「まさかこんな時にお前と戦うことになるなんてな」
「そんな余裕ができるのも…今だけだ…!」
そう言うとツノだおは距離をとり、まっすぐ俺めがけて黒い電撃のようなものを飛ばしてきた。
「抜き打ちチェックだ!」
「ぐっ…」
身体中が軽く痺れを感じるが、これぐらいのダメージは問題ない。俺を見てツノだおは拍手した。
「ほう、相変わらず効かない、と…。」
「お前こそ余裕そうじゃねえか」
今度はこっちの番だ。拳に力をこめて、一気に近づく。
「オラァッ!」
拳を思い切り振り下ろすと、鈍い音と共にツノだおが驚いた表情をしているのが見えた。
「は、速い……!?」
「どっかの誰かさんが仕事をくれるおかげでこの姿でもだいぶ慣れたんだよ」
さて、今の一撃だけでもけっこう喰らっただろう。ヤツは今の俺の実力を勘違いしていたため、本気でない。情けない話だが、俺1人でやるなら今が最初で最後のチャンスだ。これで決める!
「次で終わらせてやる……!」
「ちぃっ………………………。」
入口をぶっ壊した時と同じく、いやそれ以上に手に力をこめる。そして……打ち出す!
「くらいやがれ!魔王!!」
巨大な龍のごとき光がツノだおに向かっていく。ヤツの残り体力的にも、俺の体力的にも、これが当たるか当たらないかで勝敗が決まる。だが俺は聞いた。俺の攻撃がヤツに触れる寸前…。ヤツは、口を開いていた。
「バーイ。」
次の瞬間、轟音が鳴り響き、目の前は煙に包まれた。
「……………やった……のか?」
ヤツの言葉が、俺を混乱させた。だが禍々しい雰囲気は消えている。どうなった?当たった?勝った?言葉でも文字でも表せない感情でいながら、結果の確認をするために煙がはれるのを待った。俺の目の前にあったのは…。
大きくヒビの入った壁、俺の攻撃の跡だった。それのみ。
「俺は…!俺は!ついに」
今の気持ちを言葉にしようとしたその時、後ろにさっきの何倍も、何十倍も恐ろしい気配を感じた。この感じ……。ヤツだ!数秒前とは180°違う感情を抱きながら振り返ると、いた。いたんだ。姿も、雰囲気も違う、あの…
魔王だおが。
「いやぁ、まずまずの目覚まし攻撃だった。」
「野郎、まだ倒れてなかったのか…!?それに、目覚まし攻撃だと…。俺の攻撃はそんなもんなのかよ!?」
「言っただろう?抜き打ちチェックと。テストぐらいは公平にしないといけないからな。」
「……テッメェ!!」
俺の中で何かが切れた。もうボロボロだとか、攻撃が効かないだとかは頭になかった。イノシシみたいに何も考えず攻撃しにいった。
目の前にヤツの姿はなかった。それに気がつくと同時に声がした。
「…テスト採点の時間だ。」
後ろにいる!そう思った瞬間だった。
「0点。」
それっきり、俺の意識は闇に落ちていった。