魔王と救世の絆   作:インク切れ

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第31話 決着! エース不在のライバルバトル

ワルビルのシャドークローと、コドラのアイアンヘッドがぶつかり合う。

「ワルビル、噛み砕く!」

「ならコドラ、ロックブラスト!」

競り合うさなかワルビルが大顎を開くが、それと同時にコドラも無数の岩を発射する。

ワルビルの体勢が崩れ、牙はコドラを捉えられず、

「アイアンヘッド!」

鋼鉄の鎧をさらに硬化させてコドラが頭突きを仕掛け、ワルビルを突き飛ばした。

「まだまだ行くよ! 続けて水の波動!」

さらにコドラは口から水弾を放射し、追撃を仕掛ける。

「っ、ワルビル、燕返し!」

飛来する水弾に対し、ワルビルは腕を振るって何とか水の弾を打ち消した。

(何とかして穴を掘るを当てれば、コドラは倒せるはずなんだ。それなら……)

体勢を立て直すとワルビルは低く唸り、コドラを睨む。

(何とかして、先に守るを使わせる。よし、やってみよう!)

「よし! ワルビル、噛み砕く!」

ハルの意図を察知したのか、ワルビルはニヤリと笑うと、地を蹴ってコドラへと向かっていく。

「コドラ、アイアンヘッド!」

コドラが額の鉄の鎧を硬化させ、ワルビルを迎撃すべく突撃する。

しかし、

「ワルビル、横からだ!」

激突するその前に、ワルビルは横っ飛びでコドラの突進を躱す。

大顎を開いて、がら空きになった側面へと牙を食い込ませた。

「コドラ、ロックブラスト!」

「そう来ると思ったよ! ワルビル、躱してシャドークロー!」

コドラが岩を放つその瞬間、それを予期していたワルビルは口を離して跳躍し、岩の破片を躱す。

さらに右手に影の爪を纏わせ、コドラへと爪を突き刺した。

「もう一度シャドークロー!」

「っ、コドラ、守る!」

ワルビルが右手を再び振り上げたのを見て、サヤナは咄嗟に守るの指示を出す。

「今だワルビル! 穴を掘る!」

しかしコドラが守りの結界を張った時、それと同タイミングでワルビルは地中へと身を隠した。

「あっ……やばっ……!」

途端にサヤナの表情に焦りが浮かぶ。

守るはあらゆる攻撃を防ぐ技だが、連続して使うことができない。さらに、穴を掘るは攻撃までに時間のかかる技。

つまり。

結界が切れた瞬間に、コドラの足元からワルビルが飛び出し、コドラを吹き飛ばした。

「コドラっ!」

鋼と岩タイプを持つコドラには、地面技は二重に効果抜群。

コドラは大きく打ち上げられ、重力に従ってそのまま落下し、フィールドに落ちて戦闘不能となった。

「コドラ、お疲れ様。よく頑張ったね! 休んでて」

サヤナはコドラを労い、ボールへと戻し、ハルの方へ向き直る。

「ハル、成長してるねー! 初めてバトルした時はまだまだ私の方が先輩みたいな感じだったけど、今はすっかり追いつかれちゃったかなー」

「へへっ、ありがとう。僕もポケモンたちと一緒に、日々強くなってるからね」

ハルが言葉を返すと、にんまりとサヤナは笑みを浮かべ

「だけど、まだ追い抜かれたつもりはないんだからね! それじゃ、最後のポケモンを出すよ!」

三つ目となる、最後のボールに手をかける。

「頼んだよ、ビビヨン!」

 

『information

 ビビヨン 鱗粉ポケモン

 野原を飛び回りながら色鮮やかな

 鱗粉を振りまく。住んでいる気候や

 風土によって翅の色や模様が違う。』

 

