテッコツ、叩きつける!」

よろめきながらもドテッコツは鉄骨を振り上げる。

しかしドテッコツの攻撃は強力な分、重い鉄骨を振り回すので出が遅い。

鉄骨が振り下ろされるその前に、ドテッコツの懐へと飛び込んだリオルの右手が先にドテッコツへと叩き込まれた。

「ドテッコツ!」

ドテッコツの体が、フィールドにバタンと倒れる。

目を回して倒れ伏したその姿は、明らかに戦闘不能だった。

『決着ぅぅぅぅっ! 準決勝で格上を破った新星同士の決勝戦、激しい戦いを制したのは、ハル選手ッ! 力で勝るドテッコツ相手に、スピードを生かしての大勝利! まさに柔よく剛を制し、ハル選手、ヒザカリ大会優勝です!』

アナウンサーの声が轟く。

それに呼応し、会場の盛り上がりも最高潮に達する。

「勝った……やったぁぁぁ! リオル! 勝ったよ! 僕たちが優勝したんだ!」

リオルへと駆け寄ると、リオルも満面の笑みを浮かべてハルへと飛びついてきた。

『いやぁどの試合も見どころ満載のすっげえバトルだったね! 何だか私も無性にバトりたくなってきた! ってことで、まだヒザカリジムに来てないポケモントレーナーの皆! 私サツキはいつでも挑戦を受け付けてるぜーっ!』

もはや解説らしい解説をしていないが、サツキもそう言ってまとめる。

何はともあれ、ヒザカリタウンバトル大会はハルの優勝で幕を下ろし、ハルのイーブイも、エーフィへと進化した。

 

 

 

「まさか、優勝できちゃうなんて……」

地域のリポーターと思われる二人組からちょっとしたインタビューを受けた後、ハルはポケモンセンターに向かっていた。

ちなみに優勝商品は木の実詰め合わせセットなるものだ。多種多様な大量の木の実を貰った。

ポケモンセンターでポケモンたちを預け、ロビーで回復を待っていると、

「ここにいたのね。探したわよ」

後ろから声を掛けられた。振り返ると、そこにいたのは先程戦ったエリーゼだ。ハッサムを連れている。

「エリーゼさん! 大会お疲れ様でした」

ハルが言葉を返すと、エリーゼは小さく笑い、

「貴方、本当はなかなか強かったのね。私は自分より弱い人間には興味がないのだけれど、今回の大会で見直したわ」

そう言って、アルス・フォンを取り出す。

「貴方のフォンを貸しなさい。貴方を私のライバルと認めて、私の連絡先を教えてあげるわ」

「え……いいんですか!?」

ハルとしては、嬉しい申し出だった。今回は進化したこともあってどうにか勝てたが、本来のトレーナーとしてのハルの腕はエリーゼにはまだまだ及ばない。格上のトレーナーにライバルとして認められたのは、ハルにとっては何だか嬉しかった。

「ええ、勿論よ。次に会うときは私のエース、このハッサムと戦いましょう。今度は負けないわよ」

「……! はいっ!」

その後、お互いの連絡先を交換した後、エリーゼはハルに手を振り、ハッサムを連れてポケモンセンターを出て行った。

「……よし、僕ももっと頑張らなきゃ」

今日はヒザカリタウンに泊まって、明日は次なる街、サオヒメシティに出発だ。

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