魔王と救世の絆   作:インク切れ

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第30話 旅の成果! vsサヤナ

サオヒメシティ、ポケモンセンター地下。

バトルフィールドを挟んで向かい合うのは、ハルとサヤナだ。

「そうだ! せっかくだから、最初に貰ったポケモン以外で勝負しない?」

「えっと……僕はリオル、サヤナはワカシャモ以外のポケモンを使うってこと?」

「うん。せっかくカザハナシティで別れたんだから、ここまでの旅の成果を見せたいじゃない?」

「そうだね。なら、そうしようか」

お互いのポケモン数を確認したところ、二人とも四匹。

そこからリオルとワカシャモを抜いた、三対三の対戦だ。

改めて、二人はモンスターボールを手に取る。

「それじゃあ……出てきて、ヒノヤコマ!」

「よーっし、頼んだよ、ミニリュウ!」

ハルが初手に選んだのはヒノヤコマ。サヤナの手持ちにはコフキムシがいたため、その進化系が出てくるかもと予想しての選出だ。

しかし、ハルの予想は外れた。サヤナが繰り出したのは、青く細長い幼龍のようなポケモンだった。

 

『information

 ミニリュウ ドラゴンポケモン

 弱い体を守るため水底に身を潜め

 沈んできた植物を食べる。毎日脱皮を

 繰り返し少しずつ大きくなっていく。』

 

「川辺でたまたま出会った子なんだよ! かわいいから捕まえたんだけど、アリスさんが言うには珍しいポケモンなんだって!」

自慢げにサヤナは胸を張る。

「ヒノヤコマ……ヤヤコマの進化系ってことは、ハルのヤヤコマ、進化したんだね!」

「うん。カザハナシティジムで大活躍してくれたんだ」

ハルの言葉に呼応して、ヒノヤコマも勇ましく翼を広げる。

両者のポケモンは出揃った。バトルスタートだ。

「よし、それじゃ始めるよ! ミニリュウ、水の波動!」

まずはサヤナとミニリュウが動く。水の力を一点に集中させ、ヒノヤコマへと水弾を放つ。

「水タイプの技か……ヒノヤコマ、躱して疾風突き!」

ヒノヤコマは嘴を突き出し、猛スピードで突撃する。

効果抜群の水技を躱しつつ一気に距離を詰め、嘴でミニリュウを突き飛ばす。

「ミニリュウ、叩きつける!」

だがその直後、ミニリュウが丸めていた体を伸ばす。

華奢ではあるが2メートルもあるその体は飛び去ろうとするヒノヤコマを難なく射程範囲内に捉え、尻尾をヒノヤコマに叩きつけた。

「っ、ヒノヤコマ、立て直して! ニトロチャージ!」

対してヒノヤコマは素早く体勢を立て直し、炎を纏って突撃する。

「ミニリュウ、龍の息吹!」

ミニリュウが龍の力を帯びた息吹を吹き出して迎撃するが、ヒノヤコマはそれを巧みに躱しながらミニリュウに迫り、炎の突進を直撃させた。「よし、もう一度ニトロチャージだ!」

ドラゴンタイプに炎技の効きはあまりよくないが、スピードをさらに上げるため、再びヒノヤコマは旋回して突撃、もう一度ミニリュウに突進を食らわせる。

しかし。

 

「ミニリュウ、電磁波!」

 