サヤナの最後のポケモンは、深い緑色の翅を持つ蝶のようなポケモンだ。

「虫タイプ……もしかして、コフキムシの進化系?」

「そうだよ! コフキムシからコフーライに進化して、最終的にビビヨンになるの」

サヤナのコフキムシも、ハルのヒノヤコマ同様、やはり進化していたようだ。既に最終進化を遂げているあたりは、さすが成長の早い虫ポケモンと言うべきか。

しかし相手が虫タイプのビビヨンとなると少し厳しい。ワルビルも残るエーフィも、虫タイプの技で弱点を突かれてしまう。

「それじゃあ、始めるよ! ビビヨン、シグナルビーム!」

複眼のようなビビヨンの眼から、カラフルな光線が撃ち出される。

「ワルビル、躱して燕返し!」

ワルビルは光線を掻い潜り、腕を構え、地を蹴って飛び出す。

だが、

「ビビヨン、エナジーボール!」

ワルビルの腕の一振り目を躱し、二振り目が来るよりも早く、ビビヨンは自然の力を集めた光の球を放つ。

至近距離で、ましてや空中にいるワルビルが躱せるはずもなく、ワルビルの額に光の弾が直撃した。

「っ……ワルビル!」

エナジーボールの直撃を受けたワルビルが砂煙とともに地面に叩き落される。

煙が晴れた時には、ワルビルは既に戦闘不能になっていた。

「なんてパワーだ……ワルビル、よく頑張った。ゆっくり休んで」

ワルビルを労い、ボールへと戻し、ハルはサヤナへ向き直る。

「そのビビヨン、かなり強いね……ミニリュウやコドラに比べても、技の威力が明らかに高いよ」

「そーでしょ? 私のビビヨンは見かけによらずバトルが好きで、攻撃力が自慢なんだよ」

自慢げにサヤナは胸を張り、

「さあ、三匹目だよ。ハルの最後のポケモンは?」

「最後は……頼んだよ。出てきて、エーフィ!」

ハルのポケモンは、もちろんエーフィだ。虫タイプの技には特に気をつけなければならないが、こちらからの攻撃も効果今ひとつにはならない。

「おおー! かわいい上に強そうなポケモン! ビビヨン、かわいい対決も負けられないよ!」

なんだかちょっとおかしな方向に盛り上がっているサヤナとビビヨンだが、やる気なのは間違いないようだ。

「それじゃ行くよ! ビビヨン、まずはシグナルビーム!」

バトル再開。ビビヨンが眼を激しく点滅させ、カラフルな光線を撃ち出す。

「エーフィ、躱してスピードスター!」

素早く軽やかに光線を躱すと、エーフィは尻尾を振り抜いて無数の星型の弾を飛ばす。

ビビヨンが避けようとするも、必中のスピードスターは軌道を変えて確実にビビヨンを狙い、深緑の翅へと命中する。

「むむっ、そういえば必中技だったね……ビビヨン、立て直して! エアスラッシュ!」

体勢を整え、ビビヨンは翅を羽ばたかせて空気の刃を飛ばす。

「それならエーフィ、シャドーボール!」

エーフィは額の赤い珠に漆黒の影の力を集め、黒い球体へと変えて発射。

シャドーボールが空気の刃を防ぎ、

「続けてサイコショットだ!」

ビビヨンとの距離を詰め、エーフィは額の珠からサイコパワーの念弾を放つ。

「ビビヨン、サイコキネシスで防いで!」

対するビビヨンは強い念力を操作し、念の波を放って念弾を打ち消した。

「シャドーボール!」

「躱して! シグナルビーム!」

再び漆黒の影の弾を放つエーフィだが、それをビビヨンはふわりと舞い上がって回避、さらにそれと同時に眼から激しい光を放つ光線を発射。素早い反撃がエーフィを捉える。

「っ! エーフィ、大丈夫?」

効果抜群の一撃。さすがに痛いが、それでもエーフィはすぐさま起き上がり、ハルの言葉に頷く。

「よし、エーフィ、ここから反撃だ! スピードスター!」

エーフィが二股の尻尾を振り、無数の星形弾を飛ばす。

「必中技だから……ビビヨン、サイコキネシス!」

無数の星形弾へとビビヨンは念力の波を放ち、星形の弾を全て防ぎ切るが、

「サイコショット!」

その隙にエーフィはビビヨンのすぐ近くまで接近しており、額の珠から念力の弾を放ってビビヨンを吹き飛ばす。

「やるじゃん……! ビビヨン、エナジーボール!」

「エーフィ、シャドーボール!」

ビビヨンが自然の力を集めた光の弾を放ち、エーフィは黒い影を集めた漆黒の弾を撃ち出す。

二者の放った念弾は正面から激突し、その間に二者はさらに動く。

「ビビヨン、エアスラッシュ!」

