魔王と救世の絆   作:インク切れ

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三、四話くらい短めの回が続きます。ご了承くださいませ。


第38話 激突! ディントス教

「これはこれはジムリーダー一行。大所帯で何の用かね」

 

「キーストーンを取り戻しに来たのよ。ついでにディントス教もぶっ潰すの」

 

ディントスが支配する教会の大聖堂に、二つの集団が対峙していた。

かたやジムリーダーのアリス率いるディントス教壊滅部隊。かたや教皇ディントスが牛耳るディントス教信者。

一触即発の雰囲気の中、先頭に立つそれぞれのリーダー、アリスとディントスが睨み合いを続けている。

「今ここでキーストーンを返して土下座するというのなら、それで許してあげるけど」

「ふっ、つまらぬ冗談よ。『母なる君』の加護がある限り、我々ディントス教の敗北などあり得ない。貴様らを叩き潰し、そのポケモンも『母なる君』への献上物にしてやろうか」

「交渉決裂ってわけね。それじゃあ、こっちも手段は選ばないわよ!」

モンスターボールを取り出し、アリスは大声で叫ぶ。

それに呼応し、ハルたちも一斉にそれぞれのボールを取り出した。

「あくまでやる気のようだな。『母なる君』は資格のある者しか救いを与えない。迷える子羊は導きたいところだが、生憎救いの手は貴様らには向けられないようだ。やむを得まい」

ディントスも静かにボールを取り出し、それに呼応する信者も戦闘態勢に入る。

そして。

 

「さあ、行きなさい!」

「我が信徒よ、裁きを下せ!」

 

両者の叫びが戦闘開始の合図となった。サオヒメのジムトレーナーとディントスの背後に控える信者たちが一斉に飛び出し、大聖堂が瞬く間に混戦の地となっていく。

「さあ、我々も始めようか!」

ディントスが叫ぶと、司教の二人組、ルニルとグニルが姿を現わす。

「スグリ君、サヤナちゃん! 司教をお願い! ハル君、私たちはディントスを倒すわよ!」

「はい!」

ハルも踏み出し、アリスの隣に並ぶ。

「さぁてお二人さん、精々楽しませてよ。サヤナちゃん、相方頼んだよ」

「任せて! 私だって、やれるんだから!」

司教の二人と相対するは、スグリとサヤナ。

「いいでしょう、相手をして差し上げます」

「ただしあなたたちが敗れた時、その手にポケモンが残ると思わないことですよ」

こちらもこちらで、戦闘が始まる。

 

 

 

「神の道よ、ニダンギル!」

「神の命よ、ランプラー!」

ルニルとグニルが繰り出すのは、やはりこの二匹。

「お願い、コドラ!」

「さ、出てこい、フローゼル!」

サヤナのポケモンはコドラ、そしてスグリのポケモンはブイゼルを一回り大きくしたようなポケモン。首を覆っていた浮き袋は背中にかけて広がっている。

 

『information

 フローゼル 海イタチポケモン

 昔から人と共存してきた。溺れた

 人を救助したり漁師の仕事を手伝っ

 たりする知能の高いポケモンだ。』

 

