魔王と救世の絆   作:インク切れ

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第63話 カタカゲジム、大地の猛攻!

「最初は……出てきて、エーフィ!」

「出番だ、サナギラス!」

カタカゲジム戦が始まった。ハルの一番手はエーフィ。

対するワダンのポケモンは、岩のような硬い殻で全身を覆った蛹のようなポケモンだ。

 

『information

 サナギラス 弾丸ポケモン

 体内では進化のためのエネルギーが

 膨らみ続けている。オーバーヒート

 しないよう定期的にガスを噴射する。』

 

(岩と地面タイプのポケモンか……ヒノヤコマを出さなくて正解だったな)

地面技を無効化できるからと安易にヒノヤコマを選んでいれば、炎技も飛行技も効果今ひとつな上に岩技で二重の効果抜群を受けることになっていたかもしれない。

ともあれ両者、準備は整った。

 

「それでは、試合開始です!」

 

審判トウナの掛け声とともに、いよいよバトルが始まる。

「それじゃ行きますよ! エーフィ、まずはサイコショット!」

先に動いたのはハルの方。エーフィが額の赤い珠に念力を溜め込み、サイコパワーの念弾を放出する。

対して、

「サナギラス、砂嵐!」

サナギラスが下半身を床に突き立て、ドリルの如く超高速で回転を始める。

回転によってサナギラスを中心に風の渦が出現し、念力の弾を風の壁で防いだところで、さらにサナギラスは体から大量の砂を放出。

その結果。

フィールド全体に、砂嵐が吹き荒れる。

「くっ……これは、何だ……?」

急いでハルは図鑑を取り出し、調べる。

「砂嵐の天候……地面と岩、鋼タイプ以外のポケモンの体力が少しずつ奪われる、だって……?」

いきなり厄介なことになった。ワダンは地面タイプ使いなので、フィールドの状態はワダンに味方することになる。

しかも、

「それだけじゃない。砂嵐下においては、岩タイプのポケモンの特防が上昇する」

「なっ……?」

エーフィの技は全て特殊技。目の前のサナギラスは岩タイプを持ち合わせているため、与えられるダメージはさらに減ってしまう。

つまり、長期戦になればなるほどハルにとっては不利になるということだ。

(厄介な天候だな……今回のジム戦もヒノヤコマはお留守番かな。エーフィには辛い戦いになるかもしれないけど、その後はワルビルとルカリオで戦えば砂嵐の影響はあまり受けないはずだ)