「エーフィ、スピードスター!」

ビビヨンが翅を羽ばたかせて空気の刃を飛ばし、エーフィが尻尾を振って無数の星形弾を飛ばす。

空気の刃がエーフィを切り裂き、直後に無数の星形弾が弧を描いて飛び、ビビヨンに直撃した。

「ビビヨン! 大丈夫?」

「エーフィ、まだ行ける?」

痛そうな表情を見せながらもビビヨンは翅を羽ばたかせて再び舞い上がり、エーフィは立ち上がると共に首を振って体勢を整える。

「よし、ビビヨン、ここからだよ! シグナルビーム!」

「エーフィ、僕たちも行くよ! シャドーボール!」

ビビヨンが眼から激しい光を放つ光線を発射し、エーフィは額の珠から黒い影の弾を撃ち出す。

光線と影の弾が激突し、競り合った末に消滅する。

「エーフィ、サイコショット!」

「ビビヨン、躱してエナジーボール!」

エーフィが再びビビヨンとの距離を詰め、額の珠に念力を溜め込む。

放たれた念力の弾に対し、ビビヨンはふわりとそれを躱し、自然の力を込めた光の弾を撃ち出す。

「エーフィ、スピードスター!」

エーフィは尻尾を振るって無数の星形弾を飛ばし、光の弾を相殺、そして、

「シャドーボール!」

額の珠から、再び黒い影の弾を放つ。

「ビビヨン、そのままシグナルビーム!」

ビビヨンも瞳から激しい光を放つ光線を発射する。

光線は影の弾のすぐ横を飛んでいき、影の弾がビビヨンを捉えるのと同時に、光線がエーフィへと直撃する。

「っ、エーフィ!」

結果だけ見れば、お互いに技は命中している。

だがビビヨンが受けたシャドーボールは等倍、対してエーフィに当たったシグナルビームは効果が抜群。つまり、エーフィの方がビビヨンよりも被ダメージが大きい。

「ここで決めるよ! ビビヨン、エアスラッシュ!」

とはいえビビヨンも決して受けたダメージは小さくない。それでも体勢を立て直し、翅を羽ばたかせて空気の刃を飛ばす。

「エーフィ、躱して!」

何とか立ち上がったエーフィは大きく跳躍し、寸でのところで空気の刃から身を躱す。

一瞬遅れて、先ほどまでエーフィが立っていた床を空気の刃が刻んだ。

「逃しちゃダメだよ! ビビヨン、シグナルビーム!」

空中へと飛んだエーフィへ、さらにビビヨンは激しい光を放つ光線を発射する。

しかし、

「今だエーフィ! マジカルシャイン!」

エーフィの額の珠が眩い輝きを放ち、純白の光が放出される。

シグナルビームを掻き消し、ビビヨンを真っ白な光の中に呑み込んだ。

「あっ……! しまっ……」

「一気に決める! サイコショット!」

吹き飛ばされるビビヨンに対し、エーフィは額の珠にサイコパワーを溜め込み、念力の弾を撃ち出す。

ビビヨンは体勢を大きく崩して回避不能、念力の弾が直撃し、その体がゆっくりと降下していく。

「っ、ビビヨン!」

床に落ちた時には、既にビビヨンは戦闘不能になっていた。

 

 

 

「むー、負けちゃったー。ハル、なかなか強くなってるね」

「ありがとう、でもサヤナも強かったよ。特に最後のビビヨン戦はヒヤッとした場面もあったし」

「にひひー、そうでしょ? 私もちゃんと成長してるんだって、分かってくれたなら嬉しいよ」

悔しそうに唸ったかと思えば、すぐににんまり笑うサヤナ。

バトルを終え、二人は頑張ったポケモンたちをポケモンセンターに預ける。

「それじゃあハル、私に勝ったご褒美に、ジム戦のアドバイスだよ」

私もまだ勝ってはないんだけどね、とサヤナは続け、

「ライボルトを連れてるから分かると思うけど、アリスさんは電気タイプの使い手。ハルのポケモンだとワルビルが有利だね。だけど、アリスさんはいろんな戦術を駆使して戦ってくるから、ただぶつかっていくだけじゃ勝てないよ」

ヒザカリタウンの大会でも、サツキが同じようなことを解説していたか。

「あと一番気をつけないといけないのは、やっぱりライボルトかな。アリスさんのポケモンで一番強い上に、もちろんメガシンカも遠慮なく使ってくるから、気をつけてね」

「うん、ありがとう。明日は頑張ってくるよ。勝利報告楽しみにしてて」

今日は休んで英気を養い、明日はいよいよサオヒメシティジムリーダー・アリスに挑戦だ。

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