ヒノヤコマの突撃を受けてもミニリュウは踏み止まり、微弱な電撃の波をヒノヤコマにぶつける。

「っ! ヒノヤコマ!」

ダメージはないようで、ヒノヤコマはハルの元へと戻ってくる。

だがその様子がおかしい。体が痺れているようで、スピードも落ちている。

「電磁波……麻痺状態か……」

電磁波は相手を麻痺させる技。麻痺状態になったポケモンは素早さが下がり、さらに時々痺れが強くなり、動けなくなってしまう。

「これでニトロチャージのスピードは怖くない! さあ反撃だよミニリュウ、水の波動!」

麻痺を受けたヒノヤコマに向けて、ミニリュウは水の弾を放出する。

「っ、ヒノヤコマ、躱して!」

痺れに耐えてヒノヤコマは上昇し、水の弾を回避する。

「疾風突き!」

嘴を突き出し、ヒノヤコマは猛スピードで飛び出す。

疾風突きは先制技なので麻痺の速度低下の影響を受けず、一瞬のうちにミニリュウとの距離を詰めて、嘴で突き飛ばす。

「甘いよ! 龍の息吹!」

突き飛ばされたミニリュウはすぐさま龍の力を帯びた息吹を放って反撃する。

素早く飛び去ろうとするヒノヤコマだが、スピードの低下によって避けきれず、息吹を受けて吹き飛ばされる。

「続けて水の波動!」

「くっ、エアカッター!」

さらにミニリュウは再び水の弾を放つが、ヒノヤコマは翼を羽ばたかせて風の刃を放ち、何とか水の波動を食い止めた。

「ミニリュウ、龍の息吹!」

「ヒノヤコマ、躱してアクロバット!」

ミニリュウが龍の力を帯びた息吹を放ち、ヒノヤコマはそれを躱して身軽に距離を詰めていく。

麻痺しているがそれでもニトロチャージの分はあるので極端に素早さが落ちているわけではなく、ヒノヤコマがミニリュウの眼前まで迫る。

「ミニリュウ、叩きつける!」

ヒノヤコマに突き飛ばされた直後、ミニリュウが体を伸ばし、尻尾をヒノヤコマに叩きつけて吹き飛ばす。

「龍の息吹!」

吹き飛ぶヒノヤコマに向けてミニリュウが龍の力を帯びた息吹を放出。ヒノヤコマは避けられずに、息吹の直撃を受けてしまう。

「ミニリュウ、その調子で叩きつける!」

撃墜されて地面に落ちるヒノヤコマに対し、動き出したミニリュウが尻尾を振り上げる。

「っ、まだだ! ヒノヤコマ、ニトロチャージ!」

尻尾が叩きつけられる直前、ヒノヤコマが自身を鼓舞するように鳴き、その身に炎を纏う。

間一髪のところでヒノヤコマは翼を広げて飛び出し、振り下ろされる尻尾を逃れ、その直後、ミニリュウの背後から炎の突進でミニリュウを突き飛ばす。

「疾風突き!」

「水の波動!」

吹き飛ばされるミニリュウを追ってヒノヤコマは高速で向かっていく。

ミニリュウが起き上がり、水の弾を放とうとするが、それよりも早くヒノヤコマの嘴がミニリュウを突き飛ばした。

「ミニリュウ!」

まだ進化していないからか耐久力はあまりないらしく、ミニリュウは戦闘不能となって倒れてしまった。

「うーん、やっぱりまだまだ耐久力が足りないなぁ。もっと鍛えてあげなきゃ。ミニリュウ、お疲れ様だよ」

ミニリュウをボールに戻して、サヤナは次のボールを取り出す。

「そのヒノヤコマ、なかなかやるねー。それじゃあ、次はこの子! 出番だよ、コドラ!」

サヤナの二番手は、鋼の鎧を持つ四足歩行のポケモン。

 

『information

 コドラ 鉄鎧ポケモン

 湧き水の近くに巣を作り鉄鉱石を

 掘り出して食べる。鉄を取りに来る

 人間と争いになることがある。』

 