見た目通りブイゼルの進化形となるポケモンだ。タイプも変わらず、水の単タイプ。

「それでは、お覚悟を。ニダンギル、聖なる剣」

「ランプラー、火炎放射!」

ニダンギルが鞘から刀身の体を抜いて動き出し、それを援護するようにランプラーが炎を放つ。

「フローゼル、アクアジェット!」

フローゼルが体に水を纏わせ、地を蹴って飛び出す。

ランプラーの炎を躱しつつニダンギルに急接近、と見せかけてニダンギルが振り下ろす刃を潜り抜け、その後ろにいるランプラーを突き飛ばした。

「私たちも行くよ! コドラ、水の波動!」

「させません。ニダンギル、切り裂く」

体勢を崩したランプラーに対してコドラがさらに水弾を放って追撃を仕掛けるが、その弾はニダンギルの剣に一刀両断されてしまう。

「ちょうどいいや。オレが前衛で戦うから、サヤナちゃんはフローゼルの隙をカバーして。こいつら一体一体は大したことないけど、二対一だと隙をカバーしきれないからね」

「分かった! サポートすればいいんだね!」

サヤナの返事にスグリはニッと笑い、

「それじゃあ続けようか! フローゼル、噛み砕く!」

フローゼルが牙を剥き、ランプラーへと飛び出し、襲い掛かる。

「随分と甘く見られたものですね。ニダンギル、守りなさい。聖なる剣」

だがフローゼルとランプラーの間にニダンギルが素早く切り込み、輝く刀身でフローゼルの攻撃を食い止める。

「今ですランプラー、シャドーボール」

「そうはいかないよ! コドラ、ロックブラスト!」

長い両腕を動かし、ランプラーが黒い影の弾を放つが、それと同時にコドラも無数の岩を発射し、影の弾を打ち消した。

「っ、ニダンギル、イビルスラッシュ」

「サヤナちゃんナイス! フローゼル、冷凍パンチ!」

ニダンギルが斬撃を放とうとするが、フローゼルの動きの方が早い。

冷気を纏った拳が振り下ろされ、ニダンギルを床へと叩き落とす。

「ランプラー、サイコキネシスです」

「遅い遅い! 噛み砕く!」

さらにフローゼルはランプラーの頭部に牙を食い込ませ、首を大きく振ってランプラーを真上に投げ飛ばす。

「今だよコドラ! 水の波動!」

そのランプラーに対し、コドラがさらに水の弾を放出。

しかし、

「大人しくしていてもらいましょう。ニダンギル、聖なる剣」

それとほぼ同時に、コドラへと標的を変更したニダンギルが一気にコドラとの距離を詰める。

水弾はランプラーに直撃するが、その直後にニダンギルの黄金に輝く剣の一撃がコドラを捉えた。

「っ、コドラ!」

聖なる剣は格闘タイプの技。鋼と岩タイプを併せ持つコドラには二重の効果抜群で、ダメージは相当なものだ。

「コドラ、大丈夫!?」

それでも自慢の防御の高さが幸いし、まだ倒れてはいない。体勢を立て直し、サヤナの言葉に応えて頷く。

そしてその一方で、ランプラーもまだ浮上する。

「小癪な……! やってくれますね……」

「グニル、落ち着きなさい。戦況はまだ五分五分ですよ」

「……そうですね、ルニル。失礼しました、立て直しましょうか」

ルニルとグニルも仕切り直し、再びランプラーとニダンギルが戦闘の体勢を取る。

「へえ、まだ倒れないんだ」

「我々はディントス教のナンバー2、そう簡単に倒せると思わないことです」

「ふぅん。んじゃディントス教って大したことないんだね。司教を名乗るくらいだから、もう少し強いと思ってたんだけど」

「減らず口はそこまでです。ランプラー、シャドーボール」

「フローゼル、アクアジェット!」

ランプラーが両腕を構えるが、同時に水を纏ったフローゼルが襲い掛かってくる。

ランプラーは咄嗟に急上昇し、何とか突進を回避、再び影の弾を作り上げる。

「ニダンギル、コドラに手出しをさせないように。イビルスラッシュです」

「それなら、コドラ! 守る!」

二本の刀身を携え切りかかってくるニダンギルに対し、コドラは守りの結界を展開して迎え撃つ。

続けざまに斬撃が繰り出されるが、しかしコドラには届かない。

「ランプラー、シャドーボールです」

「遅い! フローゼル、リキッドブレード!」

そして。

フローゼルが右手の掌を広げると、水が噴き出し、水の剣が作り上げられる。

影の弾を発射する暇も与えず、水の剣を握ったフローゼルの青き一閃が、ランプラーを一刀の元に両断した。

「っ、ランプラー……!」

水の剣に切り裂かれたランプラーがゆっくりと下降し、目を回して地に落ちる。

だがその直後、

「っ、コドラ、水の波動!」

「ニダンギル、躱して聖なる剣です」

コドラの放つ水弾を身を捻って躱し、ニダンギルが二本の輝く剣をコドラへと振り下ろす。

「コドラっ!?」

二重の弱点となる格闘技を受け、コドラも戦闘不能となってしまった。これで一対一となる。

「うぅ……ごめんスグリ君、後は頼んだよ……」

「いやいや、じょーできだよサヤナちゃん。ニダンギルの体力を削ってくれたおかげで、楽に倒せる。オレに任せといて」

コドラをボールに戻したサヤナに対して、スグリはニヤッと笑って親指を立てる。

「……ルニル、後はお願いしますよ」

「ええ。引き続き、私の出番のようですね。任せておいてください」

グニルもランプラーを戻して引き下がり、代わりにルニルが進み出る。

「さあ、ここからはオレの得意なシングルバトルだ。ようやく本領発揮ってところだけど、秒で終わらせてやるよ」

「残念ですが、貴方に救いの手は届かない。我がニダンギルの聖なる剣か邪なる剣、どちらに裁かれたいか、今のうちに決めておきなさい」

挑発すら仕掛けられるほどに余裕を浮かべるスグリに対し、表情を一切変えないルニル。

ニダンギルとフローゼルも、お互いを見据えて睨み合う。




《リキッドブレード》
タイプ:水
威力:90
物理
水でできた剣、または水を纏った刃で相手を切り裂く。急所に当たりやすい。

※威力はあくまでも目安です。
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