魔王と救世の絆   作:インク切れ

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第39話 狂信主教ディントス

「それでは我々も始めようか! 神道を示せ、ギルガルド! シャンデラ!」

こちらはハルとアリスのバトル、相対するは教皇ディントス。

繰り出されたのはギルガルド、そしてもう一匹。紫の炎を妖しく揺らす、シャンデリアのようなポケモン。

 

『information

 シャンデラ いざないポケモン

 両腕の炎を揺らして人やポケモンを

 催眠にかけ意識を奪う。動けない

 相手の魂を頭の炎で吸い取ってしまう。』

 

ギルガルドとシャンデラ。どちらもゴーストタイプを持つポケモンで、司教二人組のポケモンの進化系だ。

「行くよ! 出てきて、ワルビル!」

「さあ出てきなさい! 輝け、ライボルト!」

ハルのポケモンは、悪タイプを持ちゴーストに有利なワルビル。アリスはエースのライボルトを繰り出し、

「容赦しないから! ライボルト、初っ端からエンジン全開よ! メガシンカ!」

ライボルトがアリスに呼応し吼えると同時、首元のメガストーンが輝き、アリスのキーストーンと光を繋ぐ。

ライボルトが光に包まれ、体毛が稲妻の如く鋭く逆立つ。

「メガシンカ――メガライボルト!」

電撃を纏ったライボルトが天を仰ぎ、大地を揺るがす咆哮を放つ。

「そう来なくてはな。では、行くぞ! シャンデラ、火炎放射!」

「ライボルト、躱して! パワーボルテージ!」

シャンデラがライボルトを狙って頭から妖しい紫炎を放つが、ライボルトは素早い動きでそれを躱し、纏った電撃を周囲へと解き放つ。

「ギルガルド、キングシールド!」

衝撃波に乗せた電撃が相手のポケモン二匹へ同時に迫り来るが、ギルガルドがシャンデラを守るように前に立ち、盾を構えて霊力の結界を展開する。

結界に触れたその瞬間に、電撃は消滅してしまう。

「ハル君、あのキングシールドに気をつけて」

相手から目線を離さず、アリスはハルへ言葉を掛ける。

「あの結界に直接触れると攻撃力を下げられてしまうの。私のライボルトは特殊技しか持っていないからいいけど、君のワルビルは物理技ばかり。幸い、守るとか見切りと同じように連発のできない技だから、気をつけて戦ってね」

「分かりました、ありがとうございます」

礼を言い、ハルはギルガルドへ向き直る。

「連発できないなら、今だ! ワルビル、噛み砕く!」

「援護するわよ! ライボルト、シグナルビーム!」

ワルビルが地を蹴って飛び出し、大顎を開き、ギルガルドへ牙を剥いて襲い掛かる。

さらにその背後からライボルトが激しい光を放つビームを発射、シャンデラを牽制しつつ追撃を狙う。

「シャンデラ、シャドーボールだ!」

対するシャンデラは漆黒の影の弾を放ち、シグナルビームを相殺。

だがワルビルの動きを止めるには至らず、その隙にワルビルは牙をギルガルドへと食い込ませる。

しかし。

「なっ……?」

手応えがない。

鉄製の板を容易く食い破るほどのパワーを持つワルビルの大顎を持ってして、ギルガルドの盾へと牙を食い込ませることができないのだ。

「残念ながら当てが外れたようだな。ギルガルドは耐久力の低いポケモンだが、盾を構えた子の姿、シールドフォルムであれば話は別。キングシールドを使わずとも、並大抵の攻撃は受け付けんよ」

さらに、とディントスは続け、

「それだけではないぞ。一度剣を引き抜けば、我がギルガルドの攻撃力は天下一品。その力、受けてみるがいい」

ぞわり、と。

ハルの背筋に、悪寒が走る。

「まずい……! ワルビル、離れて!」

ワルビルが牙を離し、ギルガルドから距離を取ろうとする。

だが、遅い。

 

「ギルガルド、聖なる剣!」

 