鋼と岩タイプを持つポケモン、コドラ。防御に優れたポケモンだ。

「コドラは鋼タイプも持ってるから、炎技は通る。ヒノヤコマ、悪いけどもう少し頑張ってね」

ダメージは小さくないが、それでもやる気充分にヒノヤコマは鳴く。

「よし、ヒノヤコマ、ニトロチャージ!」

炎を纏い、ヒノヤコマが飛び出す。炎弾のように、一気にコドラへと向かっていく。

しかし、

「コドラ、守る!」

コドラを中心として、周囲に守護の結界が展開される。

ヒノヤコマが結界にぶつかるが、逆に弾き返されてしまい、

「ロックブラスト!」

ヒノヤコマの体勢が崩れた隙を逃さず、コドラが無数の岩を放つ。

「しまっ……ヒノヤコマ!」

岩の直撃を受け、ヒノヤコマが撃墜される。

岩タイプの技は、炎・飛行タイプのヒノヤコマにとって二重の効果抜群。さすがに耐えることはできず、地に落ちて戦闘不能となってしまう。

「ヒノヤコマ、よく頑張ったね。休んでて」

ヒノヤコマをボールに戻すと、ハルはすぐに次のボールを取り出す。

「鋼と岩のコドラが相手なら君しかいない。出てきて、ワルビル!」

ハルが繰り出すのはワルビル。コドラには地面タイプの技が非常に効くため、相性的には有利。

フィールドに立つと大きく吼え、コドラを威嚇する。

「やっぱりワルビルで来たね。だけど苦手な地面タイプなら対策してて当然だよ。どこからでもかかって来てよ!」

そんな天敵を見ても、サヤナの表情は余裕そのもの。コドラもワルビルに負けじと、唸り声をあげてワルビルを睨む。

「勿論。ワルビル、頼んだよ」

ハルの言葉にワルビルはニヤリと笑って頷き、戦闘態勢に入る。

「よし、行こう! ワルビル、シャドークロー!」

「こっちも行くよ! コドラ、アイアンヘッド!」

コドラが額を覆う鉄の鎧をさらに硬化させ、ワルビルへと突撃していく。

対して、ワルビルは右手に黒い影の爪を纏わせ、コドラを迎え撃つ。

コドラの頭突きとワルビルの影の爪がぶつかり合う。威力はほぼ互角で、激しく競り合って火花を散らす。

「コドラ、水の波動!」

だがその直後の動きはコドラが速かった。口を開き、水の弾を放出する。

「水技っ!? ワルビル、大丈夫?」

水弾の直撃を受けてワルビルは吹き飛ばされ、フィールドに倒れるが、すぐさま起き上がって体勢を立て直す。

効果抜群にしてはあまりダメージが大きくない。コドラの特攻はそこまで高くないようだ。

「コドラは見かけによらず、いろんなタイプの技を使えるの! この子は覚えてないけど、電気技や炎技も使えるんだよ」

サヤナが得意げな笑みを浮かべ、それに合わせてコドラも吼える。

「コドラ、もう一度アイアンヘッド!」

コドラは再び額の鎧を硬化させ、突進してくる。

「ワルビル、躱して噛み砕く!」

コドラの突進を横っ飛びで躱し、ワルビルは大顎を開いてコドラの側面から噛み付き、牙を突き立てる。

「コドラ、引き剥がして! ロックブラスト!」

噛み付かれたコドラが唸り声をあげ、無数の岩を飛ばす。

ワルビルの頭に岩が直撃し、大顎の拘束が緩む。

「今だよコドラ! 水の波動!」

「ワルビル、穴を掘る!」

ワルビルを狙って口から水弾を放出するコドラだが、ワルビルは後ろへ飛んでそのままフィールドに穴を掘り、床下へと身を隠す。

音もなく地中から近づき、コドラを吹き飛ばそうとするが、

「それなら……コドラ、守る!」

ワルビルが地下から飛び出すその直前、コドラが周囲に守りの結界を張る。

地中から襲いかかろうとしたワルビルだが、守りの結界を前にして逆に弾かれてしまう。

「いいよコドラ! そのままアイアンヘッド!」

結界に弾かれて体勢を崩すワルビルへ、コドラは額の鉄鎧を硬化させて突撃する。

「っ、ワルビル、シャドークロー!」

咄嗟にワルビルは右手に影の爪を纏い、右腕を突き出し、コドラの突進を食い止める。

「コドラ、水の波動!」

「同じ手は受けないよ。ワルビル、燕返し!」

競り合いながらコドラが水の弾を口から発射し、対してワルビルは刀身のように白く輝く左手を振るい、水弾を断ち切る。

「ロックブラスト!」

「躱してシャドークロー!」

コドラが無数の岩を発射するが、ワルビルは素早く跳躍してそれを躱し、コドラの上を飛び、背中を影の爪で切り裂く。

しかしいまいちダメージの手応えがない。コドラの背中は硬い鉄の鎧に覆われているため、ダメージが少ないのだ。

「あの鎧、やっぱり硬い……ワルビル、穴を掘る!」

ワルビルは再びフィールドに潜り、地中に身を隠す。

「効かないよ! コドラ、守る!」

しかしやはり穴を掘るの攻撃の遅さが災いし、ワルビルが地中から強襲を仕掛けるも、コドラの張った守りの結界に弾かれてしまう。

「水の波動!」

ワルビルが下がったところに、コドラは口から水弾を放出する。

「っ、ワルビル、燕返し!」

飛来する水弾を、ワルビルは刀身のように光る腕を振るって両断するが、

「ロックブラスト!」

直後、無数の岩がワルビルに降り注ぐ。

威力はそこまで高くない上に効果今一つで大したダメージではないが、少しずつ体力を削られるのは地味に痛い。

「ワルビル、反撃するよ! シャドークロー!」

「コドラ、迎え撃って! アイアンヘッド!」

ワルビルが右手に黒く鋭い影の爪を纏わせ、コドラは額の硬い鎧をさらに硬化させて、お互いの敵を見据えて一直線に突っ込む。

鉄の頭突きと影の爪が再び激突し、火花を散らす。

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