「よし、エーフィ! シャドーボール!」

砂嵐の中、エーフィは額に黒い影の力を集めて漆黒の影の弾を放出する。

「サナギラス、跳べ! アイアンヘッド!」

対するサナギラスはその場で大きく跳躍しシャドーボールを回避、さらに体からガスを噴出させて弾丸の如くエーフィ目掛けて飛び出す。

硬い頭を突き出して突撃するサナギラスのスピードはハルが思っていたよりも速く、エーフィは躱しきれずに突き飛ばされた。

「っ、速い……! それならエーフィ、スピードスターだ!」

立ち上がったエーフィは尻尾を振り抜き、無数の星形弾を放って反撃。

「もう一度アイアンヘッドだ」

しかしサナギラスは再び体を硬化させ、ガスを噴出して飛び出す。

「今度は躱す! サイコショット!」

予想外のスピードだったが、一度見てしまえば対応できる。

サナギラスの突撃を今度は跳躍してしっかりと躱し、勢い余ってすっ飛んでいくサナギラスの背後からサイコパワーの念弾を発射する。

その背中に念力の弾が直撃するが、砂嵐によってダメージが軽減されてしまい、即座にサナギラスは起き上がる。

「続けてシャドーボールだ!」

「ならばサナギラス、悪の波動!」

さらにエーフィが影の弾を放つが、サナギラスは素早く振り返りつつ紫黒の光線を放射する。

エーフィの放った影の弾を悪の波動が掻き消し、さらにその奥のエーフィを捉えた。

「くっ……エーフィ! 大丈夫!?」

シャドーボールで威力を軽減できていたため、致命傷には至っていないが、

「休んでいる暇はないぞ。ストーンエッジ!」

サナギラスが下半身を床に突き刺し、体を振動させる。

刹那、大地が揺れると共に鋭い岩の柱が床から次々と飛び出し、エーフィに迫り来る。

「来るよエーフィ! 躱してサイコショット!」

エーフィがバトルフィールドを駆け抜ける。立て続けに突き出てくる岩の柱の軌道から何とか逃れ、額の珠に念力を溜め込む。

「そうはさせん。サナギラス、悪の波動!」

それを見たサナギラスも床から体を引っこ抜く。

エーフィの放つサイコパワーの念弾を、悪の力を込めた紫黒の光線で打ち破り、さらにエーフィ本体をも狙う。

「それならエーフィ、マジカルシャインだ!」

だがエーフィはさらに純白の光を放出し、悪の波動を押し切ってサナギラスを光に飲み込み、吹き飛ばした。

「サナギラス、ストーンエッジ!」

吹き飛ぶサナギラスだが反撃は速い。着地と共に地面に下半身を埋め込み、剣が如き岩の柱を光の中心へと突き出す。

しかし、

「そこにはいませんよ! エーフィ、シャドーボール!」

既にエーフィはサナギラスの横へと回り込んでいる。

額の珠から黒い影の弾を放出し、サナギラスを吹き飛ばした。

「ほう……サナギラス、アイアンヘッド!」

だがサナギラスはガスを噴射して強引に移動エネルギーを相殺してしまい、逆にエーフィの元へと猛スピードで突っ込んでくる。

「っ! エーフィ、躱して!」

「逃すな! 悪の波動!」

跳躍してエーフィはサナギラスの突撃を躱すが、サナギラスは即座に振り向き、紫黒の光線でさらに追撃を仕掛ける。

空中では自在に身動きが取れず、エーフィは効果抜群の悪の波動の直撃を受けてしまう。

「サナギラス! ストーンエッジ!」

サナギラスが体を埋め込み、大地を揺らす。

宙を舞うエーフィに狙いを定め、その真下から岩柱の剣を突き出す。

「やばい……っ! サイコショット!」

重力に従って落下していたエーフィは咄嗟に真下へと念力の弾を放つ。

迫り上がる岩柱の動きを一瞬ではあるが食い止め、その隙に間一髪のところで柱の切っ先から逃れた。

「まだ終わっていないぞ! アイアンヘッド!」

ストーンエッジを外したと知るや即座にサナギラスはガス噴射でエーフィとの距離を一気に詰めてくる。

「っ、まだ来るか……! 躱して!」

迎撃は間に合わない、ハルはそう判断し、エーフィも何とか身を捻ってサナギラスの突進を避ける。

サナギラスの棘がエーフィを掠めるが、直撃は回避した。

「悪の波動!」

「マジカルシャイン!」

振り返ったサナギラスが紫黒の光線を撃ち出し、対するエーフィは額の珠から純白の光を放出させる。

眩い光は悪の波動を打ち消しつつ、さらにサナギラスを覆う。

しかし。

「気張れ! サナギラス、ストーンエッジ!」

被弾覚悟。

サナギラスが目を見開き、硬い体を勢いよく地面に叩きつける。

その直後、サナギラスは純白の光に飲み込まれてしまう。

しかし。

刹那、エーフィの足元から巨大な岩の剣が飛び出し、エーフィを貫いた。

「エーフィ!?」

突き上げられたエーフィは宙を舞い、重力に従って落下する。

地に落ちたエーフィは、そのまま目を回して倒れ伏してしまう。

「エーフィ、戦闘不能。サナギラスの勝利です」

対するサナギラスもマジカルシャインの直撃を受けているのだが、砂嵐の恩恵か、まだ倒れることなく立っていた。

「ダメだったか……エーフィ、お疲れ様。休んでて」

ハルはエーフィをボールへ戻すと、次のボールを手に取る。

「それじゃあ次は、頼んだよ、ワルビル!」

ハルの二番手は、砂嵐のダメージを受けない地面タイプのワルビル。サナギラスに対してのタイプ相性も悪くない。

「なるほど、砂嵐が効かない地面タイプで来たか」

「ええ、これで砂嵐は怖くない。先手は取られましたが、ここから逆転してみせます!」

威勢のいいハルの返事に対してワダンは何も言葉を返さず、ハルとワルビルを見据える。

「それじゃあ行きますよ! ワルビル、シャドークロー!」

ワルビルが吼え、自身を鼓舞し、両腕に黒い影の鉤爪を纏わせる。

「サナギラス、迎え撃て。悪の波動!」

黒爪を携え駆け出すワルビルに対し、サナギラスは目を見開いて紫黒の光線を発射する。

ゴースト技であるシャドークローは悪技には打ち勝てないが、

「ワルビル、飛び越えて!」

ワルビルは前方へ勢いよく跳躍、悪の波動を飛び越えつつ、一気にサナギラスとの距離を詰める。

そのまま腕を振り抜き、黒い鉤爪でサナギラスを切り裂く。

「逃すな。もう一度、悪の波動!」

「ならワルビル、穴を掘る!」

斬撃を受けたサナギラスが再び紫黒の光線を放つも、ワルビルはすかさず地中に隠れ、身を潜める。

「なるほど……サナギラス、炙り出せ。ストーンエッジ!」

サナギラスが下半身を地面に突き立て、軋むような鳴き声をあげる。

大地を揺らし、地中から岩の柱を呼び起こして床下のワルビルを狙うが、

「ワルビル! 今だ!」

半身を地面に突き立てている今のサナギラスは回避ができない。

サナギラスの真下の地面がひび割れたかと思うと、地中から現れたワルビルがサナギラスを殴り飛ばす。

「……!」

ぶん殴られたサナギラスが放物線を描いて宙を舞い、地面に叩きつけられる。

まだ起き上がろうと体を震わすが、そこで力尽き、目を回して倒れてしまった。

「サナギラス、戦闘不能。ワルビルの勝ちです」

サナギラスを撃破し、ワルビルが吼える。取られた一手を即座に取り戻した。

「サナギラス、戻れ」

そしてワダンはサナギラスをボールへと戻すと、少し間を置き、軽く息をついて次のボールを手に取る。

「出番だ、バクーダ!」

そのワダンの二番手は、長い橙の体毛を持ち火山の火口のようなコブを背負っている獣型のポケモンだ。

 

『information

 バクーダ 噴火ポケモン

 普段は温厚だが怒ると背中のコブ

 から炎を撒き散らし暴れる。コブが

 震え出したら大噴火する合図だ。』

 

地面と炎タイプを併せ持つポケモンのようだが、

「え……?」

「どうした。何か気になるのか」

不思議そうな顔をするハルへ、ワダンが声を掛ける。

「ええと、ワルビルには、炎タイプを持つバクーダは相性が悪いんじゃないかと思って……」

「フン、そんなことか。俺のようなジムリーダーは専門タイプを突き詰めた者たち。いろいろ考えた上で、バクーダで戦うのがいいと判断したまでのことだ」

「な、なるほど……」

実際、ワダンの言う通りではある。

タイプ相性だけではバトルの行方は分からない、それがポケモンバトルなのだから。

「さあ、バトルを続けるぞ」

ワダンの言葉に呼応し、バクーダが地面を踏みならし、低く唸る。

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