盾から刀身を引き抜き、ギルガルドは刀身のその身体に光を纏わせ、黄金の斬撃をワルビルへ叩き込んだ。

「っ! ワルビル!」

悪タイプのワルビルに、格闘技の聖なる剣は効果抜群。威嚇で攻撃を下げていなければ、致命傷の可能性すらあり得た。

「調子に乗らないでもらおうかしら! ライボルト、パワーボルテージ!」

ワルビルが吹っ飛ぶ傍ら、ライボルトはすぐさま電撃の衝撃波を放つが、

「遅い。キングシールド!」

ギルガルドは再び盾を構え、霊力の結界で身を守る。

相方を守りに行く余裕はなかったようで、シャンデラが電撃を浴びてしまうものの、ギルガルドにはやはり攻撃が届かない。

「さて、次はこちらの番だ! ギルガルド、ヘビーブレード! シャンデラ、エナジーボール!」

再びギルガルドが刀身を引き抜き、今度はライボルトへその剣先を向ける。

同時にシャンデラも体勢を立て直し、腕の先から淡く緑色に輝く光の弾を放つ。

「ワルビル、シャドークロー!」

「ライボルト、火炎放射!」

ワルビルは右手に黒い影を纏わせ、影の爪を振り抜いて光の弾を引き裂く。

ライボルトも灼熱の炎を吹き出し、ギルガルドの斬撃を防ぎ切った。

「ワルビル、ここの床、破れそう?」

ハルの言葉を聞いてワルビルは尻尾で軽く床を叩き、ニヤッと笑って頷く。

「何をするつもりかね? シャンデラ、火炎放射!」

「穴を開けるだけですよ! ワルビル、穴を掘る!」

シャンデラが頭を向けて紫炎を放つが、ワルビルは床を殴りつけ、ヒビを入れて穴を開け、地中へと身を隠す。

この聖堂は一階なので、下は土。床に潜っても、ワルビルの動きに差し支えはないし、アリスにも事前に多少穴を開けたって構わないとの許可も得ている。

「さて、どちらを狙ったのか……まあよい、察しはつく。ギルガルド、イビルスラッシュ!」

剣に闇の力を込め、ギルガルドは再びライボルトへ向かっていく。

「ライボルト、躱しなさい! 火炎放射!」

続けざまに何度も剣を振るって執拗に斬撃を放つギルガルドだが、ライボルトはそれを次々と掻い潜り、躱し、隙を見て素早く背後へ飛びのき、大きく息を吸う。

「今だ! ワルビル!」

そこへワルビルが地中から飛び出し、奇襲を仕掛ける。

狙いはシャンデラ。足元から飛び出し、牙を剥いて襲い掛かるが、

「やはりな! シャンデラ、シャドーボール! ギルガルド、キングシールド!」

密かに両腕へ影の力を溜め込んでいたシャンデラは即座に二発の影の念弾を撃ち込み、逆にワルビルを押し戻す。

そしてライボルトの口内に炎が揺らめくのを見るや、ギルガルドは即座に納刀、盾を構えて霊力の結界を張り、襲い来る業火を消滅させてしまう。

「察しはつく、そう言ったはずだ。接近して攻撃するとなれば、必ず貴様はギルガルドのキングシールドを警戒しなければならない。そんな状況でギルガルドをわざわざ狙うとも思えん。シャンデラを狙ってくることくらいは想定済みだよ」

「くっ……ワルビル、大丈夫?」

立て直したワルビルは、忌々しそうにシャンデラを睨んで低く唸る。

「さらにこのシャンデラ、実はギルガルドを上回る火力を備えている。ゴーストタイプ最強の防御を誇るギルガルドに、ゴーストタイプ最強の火力を持つシャンデラ。彼らを相手に、君たちのポケモンはどこまで戦えるかね」

不敵な笑みを浮かべ、さらにディントスは言葉を続ける。

 

「我らがディントス教を潰すために、わざわざ出向いてくれたのであろう? それならばこの二匹を突破する力くらいは備えて来ているのだろうね」

 

ディントスの言葉に呼応してギルガルドが刀身を引き抜き、シャンデラはクスクスと笑って腕の炎を揺らす。

「ギルガルド、ヘビーブレード! シャンデラ、火炎放射!」

ギルガルドが切っ先を向けて突撃し、それを援護する形でシャンデラが後方から灼熱の紫炎を放つ。

「私が食い止めるわ! ライボルト、パワーボルテージ!」

「分かりました! ならワルビル、穴を掘る!」

ワルビルが地中に潜り、その隙を隠すようにライボルトが鬣から電撃を放出させ、それを衝撃波と共に周囲へ解き放つ。

ギルガルドの剣の一撃は電撃によって止められるが、直後に襲い来るシャンデラの炎には流石に対応しきれない。衝撃波が打ち破られ、ライボルトが紫の炎を浴びる。

「チャンスだ。ギルガルド、畳み掛けよ!」

さらに追撃を仕掛けるべく、一度は攻撃を止められたギルガルドが再び動き出す。

「そうはさせない! ワルビル!」

そのギルガルドの真下から、床を突き破ってワルビルが飛び出す。キングシールドの可能性は考慮したが、ワルビルの攻撃が通れば最善。キングシールドを使われても、ライボルトに追撃が入らないのならば次善だ。

だが。

「ヘビーブレード!」

ワルビルが飛び出した、その瞬間。

ギルガルドはその場で回転し、拳を構えたワルビルへと遠心力の乗った重い鋼の剣の体を叩きつける。

硬い床をも抉る一撃が、ワルビルへと直撃した。

「しまった……ワルビル!」

その威力の高さは、まさに一目瞭然。

凄まじい勢いで、ワルビルが後方へと吹き飛ばされた。

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